去年ルーキーとして十分な活躍を見せ、早大の三塁手として存在感を示した茂木栄五郎(文構2=神奈川・桐蔭学園)。2年目のシーズンを迎えさらなる飛躍が期待される中、今何を思い野球に取り組んでいるのか。昨季を振り返ると同時に、その心中に迫った。
※この取材は2月25日に取材したものです。
「結果を出す」
笑顔で取材に応じる茂木
――昨年は自分にとってどのような1年でしたか
1年から試合に出させてもらって、日本一という自分にとって初めての経験もできました。大学野球というものを知ることができた年でした。
――野球の面以外ではどのような年でしたか
大学の授業は90分なので、すごく長く感じました。1年間野球で忙しくて、大学生らしいことはあまりできなかったですね。
――1番印象に残っていることは
春季の明大との4連戦です。最後に勝てたということが、とても印象に残っています。
――春季と秋季を比べて、自分の中で成長できた部分は
成長できたというか、自分のデータが相手チームに分かるようになって、研究されていく中でどのように戦っていくかが分かったような気がします。主に打撃面なのですが、自分の苦手なコースが相手にも知れて、そのコースをどう打っていくかというのが今季の課題として昨季からつなげることができました。そこが成長できた部分だと思います。
――では、反省する部分は
春も秋も後半に自分の結果がのこせない傾向があったので、そこは今季スタミナという面と精神的な面でもっと成長しなければいけないなと思いました。
――1年生から活躍し注目を浴びることで、プレッシャーなどは感じましたか
プレッシャーはなかったです。でも、自分自身で「結果を出さなければ」と変に気持ちが入ってしまって、それで自分のやりたいことができなかったというのはありましたね。
――いつから意識しましたか
春の明大戦くらいからです。
――大学に入学し、早大のユニフォームを着て神宮でプレーするというのは、どのような気持ちでしたか
最初は、とにかく試合に出ることだけだと思っていました。試合に出るにつれて、厳しい試合も増えてきて、その中で勝つことの喜び、負けたときの悲しみというのを実感するようになってきました。秋くらいからは、ワセダのユニホームを着て試合に出ることは誇りでもありますし、責任があるなと、すごく思うようになりました。試合に出れない人もいるので、その人たちのためにも頑張らなければいけないなと、春・秋通して考えられるようになったと思います。
――存在感のあった4年生、何か教えてもらったことはありますか
試合よりも、練習ですね。試合までの気持ちの持ちようや、打てなかった後のことなどプレー以外の部分で教えてもらったことが多かったです。自分が打てなかった後に、4年生の方々が、1年なんだから思い切ってやれよと声をかけてくれて、すごく楽になりました。
――目指したい先輩はいますか
最終的には杉山さん(翔大、平25スポ卒=現プロ野球・中日)みたいに、バッティングでチームを引っ張れるような選手になりたいです。杉山さんに回せば何か得点してくれるというように、自分もなりたいです。
――同期でライバルの選手は
自分のことで精一杯なので、あまり周りは見えてないです(笑)。
――寮生活には慣れましたか
慣れましたね。午後の練習のときに毎回6時半に起きるので、朝は大変です。でも、他の部員はもっと早く起きている人もいるので…。
――高校のときも寮生活でしたが、違いはありますか
高校のときは4人部屋だったので、今は1人部屋だから大分楽ですね。
――オフのときなどは、どのように過ごしていますか
遊びに行くというよりかは、1週間取り溜めておいたテレビ番組などを見ています。基本的に部屋の中で過ごしていますね。
――何の番組をよく見ますか
映画とかよくやってるじゃないですか。ロードショーとかで、おもしろそうなのはとりますね。
――映画が好きなんですか
そうですね。映画好きです
――映画館に見に行ったりとかはしますか
たまに行きますよ。この間は、2月の前半あたりに『アウトロー』を川原(孝太、文構2=静岡・掛川西)と見に行きました。
――大学の授業や、テストなどはどうですか
高校に比べてテストとかは難しくもあるけれど、少し勉強すればできるなと感じます。90分の授業時間が長くて、1コマ全部は集中できないことがありますね。
「ワセダの三塁手として」
打席で持ち前の雄叫びを響かせる
――冬の練習はどうでしたか
主に振り込みなど、練習の量を増やすことを考えてやりました。
――自分のどこを中心に強化しましたか
