【連載】王座直前特集『挑む』 第2回 梶野桃子×渡邉優夢

庭球男子

 第2回は梶野桃子(社1=京都外大西)、渡邉優夢(社1=兵庫・相生学院)のルーキーコンビが登場。10月の王座出場校決定トーナメントではシングルスのメンバーとして活躍した2人。特に梶野は準決勝の筑波大戦で3-3のところから早稲田の勝利を持ち帰る活躍だった。同じ学部でプライベートでも一緒にいることが多い2人に入学の理由や入学してからここまでの振り返りをしてもらった。

※この取材は10月28日に行われたものです。

「早稲田で王座を優勝したい」「大学で日本一を取りたい」

2人で話す渡邉(左)と梶野

――早稲田に入学されてからしばらく経ちましたが、大学の環境には慣れましたか

梶野 いいよ、先に言って。

渡邉 最初は高校の時と違うことが多くて、戸惑うこと、びっくりしたことというか、違うなと思うことが多かったのですが、最近は結構慣れてきたと思っています。

梶野 私も1年生の仕事が結構多くて、両立するのが大変でしたが、仕事にも結構慣れてきてテニスにも集中できるようになりました。

――入学前と入学後でイメージが変わったところはありましたか

渡邉 私は、最初はもうちょっと先輩たちも怖いのかなと思っていましたが、入ってみたらみんな優しくて、仲のいいチームだなと思いました。

梶野 私も上下関係とかが結構厳しいのかなと思っていました。ちゃんと指摘はしてくれるけど、その言葉に愛情があるから怖いという感じもないし、思っていることを言い合えるすごくいいチームだなと思います。

――大学がいろいろある中で、早稲田を選んだ理由を教えてください

渡邉 高校3年生の時にコロナで大会が無くなってしまって、大学でもっと活躍したい、大学でもテニス頑張りたいと思っていて。団体戦も好きだったから早稲田で王座を優勝したいという思いがあったのと、体験に来た時に早稲田はトレーニングとかでもみんなで声を出して励まし合いながらやっている姿を見て、この雰囲気がいいなと思って入りました。

梶野 私はずっと小学生の頃からテニスをしてきて、ずっと日本一を目指して頑張ってきましたが、高校でもその夢を達成することができなくて。3年目はコロナで試合がなくなって、自分の力を発揮することができる場がなくなったので、大学で絶対日本一を取りたいと思っていました。トップの大学を見ていった中で早稲田の練習会に参加してみて、テニスに対する思いがどの大学よりも強いなと思ったし、練習は1回しか来ていませんが、その1回でここで自分もテニスをして日本一を目指したいと思って。それで早稲田を目指しました。

――お2人は同じ学部だと思いますが、お互いの印象について教えてください

梶野 あまり高校の時はしっかり喋ったことがなくて、話した感じはすごく賢そうな感じでしたが、実際同期は一緒にいる時間が長くて。一緒にいてみたら結構抜けているところがいっぱいあるし、なんか癖も強いし、面白いし。抜けているところはあるけど、テニスに対する思いはめっちゃ強いし、切磋琢磨していけるすごくいい同期だなって思います。

渡邉 高校の時からすごく喋っているわけではなくて、大学で一緒になってから学部も一緒なこともあって、一緒にいることが多いのですが、結構思っていることとかを言い合えたり、これからも一緒に頑張っていく仲になるかなと思います。

――普段は一緒に過ごすことが多いですか

梶野 はい。寮も一緒で隣の部屋だし、学部も一緒だし、自主練とかも一緒にやったりするから、いることは多いと思います。

――1年生の代の雰囲気はどんな感じですか

渡邉 結構みんなそれぞれ個性があって。

梶野 ああ、ある。

渡邉 仲いいよね。

梶野 仲いい。

「チーム全員で勝てた試合」(梶野)

