【連載】王座直前特集『挑む』 第7回 新井湧己副将×名越大地副将×西原優輝副将

庭球男子

 第7回は新井湧己副将(教4=東京・早実)、名越大地副将(社4=兵庫・相生学院)、西原優輝副将(スポ4=神奈川・湘南工大付)の男子部の副将3人が登場。副将の中でも各々が役割を持ち、主将を支えてチームを引っ張ってきた。そして団体戦ではサポートとして選手を支えている。そんな3人に4年生のこと、サポートのことなどを語ってもらった。

※この取材は11月5日にリモートで行われたものです。

多様な学年

 

4年の学年は個性がバラバラという新井

――まず初めにお互いの印象というのを聞いていきたくて、新井さんの印象は他の2人から見ていかがでしょうか

名越 この4年間、新井湧己という人間と関わってきてすごく真面目というか、頑張り屋さんだなという感じですね。可愛く言うと。グレることもなくテニスに真剣に向き合ってこの4年間を過ごしてきていたので尊敬はしています。恥ずかしいですけど(笑)。ある? 西原は。

西原 新井さんはそうね、職人みたいな。まっすぐグーっと自分の範囲を突き進むみたいな。そういうイメージがありますね。

――具体的にそのように感じたことはありますか

名越 この4年間を通じて例えば僕とかだったら結構遊んでしまったりしていたし、他の部員とかもテニスが嫌になって辞めてしまうというか、休みを取ってしまう人とかやる気のないような態度を見せてしまう人もいるのですが、そういうのは一切なく、この4年間頑張っていたなというのはあります。

――続いて名越さんの印象は他の2人から見ていかがでしょうか

新井 自分のことと比較して話したいと思いますが、やはり自分のところにないなと思うのは誰とでも仲良く話せるというところで、それがとても印象的だなと思っていて。どんな人とでも明るく、イメージ的には誰と2人になっても楽しませることができる存在なのかなと思います。

西原 僕から見た名越はすごくうまい情熱漢というか。うまいというのはさっき新井が言ったような関わり方とか、ちょっと僕が「お前何してんねん」って思う時には彼はすぐに察しているんですよね。「ごめん!」みたいな感じで。やはりそういうところが大地のいいところで、彼はすごい情があるのでたぶんこの庭球部で一番、情で訴えるタイプ。

名越 まあ確かに感情派だな。

西原 僕とは真逆ですね。

――西原さんは他の2人から見ていかがでしょうか

名越 入学当初と今とで印象が本当に違くて。入学当初というか大学受験ですね。大学受験で高校生がここで勉強しているのですが、僕も西原もそれを経験していて、その時はもっと明るいというか。今は明るくないというわけではないのですが、ちょっと子供の明るさみたいなのがあって、それでも次第に今では先生みたいな感じで。先生になりたいという夢があってそういう知識とかをいろいろ付けたというのはありますが、一歩違う視点で大人な考えを持っています。僕は結構感情的なのでその場の自分の考えとか思っていることでパッパッと物事を進めてしまうタイプなのですが、西原は先を見据えるというか、段階的に踏んで考える人間になりましたね。前は違いました。

西原 そうだね、高校の時は適当な人だったけど。4年間で変わりましたねー。

新井 僕も一言で表すならまさに先生だなと思っていて。先生という言葉だと学校の先生のイメージが強いのですが、いろいろな先生の意味があって、テニスで例えば西原は女子の選手と試合したりしてその後にアドバイスをしたり、ミーティングとかでの後輩指導であったり、いろいろなところで教えるのがうまいなと思いますね。

名越 こんなこと話す機会ないもんね、俺ら。

西原 恥ずかしい。

名越 西原の指導教室みたいな、コンプラの指導教室みたいなやつを何回かやったのですが、すごくおもしろくて結構部員受けも良かったというのはあります。だから高校の時の西原がいなくなったんだなと思うと寂しい気持ちがあります。

