熱戦続く大会4日目 押川は吉岡との同校対決制し3回戦へ 高畑はまさかの敗戦

庭球男子

 全日本学生選手権(インカレ)4日目。この日も雨の影響であまり試合は消化できず、残っていた女子シングルスの3回戦と男子シングルスの4回戦が行われた。女子シングルスではルーキーの渡邉優夢(社1=兵庫・相生学院)は敗れてしまったが、安藤優希(スポ1=東京・日出)は勝利。また、押川千夏(社3=福井・仁愛女子)がシードの吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)との同士討ちを制した。男子シングルスでは高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)が惜しくも敗戦したほか、山口柚希(スポ1=鹿児島・鳳凰)は敗れてしまったが、5人の選手がベスト16入りを果たした。

★高畑がまさかの敗戦も5人がベスト16に進出(男子シングルス3回戦)

 

惜しくも敗れてしまった高畑

 白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)はこの試合でもさすがの実力を披露。ラリーの早い段階で前に行くなど、積極的に攻めるようにしてあっという間にポイントを奪っていく。攻めにいってのミスからゲームを取られることもあったが相手に与えたゲームはわずか3つ。1時間もかからない試合時間で高速で決着をつけた。丹下将太(教3=東京・早実)は決め球のショットをミスするなど、100パーセントの力を出せたわけではなかった。それでも、第8ゲームから3ゲーム連取し、逆転で第1セットを獲得すると第2セットも優位に立ち、6-4で勝利した。高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)は第1セットの第1ゲームからいきなりブレークし、幸先よく試合に入る。しかし、第6ゲームでブレイクバックを許すとそのままサービスキープの展開となり、タイブレークへ。こちらは序盤からポイントを奪われ、第1セットを獲得することはできなかった。第2セットは相手のミスが続くようになり、4ゲームを連取する。しかし、「集中力もプレーもあまり嚙み合わずになあなあで進んでしまっていた」(高畑)と振り返るように、そこから4ゲームを失い追いつかれる。その後の2ゲームを連取し、試合は10ポイントタイブレークへ。序盤は高畑の流れで進み、一時は6-2と引き離すも、ゆっくりとしたテンポのラリーが続く中で攻めきることができず、7-7と追いつかれる。その後、高畑が2回マッチポイントを握るも、あと1ポイントが遠かった。決めきることができず、10-12で接戦に敗れ、悔しさをにじませた。

 池田朋弥(スポ2=愛知・誉)は、互いにサービスゲームをキープし合う試合展開。池田が強烈なファーストサーブで簡単にキープを重ねれば、対照的に激しいラリーの末に相手がキープを続ける。それでも流れを渡さずに、第1セットは7-5で獲得。第2セットも似た展開が続きタイブレークまでもつれると、池田は一時マッチポイントに持ち込んだ。勝利は目前かと思われたが、まさかの5連続ポイントを許し、試合は勝負の10ポイントタイブレークへ。暗雲が立ち込める中であったが、試合を決めたのはやはり池田の武器であるサーブであった。6度のサービスポイントで全てを取り、相手を振り切った。第3セットは10-2で4回戦に進出した。小久保蓮(スポ3=愛知・名古屋)も我慢の試合運び。第1セット序盤はリードを許すが、第10、11ゲームを連取し優勢に。しかし直後にでブレイクバックされ、タイブレークに持ち込まれる。これを7-5で制しなんとか第1セットを先取するも、第2セットには5-2まで進めながら5連続でゲームを落とし、こちらも勝利目前で第3セットへ。難しい球にも食らいつく矢島淳揮(法大)に対し、小久保も正確なショットを連発し、白熱したラリーが展開された。このセットを小久保は10-8で制し、4回戦への切符を手にした。

 

