秋季関東大学リーグ戦(秋リーグ)最終戦、早大は総当たり戦にてフルセットの末惜敗した、都留文科大と対戦した。上位グループ戦で負けが続いていた早大は4位が確定していたものの、最後になんとしても勝ちが欲しいところ。今まで課題となっていた、ロングプッシュやフェイントの処理、ブロックフォローに磨きをかけて主導権を握り、すべてのセットで13点に先にのせて勢いに乗る。第2、第3セットでは20点目以降に逆転された際にも、大事な場面で取り切った。セットカウント3-0(25-20、26-24、25-23)でストレート勝利を収め、秋リーグを終えた。
第1セットは、一度もリードを許すことなく終始早大のペースで進んだ。中澤恵主将(スポ4=大阪・金蘭会)のブロックやアタックで良い滑り出し。山下日和副将(社4=千葉・市船橋)のサービスエースで5-1とする。柴田羽乃香(商3=東京・お茶の水女大付)、L神戸彩有(文講3=長野・松本県ケ丘)を中心に、粘り強いフェイント処理やブロックフォローでボールをつなぐと、早大の思い通りに得点を奪った。このセットは中澤によるスパイクで早大が取ると、南里和(商2=東京・女子学院)に向けて「ナイストス」の声がかけられた。
スパイクを打つ中澤主将と、ブロックフォローにつく神戸(左)、南(中央)、神庭
続くセットは、いきなりの4連続得点を許したものの、中澤のインナーへのスパイクや神庭有花(先理4=埼玉・市浦和)のクイックで落ち着いて取り返し、流れを渡さない。秋重若菜(スポ2=大阪・金蘭会)のノータッチサービスエースで1点差に迫った。ここから勢いに乗った早大は、南のサービスエースをふくむ4連続得点で14-11とする。間に落とされがちであったフェイントを神庭が片手で処理し、相手のミスを誘うなど、守備面での成長が随所に見られた。後半、相手の前後に揺さぶる攻撃で逆転を許し、先に20点へ到達されたが、山下のクイックや神庭のブロックで反撃し同点へ。相手が大きく弾く秋重の強打で先行すると、最後は秋重のクイックでデュースを制した。
サービスエースがあった柴田
取り切りたい第3セットは、いきなり柴田のサービスエースで始まった。長いラリー中、S南が崩れた姿勢からも一糸乱れぬトスアップを見せ、中澤が決めきったのを皮切りに3連続ポイント。ペースをつかんだ早大は、多彩な攻撃で点を重ねていく。終盤に再び逆転されたが、神庭のブロックポイントで21-21。それからは中澤と秋重が勝負強さを見せ、一気に逆転し返すと、このセットも取り切り勝利を決めた。
勝利し、喜びながら整列に向かう選手たち
けがで離脱していた山﨑葵(社1=岡山・就実)が試合を見に来たこの日、終始雰囲気が明るく、チームの中の良さがうかがえた試合であった。また、全員が笑顔で試合を楽しんでいた一方、最終戦ということもあり、気迫のこもった完成度の高い早大も見られた。最終順位は4位となり、目標には届かなかったものの、新たなローテーションへの挑戦や1年生の活躍など、収穫も得られた秋リーグ。次に見据えるのは全カレだ。まずは初戦を突破するべく、この試合で得た感覚を糧に、有終の美を飾るべく走り出す。
(記事 五十嵐香音、写真 渡辺詩乃)
セットカウント | ||||
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早大 | 3 | 25-20 26-24 25−23 |
0 | 都留文科大 |
スタメン | ||||
レフト 中澤恵主将(スポ4=大阪・金蘭会) レフト 柴田羽乃香(商3=東京・お茶の水女大付) センター 山下日和副将(社4=千葉・市船橋) センター 神庭有花(先理4=埼玉・市浦和) ライト 秋重若菜(スポ2=大阪・金蘭会) セッター 南里和(商2=東京・女子学院) リベロ 神戸彩有(文講3=長野・松本県ケ丘) |
コメント
馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)
――今日の試合を振り返って
最後の最後で、このリーグ戦 で一番良いゲームができたのではないかなとおもいます。
――秋リーグの結果についてはいかがですか
目標は全勝優勝だったので、そこからすると目標未達で、満足のできる成績ではないですけれども、試合を通じてずっと学生が苦しみながらも頑張りぬいたところでは、評価してあげたいなと思えるような結果でした。
――リーグを通して成長した点は
リーグが始まる前に、「リーグを通じて成長しよう」と声掛けをしていました。その意味では最初の出発がマイナスだったので、伸びしろしかなかったなと思っています。ですが、最後の試合となる10試合目で本当に良いバレーができたと思うし、みんないいプレーをしてくれたなと思います。
――残る課題についてはいかがですか
挙げればきりがないですが、残りが関東の地域リーグの試合と、全日本インカレ(全カレ)と2試合残しているので、そこの集大成に向けてできることをやってもらえればよいなと思います。
――以前、「メンバー交代ができる状態ではない」とおっしゃっていましたが、リーグ終盤から新しいローテーションを試したり、交代したりという場面がありました。それはやはり収穫ですか
そうですね。1年生が成長してきてくれていると思いますし、ゲームの中でもできたこととできなかったことと収穫があると思いますので、得たもの、感じたものは来年に向けていい材料になったのではないかなと思います。
――この代の残りの試合に向けて意気込みをお願いします
実は今日最終戦ということで、けがで離脱していた山﨑(葵、社1=岡山・就実)が来てくれました。山﨑の前でみんな勝利を報告できましたが、休んでいるメンバーがあと2人いるので、残された試合の中でその2人も参加できるように、そして最後全員で有終の美で終われるように、臨んでいきたいと思います。