――その教室はどのような感じだったのですか

名越 男子部員全員と西原がカリキュラムを組んで早稲田の庭球部の部員としてのあり方とかスポーツマンシップのこととかを部員に話していました。

西原 勝手に僕がやるぞと始めたわけではなくて、やはり部員の中で……うーん、なんて言い表したらいいのかな。やはり試合態度とか……、どうしたらいいんだろうな、難しいですね。……。

名越 そうです。こんな感じです。

西原 応援されるようなチームになる必要があるよねと監督、コーチから出まして。じゃあこの中で誰かが先頭きってやらないとあかんとなって、僕がやりますと言ってやったのですが、全5回ぐらいに分けてやって。当時の資料がここにありますよ。(資料を取り出す)

名越 これ見る必要ある?(笑)

西原 こういうようにルールを何で守らないといけないのかという問題が出たりして、みんなで考えてもらって。スポーツの歴史から考えてルールは何であるんだろうとか、庭球部のルールを確認したりとか、ルールを一つの冊子にまとめるのも僕がやったりしていろいろ確認しました。ちょうどその時、彼(名越)はミーティングに寝坊してきまして次は寝坊するなということも書いてあります。結局これは返そうと思って返すタイミングを失って結局返さなかったんですけど……

名越 ちなみに西原はしゃべると結構止まらないタイプです。これは高校の時から変わっていなくて、受験勉強の時に西原の初恋の話を2、3時間ぐらい話されて。

西原 夜中にね。

名越 おもしろかったです。

――次の質問が4年間で印象が変わった人はという質問なのですが、それはやはり西原さんですか

名越 僕は畠山(尚、スポ4=神奈川・湘南工大付)ですかね。入学当初は僕と畠山はあまりしゃべる仲とかではなくて、僕もいろいろやんちゃなことをしていて、畠山は結構真面目なのでそこですれ違いが起きていて。受験の時は結構仲が良かったのですが、大学に入った当初はずっと一緒にいるとか遊ぶとかいう仲ではなくなっていました。あまりうまく話せないのですが、それでもこの4年間を通じてすごく小学生みたいな感じで。真面目でしっかり者というイメージで、今も主将としてしっかりしないといけないところはしっかりしていますが、変なかまちょであったり、小学生みたいな発言とか、カブトムシ大好きな趣味とか、そういうので結構4年間で印象が変わった気がします。あらゆーは誰かいる?

新井 僕は名越くんですかね。理由としては結構印象的というか1、2年生の時は僕らは本キャンで授業を受けていたので、一緒に授業を受けてご飯を食べて練習に向かうことが多かったのですが、その時の名越くんは結構「部活がきつい」とかネガティブ発言が多いという感じで。

名越 そうですね(笑)

新井 それでも4年生で副将となって本当にチームのことを考えていて、チームに欠かせない存在になってここまで変わるんだなというところはすごいなと思いました。

西原 僕も挙げるとしたら大地ですね。彼は自分でも言っていましたが1年の時は結構アレだったんですよ。結構大変で、仕事はしないわなんなのわもう挙げたらキリがない。でも彼すごく変わったんですよ。やるところをしっかり定めるようになって、ポイント、ポイントを大事にやってきて今も頑張ってチームのために。情熱というか熱量がすごくあるのでそこを庭球部に持ってきてくれて今となってはチームに必要で、印象が変わったという感じです。

――名越さんは自分で変わったなと感じますか

名越 変わりましたね。コーチとかにも言われるのですが「お前、丸くなったな」って。「前はもっと尖っていたのに丸くなったな」と言われたり、「大人になったね」とか「成長したね」って言われるようになって、変わったんだなと思います。

――今の4年生はどういった学年だと思いますか

新井 人数が少ないというのもありますが個性がバラバラでとてもおもしろい学年だなと思います。

名越 (笑)

