【連載】王座直前特集『挑む』 最終回 白石光×丹下将太×高畑里玖×池田朋弥

庭球男子

 最終回は白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)、丹下将太(教3=東京・早実)、高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)、池田朋弥(スポ2=愛知・誉)の4人組。今年になってからは団体戦の主力として1本を持ち帰ることへの期待を背負って試合に出場してきた。そんな4人が語る今のチーム、そして団体戦にかける思いとは。

※この取材は11月7日にリモートで行われたものです。

「今まで自分がしてきてもらったことを僕たちが受け継ぐ番」(白石)

チームのWエースの白石(上)と丹下

――最初に学年が上がってからここまでを振り返っていかがでしょうか

丹下 学年が変わってコロナウイルスの影響で全部の大会が延期になって、例年通りの準備ができなかった1年が続いたと思います。準備する期間が長くなってしまったのがチームとしてはいい影響ではなかったかなと思って。それが結果としてリーグ戦というかトーナメントで慶応に負けてしまったというのにつながってくるんじゃないかなと感じています。

高畑 1年生から2年生になって後輩もできて、1年生の時よりもいろいろな小さいことに気をつけて行動していかないといけなかった1年でした。僕ら2、3年は仲良すぎてタメ語とかなのですが、そういうテニス面じゃないところで自分たちを見つめ直しました。テニスに関しては、去年卒業した先輩たちが相当強かったのもあって、チームとしてレベルが少し落ちてしまったので、僕たち4人が頑張っていかないといけないという責任感が強くなりましたね

白石 今年は僕自身、去年とは違って勝たなきゃいけないというプレッシャーがすごくあって。それもあってインカレで負けてしまったり、結構テニス的には良くないというか自分の中では納得のいく結果が出ない今年になってしまいました。部活に関して言えば、去年は団体戦をやっていないのですが1年生の時は自分が試合をしてというところだけを考えてやっていたんですけど、3年生になって主力で戦うというところで自分のプレーだけではなくて誰をどう出すというか、そういう他の人のことも考えて団体戦をするのが去年と今年の一番変わったことだと思います。

池田 1年生の頃は結果が全然出せなくてインカレも出られなかったけど、2年生になったらインカレ4回戦にいけたり。まだ納得できる結果ではないですけど……。

丹下 かっけ〜。

池田 1年生の頃よりはぼちぼち結果が出せたんじゃないかなと思っています。来年はもっと上を目指して頑張っていきます。

――男子部の中心メンバーという立ち位置ですが、そういった中で責任を感じることはありますか

丹下 先ほど高畑が言っていたように、前の4年生が引退して抜けた穴はかなり大きくて。4年生と最後に戦った団体戦にこの4人も選手として出ていたので、抜けた穴を埋めてさらにチームを成長させようという思いはチームの中でもみんなより人一倍持っていると思います。

白石 今まで上が強かったので、自分が試合していて精神的に楽でした。自分が負けても他が勝ってくれるだろうという精神状態が正直どこかにあって、気持ち良くテニスさせてもらっていたなという感じです。今度はこの4人が後輩たちにそういう思いをさせなければいけない立場かなと思っているので、今度は今まで自分がしてきてもらったことを僕たちが受け継ぐ番かなと思います。

高畑 僕たちが絶対に取らないといけないポジションで、去年と比べて今年は単複ともに出場させていただいているので、シングルだけ練習していたんですけど、今年はダブルスにも力を入れて練習していて、両方とも完璧に仕上げなければいけないのは大変でしたね。

池田 去年の4年生が本当に層が厚くて、4年が抜けたことによってこの4人が負けたらチームが負けてしまうという状態で、今回はこの4人はしっかり全勝すると思うので頑張ります。

――個人戦のことについてお聞きしますがインカレを振り返っていかがでしょうか

丹下 僕はインカレで準優勝という結構大きな結果を残すことができて、僕のテニス人生を振り返っても決勝に行けたのは高校時代では1回ありましたけど、ほとんど大きな舞台で戦うというチャンスがなかったので、結果を残せて素直にうれしかったです。それでもそこまで行ったら優勝したくて、できなかったというのは非常に悔しさも残る大会でした。決勝で負けた相手も慶応の藤原選手なので、団体戦に与える影響という点でもその負けはすごく大きかったんじゃないかなと試合が終わって思いました。