ベスト16入りを果たした池田

 山口柚希(スポ1=鹿児島・鳳凰)は明大の田中瑛士と対戦。鋭い切り返しをみせる田中に対し、苦しい時間が続いた。第1セットを3-6で落とすと、第2セットもブレークからスタートしながら、その後4ゲームを連続で落とし、歯がゆさを隠しきれない素振りも見受けられた。それでも、サーブにより敵を打ち崩す場面が増えたことや、積極的に前に出る場面を増やしたことで試合は徐々に山口ペースに。第8ゲームから4連続でゲームを奪い、タイブレークまでもつれ込んだ。しかし、相手にミニブレークを複数回許し、万事休す。4-7で落とし、3回戦での敗退となった。渡部将伍(教3=東京・早実)は2ゲームを取られれば、2ゲームを取り返すといったようにどちらに流れが転ぶかわからない状況で試合が進む。3-5から2ゲームを連取して迎えた渡部のサービスゲーム。ここではポイントを取るたびに声を出してガッツポーズをするなど、さらに集中してプレーし、この試合初めてとなる3ゲーム連取で第1セットをものにした。第2セットは試合の流れが渡部に傾き、フォアハンドでポイントを重ね、6-3で3回戦を突破した。

★押川と吉岡の同士討ちは押川に軍配 2人が3回戦へ(女子シングルス2回戦)

 

同士討ちを制した押川

 早くも2回戦から実現した押川千夏(社3=福井・仁愛女子)と吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)の同校対決は序盤から緊迫した展開に。速いテンポのラリーが続き、互いにゲームを取り合う。一時は5-3と吉岡がリードしたが、第9ゲームから押川の厳しいところを狙った速いストロークが決まるようになり、押川が4ゲームを連取して逆転で第1セットを獲得する。第2セットでは吉岡も自分から攻めに行く展開をつくろうとするも、第3ゲームの後にメディカルタイムアウトを取ったように、足の調子が悪くなかなか反撃できない。「流れもつかめないしリズムも乗っていけなかった」(吉岡)というように、押川が攻める展開は変わらず。第2セットは6-3で押川が同士討ちを制した。安藤優希(スポ1=東京・日出)は安定した試合運びを披露。長いラリーが続く中で、打ちにいくところとつなぐところのメリハリをつけ、あまりミスをすることなくポイントを重ねていく。第1セットはわずか1ゲームしか与えずに試合は第2セットへ。フォア、バックともに低く鋭い相手のストロークが入るようになり、第1セットのように簡単にはいかなかったが、粘り強くラリーし、試合の流れは渡さない。5-5から最後は2ゲーム連取で相手を下した。渡邉優夢(社1=兵庫・相生学院)は、昨年のインカレにおいて単複2冠を達成した阿部宏美(筑波大)と対戦した。序盤から強打に苦しめられる場面が散見されるも、負けじと渡邉もサーブから流れを引き寄せる場面を演出。粘り強さを遺憾(いかん)なく発揮する。結果としては敗戦を喫したが、前年度女王から第1セット、第2セット共に2ゲームずつを奪うなど、1年生ながら実力の高さをみせた。

(記事・写真 山床啓太、橋口遼太郎)

結果

男子シングルス
▽3回戦
○白石光 [6-2、6-1] 衣川信繁(愛学大)
〇池田朋弥 [7-5、6(8)-7、10 -2] 山口雄矢(中京大)
○小久保蓮 [7-6(5)、5-7、10 -8] 矢島淳揮(法大)
●高畑里玖 [6(3)-7、6-4、10 – 12] 佐々木健吾(慶大)
○丹下将太 [6-4、6-4] 岡悠多(亜大)
●山口柚希 [3-6、6(4)-7] 田中瑛士(明大)
○渡部将伍 [6-4、6-3] 新井翼(法大)
女子シングルス
▽2回戦
○安藤優希 [6-1、7-5] 丸希星(駒大)
○押川千夏 [7-5、6-3] ●吉岡希紗
●渡邉優夢 [2-6、2-6] 阿部宏美(筑波大)

コメント

吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)

――相手が押川選手でしたがどのようなことを意識して試合に臨みましたか

本戦組で安藤、押川、吉岡の3人でずっと練習してきて、ポイント練習とかも多くやっていて、相手は私の苦手なところを知っているし、相手のテニスも私は知っているしという感じだったので、知っている中での試合でした。同士討ちだったのでやりにくさというのはすごくあって、意識しすぎてしまって自分が硬くなってしまったというのはありました。打たなければという気持ちもあったのですが、やりにくいなという気持ちの方を強く持ってしまっていた分、思いきりもできなかったし、変に意識してしまった部分はありました。