新井 趣味が違えば考え方も違ったりするので、最近のミーティングとかでもいろいろな意見が出て。そういうのはありますね。

名越 僕は不器用な学年だなというのがあります。不器用というのは悪い意味とかではなくていい意味で、すごくチームのこととか仲間のこととかテニスのこととかというのを一人一人が強く持っているというのを、僕は身近にいるので感じるのですが、それを周りにしっかりと伝えるとか表現するというのがあまり。あらゆーとか特にそういうのを表現する人ではないので、一人で黙々と頑張るタイプ。畠山もそうですが、そういうところがいい意味で不器用という感じですね。僕とかは結構薄っぺらい人間なので口でペラペラ言ってしまうのですが、そういういやらしい器用さではなくて、かっこいい不器用さみたいなのを持っている人たちがほとんどの同期かなというのはあります。

――かっこいい不器用さなんですね。

名越 かっこいい不器用さですね。すごくいいことだと思っていて僕にはあまり真似できないです。西原はどう?

西原 僕も新井さんが言ったような多様というのがあるなと思っていて。それこそ理論派、感情派で僕とか畠山とかトレーナーの小野とかは理論派なんですよね。理屈で物事を言いたいタイプです。それで名越さんは感情で自分の思いとかを言葉にして伝えてくるんですよね。部活の方針とかでも僕は教員チックで畠山も教職を取っていてそういう考えが似ていて部活で何を学ぶのか、人間力とかそっちを重視しているのが僕とか畠山で。僕ももちろん勝つのが全てですがその中でも人間力を重視する派ととにかく勝つぞというタイプと。僕にはないタイプの考え方とかそういうのがいろいろな場面であるんですよね。僕にはこの考えはなかったな、とかこの数少ない同期の中でそれが聞けて結構おもしろいです。多様な人が集まったからこそそういった話し合いが行われているのかなと思いますね。

「何時間かかってでもいいから勝ちをもぎ取ってほしい」(名越)

主将を支える機会が多かった名越

――皆さん副将に就かれていますがこの役職について説明していただけますか

名越 僕の思う副将は……なんだろうな。難しいな。畠山が主将でやっていますが、僕たちの代は今まで輝かしい戦績を大学で挙げている選手が畠山以外にいなくて。田中優之介さん(令3スポ卒=現三菱電機)とか千頭さん(昇平、令3スポ卒=現テニスラウンジ)とか白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)とかみたいに輝かしい戦績を挙げられていない代の中での畠山が主将をしているという、すごく難しい年代での主将だなと思います。そこで僕は西原とか新井とか畠山の仕事を手伝ったりして、僕はどっちかというと畠山と話したりしてメンタルケアというかそっち系を自分の中ではやっているつもりですが、しゃべりながら「頑張っていこうな」みたいな感じで支えていくのが自分の中の副将という感じですね。

新井 僕は副将という言葉にそんなに責任感を持てているかと言われたら今振り返るとどうかとは思いますが、実際、副将というより4年生が6人しかいないということで、3人が副将でさらに小野がトレーナーをやっていたりして、みんなでチームを引っ張っていくしかないということで、副将という言葉にとらわれず、みんなで引っ張っていくということを心がけてやっているところですかね。1人が欠けてしまうとそれが大きくなってしまうのでみんなでやっていくというところで、副将という言葉を越えてチームを引っ張るということを大事にしてやっています。

西原 僕は副将というのは主将がいてその下に副将が3人いるという構図になると思いますが、その中でも僕がずっと育成層をやっているというかたちになっていて。畠山はもちろん選手層というかたちで、育成層は僕が全部指揮をとってやっているというかたちですが、畠山に負担をかけないためにもチームとしてそっちの方は僕の範囲内で完結させないといけないというのをすごく感じていて。正直、いろいろな問題も起きるし練習もどうやってやるのかとか、どういうメニューを組んでいつに何をやるとか、対抗戦を組んだりとかもそうですが、それらを含めて育成部門に関しての全責任を負って畠山に迷惑はかけないと。そういうことをこの1年間で思ってきたところで、1個上の堀凌輔さん(令3社卒)という方がいるのですが、その方が今の僕のポジションをされていて本当にすごいなと過ごしてきたので、堀さんみたいな副将になりたいなと思ってきました。なれているかはわからないですけど(笑)

