4年ぶりに日米大学選手権(日米選手権)が日本で開催された。早大からは中村奨吾(スポ3=奈良・天理)が唯一代表に選出され、全5試合にフル出場。最終戦では、先制適時打にはじまり、最後は本塁打を放つなどで日本代表チームの優勝に貢献した。
6日の愛媛・松山坊っちゃんスタジアムを皮切りに始まった日米選手権。日本代表チームは2勝2敗で最終戦を神宮で迎えた。中村も初戦から5試合全てでスタメン出場。今大会は普段守り慣れている二塁ではなく、中堅としてグラウンドに立っている。日本代表の先発は春季リーグ戦で優勝を果たした明大の左腕エース山崎福也。2回戦で7回無失点と好投した山崎福は初回から得点圏に走者を置くも、落ち着いた投球でこのピンチを切り抜ける。すると直後の裏の攻撃、3連打でつくった1死満塁の好機の打席に中村が向かう。2ストライクと追い込まれながらも「ストライクだけを待って打ちました」という言葉通り、高めの甘い球を見逃さず一、二塁間を抜く技ありの流し打ちで先制適時打を放った。スタンドからの歓声に対し、手を掲げ応える中村。ここから日本代表の猛攻が始まる。
先制適時打を放ち喜ぶ中村(左)
3回表に2点を許した日本代表であったが、すぐさま2点を追加し逆転。さらに4回にも2点を奪い5-3で迎えた5回裏。4番の梅野隆太郎主将(福岡大)が今大会両チーム合わせて初の本塁打を放ち、会場のボルテージは最高潮に達した。その中打席に立った中村は、カウント2-2と再び追い込まれてしまう。「三振でいいかなと開き直れて打てた」と振り返る打席は体勢を崩されながらも外角低めの変化球を振り抜くと、打球はそのまま左翼スタンドへと吸い込まれていった。2者連続となる本塁打で試合を決定づけた中村。投げては救援の関谷亮太(明大)が米国打線からの追加点を1点に抑え、7-4で日本代表が2大会ぶりの優勝を果たした。
本塁打を放った中村
普段出場機会の少ない選手も先発に多く名を連ねた新人戦。若い力が躍動し、早大は準決勝へと駒を進めた。あすの相手は3季連続優勝の明大。リーグ戦でも3季連続で勝ち点を取れずにいる宿敵である。ここで白星を奪うことができれば、08年秋以来の優勝も見えてくるだろう。王者撃破で弾みをつけ、勢いそのままに頂点へ――。若武者たちの戦いは、まだ始まったばかりだ。
(記事 廣瀬元宣、写真 高田麻里、手塚悠)
結果
第1戦●日本3-6米国
第2戦○日本4-0米国
第3戦○日本5-2米国
第4戦●日本2-8米国
第5戦○日本7-4米国
コメント
中村奨吾(スポ3=奈良・天理)
――優勝おめでとうございます!優勝の瞬間はいかがでしたか
この5試合苦しい試合もあったので、このように優勝できてよかったなと思います。
――初回の先制適時打についてはいかがでしたか
追い込まれていて、後ろにもいいバッターが多くいるので三振でもいいかなと思いながらも、3球勝負してくるなと思いストライクだけを待って打ちました。
――5回裏、梅野隆太郎主将(福岡大)に続いての本塁打でしたがいかがでしたか
こちらも三振でいいかなと開き直れて打てたのでいい結果出て本当に良かったです。
――5試合全体を振り返ってみていかがですか
打撃の調子はかなりいい状態で過ごせましたが、広島(マツダZoom-Zoom スタジアム)の第3戦で自分の走塁ミスで流れが悪くなってしまって、その流れできのうも大敗を喫してしまいました。しっかり反省しながら最終戦ではいい結果が残せたので良かったです。
――打撃が好調だったということですが、もう少しで首位打者と惜しかったですね。
1打席足りなかったと思うのですが、仕方ないですね。
――大学日本代表の雰囲気はいかがでしたか
4年生を中心にしっかりとまとまって、自分たち下級生もついていくだけだったので楽しくプレーできました。
――ワセダから唯一出場されて、今大会から得てワセダにも生かしていこうと思うことか
自分がいい選手のとらえかたや考え方、またいいプレーをしっかりと学ぶことができたので、そのような技術や精神面などのことをチームにもって帰ってチームに伝えていければいいと思います。