前人未踏の全日本大学対抗王座決定試合(王座)16連覇を目指す男子部の戦いがついに幕を開けた。王座出場校決定トーナメントは2週目を迎え、王座への出場権がかかった準決勝が行われた。シードとして臨む早大はこの試合が初戦となる。相手は1回戦から勝ち上がってきた明大。負ければ終わりの一発勝負の中で、早大は層の厚さを見せつけた。ダブルスを2勝1敗とすると、シングルスは下位陣で3本を取って早々に勝ち越しを確定させる。そのままの流れで上位陣も全員が勝利し、終わってみれば8-1で圧勝。盤石の戦いぶりで王座への切符をつかみ取った。
ダブルス2で1勝を持ち帰った白石・池田組
ダブルスは早慶対抗試合(早慶戦)の時と同じペアで試合に入った。まず1勝目を持ち帰ったのはD3の丹下将太(教3=東京・早実)・高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)組。両者ともに力のあるサーブを決め、そこから甘くなった球を攻めるかたちでポイントを奪っていく。短いラリーで決着するポイントが多く、早々に試合を決めた。続いてD2の白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)・池田朋弥(スポ2=愛知・誉)組が2勝目を挙げる。第1セットの第3ゲームを0-40からの逆転でキープすると、直後にブレークに成功。そのままリードを保って第1セットを獲得した。第2セットはブレイクバックを許した直後の第7ゲームで相手のミスなどもあり、再びブレークに成功。6-3で第2セットを獲得して勝利した。D1の畠山尚主将(スポ3=神奈川・湘南工大付)・増田健吾(社3=東京・早実)組は第1セットの第4ゲームで幸先よくブレークに成功。しかし、直後にブレイクバックされてしまう。その後はミスなどから思うようにポイントを奪えず、流れをつかめなかった。第2セットは先にブレークを許してしまい、敗戦。ダブルスは2勝1敗でシングルスに入った。
シングルスは早大の強みである層の厚さを感じさせる結果となった。S4に入った渡部将伍(教3=東京・早実)は第1セットの4-4から勝負強さを発揮。長いデュースをものにして2ゲームを連取して第1セットを獲得。第2セットは勢いそのままに1ゲームも与えずに勝利した。S5の小久保蓮(スポ3=愛知・名古屋)は序盤から足がよく動いていた。厳しいコースに打たれた球を逆に鋭く打ち返すなど、好プレーを多く見せる。第1セットを6-2で獲得すると、第2セットは4-5から一気に3ゲームを連取して勝利。全日本学生選手権(インカレ)ではベスト8に入った2人がストレート勝ちを収め、早大に王手をかける。そしてルーキーの山口柚希(スポ1=鹿児島・鳳凰)が勝負を決めた。山口は第1セットを0-6で落とす苦しい立ち上がり。しかし、第2セットの第1ゲームを長いデュースの末に獲得。スライスなども織り交ぜながらしっかりラリーをつなげて流れを取り戻した。相手に疲れが見えてくると、一気に畳みかけて第3セットに持ち込む。「得意なところで勝ちを決めてやろう」(山口)と臨んだ第3セットは早々に6ポイントを連取して試合を決めた。下位陣3人の活躍で上位陣の結果を待たずに早大の勝ち越しが確定した。
下位陣に続いて試合に入った上位陣も隙を見せない戦いぶりを見せた。S3の高畑は速いテンポでどんどんストロークを打ちこんでいく。ネットプレーでも多くのポイントを奪い、終始相手を寄せ付けずに勝利した。S2の丹下も力のあるフォアハンドで相手を圧倒。第1、第2セットともに流れに乗ると、一気に相手を突き放した。最後に試合に入ったS1の白石も相手に2ゲームしか与えずに勝利。正確にベースライン際に決まるストロークや緩急自在のボレーなど技術力の差を見せつけた。下位陣からの流れを受けて戦った上位陣は全員が完勝。結果的にシングルスは全勝で勝負を締めくくった。
早大の勝利を確定させた山口
最終結果は8-1。ダブルスでリードし、シングルスの下位陣で確実に勝負を決めるという早大らしい戦い方で明大を下した。シングルスは全勝という最高の結果に終わり、早大の強みである層の厚さを見せつけることもできた。次戦の相手は宿敵・慶大。王座16連覇を目指す早大の前に立ちはだかる最大のライバルだ。6月の早慶戦では7-2で下しているが、インカレで単複優勝を果たした藤原智也などを擁し、油断はできない。「ここで満足することなく」と畠山主将は気を引き締める。王座進出は決まったが、目指すべき頂はまだまだ先。さらなる高みを目指して、早大は負けられない相手との一戦に臨む。