筑波大戦では早稲田の勝利を確定させた梶野

――ここまでの試合を振り返っていこうと思いますが、まずインカレを振り返っていかがですか

渡邉 インカレでは阿部宏美選手(筑波大)に負けて、自分の課題やできていないところを改めて実感するような大会でした。

梶野 自分は予選からで、予選でも今までで結果を残してきている伊藤さつき選手(亜大)と試合をやって。春関(関東学生トーナメント)でも1回戦は勝ったけど2回戦で勝ちきれず、あまり自分の力を発揮できなくて、いい結果をのこせていなかったので、インカレでは結果を残して団体戦のメンバーにも選ばれるようにと思っていました。結構試合前とかもいろいろ自分なりに自分の力を発揮できるように私生活もテニスの面も頑張ってきて、予選を勝つことができて、本戦でも関西でトップの選手に勝って。2回戦で永田杏里選手(慶大)にファイナルセットの10ポイントで負けてしまいましたが競ることができて、コーチにの方とかにアピールできて良かったし、自分の力がどれくらいトップの選手に通用するのかというのをわかった試合になったかなと思います。それと競った場面でのトップの選手の強さという部分も改めて感じることができたから、より自分がやらないといけないことが明確になった試合だったと思います。

――お2人とも本戦2回戦は他大学の強いシード選手とあたりましたが、対戦の中で感じたことはありますか

梶野 自分は今までで高校の時とかもそこまで結果残せてきたわけではなかったので、関東学生(春関)でも優勝したり全国でも準優勝したりする選手にそこまで張り合えるとは実際思っていませんでした。戦ってみてセカンドセットを取れて、そこまで差はないんだなと思った反面、やはり勝負所での勝負強さはトップの選手と自分との差があるなと思ったので、もっと練習や試合で経験を積んで、勝負強く大切なところで自分の力を出しきれるような選手になれるようにならないとダメだなと思いました。

渡邉 私はスコア的に見たら全然競れていたわけではないし、その試合で全部を出し切れた感が本当になくて。悪く言うと、いつもと違うことをしちゃったみたいな。全部出し切れずにというか、ちゃんとできずに負けてしまったので、手応えはあまりなかったのですが、負けてしまったことはもう仕方がないから、今後に生かすしかない、同じことをしないように、同じような結果にならないようにしないといけないと思いました。

――インカレ後は団体戦があるのかどうかわからない時期がありましたが、その期間はどのように過ごされていましたか

梶野 リーグがあるかわからない状態でもやることは変わらないなと思っていて。インカレで課題も明確になって、結構いろいろな課題も見つかったので、帰省したくてもそのままホームに戻ってきて、次の日から課題に取り組んで、もっと上を目指して取り組んでいました。

渡邉 私もリーグはあるかわからないけど王座はあると聞いていたので、もしかしたらあるかもと思っていたし、インカレが終わった後にこうしたいというのがいっぱいわかっていたので、そのうちにやった方がいいと思って、インカレが終わって次の日から次に向けて練習していました。

――王座出場校決定トーナメントでの試合を振り返っていかがですか

梶野 自分はシングルス3で出させてもらうことになって、シングルス5よりかは取らないとダメという緊張感はそこまでなくて、1年生らしく思いきってプレーすることができました。それでも初めて団体戦でメンバーに選んでもらって思いきってプレーしようって思っていましたが、実際は緊張してしまって、山学大戦では最後に足をつってしまって。やはり個人戦と違って団体戦は緊張感とかが違う雰囲気だなと思ったし、早稲田はすごく歴史がある部活なので早稲田という名前を背負って戦うってこういうことなんだって思った試合になりました。筑波大戦ではまさか自分に(チームの勝敗が)かかるとは思っていなかったからすごく緊張しましたが、選手とかサポートの方がコートの横で応援してくれた時は今まで感じたことないぐらいのすごい力になって。個人戦だったらすごく不安になる場面でも選手の顔を見ることですごく力をもらえたし、絶対4年生のためにも王座に出るために勝つという強い気持ちになれて、すごくいい経験を1年生でさせてもらえたなと思いました。

