近大に8-1で勝利! 17連覇を懸け、慶大との決勝に臨む/男子準決勝

庭球男子

 全日本大学対抗王座決定試合(王座)、準決勝は関西第一代表として悲願の王座制覇を狙う近大と対戦した。8月に開催された全日本学生選手権(インカレ)を制している、田口・河野組には敗戦したものの、他の試合を全て獲得し、8ー1で勝利を収め、明日の慶大戦に向け、はずみをつけた。

 試合に勝利し、歩み寄る増田・池田組

 ハイタッチをする吉野・山口組

 ダブルスは、昨日と順番を変えず、D1に白石光(スポ4=千葉・秀明大秀明八千代)丹下将太(教4=東京・早実)組が、D2に増田健吾(社4=東京・早実)池田朋弥(スポ3=愛知・誉)組が、D3に吉野郁哉(スポ3=兵庫・西宮甲英)山口柚希(スポ2=鹿児島・鳳凰)組が入った。一方の近大はD2とD3の選手を変更し、D3の勝率を高めてきたと考えられる。D2の増田・池田組は、池田のサーブで圧倒し、増田の巧みなボレーでポイントを重ねていく。第1セットを6ー1で勝ち取ると、続く第2セットでは相手に3ゲーム連取を許し、苦しい時間も。6-6で迎えたタイブレークでは、至近距離から打たれたスピードのあるボールに対し、増田がバレーのブロックのようにラケットを当て、ボレーで1ポイント目を獲得。ミスもあったが、タイブレークを8-6で制し、ダブルスの1勝目を挙げた。

 D1の白石・丹下組は今年のインカレ優勝ペアの田口・河野組と対戦した。第1セット序盤は互いにサービスゲームをキープする展開に。第7ゲームでは相手にブレークを許したが、直後に丹下が強烈なフォアハンドを叩き込むなどしてブレークバック。その後も両者一歩も譲らずにタイブレークに突入した。タイブレークでは、浮いたボールを狙い打たれ、一度もポイントすることができないままこのセットを落としてしまう。続く第2セットも第1セット同様、一進一退の攻防が繰り広げられた。白石の正確にコントロールされたショットや丹下の気持ちの入ったダイビングなど随所で好プレーが見せ、最後までシーソーゲームを演じたが、ここでもあと一歩及ばず、敗戦となった。

 最後に試合が終わったのは、勝負のD3。第1セットは6ー1であっさりと勝ち取るも、第2セットは近大ペアの雰囲気にのまれ、開始から5ゲーム連取を許してしまう。3-5まで取り返したが、第2セットを落としてしまった。最終セットは互いにキープする展開に。しかし6ゲーム目を早大がブレークし、そのまま勝利を収めた。山口の調子が上がらない場面では吉野が明るく引っ張り、信頼がうかがえる試合だった。

 バックハンドを打つ高畑

 得点し、雄叫びをあげる渡部

 2ー1で迎えたシングルスは、ダブルスのレストの兼ね合いからS3の高畑里玖(社3=兵庫・相生学院)、S5の小久保蓮(スポ4=愛知・名古屋)、S4の渡部将伍(教4=東京・早実)が順に入った。高畑は第1セット序盤こそ1ー4まで離されたものの、試合が進むにつれて動きが良くなり、差を詰めていく。サーブのキレも増し、5ゲーム連取で第1セットを獲得した。続く第2セットではラリーの中で相手を左右に振り、試合を支配した高畑が1ゲームも落とさずにこのセットを獲得。終わってみれば第1セットの第6ゲームから圧巻の11ゲーム連取でストレート勝ちを収めた。小久保は持ち味の粘り強さを生かしたラリー戦を展開。しぶとく撃ち返してくる相手に対して、ライン際を狙ったショットで得点を重ねる。第1セットはミスもあり、7ー5までもつれたが、第2セットではコート深くへのショットの精度が増し、ミスを少なく抑えた小久保が1ゲームも落とすことなく獲得。4勝目を持ち帰った。この日、一番苦しい戦いとなったのはS4の渡部だ。ダブルスで丹下・白石組を破った河野甲斐を相手に、思うようなテニスが展開できない場面があった。第1セット、3ゲームを連取して3-0とリードした渡部だったが、河野のサーブやパワーのあるストロークに苦しみ、次第に元気がなくなっていく。近大の渡部を煽るような応援も心を乱したか、3-6で第1セットを落とした。後がない第2セット、「自分から、自分から」と自らに念じてコートに立つと、果敢な責めで3ゲームを連取する。しかし近大にも3ゲーム連取を許し、4ー5とリードされる展開に。しかしブレークして5-5に返すと、ミスも減り、7-5で勝負の第3セットへ。渡部サーブで始まった第3セットだったが、いきなりブレークされる展開に。しかしブレークバックし、徐々に渡部のサーブが効き、近大のミスが増え始める。セットは6-3で獲得し、チームにとって決勝を決める大きな勝利、渡部にとってもあすにつながる貴重な一勝となった。

