試練の時を迎える女子部。主力が抜ける来年の団体戦は正念場に/女子部振り返り

庭球男子

 11月24日に幕を閉じた全日本学生選手権(インカレ)。女子部は3年連続で無冠に終わる残念な結果となった。今大会はダブルスが2回戦までに全組が敗退するなど、単複ともに最高成績がベスト16であった昨年以上に苦しい内容に。年々全国の舞台で早大の存在感が薄まってきているなど、女子部は試練の時を迎えている。

 「特にダブルスは優勝を狙えるペアが2つあった」と石井弥起監督が話すように、今大会は十分の戦力を有して三重の地に乗り込んでいた。関東学生トーナメントではシングルスで倉持美穂(商4=東京・早実)、ダブルスで下地奈緒(社4=沖縄尚学)・吉岡希紗(スポ2=三重・四日市商)組が優勝。ルーキーながら神鳥舞(スポ=東京・早実)が単複でベスト8に入るなど、強敵が顔を揃える中で十分すぎる出来であった。思うような結果を残せなかった選手もいたが、来年のチームで主力として期待される選手たちが軒並みインカレ進出を決め、地力をつけてきたように思えた。そして春関終了後は全国での巻き返しを誓い、各選手が練習に取り組んでいる様子が伺えた。

 その中で迎えたインカレの舞台。シングルスでは、神鳥がルーキーながらベスト16入り。優勝した阿部宏美(筑大)を相手にも主導権を握るなど、実力の片鱗を示すことができた。また田中李佳(スポ3=兵庫・相生学院)も神鳥を相手に敗れはしたが、徐々に復調しつつある。過去には関東学生新進選手権で優勝するなど、実力と経験を兼ね備える田中李が戦力として戻ってくることができれば、チームにとっては大きな上積みとなるはずだ。逆に今後に向けて不安を感じさせたのが、現2年生世代の選手たち。10月に行われた早慶対抗試合ではシングルスに3選手が出場するなど、チームの勝敗を握る存在として今後も活躍が求められる。安藤優希(スポ=東京・日出)は対戦ドローにも恵まれない不運もあり、インカレにシングルスでは出場できず。石川琴実(社=東京・白鵬女子)、吉岡の2選手も単複ともに実力からすると十分な結果を残すことができないまま、2年目のシーズンを終えた。エース清水映里前主将(スポ4=埼玉・山村学園)を筆頭に、シングルス・ダブルスの上位陣が抜ける来年はまさに正念場となるだろう。

 「この悔しさを忘れず。次は勝って泣こう、勝って笑おう」。女子部全選手の敗退が決まった直後、石井弥起監督は部員に対してこのようなメッセージを残した。これまでコーチ、監督として部員の頑張りを一番近くで見てきたからこそ、今回の結果は非常に悔しい思いが強かった。だが内容を見れば、勝ってもおかしくない試合が多かったのは事実である。それぞれの選手たちが今大会で足りなかった部分を詰めていくことができれば、来年こそは個人戦でも好結果を期待できるのではないだろうか。そして、笑って彼女たちが王座を『奪還』する姿を我々は楽しみに待っていたい。

(記事 大島悠希)

最終成績

▽女子シングルス(8人)

4回戦敗退

倉持美穂、神鳥舞

3回戦敗退

田中李佳

2回戦敗退

下地奈緒、石川琴実、吉岡希紗、渡邉早和子

1回戦敗退

押川千夏

▽女子ダブルス(4組)

2回戦敗退

下地奈緒・吉岡希紗、安藤優希・押川千夏、石川琴実・神鳥舞

1回戦敗退

倉持美穂・松田望愛

コメント

※以下のインタビューは大会期間中に行ったものです

石井弥起監督

――女子部についてお伺いしたいのですが、シングルスではベスト8に誰も入ることができず。ダブルスでは全ペアが2回戦までで敗退しました

一番に悔しいです。残念な結果に終わったと思います。特にダブルスは優勝を狙えるペアが2つあったので、少なからずショックですが、一番悔しいのは選手たちだと思います。終わってしまったことは仕方がないので、どうやって次につなげるかとしか思わないです。シングルスに関しては上位にいくのが理想であり期待をしていたのですが、他大学の選手たちも強かったです。その中で神鳥(舞、スポ1=東京・早実)が1年生ながらベスト16で内容としても惜しかったので、そこまで悲観していないです。今のチームは2年生を中心に頑張っている。日々の取り組みを頑張っているのは分かっているので、それを継続する。この負けをそのまま終わらせずら次につなげるだけです。強くなるためにどうすべきかというところです。

