「本当にやってきて良かった」石川・吉岡組がフルセットの決勝を制し、悲願のインカレ優勝!(女子ダブルス決勝)

庭球男子

 優勝が決まった瞬間、コート上には笑顔で抱き合う2人の姿があった。男女で単複の決勝が行われた全日本学生選手権(インカレ)最終日。女子の方ではここまで第2シードとしての実力を遺憾(いかん)なく発揮してきた石川琴実(社3=東京・白鵬女子)・吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)組がダブルス決勝に出場した。相手は第1シードの永田杏里・平田歩組(慶大)。実力者同士の対戦となった決勝戦は、第3セットまでもつれ、石川・吉岡組に軍配が上がる。これまで卒業していった先輩たちとのペアで実績がありながら、怪我や不調などうまくいかない時期もあった2人が悲願の優勝。日本一に輝いた。

 

2人とも前に出てプレーする石川・吉岡組

 「自分たちが積極的に仕掛けていくということを意識して」(石川)試合に臨んだ2人。その言葉通りのプレーで第1セットは石川・吉岡組のペースとなる。第1ゲームこそ40-40になった末に取られたが、第2ゲームは0-40から逆転してキープ。ここから石川・吉岡組が試合を支配する。石川の鋭いストロークがショートクロスや深いところなど、厳しいところに決まり相手前衛に仕事をさせない。そして甘くなったボールを吉岡が確実に前で仕留めるというかたちで多くポイントを奪った。第2ゲームから4ゲームを連取、第8ゲームには4ポイント連取で取るなど、完全に試合を掌握し6-2で第1セットを獲得した。このままの流れで試合を決めるかと思われたが、第2セットは一転して相手の流れに。動きの良くなった相手に強いストロークを打ちこまれ、甘くなったボールをボレーで決められるという第1セットとは逆の展開に変わってしまう。さらに40-40のポイントも全て相手に取られ、勝負どころで波に乗れず。第2セットは0-6とあっさり奪われてしまった。

 運命の第3セット、10ポイントタイブレーク。第2セットと第3セットの間のトイレットブレークで「この舞台を楽しもう」(石川)、「10ポイントを楽しもう」(吉岡)と話していた2人は、最後の大一番、落ち着いてポイント間には笑顔で話す様子が見られた。序盤から0-2、2-4、3-5と追う展開が続いたが、準々決勝では4-8から逆転もあり、「負ける気もしなかった」(吉岡)と自信があった2人。「目の前の1本に集中してできていた」(石川)と焦らずにじっくり相手についていき、カウント5-7の第13ポイント。ついに流れを引き寄せ、4ポイントを連取して9-7と形勢逆転。そのまま追いつかれずに逃げ切り、歓喜の瞬間が訪れた。フルセットにもつれた試合を制し、石川・吉岡組が優勝。最後のポイントが決まった瞬間、2人は満開の笑顔で喜びを分かち合った。吉岡は昨年のインカレでのけがを乗り越え、石川は不調の時期を乗り越えともにつかみとった最高のひと時だった。

 

優勝の瞬間、2人で抱き合う石川・吉岡組

 「プレッシャーではなく自信に変えて今後やっていきたい」(吉岡)。今年の3月に卒業していった先輩たちとのペアリングで実績を持っていた2人が、今度は同学年同士のペアリングで優勝をつかみ取った。この成功体験が大きな自信に変わり、2人をさらに強くしてくれるはずだ。さらには「課題はまだまだたくさんある」(石川)と勝って兜の緒を締めるのも忘れない。リーグ戦に代わる団体戦がどうなるかはまだわからないが、開催されればそこでもきっと中心選手として活躍してくれることだろう。苦しい時期を乗り越え、雨にも負けない晴れ晴れしい姿を見せてくれた石川・吉岡組。今後の2人にますます目が離せない。

 

見事優勝を成し遂げた石川・吉岡組

(記事・写真 山床啓太)

結果

女子ダブルス
▽決勝
○石川琴実・吉岡希紗 [6-2、0-6、10 -8] 永田杏里・平田歩(慶大)

チャンピオンスピーチ

石川 まず初めにこのような状況の中で、大会を開催してくださった全日本学生テニス連盟の方々、スポンサー企業さま、本当にありがとうございました。また、日頃からサポートしてくださる監督コーチ陣をはじめとする早稲田の関係者の方々、ありがとうございました。優勝することができて本当にうれしく思っています。今後もこの結果に満足することなく、また頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

吉岡 まず初めにこのコロナの状況の中で、今大会を運営してくださった全日本学生テニス連盟の皆さま、大会関係者の皆さま、ありがとうございました。また、長い間支えてくださった早稲田の関係者の皆さま、ありがとうございました。また、たくさん迷惑をかけ、すごく頼りになる石川選手、ありがとうございました。私は高校3年間、この三重県で過ごしてすごく思い出のある地でダブルス優勝することができて本当にうれしく思います。シングルスでは悔しい結果に終ってしまったのでまた来年、この場に立てるように頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

コメント

石川琴実(社3=東京・白鵬女子)・吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)

――まず優勝おめでとうございます! 今の率直な気持ちからお聞かせください

石川 うれしいです!

