宿敵・慶大に快勝! 今後に向けて弾みつける(早慶対抗試合/男子)

庭球男子

 今年で193回目を数える伝統の一戦、早慶対抗試合(早慶戦)が慶大のホームにて行われた。去年の早慶戦出場者が多くメンバーに名を連ねた早大は、1日目のダブルスを3戦全勝で圧倒。2日目のシングルスでは、降雨の影響で計4試合が中断するというイレギュラーな状況下でありながら、4勝2敗と勝ち越し、最終的には7―2で慶大を下した。

 ダブルス全勝を決めた吉野・山口組

 1日目のダブルス。まず1勝目を持ち帰ったのはD1の丹下将太主将(教4=東京・早実)・白石光(スポ4=千葉・秀明大秀明八千代)組だった。相手は昨年の全日本学生室内選手権決勝で敗れた藤原智也・下村亮太朗組であったが、第1セットを6―1で獲得すると、第2セットも連取。第3セットは一時2-5とされたが、逆転でタイブレークに持ち込み、昨年のリベンジを果たした。

 2勝目を持ち帰ったのはD2の増田健吾副将(社4=東京・早実)・池田朋弥(スポ3=東京・早実)組。第1セットこそ落としたものの、第2セット以降は流れをつかむ。ネット際での動きが良くなり、好プレーも随所に見られるようになり、3セットを連取して、この試合をものにした。

 D3の吉野郁哉(スポ3=兵庫・西宮甲英)・山口柚希(スポ2=鹿児島・鳳凰)組は、試合開始から2人の持ち味を発揮し、第1、2セットを幸先よく連取する。しかし、第3セットからは相手が復調し、追いつかれてしまう。そして迎えた第5セット。先にブレイクを許したが、直後にブレイクバック。6-3でこのセットを獲得し、ダブルス全勝を決めた。

 続く2日目のシングルス。S6に入ったのは前日ダブルスで勝利を挙げた山口。ダブルスの試合後に「去年のリーグでこのコートで僕もチームも負けてしまっているので、その悔しさを単複ともに晴らしたい」と語った山口は、途中、雨による中断があったものの、最後まで集中を切らさず、シングルス1勝目を持ち帰り、チームは団体戦勝利に王手をかける。

 団体戦勝利を決めた渡部

 そして団体戦勝利を決めたのは、S5に入った渡部将伍(教4=東京・早実)。こちらの試合も、降雨による中断があり、インドアに場所を移してからは相手のサーブが力強さを増したが、「4セット目はリターンを合わせるようにしようと切り替えた」(渡部)と粘り強いテニスを展開し、早慶戦勝利を決める5勝目をあげた。団体戦勝利を決めた後も、S3に入った池田がストレートで勝利、S1の白石も第4セット途中で22時30分をまわり、続きが翌日に持ち越されるというイレギュラーな試合をしっかりと勝ち切った。

 S2の高畑里玖(社3=兵庫・相生学院)とS4の小久保蓮(スポ4=愛知・名古屋)は惜しくも敗れたものの、最終的なスコアは7―2。宿敵を相手にダブルス・シングルスともに個々の実力の高さを見せつけ、団体戦のある関東大学リーグ(リーグ)や全日本大学対抗王座決定戦(王座)、そして1週間後に控える個人戦の関東学生トーナメント(春関)に向けて弾みをつける勝利となった。

(記事 佐藤豪 写真 佐藤豪、堀内まさみ)

結果

〇早大 7―2 慶大

▽男子ダブルス
D1○ 丹下将太・白石光 [6-1、6-4、7-6(4)] 藤原智也・下村亮太朗
D2○ 増田健吾・池田朋弥 [4-6、6-3、6-4、6-2] 白藤成・今鷹洸太
D3○ 吉野郁哉・山口柚希 [6-1、6-2、3-6、4-6、6-3] 有本響・菅谷優作

▽男子シングルス
S1○ 白石光 [7-6(4)、3-6、7-6(4)、6-4] 藤原智也
S2● 高畑里玖 [6-0、6-2、6(4)-7、6(5)-7、4-6] 白藤成
S3○ 池田朋弥 [6-3、7-5、6-3] 脇坂留衣
S4● 小久保蓮 [3-6、4-6、1-6] 下村亮太朗
S5○ 渡部将伍 [7-5、6-1、3-6、7-6(2)] 菅谷優作
S6○ 山口柚希 [6-2、6-4、5-7、6-1] 林航平

コメント

吉野郁哉(スポ3=兵庫・西宮甲英)・山口柚希(スポ2=鹿児島・鳳凰)

――このペアでの団体戦出場は初めてでしたがいかがでしたか

吉野 初めてでしたが去年のインカレとかからずっと試合は組んでいて。それで夏関で準優勝とかできて、いい結果はずっと出していたので、今日は自信持ってプレーすることができた感じです。

