第29回関東女子サッカーリーグ | ||||
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早大 | 2 | 1-0(前半) 2-3(後半) |
3 | OSAレイア湘南 |
【得点】 (早大)7分:千葉梨々花、79分:淀川知華 (OSAレイア湘南)81分:遠藤彩椋、83分:中島咲友菜、86分:中島咲友菜 |
関東女子リーグ(関東リーグ)は前期第4節を迎えた。第3節終了時点で首位に立つOSAレイア湘南を相手に、序盤から互角に渡り合う。7分、MF川本美羽(スポ1=新潟・帝京長岡)のシュートが相手キーパーに弾かれたところを、FW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)が頭で押し込み先制。後半に入ると守備の時間が長くなる中79分、DF淀川知華(商2=山梨・日本航空)のシュートでリードを広げる。しかしその直後、81分にPKを献上し失点。さらには83分、86分と続けて失点を重ね2-3となり、ア式蹴球部女子(ア女)にとっては悪夢のような逆転劇で試合は幕を閉じた。
相手のプレッシャーをいなす淀川。この日のゴールで今季2得点目となった
試合前から降り始めた雨が次第に強まる東伏見で、関東リーグ第4節が行われた。序盤は最終ラインでボールをつなぎながら、両サイドの裏を常に狙う、シンプルなア女のゲーム進行が効果を示す。7分、相手のクリアボールを拾った川本のミドルシュートを、相手キーパーがはじいたところに千葉。半ば体ごとゴールに押し込み、幸先よく先制点を挙げる。20分には前日から二日連続、FWでのスタメン出場となったMF白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)がロングシュートを放ったが、枠外に飛んだ。一方、相手の攻撃の勢いが強まる中でも気を吐いたのは守備陣。23分のコーナーキックでは、ア女加入後公式戦初のスタメンとなったGK田村亜沙美(スポ1=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)がパンチングではじき出す。24分にも自陣右サイドを突破されたが、DF杉山遥菜(スポ1=東京・十文字)がスライディングでカバーした。
この日は左サイドハーフで先発したFW﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)
1点のリードで前半を折り返したア女。よりはっきりとソリッドな守備を展開しながらカウンターのチャンスをうかがう。54分、相手のコーナーキックからヘディングで合わせられるがライン際でDF藤田智里(スポ4=神奈川・大和)が、その後のシュートも田村がゴールライン際で抑えた。防戦一方になりながら、守備陣の奮闘で0に抑え迎えた79分。途中投入されたMF大森美南(スポ4=東京・八王子学園八王子)が前線で収め、フィニッシュまではいけなかったがこぼれたところを﨑岡がシュート。このシュートがブロックされ、クリアされたところに淀川が走り込み、思い切りよく左足を振り抜いて貴重な2点目を挙げた。終盤で2点リードと、勝利も目の前かと思われたが81分、エリア内に侵入してきた相手FWに対するDF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)のファウルに笛が鳴り、相手のPKに。これを決められると続けて83分、右サイドのドリブルから個人技で決められ2-2。さらには86分、左サイドの波状攻撃から最後は頭で押し込まれ、あまりに痛い勝ち越し弾を食らう。その後わずかな残り時間で反撃は実らず、試合は2-3の逆転負け。関東リーグでは未勝利が続いている。
交代後数タッチで攻撃にアクセントを加えた大森
試合後の選手たちは沈痛な面持ちだったが、悲観すべき内容ではない。リーグ首位を走る相手に守備ブロックはうまく機能し、2得点目に関しては高く保った守備ラインから縦に速い、かつ厚みのある攻撃を展開できていた。だからこそ今求められるのは火を見るより明らか、結果だ。「何を変えていくのか、そしてどうやって結果を出していくか」(後藤史監督、平21教卒=宮城・常盤木学園)。継続と変化を両立しながら、ア女は自分たちのサッカーに磨きをかけていく。結果はその先に、自ずとついてくるはずだ。
(記事 大幡拓登、写真 渡辺詩乃)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 21 | 田村亜沙美 | スポ1 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
DF | 4 | 堀内璃子 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
→HT | 6 | 浦部美月 | スポ4 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 13 | 木南花菜 | スポ3 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
DF | 17 | 藤田智里 | スポ4 | 神奈川・大和 |
DF | 25 | 杉山遥菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 19 | 淀川知華 | 商2 | 山梨・日本航空 |
MF | 27 | 新井みゆき | スポ1 | 埼玉・浦和レッズレディースユース |
FW | 28 | 﨑岡由真 | スポ1 | 埼玉・浦和レッズレディースユース |
MF | 29 | 川本美羽 | スポ1 | 新潟・帝京長岡 |