白石 丹下には優勝してもらいたかったです。僕は田口(涼太郎、近大)にベスト8で負けたのですが正直、実力不足だったなと心の底から感じるくらいテニスで圧倒されていたし、プレーの質も相手の方が上の中での負けだったと思います。そこはしっかり自分で受け止めて切り替えていますし、インカレインドア(全日本学生室内選手権)は出場する予定なのでそこではしっかりリベンジして。インカレ2連覇は成し遂げられなかったのでインドアで2連覇して、自分の中で学生大会に終止符を打てるようにしたいと思っています。ダブルスはインカレではちょっと結果を言うのは恥ずかしいところでした。インカレインドアではまた丹下と出場する予定なので、今までジュニアの18歳以下から2年間組んでこの大学でも組んでラストになると思うので、集大成としてどのようなかたちであれ、優勝して終われるようにしたいです。早稲田の2年生にも負けられないので。2年坊にはまだ早いなと思うので、僕らが最後に優勝して終わります(笑)

高畑 インカレは出場したのかわからないレベルで負けてしまいました。正直7月に大会でいい感じで勝っていたので、どこまで行けると思っていたのですが、肉離れしてから自分のプレーが崩れてしまって、相手のプレーも素晴らしくて、ファイナル10ポイントで負けてしまいました。正直インカレインドアで準優勝して第4シードをいただいた中での大会だったので、とにかく上位進出しなければいけないというプレッシャーというか思いもありながら挑んだのですが、早々に負けてしまったので結構萎えました。そこから10日間位オフがありましたが、テニスから離れていました。この悔しさを今年最後の大会にぶつけられるのかなって思います。

池田 初出場ということでシードもなかったし、気持ち的にはチャレンジャーな気持ちで挑んで、ドローを見た瞬間に白石さんのところまでいけたら十分かなと考えていて。結果は白石さんのところまで行けて、6―4、5−4という所までいけたのですが、そこから白石さんの粘り強さが出てきて勝ちきれませんでした。そこが僕の今の実力なのかなと実感しました。インカレインドアも本戦から出場することができるので、先輩たちを倒して上位進出できるように頑張りたいと思います。

白石 上位進出ってどこまでいきたいの。

池田 シングルスは最低でもベスト4以上で、ダブルスは優勝します。

丹下 まあ目標は高く持った方がいいよ。

池田 目標を掲げるのはタダなんで。

――続いて団体戦の方で王座出場校決定トーナメントを振り返っていかかでしょうか

丹下 まず例年と試合の形式が変わってトーナメントで一発勝負になって、その中での緊張感はリーグ戦とは比べ物にならない試合でした。決勝で慶応に負けてしまったのはすごく悔しい結果ではありましたが、そこに至るまでに部としての小さなミスが積み重なってしまったのが敗因なのかなと感じましたし、チームも感じていると思います。その敗戦からもう一度チームを立て直す意味を込めて一から全員で勝つためにどうするかを真剣に考えて、全力でテニスに打ち込んだ3週間にしました。

高畑 ファイナル10ポイントということで、本当に何が起こるかわからない試合だったのでどの試合も結構みんな集中して序盤から挑んでいたかなという印象です。その中で慶応に破れてしまったのですが、試合が始まる前から嫌な予感を感じ取っていて、ダブルでいろいろミスがあっていつも2−1で折り返していたのに今回は1−2でみんなも少し焦ってシングルの人たちにもプレッシャーがかかってしまったのかなと思います。今回はダブルスで勢いづけて、僕たちは伸び伸びしたら本当にみんな強い選手ばかりなのでとにかくダブルスで1勝を持ち帰られるように頑張りたいです。