山口 僕も試合で結果が出たのはそうなのですが、日頃の練習でも大体やりたいことがわかってきたじゃないですけど、言いたそうなこともわかるし、やりたいプレーも段々読めてきて、段々コミュニケーションの数も増えたし、一緒にいる時間も増えたと思うので、色々と合ってきたというか、自信は本当にあって。今日も正直、競ってはしまいましたが、負ける気はしなかったですし、自信をもって後ろではプレーすることができました。最近は安定していますね。

――1、2セット目を振り返っていかがですか

吉野 3セット目で絶対に取れた、取りたかったという気持ちはありましたが、少し集中力が欠けたところがあって、1回ブレークされてからの入りとかが少しフワフワした感じになりました。4セット目も同じ感じで、ちょっとテンションが低いまま相手の流れについていくみたいな感じで、そこは良くなかったなと。もっと1、2セット目のように集中力高く、声出してやっていけば良かったかなと思います。

山口 余裕がありすぎてしまったというのが少しあるかな。「どうにかなるだろう」、「なんとかなるだろう」というのが悪い方向に行ってしまったのかなというのがあって。ブレークポイントも3、4セット目どっちともありましたし、チャンスが3回、4回と続くゲームもあったので、取れていないけどいずれはチャンスが来るだろうみたいなのがあって、相手を気持ち良くさせてしまったのかなとは思います。

――5セット目を振り返っていかがですか

吉野 最初、1ブレークされて崖っぷちでしたが、そこから全員の試合が終わって僕らの試合を観てくれていて、「なんとかしてポイント取らないといけないな」という気持ちになって、一球一球、死ぬ気で打っていたら自分たちもテンションが上がってブレークできて。自分達のいいペースでずっと最後までいけたので良かったです。

山口 5セット目はそれこそ一緒で、ブレークされちゃって1-2で。それも中盤くらいから慶応の応援に自然にのまれてしまった部分もあって。人も多かったですし。僕たちはこういう経験することがなかったので。いい意味で後半楽しめたじゃないですが、自分たちも良くなってきて、(応援も)沸いて、自分たちもいい気分でプレーできたので、それがそう乗ってきた時に良さが出るのが僕たちだと思うので。本当に最後はお互いに絶対勝つみたいな意志があったので、最後に雰囲気が出てきて勝てて良かったです。

――最後に、明日への意気込みを聞かせてください

吉野 僕はないです!こっちです(笑)。

山口 去年のリーグでこのコートで僕も負けて、チームも負けてしまっているので、その悔しさを単複共に晴らしたいです。それこそ今日みたいになるかもしれないですし、簡単にいく可能性もありますが、いい準備をしてチームのために貢献できたらいいなと思っています。

渡部将伍(教4=東京・早実)

――早慶戦に向けてどのように準備してきましたか

今回の春の早慶戦は5セットマッチで、普段の試合より技術以外にも体力的にタフな状況でした。そこに向けて練習以外でもランニングや、フルファイブを実際に練習で取り組んで、どういったかたちで試合を組み立てるかというのは意識して取り組みました。

――1、2セット目を振り返っていかがですか

1セット目は3-5と追い込まれていました。やはり相手の菅谷(優作)選手のサーブがすごく力強くて、自分のリターンがなかなか通りませんでしたが、1セット目の4-5の部分で強気にリターンを入れることができ、そのまま2セット目も自分のペースでセットをとることができました。すごく粘り強く戦えたので自分的には結構満点に近いかなという感じです。

――3、4セット目を振り返っていかがですか

3セット目の途中から雨が降ってきてインドアになってしまって、そこから相手の選手のサーブがさらに良くなってきました。相手の選手はバックもいいのですが、インドアでいつもよりどんどんショットが入ってきて、自分的にはいつも通りプレーしていたんですが、少しどうしようもないというか、相手のプレーが良かったのでそこはもう、ちょっとしかたないかなと思っていました。特にリターンゲームは本当にノーチャンスで、ほとんどラブゲームでとられていたので、4セット目はリターンを合わせるようにしようと切り替えました。

――渡部さんの勝利で、早大の勝利が決まりましたが、その瞬間の気持ちを教えてください

昨年の王座は自分が負けてしまい、チームがピンチに追い込まれ、また、リーグも負けてしまいました。なので今回の早慶戦は絶対に慶応にリベンジを果たすと意気込んでいました。たまたま自分に回ってきたので、本当にここで決めたいという思いがあり、最後のセットがタイブレークまでもつれたのですが、部員の方たちがあまり声は出せない中でも、身体全体を使って表現してくれそれが自分のプラスに働いて、すごくいいパフォーマンスが出せたと思っているので、本当に勝って安心しましたし、周りの人のおかげで結果出すことができたので、感謝が大きいと思っています。

――最後にこれからの意気込みをお願いします

これから関東学生トーナメント大会(春関)やインカレ、団体戦はもうリーグ、王座までないのですが、まずはそのリーグ、王座で絶対優勝するというところは部全体として、自分もおそらく試合に出場すると思うので、絶対1勝持って帰ることを目標にしています。個人戦に関しては関東学生もインカレもまだタイトルをとったことがないので、そこに向けてしっかり、就活などいろいろやることがありますが、その中でも自分を律して、タイトルに向けて頑張りたいなと思います。