守備ですね。捕球と送球を一連の流れで行う練習はかなりできたと思います。
――練習してみて、守備は上手くなりましたか
まだ、実感はあまりないですね。
――社会人の練習に参加したそうですが、どうでしたか
大学とは全然レベルも違いますし、まず考え方が違いました。いろいろなことを学べましたね。
――考え方の違いというのは、具体的にはどのように感じましたか
大学は結果にこだわるというか、結果につながる過程の部分は、あまり意識していないように感じていて。アウトにすること、点を取ることなど、良い意味でも結果が全てというイメージです。しかし社会人では、その結果につながるまでのプロセスの方を大事にしているなと感じました。イレギュラーなことがあっても、それに対応できるような基礎という部分を重要視していたので、1プレー1プレーに意味のある失敗や意味のある成功があると目立って見えました。
――練習自体にも、それは感じられましたか
ワセダはいろいろな守備の練習を1日で行うのですが、社会人は1、2個の練習メニューを午前午後かけてじっくりやります。1つの練習に対してかける時間が長いので、細かいプレーまで練習していたように感じました。
――これから取り入れたい練習などはありますか
実戦がこれから近づいてくるので、そこに生きるような練習をしていきたいです。打撃面では練習の中で、自分で場面を想定して良い打球を打てるようにして、守備の面では、自分にプレッシャーをかけて2死三塁のような厳しい場面で、どれだけ自分のプレーができるかというのを突き詰めてやっていきたいです。
――自主練習はどのようなことをしていますか
守備が中心ですが、バッティングが好きなので練習していますね。良い形でスイングすることを心がけてます。
――改善したい点ができたら、どのように直していますか
一緒に練習している同学年のパートナーに、「ここどうかな?」と聞いてみてアドバイスをもらうというのが多いです。
――体調管理などはどのように行っていますか
自分はコンディションとかはあまり意識せずに、その日その日を全力でやろうというタイプなので、どうもっていこうとかは考えないですね。
――昨年は沖縄キャンプが活躍の原点の1つだったように感じましたが、今年はどのように臨みましたか
そうですね。昨年は本当に1年から試合に出たいという想いが強かったので、どんな形であれ声でもバッティングでも守備でも監督やコーチにアピールしなければいけないと必死でした。今年も、レギュラーはまだ決まっていませんし、アピールしなければ試合には出れないので、レギュラー獲得のことだけを考えてやりました。
――新チームになって、昨年との良い意味での違いは
昨年も今年もメンバーに入ってる人とはコミュニケーションがとれていたんですけど、今はメンバー外の人とも上級生とも下級生とも関係性が昨年以上にできている気がします。そういう面からチームの一体感的なものに通じているのは感じますね。
――新1年生が入部する中で、どのような先輩になりたいですか
後輩とは仲良くもしたいですけど、指導というのが前提なので、そういうメリハリができる先輩になりたいですね。
――今、夢はありますか
最終的にはプロ野球選手になることです。これは『夢』ではないのかもしれませんが、あと3年間、六大学リーグで1度も負けずに全て10連勝して、大学選手権でも優勝して、早大の三塁手として試合にずっと出ることですね。
――今年の抱負は
まずは三塁手のレギュラーとして全試合フルイニング出場することです。好機で回ってきたときに安打を打って、自分が打点をあげるというのが1つの目標です。大きな目標とすれば、春季・秋季ベストナイン獲得、首位打者も獲得することです。
――勝利以外に大事にしていきたいこと
野球以前に誰からでも尊敬されるような、このチームはいいチームだなと思われるようにならなくてはいけないなと思っています。それは1人が思ってもだめで、今のチームのスローガンにもなっている『人間性』という部分をしっかりと考えたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 倉本彩絵花)
茂木
◆茂木栄五郎(もぎ・えいごろう)
1994年(平6)2月14日生まれ。171センチ、72キロ。文化構想学部2年。内野手。右投左打。バレンタインデーと誕生日が同日に重なっている茂木選手。「チョコレートはもらいましたか」と質問したところ、「その日は社会人の練習に参加していたので…」と苦笑い。来年はたくさんもらえるといいですね!(笑)。