第37回関東大学女子サッカーリーグ | ||||
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早大 | 2 | 0-0(前半) 2-0(後半) |
0 | 日体大 |
【得点】 (早大)47分:築地育、90+1分:大山愛笑 (日体大)なし |
10月に入り佳境に差し掛かってきた関東女子大学リーグ戦(関カレ)。序盤から相手のハイプレスに苦しめられいくつか決定機をつくられるが、ポストにも救われ無失点で前半を終えると、後半開始早々にMF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)のゴールで先制する。その後は落ち着いた試合運びを見せ、日体大を全く寄せ付けず。試合終了間際にはMF大山愛笑(スポ1=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)がア式蹴球部女子(ア女)加入後初ゴールを挙げ、2―0の快勝を収めた。
築地の先制点を喜ぶ選手たち
ア女は前節、日大に1点リードから追い付かれ、依然として4位につけている。優勝、上位進出に向けこれ以上の取りこぼしをしたくない中、敵地での日体大戦に臨んだ。前半は序盤から日体大の前から圧力をかけてくる守備に苦戦を強いられるア女。最終ラインのビルドアップのところから狙われ、なかなか主導権を握ることができない。23分、ゴールキックのミスを拾われると、日体大のカウンターを受ける。最後はペナルティエリア内でフリーでシュートを打たれるが、これは右ポストを直撃。間一髪難を逃れる。以降も日体大の強度の高いプレスからのショートカウンターに手を焼く中、ア女は39分、ピッチ中央でボールを受けたMF白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が絶妙なスルーパスを送ると、抜け出したFW﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)がGKと1対1となるが、相手GKの好対応に遭う。それでも、こぼれ球に再び白井が反応しシュートを放つ。すると、今度はペナルティエリアの外に飛び出していた相手GKが手でブロック。このプレーに対しア女は猛抗議。ペナルティエリアの外で故意に手を使ったとして本来ならレッドカードが与えられてもおかしくない場面ではあったが、審判の判定は覆らず。決定機を逃した。その直後、再びショートカウンターを受けるとゴール前で決定的なシュートを放たれるが再びポストに救われる。そのまま均衡は破られず、0-0で前半を終えた。
「自分も今日は入りがあまり良くなかった」と築地。後半は開始早々に得点するなど修正して見せた
スコアレスで迎えた後半、開始早々に試合が動く。ア女がコーナーキックを得ると、白井のキックに飛び出した相手GKが触れず。その後ろにいたMF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)が合わせ、先制に成功する。1点のリードを奪い優位に立ったア女。その後もMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)や途中出場の大山を中心に、相手ゴールへと迫る機会を増やす。一方、前半苦しめられた相手のハイプレスにも冷静に対処。終盤になるにつれ相手の守備の強度が落ちてきたこともあり、落ち着いたボール回しで相手に攻撃機会を与えずに時計の針を進める。そして試合はアディショナルタイムに。このままア女の1点リードで試合は終わるかと思われた中、GK石田心菜(スポ3=大阪学芸)がロングボールを蹴ると、FW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)が相手に空中で競り勝ち背後にスルーパスを送る。ここに走り込んでいたのは大山。「りり(千葉梨々花)が競ってくれるのは分かっていたので、そこは全部頼んで、(ボールが)流れてきたらいいなくらいの気持ちで走っていた」と、ディフェンスラインの裏に抜け出すと、飛び出してきた相手GKも冷静にかわし、左足で無人のゴールに流し込んだ。このダメ押しゴールは、大山のア女加入後初ゴール。ケガでの長期離脱からの復活弾ともなり、本人にとっても貴重な一点となった。試合はそのまま終了。2-0で日体大を下し、ア女は関カレ2試合ぶりの勝利を収めた。
フリーキックを蹴る大山。冷静に見えたゴールシーンについては「ちょっと緊張しました(笑)」
前節、ホーム・東伏見で行われた一戦ではリードしながら追い付かれ、痛み分けに終わったア女。そんな中、今節は前半こそ苦しみながらも先制点を奪い、そして同点とされることなく終盤には追加点を奪い勝利をもぎ取った。決して自分たちが思い描いていた試合運び、戦い方をできたわけではないかもしれないが、そのような展開でも粘り強く戦い勝ち点3を手にできたことは、チームにとって非常に価値のあり、大きな自信につながる試合となっただろう。ア女はここから東洋大、帝京平成大と優勝、上位進出を占う大事な連戦を迎える。そういった強豪との試合に向けても、「まずは自分たちのサッカーを突き詰めていくというところが必要だということはみんなで共有した」と築地。今節と同じくア女のサッカーが封じられてしまうことももちろん予想される。それでも、今節の経験を生かして粘り強く戦い、強豪相手から是が非でも勝ち点3を手繰り寄せることができるか。「上位対決が続くので、チームとしてはこの勢いをしっかり保ったまま、結果につなげたい」(大山)。ア女にとって実りの、そして勝負の秋が始まった。
(記事 髙田凜太郎、写真 大幡拓登)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 石田心菜 | スポ3 | 大阪学芸 |
DF | 2 | 夏目歩実 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
DF | 4 | 堀内璃子 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 5 | 田頭花菜 | スポ3 | 東京・十文字 |
DF | 6 | 浦部美月 | スポ4 | スフィーダ世田谷FCユース |