――畠山さんが主将をされていますが、皆さんの目にはどのように映っていますか

名越 畠山の主将としての器というのはすごくあると思っていて、でもそれは元々あったのではなくてこの1年間で成長したなと思うことがあって。最初に畠山が主将になってこのチームで頑張っていこうとなった時のミーティングがあるのですが、そのミーティングで僕が印象的だったのは自分の言葉を一つ発したらすぐ横に「次はどうする?」とか「次は何を言う?」みたいな感じで自分の意見がないのかなとかちょっと頼りない感じがありました。それでもこの1年を通して畠山の主将としての器はすごいなと思うし、尊敬もしているし、尚が主将で良かったなと思います。今では「主将」という感じです。

西原 尚は考える人かなという印象が強くて、高校も一緒で彼とは7年目なんですよ。いろいろなことにこだわりを持って考えているなという印象が強くて、彼が主将になる時もお前がやれというように僕も推しました。それで主将になったのですが、最初は正直頼りないなというところはあったりもして、ミーティングで一言言って横に「次どうする」みたいなのを言われて、おいおいと思いながら「次はこう!」みたいに周りが言っていました。結局今でもミーティングが始まる前とか「なんて言おう」って言われて「こう言え!」みたいな感じで指図しちゃうのですが、それをしながらも彼自身に軸というかチームの運営をどうやってやるのかみたいなのができてきて。すごく考えているとは思うのでその中でできてきたことだと思いますが、やはり彼が主将としてやっているチームという風になってきた印象で、正直忙しいと思うしいろいろやって問題もある中で「そこまでやるの」みたいな感じですごいなと一歩引いたところから見ていると思います。新井さんはどう?

新井 そうですね……。

名越、西原 見てないな、これ(笑)

新井 本当にありがたいなという感じですね。

名越 (笑)。まあ確かにね。

新井 本当に信頼できる主将だなと思います。そこまで深く言葉が出てこないのですが。

――団体戦でサポートや応援をされることが多かったと思いますがその中で意識していることはありますか

新井 サポートとしてはやはりミスを0にすることは一つ大事なことなのかなと思っていて、サポートでミスをしたら選手に迷惑をかけてしまうということで僕もサポートは今年で4年目だと思いますが、そこはサポートではミスをしないということを心がけて下級生にも伝えています。西原はある?

西原 僕も準備の徹底というところと専門的に言うと動機付け。やる気スイッチをどうつけるかの2つかなと思っていて。一つ目の準備というところは新井が言ってくれた通り本当にミスが許されない。結構これってプレッシャーなんですよね。僕も4年間やってきて1個もミスが許されない荷物を全部そろえてリストを作ってそれを伝えてというなかなか神経の減る感じで。後者のやる気スイッチに関してはこのサポートというポジションはなかなか複雑なポジションだと思うですよね。個人戦もあってという中で、特に1年生とかは「いやいや個人戦あるやん、練習させてくれよ」と、それはそうでごもっともなのですが、そういう中でどうやってやる気スイッチをオフからオンに切り替えるかというところで僕も悩みながらやってはいます。僕から言葉で伝えたりしてこの前は初めて感情論を使いまして、名越が普段やっているように「僕は勝ちたいんだ!」と苦手ながら言ったりしまして、効いたかどうかはわかりませんがそんなことをしてみたりして。リーグ前には時には厳しいことも言ったりしました。ちなみに怒った効果は3日間です(笑)。とにかくやる気スイッチをオンにするのは大事だと思います。

名越 僕は本当にまた感情論みたいになってしまうのですが、サポートはもちろん選手のために頑張って、選手はサポートが頑張ってくれているから俺も頑張れるというような取り組みとか気持ちとかというのはすごく大事かなと思っていて。それは目に見えない力で、今回の早慶戦は負けてしまいましたが僕らが1年の時のリーグとか早慶戦も本当に負け寸前までいって、絶体絶命みたいな時にサポートと選手が一つになって乗り越えたと今になってすごく感じて。そういう目に見えない力というのは絶対あると思っていてそれを出すためにサポートを頑張るとか、僕は選手かサポートか難しい立場にいますが、練習していてサポートが頑張っていたら僕もきつい練習を頑張れるし、選手がすごいプレッシャーの中で戦っているのを見るとすごく応援したくなるのでそれを僕だけじゃなくてみんなが思ってくれるようにしていきたいです。

