【連載】第69回早慶サッカー定期戦直前特集 第2回 金田拓海×栗島健太

ア式蹴球男子

 今季、ア式の快進撃を中盤から支えるMF金田拓海(社3=ヴィッセル神戸U18)とMF栗島健太(社3=千葉・流通経大柏)の中盤の3年生コンビ。今体制のここまでと早慶戦への思いを語っていただいた。

※この取材は6月14日に行われたものです。

今季はほぼ全試合でコンビを組むお二人

――まず最初に、前期リーグ戦をざっくり振り返っていただけますか

金田 順位を見てもわかるように、うまくいってるとは思います。その要因として、自分は分析が一番大きいかなと思っていて、分析するおかげでチーム全体でどういうサッカーをするのかが決まってくるので、それに合わせてみんながやりつつ、個性を出すというところが勝ちにつながっているなとは思いますね。

栗島 分析でやるサッカーが明確になるというところで、固定されたメンバーだけじゃなくて、誰が出てもやれるというところもあると思います。オフシーズンからメンバーを固定しなかったというところで、それは良いところだなと感じています。

――今のチームは昨年末の天皇杯予選の敗戦から始まりました。あの負けというのはいかがでしたか

栗島 シンプルに、このままじゃ関東1部で戦うことはできないということはみんな思っていたと思います。絶対に変化が必要だなと言うのは感じました。

金田 岡田くんも試合後に「このままじゃ絶対勝てないけど、ここから優勝したらみんな驚くし、すごいことだからみんなでやろう」みたいなことを言っていて、ある意味良いスタートとして捉えられたと思います。

――栗島選手は今年のチームの特徴は「のびのびやれること」とお答えいただきました

栗島 監督がサッカーを決めるんじゃなくて、自分たちでやりたいサッカーを決めるというところはプレーのしやすさにつながっているんじゃないかなという気はしますね。学年が上がったっていうことでのやりやすさもありますね。

――金田さんはまさにその「3年がのびのび」やれていることが特徴とのことでしたが

金田 僕たちの学年は縛られずにのびのび自由にやっていた方が力を出しやすいという選手が多いと思うので、監督にもこういうことがしたいと言える環境は合っていると思いますね。

――やはり学年が上がることの変化は大きいですか

栗島 ありますね。余裕が出てきます。

金田 余裕もあるけど、やらないといけないという気持ちももちろんあります。

――「戦術的」ということも特徴に挙がりました。中盤でプレーしていると、試合によって大きな役割の違いもあるんじゃないですか

金田 フォーメーションは4-2-3-1とか4-1-4-1が多く使われていると思うんですけど、4-2-3-1の時はスライドとかディフェンス面を意識してますけど、4-1-4-1だと鍬先様がいて、広い範囲を守っていただけるので(笑)。高い位置で攻撃に関わるようにと意識してます。

――やはりアンカーの選手が1人後ろにいるというのは心強いものですか

栗島 というよりは鍬先さんがすごい(笑)。全部守ってくれるんで。

金田 僕とクリは鍬先様って呼んでます(笑)。

――個人としてはどんな前期でしたか

金田 全部の試合にスタメンで出させていただいているので、自分の調子も悪くないです。でも、ゴールとかアシストの結果で見ると1得点1アシストで、まだまだ全然足りないかなと思うので、結果としては物足りないとは思います。

栗島 自分は去年は結構守備を意識してプレーしていたんですけど、今年は攻撃にも力を入れようと思って、収めるところだったり、相手をはがすというところも意識してやるようにはしていますね。

――ご自身の出来を自己評価していただくとどうですか

栗島 ……悪くはない。

金田・栗島 (笑)

――シーズン前に目標とかは立てたりはしないんですか

栗島 いや、目標は特に…(笑)。それこそ自由にのびのびやろうと思ってました。

金田 でも自分はもう少し点を取りたいなとは思ってましたね。なので……物足りないなと(笑)。だからまだまだですね。試合によって波もありますし、悪い試合とかもありますし。常に良いパフォーマンスを見せられてはないので、まだまだです。

――お二人は去年から試合に出場し始めたということで、1部のチームのイメージは鮮明になかったと思うんですが、実際に戦ってみてどうでしたか

金田 やる前は結構1部はやばいんだろうなっていうのはあったんですけど……

栗島 やれないことはないなと。

金田 初戦で勝ったことで、自分たちもできるんだなと良い自信がついたと思いますね。

――駒大戦で唯一の敗戦がありました。あの負けはチームにとってどのように働きましたか

金田 いままでショートカウンターで点をとっていたということもあって、駒沢のときは先制されて、相手に引かれた状況で崩せなかったということなので、そこで課題が見えたというか、あのタイミングで負けたのは悪いことじゃなかったかなと思います。

