粘って粘って奪い取る 鉄壁の守りでリズムを作り5連勝で後半戦へ

女子バレーボール

 秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)もきょうで第5戦を迎え、折り返しとなる。前半戦を負けなしで乗り切りたい早大は宇都宮大と対戦した。第1セットから主導権を握ったのは早大。終始安定したディフェンスで、好機を作り出す。上がったボールを、これまで中心だった森佳央理(スポ4=群馬・高崎女)、富澤結花(スポ3=東京・文京学院大女)をはじめ、各選手が自分の役割を存分に果たし、全員バレーで得点を重ねていく。第3セットに劣勢の状況から追いつくも粘り負け、1セットを落とすものの、セットカウント3-1(25ー20、25ー19、24ー26、25ー20)で快勝。前半戦を全勝で折り返した。

 前回の試合と同様にこの試合でも第1セットから早大はアクセル全開だった。ブロックフォローを確実に上げ、攻撃につなげる。上がったボールを富澤らアタッカー陣が確実に決め、スタートダッシュに成功。中盤では斎藤友里(社1=千葉・敬愛学園)のブロックから勢いに乗ると、井上裕利恵(スポ2=岡山・就実)のサービスエースなどで宇都宮大を引き離す。相手のミスにも助けられ、リードを保ったまま第1セットを先取する。続く第2セット、勢いそのままに宇都宮大に牙をむいたのは、井上、斎藤だった。井上のブロックアウトで先制すると、斎藤のクイックが立て続けに決まるなど序盤は下級生がコートを支配する。橋本美久(社1=福島・郡山女大附)が波に乗る攻撃陣を巧みに操り、このセットは攻撃に回る全選手が複数点以上得点を決める活躍を見せ、第2セットも連取する。

高さだけでなく技術も目立った斎藤

 前回の試合終了時に森がチームに課した「ストレートで試合を取り切る」という次戦の目標。第3セットを取りきれるかが、この一週間でどうチームが成長できたかを計る指標と言っても過言ではないだろう。選手それぞれが意識し、臨んだ第3セット。試合は序盤、早大が集中力で勝る。きょうの試合光り続けているディフェンスを牽引(けんいん)している河治えみり(社2=北海道・旭川実業)がファインセーブを連発。攻撃でも斎藤が時間差で巧妙に相手ブロックを交わしスパイクを決めるなど精度の高いプレーでリードを奪う。チームとしての目標達成が目前と迫ったその時、宇都宮大が猛威を振るう。これまで粘りを見せてきた早大の守りであったが、宇都宮大に守備の間を思い切りのいいスパイクで打ち込まれる。逆転を許し18−22と、ついた点差は4点。万事休すかと思われたが、ここでも早大は春からの成長を見せる。森のブロックから一気に流れを引き寄せると、それまでコートに落ちていたボールが再び上がり始める。粘りが真価を発揮し、4点差を追いつきジュースへ突入。最後はミスが出てこのセットを落としたものの、終盤に森を中心とした地力の強さを見せる価値のある第3セットとなった。目標遂行とはならなかった。しかし、絶対に落とせない第4セットでは、再び早大が主導権を握り直す。このセットも変わらずディグの安定感には目を見張るものがあり、守備からリズムを作る。相手のミスもあり、点差を離しにかかりたい場面では森が3枚ブロックを打ち抜くなど序盤は圧倒する。後半になるにつれ宇都宮大が追い上げ、苦しくなってきた場面では富澤が爆発。弾力のあるジャンプからスパイクを立て続けに放つ。最後は、森がしっかり決め切り勝負あり。ストレートでは取り切れなかったものの、着実な成長を見せ無敗で第5戦を終えた。

攻守共に活躍を見せた井上

 早大の目標である全勝優勝に向け、前半戦を最高の結果で折り返すこととなったきょうの試合。特にこの試合ではこれまで攻撃を先導してきた森、富澤のダブルエースに頼らずに試合を展開していく場面が見られるなど、選手全員が確実に成長してきていることを示す内容となった。しかし、「ストレートで勝てるようにゲーム中集中して全員で戦っていかないといけない」と井上が口元を引き締めるようにまだまだ満足するには及ばない。あしたから上位チームとの対戦が待っている以上、コートの中、外問わず全員が気を緩めることなく、試合に入ることが勝利の絶対条件だろう。勢いに乗る臙脂(えんじ)の戦士たちはあしたも躍動を続ける。