――後輩たちが中心として試合に出ている中で後輩たちへの思いは何かありますか

新井 今度王座というところで16連覇という数字もありますが、もちろん自分たちの代で優勝したいというところがあるので、後輩たちにお願いではないですが、やはりチームで勝とうということはしっかりと伝えてやっているというところですね。お任せというわけではなく、チームの選手の1人として後輩にも接するようにして取り組んでいます。

西原 この前にミーティングをした時に部員が言っていた言葉で「自分の願いをかなえてくれる存在」という言葉にピンときたものがあって、自分が最後に勝ちたいと思うのですが、それをかなえてくれるのが彼らなのかなと思って。そうなるとどうやったら彼らが実力を発揮しやすくなる環境になるのかなとか、僕の立場だとどういうサポートをすれば、下級生のサポートも含めてどうすれば選手がより良くなるのかとか、そういうことを常に考えているという感じですかね。

名越 まず僕らの年代として試合に出ているのが畠山しかいないので、試合に出て勝ちをもぎ取れる存在がいないというのは申し訳ないなというのはありますが、でもそれは別にただただ年代が違うだけでチームとしては1年から4年で全部一つだと思っているので。僕の中では後輩が試合に出て、やっているというイメージではなくて、チームの代表としてやっているというイメージなので、この早稲田というチームに何時間かかってでもいいから勝ちをもぎ取ってほしいというのは切実な僕の心の中にある願いというか思いですね。

――王座出場校決定トーナメント決勝の早慶戦ではまさかの敗戦というかたちになりましたが、この早慶戦を振り返っていかがですか

名越 悔しいですね、正直。振り返ると悔しくて自分たちが負けたのもそうですが、この24年間負けなしという中で何回も先輩たちは負けが見えた瞬間もあったと思って、実際に僕らが1年の時は負けそうになったこともありましたが、それでも勝ち続けてきている伝統というか歴史を止めてしまったのは結構きついです。それでもこの負けがあったから今はチームで王座16連覇してやるという気持ちをより強く部員一人一人が持って、「なんだかんだ勝てるでしょ」と思っている部員も少なくなっていると思いますし、この負けがチームにとっては悔しかったけど大きなプラスにもなっているのかなと思います。

新井 負けたことに関しては悔しいの一言でいろいろ原因はあったと思うのでそれを踏まえて王座16連覇に向かって取り組みをしています。

西原 早慶杯という早慶戦の優勝トロフィーがあるんですよ。あれの重みを感じましたね。というのも僕らはいつも荷物のリストに早慶杯というのが絶対に入っているんですよ。勝った学校が次に返還しないといけないので、リストにいつも入っていて、部室にも当たり前のように置いてあって。それでお世辞にもきれいと言えないような入れ物に入っているんですね。当たり前にあるようなもので、それが慶応にいってしまったということが僕の中で一番心に傷ができましたね。あんなにみんなが当たり前のように見てきて当たり前のように扱ってきたものがどれほどありがたいものだったのかというのは身をもって感じました。

――やはり24年間続いてきたものが途切れてしまったということは意識することですか

一同 そうですね。

西原 24年、48回ですからね。僕らは生まれてないですからね。

名越 (笑)。僕らが生まれてない……ハイハイしている時とか。

西原 いやハイハイもしていません(笑)

名越 僕らがハイハイしている時とか小学校に行っていた時とかも勝っているんだからね。そう考えたらすごいよね。それを止めちゃったのは結構やばい。

西原 正直なところを言うと24年の重みって僕らは生きていないからわからないよね。僕がわかるのはせいぜい21年間の重みしかわからない(笑)。それ以上ということはすごいことなんだと思います。

「このチームの王座優勝に向かう力というのは他のチーム以上に強い」(西原)