栗島 そうですね。ゴール前のクオリティが低かったというところを改善できれば、もっと自分達の目指すサッカーがやれると思いました。

――開幕当初からチームとして成長したものはなにか感じますか

金田 攻撃は相馬くんの突破が多いと思うんですけど、サイドを突破した時に中に入っている人数とかは、最初の頃より厚みがあると思うし、クロスからの得点も増えていると思うので、そういった意味で良い意識ができているかなと思います。

――印象に残っていたり、大きかったなと思う試合はありますか

金田 東国じゃないですかね。あそこで追いついていなかったら、その後連勝してないかなと自分は思いますね。

栗島 筑波とかも、実際負け試合というか、先制されたところから勝つことができたというのがあるし、明治戦とかも、ほぼ相手にボールを持たれていた中で隙を突いて1点とって勝てたというところで、すごいよかったことかなと思いますね。

金田 筑波に勝てたことはたぶんみんなの自信になって、大きかったです。開幕戦で勝って、次の筑波が勝負とみんな思っていたと思うので。

――前期のMVPを1人挙げるとしたら、誰になりますか

金田・栗島 うーん……

栗島 やっぱり相馬くんかな…

金田 相馬勇紀、ですね。

栗島 でも岡ちゃんいないと点入らない時だってあったじゃん。難しい(笑)

金田 でもたぶん、ショートカウンターで速い攻撃がつくりだせるのは相馬くんしかいなかったと思うので、前期で考えると相馬くんかなと思います。

栗島 実際選べません(笑)。武田さんもやばい(笑)。

金田 順天戦が物語ってるよね。前半で交代したら、後半うまくいかなくなって。

栗島 武田がいなくなった瞬間、だからね。

金田 確かに、あそこで収めてから相馬くんだもんな。でも、一応相馬くんってことにしといてください(笑)。

「なんでもできるけど、なんにもできない」

昨秋から引き続き、今季もレギュラーに定着している栗島

――お互いのプレー面の印象はどうですか

金田 クリは自分にないものを持ってます。アイデアとか、「え、そんなことするの」みたいなプレーがあって、なんかすごいじゃないですか。あと、意外とバカなんですけど、サッカーはポジショニングとか気が聴いて、頭がいいなと思います。

栗島 ほんとかよ(笑)。拓海はどんな状況でもボール取られないです。ほんとにすごいなと。あとはボール奪うのうまいです。いいところにもいるし。

――でも、金田さんにはアンケートで「ゲームメイク、スルーパス」が長所だと書いていただていますが

金田 適当に書いちゃったんですかね(笑)。クリは?

栗島 いや、書いてない(笑)。

――「特になし」とのことでしたが……

金田 特にない選手は出れないはずですよね。まあでもわかるわ、実際俺も一緒なのよ。

栗島 なんでもできるけどなんにもできないんです。

金田・栗島 飛び抜けたものはないけど……平均よりちょっと上ぐらいかな、みたいな(笑)。

栗島 ということです(笑)。

――以前のインタビューで、栗島選手には「潰しで攻撃の起点になることを意識している」とお答えいただいてはいます

栗島 最近はあんまり潰してないですからね(笑)。鍬先さんが全部潰してくれるので、待ってればいいだけです(笑)。

金田 潰すところがないんです(笑)。

――大事にしている言葉として、栗島選手には『苦難に歓喜を それが成功への道』とお答えいただきました

栗島 ずっと前に座右の銘はなんですかって聞かれた時があって、その時になんかかっこいいのないかなって(笑)。

金田 絶対調べたと思った(笑)。ふざけてるんですよこいつ。

栗島 調べて出てきたのがこれだったんです。「これいいな」って。

金田 意味は?