渡邉 私は山学大と筑波大戦まで団体戦がすごく楽しくて。一緒に練習している人たちと隣のコートで一緒に仲間として戦うのもそうだし、応援の人たちと盛り上がる団体戦独特の雰囲気とかがすごく楽しかったです。それでもやはり慶応の時に自分の1本が大事だって分かっているからこそ、最近の癖なのですが、そういう時に限っていつもと違うことをしてしまうというか、自分らしいプレーができなくてすごく申し訳ないという気持ちでいっぱいでした。

――渡邉さんは春の早慶戦に続いての団体戦でしたが、変化を感じた部分はありましたか

渡邉 春は大学の団体戦に慣れていなくて、応援に応えるとかできなくて個人戦みたいにやっちゃってて。

梶野 先輩に怒られてた。

渡邉 そう。怒られて、だんだん慣れてきたというわけではないですが、大学の団体戦に徐々になじめるようになってきて。ガッツポーズとかもたまに行方不明になってたりしますが、少しずつなじめているかなとは思います。たくさん経験させてもらっている分、ちゃんと今後それを自分が生かしてチームに貢献できるような選手になりたいです。

――梶野さんは団体戦初出場だったと思いますが、試合に出るとなってからどのように感じましたか

梶野 早慶戦にサポートで出て、一緒に頑張ってきた同期の渡邉は試合に出て活躍もしてくれて。嬉しい気持ちもありましたが、その反面こうやって早稲田の選手としてチームに貢献できるような選手になりたいなと思っていました。実際に選ばれてみると不安な気持ちも大きくて、すごく緊張しました。結構緊張したけど、こういう経験ができるのも選ばれてないとできないことだし、いい経験だと思って自分の力を出しきることを目標に頑張りました。

――梶野さんにお聞きしたいのですが、準決勝の筑波大戦のシングルス3の試合が印象に残っているのですが、あの試合を振り返っていかがですか

梶野 まず勝てて良かったなって思います。練習でもインカレの永田杏里ちゃんとの試合でも10ポイントで勝ちきれないというのが自分の中でずっとあって。だから筑波戦で10ポイントに入った時は勝てる自信が正直なくて、すごく不安だったのですが、隣のコートで神鳥舞さん(スポ2=東京・早実)が試合に入っていて、阿部宏美選手にすごくファイトしていて。その舞さんの姿を見て自分も頑張らないとと思ったし、個人戦では感じられない団結力を感じて、今まで持っていない力を発揮できました。10ポイントで負けるかもしれないという気持ちをもって試合をしていましたが、筑波戦では中盤からはそんなことを忘れて1ポイント1ポイントに集中して戦えたから、自分的には気持ち的にも成長できた試合だなと思います。

――試合後の心境はどんなものだったのでしょう

梶野 試合後の心境は、すごく緊張してたから力が抜けて「良かった」しかなかったです。今までのリーグ戦でも対抗戦でもあまり早稲田に勝ちを持ってこれていなかったから、こんな私にみんな勝つために応援してくれて、ずっと勝ててなかったのに一生懸命応援してくれて、その応援に応えることができてまずは良かったと思ったし、あとは4年生が引退してしまったら王座を経験した人がいなくなるというのもあっていろいろな気持ちがあったので、本当に勝てて良かったしかないです。

――試合後、部員たちからはどのような言葉をかけられましたか

梶野 よく頑張ったって言ってくれました。自分が勝てたのもチームの選手たちがサポートしてくれたおかげだと思っていて、試合前とかもほとんどの選手から電話とかLINEで「緊張しなくていいよ」とか「自信もってやったらいいよ」とか「今まで誰よりも練習してきたんだから、自信もってプレーしな」とか結構声をかけてくれていたので、自分のおかげで勝ったというより、チーム全員で勝てた試合だなって思いました。

