日体大に意地を見せるも敗戦。皇后杯出場はならず

女子バレーボール

 秋季関東大学2部リーグ戦(秋季リーグ戦)が閉幕してから2週間、全日本選手権関東ブロックラウンド(皇后杯予選)が開催された。初の全日本選手権出場をかけて挑んだ早大だったが、準決勝で日体大にセットカウント0-2(15-25、21-25)で敗戦。関東1部リーグのレベルを実感させられた試合だった。

 初戦は埼玉県の市川越高と対戦。「自分たちのいつもの悪循環」と唐木沙彩(スポ3=千葉・柏井)が語るように、リーグ戦でも課題であった立ち上がりに苦しむ。第1セットを落としてしまうが、その後はうまく切り替える。第2セット、18-18の場面から唐木が連続で得点し突き放すと、第3セットでは本領を発揮。サーブで相手レシーブを崩し、加納茉未(社2=北海道・札幌大谷)が威力のあるスパイクでねじ伏せた。セットカウント2-1(23-25、25-22、25-15)で勝利を収め、シードの日体大への挑戦権を得た。

クイックで相手ブロックを翻弄(ほんろう)させる関根

 続く試合の相手は日体大。ことしの東日本大学選手権で優勝を果たすなど、大学女子バレー界ではトップレベルに君臨している。早大にとってこれほどの強敵と戦えるのは、いまの自分たちの力を量るにはもってこいの相手ともいえるだろう。何としても欲しい先制点。いきなり長いラリーが続き、緊迫した展開となる。早大は木暮美波(人4=群馬・高崎女)にボールを託し、最初の1点をもぎ取ってみせた。しかし、王者は揺るがない。立て続けにスパイクを決められ、あっという間に逆転、点差は5-15と10点まで広がってしまう。その後も点差を縮めることはできず、日体大に圧倒されてしまった。

 「思いっきりやるしかない」(黒木麻衣主将、スポ4=大阪国際滝井)。たとえ相手がどれだけ強かろうが、それでも気持ちだけは折らなかった。スローガンである『つながり』を見せ、必死にボールを返す。関根早由合(スポ3=神奈川・橘)の連続クイックでこの試合初めてのリードに成功する。その後も中盤まで接戦を演じ、意地を見せる早大。マッチポイントを握られてからも2点を返すなど、粘り切った。「気持ちが前に出ていてよかった」(黒木)と、結果的にストレート負けではあったが、十分に収穫のある試合内容となった。

唐木の活躍もあり、一時は日体大相手に接戦に持ち込んだ

 秋季リーグ戦、そして今回の皇后杯予選と、これらの試合で得たことをどれだけ生かしていけるか。全日本大学選手権(インカレ)までの残り1カ月の過ごし方がその結果を左右することは言うまでもない。「このチームでどれだけのことができるのかを試したい」と黒木も意気込むインカレ。負けたらそこで終わりとなってしまう一発勝負のトーナメント。この最高のチームで最高の結果を出すために――。最後の大舞台に向け、気持ちを一つにラストスパートをかける。

(記事、写真 谷口武)

セットカウント(1戦目 vs市川越高)
早大 23-25
25-22
25-15

市川越高
スタメン
レフト 唐木沙彩(スポ3=千葉・柏井)
レフト 加納茉未(社2=北海道・札幌大谷)
センター 佐藤夢菜(文2=埼玉・狭山ヶ丘)
センター 関根早由合(スポ3=神奈川・橘)
ライト 木暮美波(人4=群馬・高崎女)
セッター 黒木麻衣(スポ4=大阪国際滝井)
リベロ 中川美香(スポ4=神奈川・大和南)
セットカウント(2戦目 vs日体大)
早大 15-25
21-25

日体大
スタメン
レフト 唐木沙彩(スポ3=千葉・柏井)
レフト 加納茉未(社2=北海道・札幌大谷)
センター 佐藤夢菜(文2=埼玉・狭山ヶ丘)
センター 関根早由合(スポ3=神奈川・橘)
ライト 木暮美波(人4=群馬・高崎女)
セッター 黒木麻衣(スポ4=大阪国際滝井)
リベロ 中川美香(スポ4=神奈川・大和南)
コメント

黒木麻衣主将(スポ4=大阪国際滝井)

――2戦目、関東1部リーグの日体大が相手でしたが、戦ってみて感じたことはありますか

先程の集合でもスタッフから言われたのですが、大きな差というよりは小さな差が積み重なって大きな差になったというように感じました。例えば、つなぎのボールがワセダは雑なのに対して、向こうは打ち切るボールが上がっているだとか、触ったボールが上に上がる、打力が少し強い、といった何かがすごく負けているというよりは、全体的にちょっと足りないのが積み重なった感じがありました。試合中もそれは感じていて、打力もいままで2部で戦ってきたチームとは比べ物にならないぐらい強くて、それだけトレーニングが足りなかったりと、まだまだだなと思いました。