(記事 遠藤伶 写真 橋本和奏)

セットカウント
早大 25-20
25-19
26-24
25-20

宇都宮大
スタメン
レフト 富澤結花(スポ3=東京・文京学院大女)
レフト 植松知里(文構2=香川・高松第一)
センター 森佳央理(スポ4=群馬・高崎女)
センター 斎藤友里(スポ1=千葉・敬愛学園)
ライト 井上裕利恵(スポ2=岡山・就実)
セッター 橋本美久(社1=福島・郡山女大附)
リベロ 河治えみり(社2=北海道・旭川実業)
コメント

井上裕利恵(スポ2=岡山・就実)

――きょうの試合を振り返って

勝てたのは良かったんですけど、相手のペースに合わせて自分たちに無駄なミスが出てしまったり、ストレートで勝てる試合だったのになかなか自分たちのバレーができない場面もあったかなと思いました。

――前半戦を5連勝で折り返しました

5連勝は嬉しいことなんですけど、私たちの目標は一部に上がることなので、二部の相手に毎回1セット取られているんで、ストレートで勝てるようにゲーム中集中して全員で戦っていかないといけないなと思いました。

――きょうの試合は、井上選手の攻守において活躍が目立った試合だと思いますがご自身のプレーを振り返っていただけますか

スパイクはいつもより決まって嬉しかったのであしたからも頑張ります。

――特にアタックでは春から相当精度が上がっているように見えますが

春リーグ(春季関東大学リーグ戦)はあまり決まってなくて、秋リーグ(秋季関東大学チーグ戦)は春リーグに比べて打数も増えて、少しずつ決まってきているんで、スパイクに関しては何も考えず思い切り打っていきたいなと思います。

――チームとしても守備で粘りが非常に見えた試合でした

早稲田のチーム目標の一つがレシーブの粘りなので、きょうの試合でしっかり上がっていたのはいいんですけど、もう少し細かい間のボールとか、相手が乱れて返してきたチャンスボールの精度などをもっと上げれたらいいと思います。

――あしたの試合へ向け抱負をお願いします

あしたはきょうよりももっとやってくる相手なので第1セットの出だしから集中してストレートで勝てるように頑張ります。

斎藤友里(社1=千葉・敬愛学園)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうはあまりスタートの状態がチームとしてよくなくて、チームの中でも、そういう意識の中で始まって、序盤に相手のミスに助けられてセットをとれたので、相手も体制が整ってきてミスが減ってきたときに、第3セットに取り切りたいところで取り切れなかったところはもったいないし、しっかりストレートで取れる試合だったと思うので、そこは反省すべき点だと思います。でも、負けなかったのはよかったと思います。

――前半戦5連勝で折り返しましたが、今のチームの状況はどうですか

前半戦5連勝で折り返しましたが、今のチームの状況はどうですか。

――橋本選手とのコンビが、試合を経るごとにあってきているように見えますが、そのあたりはいかがですか

春リーグ(春季関東大学リーグ戦)は2年生の先輩がトスを上げていて、秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)からセッターを代わってやっているんですけど、やっぱり1年生同士ということもあってやりやすいし、自分たちが結構好きなようにコンビ使ったりすることができているので、自分たちでも満足しています。

――きょうは特に守備での粘りが光る試合でしたが、そのあたりはどう振り返りますか

くだらないミスを出すっていうのが自分たちにとって、取れるボールを落としたりするのが、自分たちの流れをどうしても切ってしまうので、しっかりみんなが集中して、当たり前のボールをしっかり当たり前に処理できたことと、際どいボールもしっかり足を使って拾っていけてつなげたことはよかったなと思います。

――あしたに向けての意気込みをお願いします

あしたやるチームは、勝ち星数も多くて、しっかりやってくるチームなので、まずは自分たちのバレーをしっかりやることと、相手に合わせるバレーじゃなくて、自分たちの流れでしっかりゲーム展開して、ストレートで勝てるようにしたいと思います。