王座に向けてやるべきことをやるだけという西原

――王座もいよいよ直前になりましたが今の心境は

新井 トーナメントが終わって3週間、やれることはやってきていると思うのでもう自信を持って戦って勝つという、優勝する、それだけですね。その言葉に尽きると思います。

名越 あらゆーが言ったみたいにこの3週間、僕らとか監督、コーチ、部員の中で試行錯誤を重ねて多少苦しいこととかきついこともありましたがそれは全て王座で勝つためにという気持ちを持って取り組んできたというのは選手一人一人の自信にもなっていると思うので、自信をコートで表現して16連覇を成し遂げたいという気持ちが今の心境です。

西原 やることをやるしかないんじゃないかなという感じで、大会の期間はどうあがいても動かないのでやるべきことをやる、ただそれだけです。そういうことをしていれば勝ちは持ってこれるものだと思うので。もちろん日本一の組織である以上、日本一の頭脳が備わっていると思うので、それらを寄せ集めれば絶対に日本で一番のものが生まれるのでそれをどうやって愛媛で出すのかというところかなと思います。やれることをやるだけです。

――16連覇という数字がプレッシャーになってくるのではないかと思ってしまうのですが、そちらについては

新井 王座16連覇という数字は誰もが頭の中にあるものではあると思いますが、そうではなくてこのチームで王座優勝するということを一番に念頭に置いてその結果が、連覇につながるということになってくると思うので、まずはこのチームで優勝というところが大きな考えかなと思います。

――今のチームの雰囲気はいかがですか

名越 僕はいい状態かなと思います。選手一人一人、サポートもそうですが僕はベンチコーチとかも入っていて、渡部将伍(教3=東京・早実)もそうですが畠山も増田(健吾、社3=東京・早実)もちょっと不安要素があったらそこを潰すような練習を各自で行っていたり試行錯誤を重ねたりして、勝ちに向かって頑張っている姿勢というのが見えるので。もう負けられない戦いになっているのでそれに向かってみんないい状態を保っているのかなと思います。

西原 1回、王座出場校決定トーナメントで負けてしまったというのがあるのでそれを良く捉えると、目標は全員が王座優勝というところに向いたなとめちゃくちゃ感じますね。目標を全員が共有してそこに全員が向かっていくということができているので、そこは評価できるしこのチームの王座優勝に向かう力というのは他のチーム以上に強いものがあるんじゃないかなと思います。それに向かって選手もいろいろやっていますし、そういう意味ではいいかなと捉えています。

新井 チーム全体としてはとてもいい雰囲気でできているなと思っています。会場に実際に行けるのは人数制限もあってなかなかうまくいかない部分も多少はありましたがそれを乗り越えて、今では結構ベストな状態でできていると思います。

――王座に向けて意気込みをお願いします

名越 優勝したいというのが一番の意気込みで、勝負の世界は過程も大事ですが、負けて気づいたところもあって結果が全てなんだなというのがあるので。僕たちはこれで大学生活は終わりで集大成でもあるので、この最後の締めくくりを優勝というかたちで締めて、この4年間本当にいろいろありましたが、最後は早稲田で頑張ってきて良かったなと思えるような最後を迎えたいなと思います!

新井 勝つ、という僕はそれだけだと思います。愛媛に着いてからは勝つことにどの部員も全力を注いで、勝つ!ということだけが意気込みです!

西原 僕もここまで来たら勝つ!という勝って引退したいのが本心です。中身をしっかり詰めていれば自ずと結果がついてくるという考え方なので、試合中も含めて中身も充実させる。そして充実するための方法を考え続けて、全員が勝つ、ということに全力を注げば勝ちはついてくると思うので、ただそれを王座優勝して最後の整列までやり続ける、それに尽きると思います!

――ありがとうございました!

(取材・編集 山床啓太)

◆新井湧己(あらい・ゆうき)

東京・早実高出身。教育学部4年。

◆名越大地(なごし・だいち)

兵庫・相生学院高出身。社会科学部4年。

◆西原優輝(にしはら・ゆうき)

神奈川・湘南工大附属高出身。スポーツ科学部4年。