中澤恵主将(スポ4=大阪・金蘭会)
――今の感想を聞かせてください
大学のリーグ戦は、1部に上げるんだという気持ちで入学してきて、それが4年間達成できなかったことは悔しいし、2部で優勝できなかったし4位だし。今日勝ったとしても満足はできていないです。春あの結果になって、特に若菜(秋重、スポ2=大阪・金蘭会)が1部でできるように頑張ろうと思っていたのですが、後輩にあまり残してあげることができませんでした。入学してから今まで全カレは初戦で負けているので、そこで初戦を突破し、全カレで勝つというものを後輩に残していけるように。もう1回キャプテンとして勝てるチームを作れるように、残りの時間で準備していきたいと思います。
――今日の試合内容を振り返って
ストレートで勝つことができて、今日は特に楽しかったです。葵(山﨑、社1=岡山・就実)がケガでずっと離れていたのですが、今日来てくれて。来ていることをみんな知らなかったのでびっくりして、プレッシャーがなくなって、いてくれるだけで気持ちがひとつになりました。それが今日のつなぎや、失点になっても食らいついていく姿勢に表れたので、すごく楽しんでできました。これが全カレにつながっていくようにしっかり頑張っていきたいと思います。
――ブロックフォローやフェイント処理が非常に良くなっている印象でした
上位戦は1回やったチームもう1回当たるということで、前やった試合を分析しました。前はOHのストレートスパイクや、フェイントによる失点が多かったのでまずそこを防ぐことを意識しました。前回やられたことは絶対にやられないという強い思いを持っていたことが一つの理由だと思います。もうひとつは、毎週水曜日に練習試合をさせていただいているのですが、今週はフォローのミスで負けてしまうことが多かったので、昨日ミーティングをして、フォローは絶対にノータッチで落とさないという意識を特に高く持って試合に入りました。最後の試合で、私たちが何をやるんだということを絞って臨んだことで、やるべきことが明確になって、そこの対策がうまくいったのだと思います。
――今日の試合ではすべてのセットで13点に先にのせていますが、やはり精神的に変わってきますか
13点のタイムの入り方は大事ですし、やはり序盤に劣勢になると後半で思い切ったプレーができるかという気持ちの面に関わってくるので、自分だったら前の3ローテでたくさん点を取って若菜につなぐということで、良い流れができます。また、ローテごとの課題も明確にできたので、今日の出だしがよかったなと思います。
――20点目以降の逆転もありましたが、取り切れたことに関しては
20点前後の時に自分たちが1番弱いローテが回ってきてしまうので、そこで点数をいっぱいとるのではなく、自分たちの攻撃が1本で切られてしまうのは想定済で、1回で切ってどんどん回していこうというという意識がありました。うまくいかないのも想定内という頭を持てたことで気持ちを作れたと思うので、リーグ戦を通して負け続けた中でも、自分たちを振り返ることから目を背けずにできたことが、今日慌てない終盤につながりました。苦しかったけど、あの期間ちゃんとミーティングしてよかったなと思います。
――絶好調に見えたのですがご自身のプレーについては
最後ですし、親も毎週応援に来てくれて、どんな人が見ても応援してよかったと思える姿でいようと思いました。私が笑顔だときっとみんなも笑顔になるし、周りの人への感謝をもってやろうと思ったことで、吹っ切れてあまり堅いことを考えずに試合できて。そこにもう少し早く気づけていたらよかったかなと思います。
――全カレに向けて意気込みをお願いします
今まで初戦で負けてきてしまっているので、まずは初戦突破できるようにしたいです。自分たちも勝ったことがないので、未経験のことに挑戦するのですが、今年のスローガンである「突破」というのを全員で確認して、突破できるように一日一日、コツコツ積み上げてきたものを、自信をもって出し切れるように頑張ります。やはり最後は4年生の気持ちと引っ張る姿だと思うので、6人が同じ割合で頑張るのではなく、4年生がいっぱい背負って、ついてきてくれる形が1番良いと思います。なので、覚悟を持って出し切りに行きたいです。
柴田羽乃香(商3=東京・お茶の水女大付)
――リーグ戦最終日の今日はどういった気持ちで試合に臨まれましたか?
今日の試合は試合前から自分を含めて全員が絶対に勝つという強い気持ちを持って挑みました。試合中には4年生の絶対に勝つという強い気持ちが私たち後輩にも伝わってきて、それでよりいっそうまとまれたというのもあります。とにかく全員が勝つという気持ちで挑みました。
――前回デュースで競り負けてしまった都留文科大学に今日はストレート勝ちができましたが、今日勝てた要因は
まず1セット目の入りがすごく良かったというのと、あとは気持ちですね。最終戦というのもあって、全員の強い気持ちが一つになって、すごく大きな力になったのだと思います。
――今日のご自身のプレーを振り返っていかがですか
今まで上位リーグ戦ではすごく自分的に何もできなかった試合が続いていたんですけど、今日はレシーブをとにかく絶対に上げるということと、サーブで点を取るということを目標にしてやって、今までの試合よりもいい動きができたと思っています。でも全然目標には程遠いのでこれからもっと練習頑張ります。
――最後にインカレに向けて意気込みをお願いします
チームとしてはベスト8という明確な目標があるのでそれを絶対に達成するということです。あと個人としては、4年生に教えてもらったことを全部発揮してチームに貢献するということを目標に、全力で頑張ります。