全日本学生選手権（インカレ）２日目は雨の影響で、予定から１日遅れて女子シングルスの１回戦が行われた。早大からは予選を勝ち抜いて本戦に進出した６人の選手を含む計８人の選手が出場。白熱した試合が繰り広げられ、田中李佳副将（スポ４＝兵庫・相生学院）、前田優歩（社３＝沖縄尚学）は敗れてしまったものの、他の６選手は１回戦を突破した。
バックハンドを打つ谷
「相手と合わなくて、焦りが勝ってしまって」という谷美七海（スポ１＝愛知・誉）の第１セットは、攻めの一打がなかなか決まらず、相手に６ゲーム連取を許してしまう。しかし第2セットが始まるタイミングで取ったトイレットブレイクが功を奏し、試合の流れは谷の手に。体の動きが格段に良くなり、自分からのミスが減った。第２セットをものにした谷の勢いは止まらず、10ポイントタイブレークの第３セットも、粘り強く勝利をもぎ取った。今年が最後のインカレとなる松本妃那（スポ４＝福岡・柳川）も、決して楽な勝利ではなかった。相手の身長を生かした高い打点からの鋭いサーブに苦しみながらも第１セットを６－４で取った。しかし迎えた第２セット、第１ゲームを相手にブレークされてしまう。その後互いにキープする展開が続くが、どこかでブレークを返さなければいけない松本は、ゲームカウント４-５の場面、気迫にあふれたプレーでブレークに成功。勝負どころのタイブレークで相手に与えたのはわずか１ポイント、松本らしいテニスで締めくくった。サーブで相手を圧倒し、安定したプレーを見せた石川琴実（社３＝東京・白鵬女子）は６－３、６－２の快勝。粘り強く走り続け、パワーショットで相手を翻弄（ほんろう）した梶野桃子（社１＝京都外大西）も集中を切らさずに勝利し、ともに２回戦へと駒を進めた。
今大会がインカレ初出場の前田は序盤、ミスを連発して３ゲームを連取されてしまう。その後、雨での中断を挟み試合が再開されると「もう打とうと決めてコートに入りました」（前田）というように意識を切り替えて再び試合に臨んだ。第１セットを落とす中でもフォアハンドの感覚を修正すると、第２セットではストロークの強打や得意のネットプレーで攻め、７－５とする。しかし、第３セットでは再びミスを連発してしまい、２－10と大きく引き離されて敗れた。松本と同じく最後のインカレを迎えた田中は第１セットの中盤で過呼吸の状態になってしまい、思うようなプレーができなくなってしまう。その後はドクターの診察も受けてプレーを続行し、セカンドセット序盤では２ゲームを取ったが、苦しい状態は変わらず。最後まで戦い抜いたものの、1回戦敗退となった。渡邉優夢（社１＝兵庫・相生学院）は互いにキープし合う展開の中、第８ゲームで初めてブレークに成功し第１セットを獲得すると、第２セットでは６－２と相手を圧倒した。押川千夏（社３＝福井・仁愛女子）はストロークの調子が良く、第１セット、第２セットとあっという間に獲得し、快勝で２回戦に進出した。
フォアハンドを振り抜く前田
今回、１回戦を突破した選手たちはシード勢との２回戦に臨む。梶野は慶大の永田杏里と、渡邉は筑波大の阿部宏美と、といったように対戦相手はどの選手も強力だ。２回戦が早くも一つの大きな山場となる。チャレンジャー精神を持ち、強気な姿勢で勝利をつかみ取りたい。
（記事・写真 山床啓太、田島璃子）
結果
女子シングルス
▽１回戦
●田中李佳 [１-６、２-６] 田中菜冴美（姫大）
〇石川琴実 [６-３、６-２] 小柳優望（関学大）
○谷美七海 [０-６、６-１、10 -６] 大津あかり（鹿屋体大）
○渡邉優夢 [６-３、６-２] 園城海遥（亜大）
●前田優歩 [０-６、７-５、２- 10] 原田真美子（山学大）
○松本妃那 [６-４、７-６（１）] 富濱祥子（鹿屋体大）
○梶野桃子 [６-２、７-５] 齊藤ななみ（関大）
○押川千夏 [６-０、６-３] 角田唯（立大）
コメント
前田優歩（社３＝沖縄尚学）
――ファーストセットが０－６でセカンドセットで３ゲーム連取しましたがどういったところを修正しましたか
最初に入った時の10分アップからフォアの感覚が良くなくて。相手はやることを徹底していて守りのプレーだったのですが、私がそれに付き合うのか、もっと自分から攻撃していくのかが中途半端なままプレーをしていたので、中断が終わってからはもう打とうと決めてコートに入りました。ファーストは０－３だったのでとりあえず、自分の感覚を良くするために体を使って、もう落としてもいいから自分の感覚が良くなるような落とし方をしようと思って０－６になりました。その時も感覚は悪くなくてセカンド勝負だなと思って。そうしたら結構相手も焦ってくれて３－０にできました。
――その後は相手も粘ってきていましたが、その辺りのプレーを振り返って
攻撃するところと我慢してラリーするところというボールの判断をしっかりしながら、ラリーするようにしました。
――ファイナルセットではミスが痛かったと思いますが、その要因はどういったところにありますか
10ポイントに入る前に相手が絶対しつこくやってくるのはわかっていたのですが、私がそれに「嫌だな」という気持ちを抱えたまま最初やってしまって。０－３までいって、そこで相手のダブルフォルトが絡んだのでそこを活かそうと思ったのですが、次も私がリターンミスをしてしまって淡白なプレーになってしまったなというのは10ポイントをやっていて感じました。
――今回、初めてのインカレだったと思いますが予選からここまでを戦っての感想は
春関で本当に不甲斐ない試合で終わってしまって、でもなんとかインカレ予選にはつなげられて。どちらかというと私はダブルスがメインになってしまうところがあるのですが、その分シングルスではノンプレッシャーで予選も楽しみながらできたのが予選を勝ち上がれた一つの要因かなと思います。
――ダブルスの試合に向けての意気込みをお願いします
私たちはダブルスも予選からだったのですが１試合、１試合やっていくにつれて神鳥（舞 スポ３＝東京・早実）とのペアリングも良くなってきているので、本戦はどこにあたっても強い相手ですが、チャレンジしていくことを忘れずに２人でコミュニケーションを取りながらダブルスも１つでも多く上を目指して頑張っていきたいなと思います。
谷美七海（スポ１＝愛知・誉）
――大逆転して試合を終えた時の気持ちはいかがでしたか
とりあえず勝って良かったってほっとしている気持ちです。トーナメントは勝ち上がらないとだめなので、とりあえず勝てて良かったです。
――１セット目、相手に６ゲームを連取されてしまいました
最初はちょっと相手と合わなくて、焦りが勝ってしまって。修正しきれずに終わってしまったので、１セット目が終わって、トイレットブレイクに行きました。
――トイレットブレイクが試合の流れを大きく変えましたが、どのように修正しましたか
足が緊張して動いていなかったので、そこをしっかり修正して、足を動かして目の前のことだけをしっかりやっていこうと思いました。
――次の試合に向けて意気込みをお願いします
次は強い選手だと思うので、チャレンジャーとして、しっかり強気で挑んでいきたいと思います。