ライバル相手に痛すぎる一敗

女子バレーボール

 負けられない一戦だった。秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)3日目は、早大と共に今季から1部に昇格した松蔭大と対戦。2部でしのぎを削ってきたライバル相手に第1セットを先取するも、第2セット中盤以降は主導権を奪われる。セットカウント1-3(25-23、22-25、22-25、18-25)で敗れ開幕3連敗。苦境に立たされた。

 2部で何度も対戦している両校だが、この日は1部独特の緊張感の中試合が始まった。第1セットは追う展開となるが、唐木沙彩主将(スポ4=千葉・柏井)がサーブで流れを変える。12-13の場面で相手のレシーブを崩すと、ラリー戦の末に森佳央理(スポ1=群馬・高崎女)がクイックを決めついに同点に追い付く。終盤はシーソーゲームとなったが、サイドアタッカーをうまく使い得点を重ね辛勝。今季初めてのセット奪取に成功した。第2セットは早大のペースで試合を進めるが、16-11から悪夢の8連続失点を喫し逆転を許す。吉田千絵監督(平10教卒=岡山・就実)が「サーブで攻められて、逆にうちが守りに入ってしまいました」と振り返ったように、打開策を見つけられないまま状況が一変してしまった。その後再び同点とするも、22-25でこのセットを落とす。

マークされながらもスパイクを放つエースの唐木

 勝敗を左右する第3セット。リベロの中川知香(スポ2=神奈川・橘)が懸命のレシーブで立て直しを図る。スパイクレシーブを確実に拾うだけでなく、2段トスになっても元セッターの力量を生かし正確なトスを上げる。「幅広い攻撃を展開できるよう練習してきた」と語った中川が、『職人の技』でチームの攻撃を活気づけた。しかし22-22から2度のダブルコンタクトとスパイクミスで自滅。第4セットを後のない状況で迎えることとなった。このセットも相手のサーブに押され流れを取り戻すことができない。唐木や平山璃菜(スポ3=東京・文京学院大女)にマークが集中し、ぎこちない攻撃が続く。対照的に、松蔭大のアタッカー陣にはブロックアウトやプッシュを織り交ぜた思い通りのプレーをさせてしまい完敗。これまでの2敗よりも重い試合終了のホイッスルが、体育館に響き渡った。

懸命にボールを追いかける中川(手前)ら

 攻めのサーブや安定したスパイクレシーブなど、1部で戦う中で着実な成長を果たす一方、決定力に欠け大事な場面で得点できない早大の課題は山積みだ。苦しい戦いが続くが、まずは初勝利を目指して鍛錬を積む必要がある。「目標をもって一部を楽しむことを意識しなおしてやっていきたい」(唐木)。夏の努力を無駄にしないためにも、ここからの下剋上に期待が懸かる。

(記事 川浪康太郎、写真 谷口武、吉澤奈生)


セットカウント
早大 25-23
22-25
22-25
18-25

松蔭大
スタメン
レフト 唐木沙彩(スポ4=千葉・柏井)
レフト 及川香菜(スポ3=宮城・古川学園)
センター 関根早由合(スポ4=神奈川・橘)
センター 森佳央理(スポ1=群馬・高崎女)
ライト 平山璃菜(スポ3=東京・文京学院大女)
セッター 芹澤友希(スポ2=茨城・土浦日大)
リベロ 中川知香(スポ2=神奈川・橘)
コメント

吉田千絵監督(平10教卒=岡山・就実)

――率直に、きょうの勝敗を分けた差というのはどうお考えでしょうか

前半はうちの得意なサーブで攻めることができましたが、第2セットの16-11から相手にサーブで攻められて、逆にうちが守りに入ってしまいました。その結果、サーブも攻められなくなって、自分たちの得意とするバレーができなくなったということですね。

――きょうのターニングポイントは、やはり第2セット中盤の連続失点の場面でしょうか

そうですね。

――第4セットで佐藤夢菜選手(文3=埼玉・狭山ヶ丘)を固定したのもサーブ強化が狙いでしょうか

はい。

――以前よりサービスエースの本数も減ったように見えますが

1部リーグの方がレセプションも2部リーグより断然上だと思います。それだけでなく全ての技術においてですが。相手も崩れにくくはなっていると思います。

――同じ2部リーグから昇格してきた松蔭大が相手でしたが、試合の入りというのはいかがでしたか

2部リーグでも(松蔭大には)大差で勝ったわけではなく、フルセットなどギリギリのところで勝っていたわけで、簡単に勝てる相手ではないと思っていました。

――チームとしてスパイクレシーブがかなり固くなったのではないでしょうか

そうですね。きのう筑波大とやって散々(スパイクレシーブを)拾えなかったんですよ。でも選手たちが奮起してくれて、しっかり強化していこうというのをリベロの中川(知香、スポ2=神奈川・橘)を中心にこの試合は見られました。