白石 歴史を崩してしまったということがすごく大きくなっていて、それが今チームに浸透してやばいってなっている状況なのですが、僕自身は勝負なので何かの歯車が合わなければ負けることは全然想定できることだし、1回負けたからといって今の早稲田が弱いとは思ってないです。それでもやはり負けたことには理由があると思うので、しっかり練習するというのと危機感を持って挑むのは忘れないようにしたいです。でも、別にそこまで勝たなければやばいという気持ちは持ちすぎず、王座は15連覇しているチームなので堂々と会場でプレーしていければ全然大丈夫だと思うのでみんなで自信を持ってやっていきます。

池田 慶応に負けてしまったことで準備が足りなかったなと。テニスの面でもそうですが、いろいろな面で準備が足りなくて負けてしまったんですけど、それを敗戦後にみんなで話し合ってミーティングも何時間もかけてやって、この3週間どこの大学よりも集中してやってきたので、王座では受け身にならず戦っていければ16連覇できるんじゃないかなと思います。

――慶応とは王座であたる可能性が高いと思いますが、今年の慶応の印象はいかがでしょうか

丹下 毎年そうですけど、チームとしての完成度は高いと思います。そう感じるのは選手はそうですが、選手以外の試合に出ない人のチームに対する思いというのも戦っている相手である僕からしても試合をしていて感じるからですね。具体的には応援だったり、審判している人の行動を見ていて、勝ちたいという覚悟が感じられますね

白石 他大よりも早稲田に勝ちたいという思いが強いなと。いろいろな大学と対戦した中で慶応がやってて一番怖いというか、飲まれてしまいそうな気持ちになるのが、いつも慶応です。それはサポートの応援だったり、チーム力というのが団結しているところがそれにつながっているのかなと思います。戦力的にも今年は強くて、おととしの王座に出ているのが羽澤、伊藤、成、佐々木と4人が王座を経験しているので、経験のある強いチームだなと感じます。

高畑 勢いのある選手たちが多いので、結構やっていて怖いなという印象があります。それと選手以外にもトーナメントの時に思ったのが、ベンチコーチとかサポートの人たちも勝ちに来ていると伝わりました。

池田 今の慶応は羽澤さんとか藤原を筆頭にシングルスもダブルスも全国トップクラスの人が集まっていて、プラスしてベンチコーチとかメンバーじゃない人たちの勝ちたいという気持ちが強くて。そういう気持ちの強さがあるチームなので、人数的にも早稲田は少ないですが、気持ちで負けないようにいきないなと思っています。

「選手もサポートも全員が死ぬ気で頑張った3週間」(池田)

高畑(上)と池田の2年生の活躍も期待される

――王座もいよいよ直前になりましたが、今の心境はいかかですか

丹下 一番大きいのは試合に勝って4年生を送り出したいというのと16連覇を成し遂げて全員で笑って終わりたいです。慶応に負けてからの3週間、みんな勝つために全力でテニスのことを常に考えて、チームのこと、部活のことを自分のことよりも優先して考えていたので、優勝するしかないとチーム全員が思っていて今は自信しかないです。

白石 一番はやはりすごく楽しみです。やっと団体戦ができるというのと慶応に負けてからリベンジするチャンスがまた来るので、怖いよりも楽しいという気持ちが強いです。個人的には全日本選手権からそのまま来ていて、テニスだけを考えてやってきた1週間半だったので、すごく状態も良くて試合慣れもできていて痛いところもなく元気です。この約2週間チームで動けなかったのはダブルスのペアリングを含め申し訳ないですけど、その分僕はテニスを優先してやってきたので、そこは全然問題ないと思うのでチーム一丸となって必ず優勝したいと思います。

高畑 僕も同じで怖いというよりかは楽しみな気持ちが大きいです。負けてからこの3週間、最初の1週間はきつい練習ばかりしてしんどかったんですけど、逆にみんなで盛り上げながらそれを乗り越えたので、チーム力も前回の試合に比べて上がっていると思います。全日本選手権に予選で出場させてもらってプロの方と試合してモチベーションが高まっているし、プレーの内容的にも悪くはないので今回はしっかり暴れたいです。

白石 暴れるんすか。

高畑 もちろん。

池田 この3週間、本当に選手もサポートも全員が死ぬ気で頑張った3週間なので、慶応もそうですけど他の大学にも負けるはずがないという風に思っているので全員が自信を持って戦って優勝したいと思います。