MF | 8 | 白井美羽 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→67分 | 12 | 大森美南 | スポ4 | 東京・八王子学園八王子 |
FW | 26 | 千葉梨々花 | スポ1 | 東京・十文字 |
→88分 | 20 | 澤田美海 | スポ3 | 栃木・宇都宮中央女 |
◎=ゲームキャプテン |
コメント
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
――90分間振り返っていかがですか
選手たちにも話しましたが、前日の関カレから2試合で自分たちに今足りないものともう一度向き合って、ここから這い上がらなければならない、そういう思いになる試合でした。
――入り方や先制後の守備はすごく良かったんじゃないかと思うのですが、いかがですか
展開として最後に崩れてしまうまでは、攻め込まれることも想定していましたし、しっかりと耐えるプランを考えてそれを実践できていました。だからこそ、じゃあ「何が足りなかったのか」という部分、勝負の部分で自分たちの現状が出たんじゃないかなと思います。
――関カレと比較してボール保持率が低いなかで、2得点目はかなりハイラインを維持して前からの守備もはまった形だったと思います。負けてしまいましたが、関東リーグメンバー特有の強み、みたいなものも見られた試合だったと思いますがどのように捉えていますか
1年生、前線やサイドの千葉や新井、崎岡、中盤の川本もそうですが、自分の良さを入りから勢いよく出せるというのは、関東リーグのチームの良さのひとつなのかなと思います。
――関東リーグではまず一勝を目指していく、という形になると思いますが、どういった準備をしていきたいですか
関東リーグの準備という意味では、ア女は2チーム分の選手がいないので、練習の中で今日のような守備を関東リーグメンバーの中だけでシミュレーションするというのはできないんです。そういった中で準備してきているということを考えると、十分に戦ってきているとも思います。ただ神大戦も東洋大戦も今日も、勝ち点3の望みが無かったかと言われればそうでは無かったと思います。その部分を今選手たちがどう受け止めて、何を変えていくのか、そしてどうやって結果を出していくかというところを突き詰めて、まずしっかり勝ち点3をつかみたいなと思います。
淀川知華(商2=山梨・日本航空)
――90分間振り返っていかがですか
早い時間帯に先制して、後半にも2点目を取ることができて勝ちが見えた中で、そこから3失点してしまいました。決して自分たちの気が緩んだとかではなく、クリアの大きさやパスの繋ぎなどの細かいところの積み上げができていなかったことで、逆転を許した要因なのかなと思います。
――2得点目は利き足ではない左足でのゴールでした。振り返ってください
美南(大森)さんをはじめ前線の選手たちが前で頑張ってくれたので、走り込んだらこぼれてきて上手く流し込むことができたかなという感じでした。
――ア女がボールを回す時はご自身がボールを受けるシーンが多くあったと思いますが手応えはいかがですか
ボランチとして間でボールを受けて相手を引き出すだとか、そういったプレーは今後もどんどん増やしていきたいと思っています。ただ前を向いてチームの攻撃の加速点になるプレーが全然できていなくて、首も全然振れていないですし、ボールをもらってもプレッシャーを受けたらすぐバックパスしてしまうことも多いです。今日の試合の結果も含めて、来週から自分に何が足りないのか、というところをもう一つ突き詰めていきたいと思います。
――現時点での課題はそういった前向きのプレーというところになりますか
個人としてはまだ後ろ向きのプレーが多くて、後ろ向きだと相手も寄せやすいと思いますし、パスを受ける前から前を向いてどのようにプレーしたいのか、というところまで考えてプレーできるようにしたいです。
――今後の関東リーグ、どのように戦っていきたいですか
リーグを戦っていく中で、ピッチ内で自分たちで鼓舞しあいながら良い雰囲気で試合に臨めていると思っています。練習からもそういったところを積み上げて、次戦必ず勝ちを掴めるように頑張っていきたいです。
﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)
――90分間振り返って率直にいかがですか
前半早くに先制点を取ることができて、チーム内でも声をかけあって守備でも攻撃でもつながることができていました。後半ラストの時間帯に失点してしまったのはとても悔しいですし、最後まで集中して戦いたかったなと思います。
――本職ではない左サイドでの出場になりましたが、どのようなことを意識しましたか
与えられたポジションで全力でプレーしようという気持ちはあって、その中でサイドからクロスや積極的な仕掛けでチームに貢献したいという思いを持って試合に臨みました。
――ここまでのア女でのプレー、雰囲気も含めてア女に対してどのような印象を持っていますか
ひとりひとりが高い意識を持って練習から取り組んでいて、私も意識を高く持つことを心がけています。その中でこれからもっとお互いに求め合っていきたいです。
――関東リーグはここまで勝ちがないですが、次戦に向けてどのような準備をしていきたいですか
まずは1勝を目指して、もうひとつ強くなって次戦では良いゲームができるように頑張っていきたいです。
――シーズンを通して自分の強みや特徴、どういった形で貢献していきたいですか
今回は左サイドでしたが、様々なポジションでプレーできるというところも強みにもって、フォワードで出場した時には積極的に裏に抜け出すプレーが自分の特徴だと思うので、そういったところをどんどん出してチームに貢献していきたいと思います。