世代を越えた団体戦で早稲田が躍動! プロを撃破し準決勝へ

庭球男子

 トッププロ、大学生、高校生による世代を越えた団体戦トーナメント、ジャパン・プレミアム テニストーナメント盛田正明杯が開幕した。この大会はコロナ禍による大会中止の影響で、出場機会を失った選手の救済の場を設けるという目的で開催されたものである。早稲田はシングルス1、2に白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)、高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)、ダブルスに増田健吾(社3=東京・早実)、池田朋弥(スポ2=愛知・誉)組を置いた布陣で出場。1日目は1回戦で柳川高校に勝利し、2回戦ではプロの選手を相手にジャイアントキリングを達成。2日目の準決勝へ駒を進めた。

 今大会はシングルス2本、ダブルス1本で行われ、試合形式は1タイブレークセットマッチである。1回戦はインターハイ優勝27回を誇る名門、柳川高校と対戦した。まずはシングルス2で高畑が先陣を切る。中盤でミスが増え、ブレイクバックされる場面もあったが、落ち着いてプレーして相手を突き放し、1勝目を挙げた。シングルス1では白石が圧巻のプレーを披露。第2ゲームから一気に6ゲームを連取し、早稲田の勝利を確定させた。ダブルスの増田、池田組は4―6で敗戦。先にブレークを許すと相手の良いプレーの前に流れを引き寄せることができなかった。

 

2回戦のシングルス2でバックハンドを振り抜く高畑

 2回戦の相手は全日本男子プロテニス選手会の選抜チームである。シングルス2の高畑は全日本選手権で単複優勝の実績を持つ江原弘泰と対戦。序盤からラリーの中で正確にライン際をつく江原のストロークと時折混ぜてくるドロップショットなどに苦戦し、防戦一方の展開に。終盤になんとか1ゲームを返したが、1―6の大敗だった。続いて、シングルス1の白石は望月勇希(イカイ)との試合に臨んだ。序盤は相手の攻めに対して粘り強くつなぐ守りのテニスを続け、第3ゲームでブレークに成功。徐々に流れは白石に傾き、試合の後半は前に出るなど、積極的に攻めてプレーした。終盤は相手を寄せつけず、6―2で勝利し、2回戦の勝敗はダブルスにゆだねられた。

 増田、池田組と上杉海斗(江崎グリコ)、小ノ澤新(イカイ)組の一戦。序盤から増田と池田の2人は「ここ絶対ファースト入れるよ!」「取るよ取るよ!」といったように声を出して鼓舞し、気迫を全面に出して戦った。池田のビッグサーブやネットプレーなど随所で好プレーを見せるが、相手も譲らない。試合はタイブレークに突入した。タイブレークは2人の闘志が流れを引き寄せたのだろうか。主導権を握ったのは増田、池田組だった。池田の今日1番のビッグサーブが決まりマッチポイントを迎える。そして池田のサーブから、増田のスマッシュが決まり、ゲームセット。手に汗握る大熱戦を制し、早稲田はプロの選手を撃破した。

 

2回戦のダブルスでポイントが決まり雄たけびをあげる増田(左)と池田

 今大会の世代を越えた団体戦トーナメントは初の試みである。その中で早稲田はプロ相手に堂々とした戦いを見せ、番狂わせを演じた。違う世代との戦いで敗戦の中での気づきもあれば、勝利で得られる自信もあるはずだ。今大会がさらなる成長のカギになる。準決勝では実業団の三菱電機と対戦する。今年の3月に卒業した田中優之介(令3スポ卒=現三菱電機)との試合にも注目だ。初の大会で初代優勝の栄冠を勝ち取るべく、早稲田は2日目の試合に臨む。

(記事、写真 山床啓太)

結果

1回戦 早大 2−1 柳川高校

▽男子シングルス

S1 ◯白石光 [6-1] 森田皐介

S2 ◯高畑里玖 [6-3] 蔡旻修

▽男子ダブルス

D1 ●増田健吾・池田朋弥 [4-6] 堤野竜司・野口聡太

 

2回戦  ◯早大 2−1 男子プロテニス選手会

 

▽男子シングルス

S1 ◯白石光 [6-2] 望月勇希(イカイ)

S2 ●高畑里玖 [1-6] 江原弘泰

▽男子ダブルス

D1 ○増田健吾・池田朋弥 [7-6(2)] 上杉海斗(江崎グリコ)・小ノ澤新(イカイ)

コメント

高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)

――今回、世代を越えた団体戦となりましたが、この大会についてはどのように思いましたか

僕はもともと出場する予定ではなくて、補欠というかたちで急遽出させていただきました。プロと実業団と高校生と大学生の団体戦は初めてということで、僕たちからしたら小さい時に試合を見に行った人たちと同じ空間でテニスをするというのは、すごくすばらしい機会です。その環境をつくってくれた人には感謝しないといけないと思いますし、パワーカップ(+POWER CUP)の時もそうでしたが、せっかく出場しているからには間近で見られる何かを吸収して持って帰らないと意味がないなと思います。今日近くでトップの選手を見て、実際にこうしたらいいなというのも自分の中であったので、明日も引き続きうまい選手を見て、何か一つでも吸収できればいいと思います。

――そのこうしたらいいなというものは具体的にはどのようなところでしたか

やはり、僕はワンパターンになりがちで後ろでストロークを打っていることが多いのですが、やはり駆け引きの部分で、例を出すなら白石さんと望月さんの試合とかは特に前に行く駆け引きがすごくおもしろくて。僕は前に行けるところで行けない時があるので、そういう駆け引きの部分で積極的に前に行かなければいけないなと思いましたし、まだまだその部分で僕はプロとしてやっていくには全然足りないかなと感じました。そういう部分を今後、しっかり頑張っていきたいなと思います。

――1回戦については振り返っていかがでしたか

1回戦は(相手が)年下で高校生ということもあって、思い切ってプレーしてきたので自分も引かずにプレーしようと思いました。途中でリードしてから向こうの方が思い切り来て追いつかれてしまう場面がありましたが、最後は冷静に対応してまた6―3というかたちで締められたのは良かったかなと思います。

――明日も試合があります。そこに向けて意気込みをお願いします

せっかく今日は池田と増田さんと白石さんがこうやってすばらしい試合をして勝ちにつなげてくれたので、明日はしっかり僕が頑張って勝ちに貢献できればいいなと思います。