栗島 苦しいこともひたむきにやり続ければ成功するようになる、みたいな。ありきたりをちょっとかっこよくした感じだけど、いい言葉です。

――イチオシ選手にはサッカー的な面で相馬選手、武田選手をそれぞれ挙げられていますが、やはり数字を残している選手には凄みを感じますか

栗島 すごいです。

金田 やばいですね。

栗島 まあモモもすごいですけどね。いないとたぶんチームが成り立たないので。じゃあ大桃に変えます(笑)。

――岡田主将のイメージとして、金田選手は「ゼウス」とのことでしたが

金田 なんかもう、神じゃないですか。前の試合だって出てきて3点ポンポンポンと決めて、点が欲しい時に点が取るので。そういうことです(笑)。

――栗島選手は「チームのことを常に考えている」と

栗島 本当に考えてるよ、あの人は。

金田 考えすぎてるらしいよ。考えすぎて自分のプレー崩しちゃったらしいから。

栗島 そこまでは知らなかった。

――アンケートを見ていると、3年生の仲の良さがうかがえました

金田 でもクリは結構一人でいますよ。

栗島 こいつはずっとべたべたしてますけどね。

金田 僕、牧野、大桃、大里。そんな感じですかね。

栗島 ずっと一緒にいるんですよ。寮でもウイイレばっかやってる。

金田 でも学年の仲はいいよね。

栗島 ザ・仲良いみたいな、そういう学年ですね。

「(武田と)一緒にゴールパフォーマンスをやりたい」(金田)

順大戦で得点を決める武田とゴールパフォーマンスをする金田拓

――早慶戦についての思いを聞かせていただけますか

栗島 早慶戦はやっぱり、憧れの舞台です。あの雰囲気はなかなか味わえないです。

金田 いっぱいお客さんが入るというだけじゃないんで、プロともまた違うじゃないですか。

栗島 なんかいいんですよ。なんかすごい。

金田 学生だけで作り上げるってところもすごいし、そこでやっぱり出たいっていう。シンプルに出たい、勝ちたいという気持ちですね。それ以外ないです(笑)。

――金田選手は去年は終了間際に途中出場されていますが

金田 物足りないですね(笑)。4分でもよかったですけど、やっぱり4分出たら欲が出ちゃうので(笑)。

――やはり普段のリーグ戦とは心持ちも違いますか

 違いますね。早慶戦って言ってみれば、練習試合みたいなものじゃないですか。なのにあんなに出たい、勝ちたいと思うのは、あの試合以外ないです。

栗島 俺なんか写真ブースやってたからね(笑)。

――去年ですか?

栗島 そうです。そうなんですけど、写真ブースを離れてずっと試合を見てた(笑)。

――栗島選手は出場すれば初めての早慶戦になりますね

栗島 ……早く出たい(笑)。すごい出たい。

金田 うん。すごい出たい。

栗島 もうだって今、当然ふざけてですけど、早慶戦に向けてやっていこうみたいな(笑)。ケガだけは、ケガだけはないようにと(笑)。

金田 僕は早慶戦に出たいという気持ちは一番熱いと思います。

――注目選手にはお二人とも武田選手を挙げていただきました

金田 自分からのパスを武田太一が決める。これです。アシストです。

栗島 太一が決めてる想像ができるというか。

金田 たぶん俺は一緒にゴールパフォーマンスしてますよ。あれがやりたい。

栗島 あのださいやつ?

金田 あれかっこいいっしょ?(笑)

――印象的なパフォーマンスですよね。どんな経緯で生まれたんですか

金田 いや、もうなんかやろうって。そしたらなんかあれが、気付いたら生まれてました(笑)。

――さて、早慶戦の目標を教えてください

金田 (ゴールとアシストの)両方でいきます。1得点1アシスト、イチイチでいきます(笑)。

栗島 チームとしては絶対勝つ、個人ではアシストかゴールどっちかできればいい、あとは会場をわかせるようなプレーがしたい。って感じですね。でも自由にやりたいです。いつも通りやりますよ。

――最後に意気込みを一言お願いします

栗島 自分のプレーで、ケイオーに絶対勝ちます!

金田 ケイオーには負けられないので、絶対勝ちます!

――ありがとうございました!

(取材・編集 守屋郁宏、写真 萩原大勝)

◆金田拓海(かねだ・たくみ)(※写真左)
1997年(平9)4月22日生まれ。174センチ。68キロ。兵庫・神戸学院大付高出身。前所属・ヴィッセル神戸U18。社会科学部3年。MF。リーグ戦で得点した際には、喜びのあまり武田選手とのパフォーマンスを忘れてしまった金田選手。早慶戦では実現を誓います!

◆栗島健太(くりしま・けんた)(※写真右)
1997年(平9)4月19日生まれ。175センチ。69キロ。千葉・流通経大柏高出身。社会科学部3年。MF。外池監督からも「ひょうひょうとプレーする」と評される栗島選手ですが、練習では誰よりも早くグラウンドに現れるそう。あこがれの舞台にサッカーへの強い思いをぶつけます!