 シングルス2巡目には、S6の山口、S2の丹下、S1の白石が順に入った。山口は体格を生かして強気に攻める相手に対し、第1セットは1ー3までリードを許した。しかしその後5ゲームを連取し、第1セットを獲得した。しかし第2セットは調子が落ち込み、コート内でプレーさせてもらえない時間が続いた。1-6で落とし、第3セットへ持ち込まれた。第3セットも互いに攻めの姿勢は崩さないが、相手のミスを味方につけ、自身を奮起し続けた山口が獲得。下級生で唯一メンバー入りしている山口が、その期待に応えた。

 フォアハンドを打つ丹下

 田口との試合を制し、ガッツポーズをする白石 部員総出の声援を背に戦った

 S2の丹下はベンチコーチに入った田中瑛大(スポ3=神奈川・湘南工大付)や応援に入った部員から部旗に書かれている言葉でもある『この一球』の声かけを受けて試合に入った。試合開始から軽快なフットワークと安定感のあるショットを武器に相手に隙を与えず、6ー0で第1セットを獲得する。第2セットでは、一時追い上げられる場面もあったが、「自分が悪くなったのではなくて、相手もペースを上げてきているんだなというように分析して戦うことができた」(丹下)と最後まで焦ることなく、『この一球』への集中力を見せた丹下がストレート勝ちを収めた。S1の白石は、田口涼太郎との両校のプライドを懸けた一戦に臨んだ。ともに学生テニス界を超えた活動をしており、2022年第41週付のJTAランキングでは、白石が21位、田口が32位と大学所属選手の中ではトップ2の2人である。第1セットは白石のペース。伸びやかな球で相手を下げ、研ぎ澄まされたコントロールで次々とポイントを獲得し、6-0で軽やかに勝ち取った。田口がトイレットブレークを挟み、迎えた第2セットは互いにキープする展開に。多様なボールでコースを狙う白石だったが、浅くなった球を田口が見逃さず、拮抗(きっこう)する。次第に、試合の価値が高まっていくかのように緊張感は増し、両校の応援も熱を帯びる。4-4の場面でブレークに成功し、均衡を崩したのは白石だった。10ゲーム目も冷静にプレーし、しっかりと勝利を収めた。

 最終的なスコアこそ8-1で大差をつけての勝利となったが、各コートでは抜きつ抜かれつの激戦が繰り広げられた。そんな厳しい一戦を乗り越えた早大が決勝で相対するのは、これまで数々の熱戦を演じてきた慶大だ。今年行われた2度の早慶対抗試合(早慶戦)では勝利しているが、実力は拮抗(きっこう)している。丹下主将は決勝に向けて、チームの一員として応援やサポートに徹する部員に「結果で恩返しをしたい」と話し、メンバー以外の部員を含めた1つのチームとして戦っていることを強調した。4年生にとっては大学最後の一戦。チーム一丸となって宿敵撃破、そして前人未到の王座17連覇に挑む。

(記事 佐藤豪・田島璃子 写真 佐藤豪・田島璃子)

結果
◯早大 8ー1 近大
D1 白石・丹下
(BC 小林大修、文構4=東京・早実)
田口・河野
6-7(0)、5-7
D2

増田・池田

(BC 田中)

平石・
6-3、7-6(6)
D3

吉野・山口

(BC 清水巧弓、スポ3=滋賀・光泉カトリック)

中屋敷、仲里
6-1、3-6、6-3
S1

白石

(BC 清水)

田口
6-0、6-4
S2

丹下

(BC 田中)

宮田
6-0、6-3

S3

高畑

(BC 

石井弥起監督)

冷水
6-4、6-0
S4

渡部

(BC 藤岡凌大、文構3=東京・早実

、石井監督)

河野
4-6、7-5、6-3
S5

小久保

(BC 小林)

7-5、6-0
S6

山口

(BC 藤岡)

奥地
6-3、1-6、6-3
コメント

丹下将太主将(教4=東京・早実)

――初戦、準決勝と勝ち抜いてきました。チームの状態や士気についてどう感じていますか

 士気はかなり高まってきていると思います。僕たち4年生は今大会で競技としてのテニスを終える人がほとんどですし、このチームで戦えるのも最後なので悔いのないように。強い気持ちで戦うことができていると思います。

――今日のご自身の試合について伺います。ダブルスの試合は2セットともあと一歩でした。振り返ってみていかがですか

 どの時間帯も均衡していて、取るか取られるかどちらに転ぶか分からない試合展開でした。やはり自分たちが(この試合を)取って、チームを勢いづけたいというのはすごくあった中で、ああいった結果になってしまって。取れそうで取れないゲームが続いたので、すごく歯痒いというか、やるせない時間帯が多く、難しい試合でした。

――シングルスの試合を振り返ってみていかがですか

 第1セットを6-0で取ることができて、すごく良かったと思います。相手も必死に戦ってくるので、少し競った場面も出てきてしまったのですが、焦らずに相手を認めるというか、自分が悪くなったのではなくて、相手もペースを上げてきているんだなというように分析して戦うことができたので、特に焦ることなく最後まで戦えたかなと思います。総じて良かった試合だったと思います。

――明日に向けて、個人、そしてチームとしての意気込みをお願いします

個人としては今日チームに1敗をつけてしまったので、明日の出た試合は全勝して、有終の美を飾れるように頑張りたいと思います。チームとしては最後日本一を取りたいです。やはりこれだけ試合に出ていなくても遠方まで来て応援とかボーラー、審判をしてくれる仲間がいるので、最後に結果で恩返しをしたいと思います。