吉岡 私もうれしいです!

――今回の相手が平田選手・永田選手のペアということでどういった考えで試合に臨みましたか

石川 結構、試合もしてきて手の内はお互いにわかっているという状態で入りました。相手というよりかは自分たちが積極的に仕掛けていくということを意識して試合に入りました。

吉岡 やはり2人ともストロークがいいというのはわかっていたので、そこで勝負するのではなくて2人でポイントを取りに行こうという気持ちではやっていましたが、なかなかうまくいかない時間帯が多かったので、そこは悔しい終わり方にはなってしまったかなと思います。

――第1セットの中盤から流れに乗って取っていましたが、振り返っていかがですか

石川 自分たちから積極的にやろうとできたというのが、セットを取れたということにつながったのかなと思います。

吉岡 40-40とかを取っていけたのがキーとなって流れに乗っていけたのかなと思います。

――第2セットは相手の流れでしたが振り返っていかがですか

石川 なんかあっという間に取られたなという印象で(笑)。もうちょっとついていけたら違う結果にはなっていたと思いますが、そこでうまく切り替えられたのは良かったかなと思います。

吉岡 セカンドに入って最初の方に40-40が多くて、そこを取れていたら相手を乗せることなくできていたと思うのですが、そこで取られてしまったせいで、2セット目は向こうが乗ってきてしまったかなと思うので、そこは反省があります。

――第3セットは追う展開からの逆転でした。振り返っていかがですか

石川 離されすぎずについていけていたので、逆転できたのかなと思いますし、そんなに焦らずに目の前の1本に集中してできていたのが良かったと思います。

吉岡 なかなか調子が上がらず、先にリードされてしまったのですが、今までの試合の10ポイントでも同じかたちがあってそこで勝ちきれているという経験があって、そこで引かずにいけばポイントは取れるなというのはありました。負ける気もしなかったので、思いきりいくところは思いきりいけたかなと思います。

――ポイント間で話している時の笑顔が印象的でした。その辺りはいかがですか

石川 決勝のファイナルで、もうあと10ポイントしかなかったので、この舞台を楽しもうとは思っていました。

吉岡 トイレットブレークを取って、話していた時に10ポイントしか戦えないというのは話して。10ポイントを楽しもうと2人で話してから入れたので、楽しくできたと思います。

――特に吉岡選手はけがもあったりして、お2人とも思うような結果を残せなかった昨年のインカレから約1年間、この期間をどう振り返りますか

吉岡 今年、ペアが決まる時に石川と組みたいと思っていて、石川とペアが組めるとなってから絶対に2人でインカレ優勝を狙おうという気持ちがありました。優勝を狙って優勝できたというのは、すごくうれしいです。

石川 正直に言ったら苦しい時期の方が多くて、自分の思っているテニスと全然違うテニスをしていた時もあったし、練習してもなかなか結果として出てこなくて迷走した時期もありました。それでも最終的にこのインカレでシングルスも一応ベスト16には入れたし、ダブルスも優勝という結果として出たのは本当にやってきて良かったなと思います。

――お2人のダブルスで慶應の男女単複4冠を阻止するかたちになりましたが、これについてはどう思いますか

石川 入る前に意識はしました。しましたが、そんなに気にせずに1つの勝負だと思って。慶應で負けたくない相手でもあったので、そんなに考えずには試合をしました。

吉岡 4冠を取られたくないなとは思っていましたが、そこまで意識はせずできていたかなと思います。

――今回のインカレ優勝という経験を今後どう活かしていきたいですか

石川 もう本当に自信に変えて。でも課題はまだまだたくさんあるので、一つ一つ。勝ったけど、みたいな部分が多いので来年は2連覇という難しい目標にはなりますが、ダブルスはそこを狙っていきたいと思います。

吉岡 プレッシャーではなく自信に変えて今後やっていきたいです。完璧なダブルスができての優勝ではなかったので、もっと上を目指してやっていきたいと思います。

――今後に向けて一言お願いします

石川 団体戦が行われるかはわからないですが、気持ちを早く切り替えて団体戦の準備をして、出た試合はしっかり1本取ってこれるように、チーム早稲田で頑張っていきたいと思います。

吉岡 今大会は個人戦でしたが今度は団体戦があるとするとみんなで力を合わせて頑張らないといけないので、引っ張りつつもみんなで鼓舞しあいながらやっていきたいと思います。