――時間差攻撃など、2部ではあまり見られない攻撃にも苦しみましたが、攻撃面はいかがでしたか

日体大は毎年攻撃のバリエーションが多く、すごく派手なバレーをしてくるチームなので、圧倒されたいうか・・・。そうさせないためのサーブであったり、うちが攻撃で崩せなかったので、やりやすいようにさせてしまったことがきょうの敗因なのかなと思っています。

――そのような中でも第2セットは意地を見せられたと思います

そうですね。あまり覚えていないんですけれど、監督がきょう体調不良で不在でしたが、その中で下級生もコートの中でもタイム中でも喋ってくれました。自分が何かしなくてはいけないという気持ちがすごく出ていたので、負けてはしまいましたが、そういう一面が見られてすごく気持ちが前に出ていたという面では、2セット目の終盤などは気持ちが前に出ていてよかったのではないかと思います。

――今後インカレ(全日本大学選手権)でもこのような相手との戦いが予想されますが、どのように差を埋めていきたいですか

1部のチームとこういうかたちで試合をしたのが数少ない中で実際にやってみて、ボールが強い、ブロックが固いといったことを身をもってすごく感じました。トレーニングもそうだし、体で覚えるぐらいの練習がまだ足りないなと感じたので、あと1カ月強しかないですけれど、全員でちょっとの差をコツコツと埋めていけるように、気持ちをもう一度一つにしてやっていきたいです。

――1戦目の市川越高戦を振り返っていかがでしたか

相手が高校生ということもあって、向こうは保護者がすごくいたりなど、やりにくい感じではありました。その中でも、どんな状況であれ自分たちのバレーをやるというのが大前提の中で、それが最初できなかったのが、やはりリーグ戦でも課題だった序盤の反省が改善されていませんでした。もう一回インカレに向けて出だしから力を出せるような練習を取組んでいかなくてはいけないなと思いました。

――第2、3セットでは本来の力を出せたということでしょうか

序盤苦しんだ中で、そこからだらっといくのではなくて、後半2セットを切り替えられたことは収穫だったとは思います。でも相手も、自分たちが攻めるようになってからはすごく気持ちが引いた部分がありました。隙ができたのが私たちからも感じられたので、そこに大学生の意地ではないですけれど、力強くボールを入れていくというスパイカーの気迫が出ていたのが2、3セットはよかったです。

――日体大戦では押していくバレーをさせてもらえなかったということでしょうか

そうですね。格上ということはみんなわかっていて、思いっきりやるしかないというのはチームの中にあったので、もっともっと点を取りに行くバレーボールをしなくてはいけないです。いまは相手に押されて、守って向こうのミスを待つという場面が多かったり、自分たちで流れが作れないのがよくないと思うので、自分たちで攻撃やサーブを仕掛けるといった、気持ちを前に出していけるようになります。

――インカレでの目標を教えてください

秋季リーグも今回の試合もいい結果が出なかったので、1部のチームに勝ってセンターコートまで、このチームでどれだけのことができるのかを試せたらなと思っています。

唐木沙彩(スポ3=千葉・柏井)

――関東1部1位の日体大と戦ってみていかがでしたか

確かに戦う中で通用しないことも多かったですけれど、その中でもまだまだ自分たちがやれるという、これからに向けていいステップにできた試合だと思います。できないことも多かったですけれど、一つ一つのプレーにしてみたら自分たちの方が勝っている部分もあったと思うので、負けてはしまいましたが、いい試合だったと思います。

――具体的に通用した部分と、通用しなかった部分というのはどのようなところでしょうか

通用した部分は、自分たちのコンビやサーブレシーブは通用する部分もあったと思います。ディグやつなぎの部分で、自分たちがもっとできた部分もあったと思います。

――市川越高戦を振り返っていかがでしたか

相手が高校生ということもあってちょっとしたプレッシャーに押されて負けた部分もありましたが、第2セットと第3セットは自分たちの流れの中でプレーできたので、そこは良かったです。

――第1セット苦しんだ要因は、課題としている立ち上がりによるものなのでしょうか

はい。キャッチから崩れて・・・という自分たちのいつもの悪循環でした。

――インカレ(全日本大学選手権)に向けての課題はなんでしょうか

アタッカー一人一人がもっと厳しいコースに打てるようにすることや、ディグとつなぎの部分です。

――インカレでの目標を教えていただけますか

自分たちはまだ結果が出せていないので、ベスト4に入るようにやっていきたいです。まだ目標としては掲げていませんが、結果を残すという意味で上位のチームに勝っていきたいと思います。