――そういったところがファーストセット序盤のなかなか引き離せない展開につながりましたか

40-40が多くあったり、ゲーム内でも競っていたりしたので、気持ち的な余裕は全然持てなかったし1回、5-3になったのですが、そこでも全然離れている感じはしなくて。余裕が全然自分の中でなかったので、いっぱいいっぱいの中、テニスをしていたのかなと思います。

――ファーストセット終盤は押川選手のストロークに押されているように見えましたが、振り返っていかがですか

私のテニス的にも、自分からコースをついて攻めていかないとポイントが取れないというスタイルにも関わらず、こっちが少し受け身になってしまって向こうが先に展開してという感じでした。受け身で試合を進めてしまって自分からポイントを取りに行けるというポイントではなくなってしまったなと思います。

――セカンドセットの3ゲーム目が終わったところで足を気にしていましたが

あれは今日、朝にストレッチのアップをしている時に「バチッ」っていって。なんかおかしいと思って、その後もトレーナーさんに診てもらって、大丈夫だろうという感じで(試合に)入ったのですが、少し気になったので(スタッフ)を呼びました。途中で痛み止めも飲んだのですが、間に合わず、意識がそっちにいってしまっていた部分もあって、試合に集中しきれなかったのは反省点ではあります。

――後半から相手に押される中でどのように挽回しようとしましたか

自分が先に攻められているというのはわかっていて、ベースラインよりもだいぶ後ろに下がってしまっていたので、立ち位置をもうちょっと上げて、自分から攻撃しようとは思っていたのですが、足がついてこなかったのと、負けられないという気持ちが力みにつながって簡単なミスが出てしまったというのがあって。流れもつかめないしリズムも乗っていけなかったので、悔しい試合にはなりました。

――ダブルスに向けて意気込みをお願いします

昨年のインカレもけがで単複両方終わってしまったという経験があって、ペアにもすごく迷惑をかけてしまったので、昨年も優勝を狙っていましたが今回こそはダブルスでタイトルを取れるように目の前の1試合、1試合を集中して頑張っていきたいなと思います。

高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)

――惜しくも敗れてしまいましたが今の率直な感想は

悔しいの一言です。

――ファーストセットのタイブレークを落とした後、セカンドセットは流れに乗れましたが振り返っていかがですか

セカンドも4-0まであっという間に進んで完全に流れが来ている中で、今日は集中力のアップダウンが激しくて4-0から4-4の15-40までいって。それも振り返ってみると、4-0で自分の流れだったのに追いつかれて逆転されそうなところまでいって、今日は全然嚙み合っていないというか、集中力もプレーもあまり嚙み合わずになあなあで進んでしまっていたなというのは反省点です。

――その要因はどこにあると考えますか

相手がナイスファイトで全部拾ってきて、自分が気持ちよくプレーさせてくれなかったというのもありますし、自分もどこか余裕があるというかまだいけるんじゃないかという気持ちの緩さといいますか、もっと1ポイントずつファイトするべきだったけど、ちょっと無駄なミスも多かったのかなというのはあります。

――相手と緊迫した打ち合いが続く中でどういったことを意識していましたか

向こうはディフェンスがうまくて、チャンスがあれば前に入ろうと思っていたのですが、相手の球も深くて迷ってしまった部分があって、今日は消極的だったのかなと思います。

――マッチポイントからあと1ポイントが遠い展開となりましたが、その要因は

長いラリーで足にもきていて、大事な場面で攻めにいくという展開を最近はできていたはずなのですが、ゆっくりの展開だったので足が止まってしまうことが多くて、なかなかそういう展開にできなかったので、気持ち的な部分でもまだ迷いがありますし、まだまだ隙だらけだなと自分で思いました。

――ダブルスに向けて意気込みをお願いします

シングルスは残念でしたが、ダブルスは池田としっかりファイトしてダブルスは優勝できるように頑張りたいと思います。