――その一方で、ラリーになった際の決定力に欠けたように見受けられました

夏場は攻撃力の強化に取り組んできましたが、その取り組みが出し切れなかったですね。

――決定力という面でカギを握る選手は誰でしょうか

春は平山(璃菜、スポ3=東京・文京学院大女)を中心に組み立てていましたが、やはり1部の世界になってくるとマークが厳しくなってきます。平山中心ではありますが、全体的にどこからでも攻撃のできるようなチーム作りをしたいです。

――センターからの打数も増やしていくのでしょうか

センターの打数は少ないですが、森(佳央理、スポ1=群馬・高崎女)を入れると打数がサイドと同じぐらいになります。決定率も4割ぐらいあってチームで一番決めていますので、そこは強化されていると思います。

――リーグ戦も1週間空きますが、改めて修正していきたい点は何でしょうか

きょうの試合も決して悪くはなかったと思います。改善すべきは決定力のところなので、セッターとうまくコンビを合わせながらこの1週間でしっかりチームを作っていきたいです。

――第4セットは点差が離されてしまいましたが

押されてしまいましたね。メンバーチェンジをしたのも要因の一つかもしれませんが、受け身になってしまいましたね。

――残りの試合への意気込みをお願いします

2部リーグの時から、目の前の一戦一戦に集中してやろうと言ってきましたので、1部リーグでも先のことではなくて目の前の試合をどう戦っていくか。そこに重きを置いてやっていきたいです。

唐木沙彩主将(スポ4=千葉・柏井)

――悔しい敗戦となりましたが、きょうの試合を振り返っていかがですか

自分たちの勝ちたいという気持ちよりも相手の気持ちの方が強くて、それに自分たちが押されてしまって乗り越えられなかったという反省があります。

――第1セットは接戦をものにしましたが、その勝因は

相手のサーブミスも多かったんですが、それ以上にサーブで攻めれていたので、展開がつくれたかなと思います。

――ご自身のサーブはいかがでしたか

どうしても松蔭大にはサーブで押していきたかったので、サーブで攻めることを目標に掲げて、その気持ちでいきました。

――第2セットの8連続失点を防げなかったのはなぜだとお考えですか

相手のサーブが良かったというのもあるんですが、それ以上に受け身になってしまって攻撃も思い切りできていなかったので、そういうところかなと思います。

――第3セット後半ではミスが続いてしまいました

自分たちのコートの中での会話がなくなってきちゃって、いつもよりも話せなかったというのがあって、そこが原因かなと思います。

――第4セットは最後まで流れをつかむことができませんでしたが

自分たちが勝ちたいという気持ちでそれまではやってきて、その結果が2部での結果だったんですが、勝ちたいという思いより守らなきゃとか勝たなきゃというプレッシャーを感じてしまい流れをつかめなかったです。

――開幕3連敗となりましたが、チームの雰囲気はいかがですか

今は正直負けたばかりで言えませんが、しっかり切り替えてまだ6戦残っていてチャンスは全然あると思うので、自分を中心に挽回できるよう立て直していきたいと思います。

――再来週の試合への意気込みを聞かせてください

もう1回チームを作り直して、目標を持って一部を楽しむことを意識しなおしてやっていきたいと思います。

中川知香(スポ2=神奈川・橘)

――きょうの試合を振り返ってみていかがでしたか

一緒に1部に上がってきた松蔭大との試合でしたが、自分たちの持ち味であるサーブとブロックとレセプションが出せなかったので、相手にどうこうやられてしまったというよりは自分たちのバレーができなかったことが敗因だと思います。次からは立て直していければいいと思います。

――チーム全体でディグがよく上がっていた印象がありましたが、何か心がけていたことはありましたか

自分に関することになりますが、きのうの筑波大との試合で相手エースのディグが拾えなかったので、きょうは必ず1本目を上げて次につなげるという自分の役割を再確認してできたことがよかった点だと感じます。

――2段トスを上げる場面もよく見られましたが、ご自身で意識したことなどはありましたか

セッターが1本目取った時にトスを上げるのが自分の役目なのですが、自分も前にセッターをやっていたことがあるので幅広い攻撃を展開できるよう練習してはいました。でもまだ精度が低いので、これからまた練習していきたいです。

――次戦への意気込みを教えてください

先ほども言ったのですが、相手を意識することなく自分たちのバレーをしていきたいです。