(記事 山床啓太 写真 横松さくら)
結果
〇早大 8―1 明大
▽男子ダブルス
D1● 畠山尚・増田健吾 [5-7、4-6] 北岡志之・森大地
D2○ 白石光・池田朋弥 [6-3、6-3] 藤永啓人・副田温斗
D3○ 丹下将太・高畑里玖 [6-3、6-3] 宮永竜聖・坂井修造
▽男子シングルス
S1〇 白石光 [6-0、6-2] 河内健
S2○ 丹下将太 [6-4、6-2] 田中瑛士
S3○ 高畑里玖 [6-1、6-2] 飯田翔
S4○ 渡部将伍 [6-4、6-0] 徳航太
S5○ 小久保蓮 [6-2、7-5] 町田晴
S6○ 山口柚希 [0-6、6-2、10 -4] 太田翔
コメント
畠山尚主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)
――王座出場が決まっての今の感想からお願いします
まずは一つの目標というか最低ラインをクリアできたのかなと思います。クリアはしましたが、トーナメント優勝と王座優勝が一番の目標なので、ここで満足することなく来週1週間を過ごしていきたいと思います。
――トーナメントの開催が決まってからはどのような準備をしてきましたか
まず王座の予選が開催されるかどうかもわからない状況の中、(トーナメント開催が)決まったということで、そこに関わってくださった皆さんに感謝の気持ちを持ちました。トーナメント方式というのが例年と違って、試合形式もダブルスはノーアドバンテージで、シングルスも変わりました。まずそこに選手が慣れることが重要だと思ったので、そこに向けての練習をしました。
――ダブルスの結果を統括していかがでしょうか
ダブルスでしっかりリードしてシングルス陣に折り返すということを目標にしていました。クリアはできましたが僕と増田のD1が負けてしまって、そこは反省点だと思います。来週は勝てるように1週間、しっかり練習したいと思います。
――シングルスの結果は統括していかがでしょうか
ダブルスを2-1で折り返して、下でしっかり決めてほしいという思いがありました。実際に(シングルスの)4、5、6に出た選手が勝ちをもぎ取ってきてくれたので、上位陣も安心して試合をすることができたのかなと思います。
――ルーキーの山口選手の活躍についてはどのように見ますか
インカレでも慶應の白藤(成)選手に勝利して、結果を残している選手だったので今日、しっかり勝ってくれたことはチーム的にも大きな意味があるのかなと思います。
――シングルスは全勝ということで、今後にもつながってきますか
シングルスが強いというのが早稲田のイメージだと思うので、それを武器に来週の早慶戦も。相手も違いますしレベルも違いますが、そこで早稲田のシングルス陣の強さを見せられればと思います。
――次戦の慶大戦に向けてのチームとしての意気込みをお願いします
春の早慶戦では勝利していますが、秋の早慶戦もしっかり勝てるようにチーム一丸となって1週間、練習に励みたいと思います。
山口柚希(スポ1=鹿児島・鳳凰)
――シングルス6での起用となりましたが、どのような考えで試合に挑みましたか
正直なところ、何も考えていなかったです。やることをやるだけかなと思っていました。
――ファーストセット0-6からセカンドセットはどのようなことを切り替えましたか
相手が強いなと思っていたので、吹っ切れて自分のやることをやって、チームのために勝とうと思っていたので、何事も諦めず自分ができることを今やろうと思いました。
――ファイナルセットを振り返っていかがですか
10ポイントは得意なので、負ける気は最初からしませんでした。得意なところで勝ちを決めてやろうというくらいの気持ちでやっていたので、頑張れてよかったです。
――山口選手の勝利で早稲田大学の勝利が確定しましたが、これについてはどのように思いますか
「やったー!」と思いました。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
コンディショニング的に出られるか分かりませんが、慶應との試合はいつも個人戦でも楽しみながらできているので、王座に励みになるように頑張りたいと思います。