――決勝の早慶戦では敗れてしまいましたが、勝敗を分けたポイントはどこにあると考えていますか

梶野 ファーストセットで気持ち的にはリードしていた気分だったのですが、サービスゲームでキープできなくて。サービスゲームをもっと強化しておけば勝てた試合だなって。相手もそこまで特徴があるプレーではなかったし、ただ合わせて返してくる選手だったのでサービスゲームを強化すれば勝てたと思います。

渡邉 ダブルスが終わってその後すぐに私と梶野が入ったのですが、その後に私がポンポンポンって3ゲーム連続で取られてしまって、出だしが悪くてそれで一気に。そのあとは持ち堪えたましたが、やはり最初にリードされると苦しくて、その後は自分で行方不明になってしまって。自分的には最初の入りがポイントだったかなと思います。

――相手の慶応の印象を教えてください

梶野 実力差はそこまでないと思いますが、大切なところとか勝負所での強さはすごく感じました。ダブルスの試合で佐藤南帆・永田組と石川(琴実、社3=神奈川・白鵬女子)・神鳥の試合で、傍から見ていたら全然負けている感じはしなかったのですが、ゲームのスコア的に0とかで取られていて。それでもポイントを見ていたらそんなに差はないように感じていたのですが、やはりノーアドバンテージとか大切なところで取ってくるあたり、慶応は勝負強いなと思いました。

渡邉 私は慶応の選手は一人一人のレベルも高いし、プレーの個性もあって全然違うタイプの選手が多いという印象です。

王座に向けて

笑顔で話す渡邉

――今のチームの雰囲気はいかがですか

梶野 あまり雰囲気とかはわかりませんが、主将(杉田栞、社4=埼玉・山村学園)とかは慶応にスコアでは1―6で大差はつけられたけど、技術的には変わらないし、成長はしてきていると言っていて。慶応に大差で負けたことにはそんなにネガティブな感じではないので、すごくポジティブに練習とかも取り組めていると思うし、個人が自分たちの課題をしっかり明確にして取り組めているので、一人一人が王座優勝に向けて取り組めているのではないかなと。すごくいい雰囲気でできていると思います。

渡邉 私もみんなが王座優勝という目標を持っていて、その上でそれぞれの立場でやっているという感じがして、チームも王座優勝に向けていい雰囲気でやっていると思います。

――現在、チームとして取り組んでいることなどあれば教えてください

渡邉 お互いに励まし合いながらとか、プッシュし合いながらとか、1人でやるというよりはみんなでやろうみたいな雰囲気があるよね。

梶野 うん。早慶戦が終わって、慶応の選手は最後までボールを追っているけど、早稲田の選手は見切りが早いと土橋さんに言われて、早慶戦が終わってから選手一人一人が最後までボールを追うというのは意識して取り組んでいます。

――王座に向けて意気込みをお願いします。

渡邉 頑張ります。

梶野 それだけ(笑)。ずっと王座奪還というのを目標にしてチームとして頑張ってきたので、絶対に優勝できるようにそれぞれの立場は違いますが、一人一人ができることを全力でやって、早稲田が優勝できるように頑張りたいと思います!

渡邉  私も早稲田の優勝に。

梶野  付け足してる(笑)。

渡邉 (笑)。私も早稲田を勢いづけられるように頑張ります!

――ありがとうございました!

(取材・編集 横松さくら)

時には先輩に心配されるくらい自主練をするという2人。色紙には「練習は裏切らない」と書いてくれました。練習でやってきたことが試合で実を結ぶはずです!

◆梶野桃子(かじの・ももこ)(※写真奥)

150センチ。京都外大西高出身。社会科学部1年。

◆渡邉優夢(わたなべ・ゆむ)(※写真手前)

162センチ。兵庫・相生学院高出身。社会科学部1年。