1部昇格の夢破れる

女子バレーボール

 1ヶ月にわたって行われてきた春季関東大学2部リーグ戦(春季リーグ戦)もついに最終戦を迎えた。しかし、2部リーグ上位同士による順位決定戦が始まってから日大と松蔭大にまさかの2連敗。リーグ入替戦出場に黄色信号がともっている。そして最終戦の相手は前回ストレート負けを喫した国士舘大と、苦境に立たされているワセダ。この状況を打開するべく勝ちを収めたかったが、勝利の女神は微笑んでくれなかった。セットカウント1-3(19-25、26-28、25-22、20-25)で敗戦。リーグ入替戦に進出できずに春季リーグ戦は閉幕した。

 ワセダの試合が始まる前、松蔭大と日大が激戦を繰り広げていたこともあり、試合前の会場の熱気は最高潮に達していた。そんな中行われた国士舘大とのリーグ最終戦。試合開始当初は悪いなりに食らいつき、接戦に。しかし、相手の速攻の前に徐々にペースを乱されていき、4連続得点を奪われてしまう。一度連続失点を重ねると、それをなかなか止められないのが今季のワセダの課題とするところ。続く第2セットも連続失点し、またも突き放される。だが、ここで引き下がるわけにはいかなかった。必死に食らいつき、及川香菜(スポ2=宮城・古川学園)が気迫のこもったスパイクを放ちジュースに持ち込んでみせた。しかし、ジュースになっても国士舘大に先にマッチポイントを握られ、依然として続く苦しい展開。結果2セット続けて逃げ切りを許し、早々に追い込まれてしまった。

気持ちのこもったプレーでチームを支えた及川

 勝ちたいという気持ちとは裏腹に、徐々に広がっていく点差。第3セットでは途中、6-12とこの日最大となる6点差をつけられていた。しかし、ここで3年生の二人が奮起する。唐木沙彩(スポ3=千葉・柏井)はスパイクとサーブの両面で持ち味をフルに発揮。関根早由合(スポ3=神奈川・橘)はきのうの試合に続き、クイック攻撃でスパイクを相手コートに突き刺す。及川と平山璃菜(スポ2=東京・文教学院大女)もそんな3年生らに促され発奮し、チームは追い上げムードに。「負けたくないという気持ちが、及川を筆頭にすごく出ていた」(黒木)。最後の25点目も、諦めなかったことが生んだ結果だった。相手のスパイクがディグを弾くが、そこから懸命につないだボールが相手コートのライン際に運よく落ちた。怒涛(どとう)の6連続得点で逆転に成功し、1セットを返した。だが、勢いだけでは勝てないことも勝負の世界にはよくあることだ。第4セットではつかみかけていた勢いを摘まれ、ここで試合終了。リーグ入替戦に出場することは叶わず、現4年生にとっては1部リーグでプレーする夢が断たれるという無念の敗戦となった。

ぼうぜんとする選手たち。1部リーグ昇格という目標を達成することはできなかった

 「結果からしたらまだまだ努力も足りなかったし、力もなかった」(黒木)と、春季リーグ戦の結果を悔やんだ。非常に良い流れで順位決定戦を迎えた分、勝負弱さが目立つかたちになってしまった。しかしその一方で、「チームとしてのまとまりや、スローガンの『つながり』など、成長した部分も多くあった」ともちろん手ごたえもつかんでいた。1部リーグでプレーすることはこのチームではもうできないが、雪辱を果たす舞台となる東日本大学選手権が来月に控えている。下剋上なるか――。そのためにはこの残り1ヶ月、どれだけ努力を積み重ねられるかがワセダの命運を握っているだろう。

(記事、写真 谷口武)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません。

セットカウント
早大 19-25
26-28
25-22
22-25

国士舘大
スタメン
レフト 唐木沙彩(スポ3=千葉・柏井)
レフト 加納茉未(社2=北海道・札幌大谷)
センター 関根早由合(スポ3=神奈川・橘)
センター 佐藤夢菜(文2=埼玉・狭山ヶ丘)
ライト 木暮美波(人4=群馬・高崎女)
セッター 黒木麻衣(スポ4=大阪国際滝井)
リベロ 中川美香(スポ4=神奈川・大和南)
最終結果

4位 6勝4敗(セット率1.278)

▼個人賞

サーブ賞 唐木沙彩(スポ3=千葉・柏井)

セッター賞 黒木麻衣主将(スポ4=大阪国際滝井)

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コメント

黒木麻衣主将(スポ4=大阪国際滝井)

――春季リーグ戦を終えましたが、総括していかがですか

始動したときに、秋に必ずこのチームで1部でやろうと1部昇格を目標に立てていたので、結果からしたらまだまだ努力も足りなかったし、力もなかったなと思います。でも、チームとしてのまとまりや、スローガンの『つながり』など、成長した部分も多くあったので、まだまだ何もあきらめずに頑張りたいという気持ちになった、リーグ戦でした。

――試合前のチームの雰囲気はどうでしたか

このチームは比較的いつもすごく明るくて、そんなに固くなっている感じもしなかったんですけれど、試合に入ると出だしとか結構固くなっていたので、そのあたりは秋に向けての改善点なのかなと思います。

――どのセットも序盤は競りながらも、そのあと離されるケースが多かったですが、勝敗を分けた差というのは

やはりサーブが弱くなったり、サーブレシーブが入らず、こっちが受けてしまうバレーになってしまっていたので、ここまでレシーブを要にやろうと言っているんですが、他より早大は攻撃力があるのでそこで攻められるチームにならないと、きょうみたいな展開になるのかなと思いました。

――第3セットの最後の6連続得点を奪っての逆転劇。あれは今後につながるような内容になったのではないでしょうか

そうですね。実際ここまで来たら力の差はそんなになくて、気持ちをどれだけ強く前に出してできるか、ミスしてもしょうがない 、それを開き直って思いっきりできるかが勝敗を分けると思うので、そこを最後負けたくないという気持ちが、及川(香菜、スポ2=宮城・古川学園)を筆頭にすごく出ていたので、そういう選手に一人一人がなって戦えるようになればもっと終盤の怖い場面でも力を出せるのかなと思います。

――セッター賞を受賞されましたが

私自身はもらえるとはあまり思っていなかったのですごくうれしいですが、本当に今季スパイカーがすごく頑張って打ってくれて、どんなボールでも呼んでくれて力いっぱい打ってくれたので、本当に感謝しかないです。それと同時に、こういう賞を頂いたということはもっともっとチームに期待されるだろうし、これからチームのためにもっとチームを引っ張っていける存在にならないといけないんだなと自覚したというか、そういう気持ちがすごく強くなりました。

――東日本大学選手権に向けて、改善点や意気込みをお願いします

今季の通過点だとは思わずにしっかり上位を狙います。私たちはもうこのチームでは1部でできないですが、1部と2部関係なく試合できる良いチャンスなので、どこまで自分たちが通用するか、上のチームと試合できることがどれだけ幸せなことなのか、そういうことを感じながら上位を狙っていきたいなという気持ちがすごく強いです。