――個人的に16連覇という数字にプレッシャーを感じてしまうのではないかと思うのですが、実際そういうところはあまりない感じなのでしょうか

丹下 もちろん16連覇という数字を見て緊張するというか意識する部分があると思います。今は負けを経験して前向きに考えればですがチャレンジャーとして臨める大会だと思うので、連覇というよりかはリベンジの方が大きいですね。そういう風に考えているので、16という数字にとらわれすぎないし、緊張しすぎることもないと思います。

白石 プレッシャーはめちゃくちゃ感じています。絶対試合中になったら緊張するし、プレッシャーも感じるし、16という数字も出てくるし絶対コーチ陣に言われるし。今の内から想定しておくべきだと思います。この4人も逃げたくなる瞬間が来ると思うので、今の内から想定しておけば問題ないと思います

高畑 16連覇は少しは感じていますが、それほど大きく思っていなくて。負けてからみんなで頑張ってきたので、どちらかというと自信というかチーム力が上がっていてチームとしての自信が結構あるので、あまり数字を気にせずに目の前に試合に集中するだけかなと思います。

池田 僕は白石さん派でたぶん絶対に緊張するし、絶対に連覇というのは試合中に必ずどっかで意識すると思うので今の内から想定して準備をすることが大事かなと思います。

――今年は4年生があまり試合に出ない中で皆さんが中心となって試合に出ていますが、4年生への思いなどは何かありますか

丹下 僕たちは選手として団体戦を経験していますけど、4年生はサポートとしてチームを支えてきている人が多くて。逆に僕が4年生の立場だったらあそこまでできるのかなというのはいつも思っていて、僕だったら今の4年生みたいに自分がボールを打てるわけじゃないのに練習する人のボールを拾ったり、アドバイスはできないなと思っているので、その点は尊敬しているし感謝しています。その4年生に勝つことで恩返しできると思うので、今回の試合は全勝して笑顔で送り出せるように頑張りたいと思います。

白石 今年の4年生は例年よりも人数が少ないのでこの1年間、チーム作りの面で大変だったかなと思います。人が少ない中で、分析とかベンチコーチとかサポートを全力でやってくださって、本当にうれしく感じているしそういうのに恩返ししないとという思いが一番強いです。王座16連覇というのが僕らの一番の恩返しだと思うのでそれをしっかり成し遂げたいと思います。

高畑 みんながチームのために行動してくれている人たちだったし、王座で優勝したいというのは代が代わった時からずっと言われ続けてきたので最後はしっかり勝って4年生を胴上げしたいです。

池田 僕のベンチコーチの西原さんとか、自分の夏関があったのにも関わらず僕の練習時間に合わせて練習を見てくれて、夜遅くまで分析の資料をまとめてくれたりとか、本気でやってくれる4年生たちで。慶応に負けた後の4年生の本当に悔しそうな顔はもう見たくないので、最後は全員で勝って4年生を送り出したいなと思っています。

――改めて王座に向けて意気込みをお願いします

丹下 優勝、これにつきますね。最後は16連覇して全員で笑って終われるように。それだけの準備は絶対にしてきたし、自分を信じてチームを信じて戦えば絶対優勝できると思うので頑張ります!

白石 この1週間楽しみます。戦い抜きます。その結果として優勝します!

高畑 僕も絶対優勝したいという気持ちが強いです。苦しい時間帯も来ると思いますが、愛媛に来れていない人たちも応援してくれていると思うので、最後の一球まで諦めず、泥臭く勝っていきます!

池田 これだけやってきて早稲田が負けるわけがないと思うので、どこの大学よりも強い気持ちを持って、チャンピオンらしく戦いたいと思います!

――ありがとうございました!

(取材 山床啓太 編集 榎本紗凡)

◆白石光(しらいし・ひかる)

千葉・秀明大秀明八千代高出身。スポーツ科学部3年。

◆丹下将太(たんげ・しょうた)

東京・早実高出身。教育学部3年。

◆高畑里玖(たかはた・りく)

兵庫・相生学院高出身。社会科学部2年。

◆池田朋弥(いけだ・ともや)

愛知・誉高出身。スポーツ科学部2年。