MF | 7 | 笠原綺乃 | スポ4 | 横須賀シーガルズJOY |
MF | 8 | 白井美羽 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→90+2分 | 18 | 栗田彩令 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
MF | ◎9 | 三谷和華奈 | スポ4 | 東京・十文字 |
→90+2分 | 25 | 杉山遥菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 10 | 築地育 | スポ3 | 静岡・常葉大橘 |
MF | 27 | 新井みゆき | スポ1 | 埼玉・浦和レッズレディースユース |
→58分 | 30 | 大山愛笑 | スポ1 | 日テレ・東京ヴェルディメニーナ |
FW | 28 | 﨑岡由真 | スポ1 | 埼玉・浦和レッズレディースユース |
→79分 | 26 | 千葉梨々花 | スポ1 | 東京・十文字 |
◎=ゲームキャプテン |
コメント
築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)
――まずはご自身のゴール振り返っていかがですか
ずっと言っていたセットプレーのところで、良いボールをもらって決められたので良かったです。
――ファーサイドで狙っていたという感じですか
自分をフリーにさせてくれるブロック隊がいて(笑)。いつも良い状態で打てるようにしてくれているので、あとは自分のヘディングの技術でちゃんと決め切ることができたので良かったです。
――前半は押し込まれていた中で、後半は得点もあり盛り返しました。1試合通して振り返ってどのような印象ですか
相手が前から来るというのはスカウティングでわかっていた中で、自分たちがちゃんとそれを見てつなぎ切るということが前半はできていなかったかなと思います。相手の勢いに飲まれて前に蹴り出してしまったり、空いているところを見ることができていなかったりというところで、自分たちのペースに持ってこられませんでした。後半はハーフタイムに話したのもあり、1つ自分たちが試合に入れてきたのもあって、かけてくる相手を見ながらいなしてパスを出すことができましたし、高い位置での守備ができてマイボールの時間も増え、自分たちのペースに持ってくることができたと思います。
――ハーフタイムはどのようなことを話されましたか
相手のプレスに対して1つパスをつなげばインサイドハーフのあたりが空くから、そこをしっかり使えばサイドを変えられますし、溜めどころを作って相手のサイドバックの裏にグラウンダーのボールで狙えるよね、という話をしました。ロングボールはもちろん一発で裏返せるけど、自分たちがボールを持つ時間を長くすることが自分たちのサッカーをやる上ですごく大事なので、そこはハーフタイムで確認しました。後半それができたというのが、結果的に大きかったと思います。
――日体大のプレースタイルは前期苦手としていたフィジカルに前からプレスをかけてくるものだったと思います。その相手に2点をとって無失点で終わることができたのも大きかったんじゃないでしょうか
まだまだ危ないシーンもたくさんありましたし、勝ったから良かったけど内容をしっかり振り返ればまだまだできたなという部分がすごく多いです。勢いでくる相手に対して自分たちが勢いで負けなかった、というのは成長している部分ですが、やっぱり戦術的な面ではああいった危うい場面が多いと、今後の皇后杯やインカレで勝ちきれなくなってしまうとも思います。そういったところはまだまだこだわっていきたいなと思います。
――リーグ戦の上位陣の結果次第ではまだまだ上位を狙えそうです。今後の上位対決に向け意気込みをお願いします
順位のところも試合前に話して、「意識しちゃう部分ではあるよね」「どうしても勝ち点欲しくなっちゃうよね」と。東洋大とも(勝ち点で)並んでいて勝ち点を意識してしまうけど、まずは自分たちのサッカーを突き詰めていくというところが必要だということはみんなで共有しました。結果勝ち点3や得点がついてくればいいというかたちで、先ほどあげたような課題に取り組んでいきたいです。自分も今日は入りがあまり良くなかったですし、自分が納得できるプレーがあまりなくて。中盤が安定しないとビルドアップなどでバタバタしてしまいますし、もっと中心になって流れを作れるようにしたいと思います。
大山愛笑(スポ1=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)
――ご自身にとっての大学での公式戦初ゴール、振り返ってみていかがですか
(ケガから)復帰してから、点を取ると言って試合に出ていたので、やっとチームのために点を取ることができてうれしかったです。
――後半早い段階での起用となりましたが、どういった指示を受けましたか
前半に比べれば良くはなっていたのですが、相手の勢いに受け身になっている部分があったので、自分のポジションのところで一回ボールを受けたら落ち着かせてから、攻撃をと言われました。
――実際のビルドアップのところやセカンドボールの回収のところなど、ご自身のプレーはどう分析されますか
ボールを落ち着かせることはできたと思います。ただセカンドボールの回収や、自分の中でまだ恐怖心がある中で、こういった勢いのある相手にはもっとやっていかないといけないと思います。
――ゴールシーンでは、中盤の低めでプレーしていた中、一気にディフェンスラインの裏に抜け出しましたが、狙っていましたか
りり(千葉梨々花、スポ1=東京・十文字)が競ってくれるのは分かっていたので、あそこは全部頼んで、(ボールが)流れてきたらいいな、くらいの気持ちで走っていました。
――キーパーをかわしてからも冷静なように見受けられましたが
ちょっと緊張しました(笑)。
――チームにとって大きな勝ち点3になったと思います。これからのリーグ戦に向けてどのような準備をしていきたいですか
来週が東洋、その次が帝京平成と上位対決が続くので、今日の良い雰囲気で勝てたからこそ、チームとしてはこの勢いをしっかり保ったまま、個人としてはもっと出場時間を延ばせるよう自分の長所とかを出しながら、うまく周りと連動してチャンスメイクなどから結果につなげられればと思います。