――中心となってくる2年生部員には皆で高め合っていく形を期待しているというところでしょうか

もちろんそうですね。部活なのでチーム皆でいい意味で引っ張り合いながら。いいライバル関係でいてほしいなと思います。お互いがお互いを高め合っていけるような集団であってほしいなと思います。

――選手に向けて伝えたい言葉、メッセージがあればお願いします

この悔しさを忘れず。次は勝って泣きたいなと。勝って泣こう、勝って笑おうと伝えたいです。

下地奈緒(社4=沖縄尚学)、吉岡希紗(スポ2=三重・四日市商)

――初戦敗退に終わりましたが率直な今の心境をお願いします

下地 負けちゃったなと、4年間終わってしまったなという感じです。

吉岡 私がシングルスで痛めてしまい、ダブルスに出るとなった時に奈緒さんに負担を掛けてしまった申し訳なさと。今できる状態の中では、できることができたと思います。

――ファースト、セカンドと、リードしている場面であと少しで勝利できる場面がありましたが

下地 実力的にも絶対に負けない相手だと分かっていましたし、最初は堂々とプレーすることができました。ちょっとしたミスであったりと、何とも言えない不安で自分も焦ってしまい、二人のダブルスを見失いました。相手は元々のポテンシャルも高いし、いいプレーをしてきました。チャンスがあったのに、こんだけ取りきれなかったことは、そういう日だったというか。そういうものなんだろうなと感じました。

吉岡 今回のインカレではデュースがなくて、40ー40で1本で決まる勝負が多く。最初の時は取れていてリズムには乗れていたのですが、後半に40ー40が取れなくなった時に流れが向こうにいってしまいました。焦りも出ました。普通にやれば負けない相手だとは分かっていたのですが、けがを気にしすぎて、流れが向こうにいってしまいました。

――流れが悪い中で中断となりましたが、翌日に向けてどのようなことを考えていましたか

下地 複雑なメンタルでした。今回のインカレでは優勝しか目指していなかったですけど、現実的に考えると、この状況で優勝は…と思っていました。優勝しか目指していない中でこの状況で、試合をする意味がよく分からなくなった時もありました。でもそんなことを考えたら駄目という思いもありました。インカレが行われることに感謝し、吉岡がけがを押して試合に出てくれることにも感謝もしていました。コートの中で試合ができるならば、やれることをやるしかないという複雑な気持ちでした。

吉岡 5-2から5-6の中断は流れ的にも良かったのかなと。自分のコンディション的にも、実際良くなったので。体の面や気持ちの面では次の日になって良かったです。自分たちからいければポイントを取れている事実があったので、中断で次の日になったことで思い切りいこうと思っていました。

――その中で今日のプレーを振り返ると

下地 吉岡も昨日より全然いいテニスができていた中で、プレーもすごく良かったです。本当に頑張ってくれるにも関わらず、自分は体が固まって。緊張をしているのは分かっていたのですが、いつもだったら緊張しても体は動いていたのですが。今日はそのような感じがなくて、心臓がバグバグしながら。怖いというか。チャンスなのにチャンスに感じなかったので、苦しかったです。プレー自体も吉岡はいいのに、私が足を引っ張っているなと感じました。

吉岡 コンディションが昨日の試合の中で思ったより悪化しておらず、ケアもしっかりしていたので状態としては悪すぎたわけではなかったです。自分の中でも不安を感じながらだったので、プレーだけに集中することはできてはいなかったので反省です。

――マッチポイントを2度握りましたが

下地 私たちの方が強気にいくべきなのに、向こうに押されてしまいました。気持ちやボールの勢いとかも、いつもの二人らしくなかったです。

吉岡 タイブレークは10ポイントなので、思い切りいったほうがチャンスはくるし、流れも掴める状態で。マッチポイントの時にもっと思い切りいくべきだったのに、安全な選択を多めにしてしまいました。相手はチャレンジャーの気持ちなので思い切りくると分かっていたからこそ、自分たちから強気にいくべきだったと思います。

――吉岡さんは今後の大会への抱負をお願いします

吉岡 大事な大会に照準を合わせ、体の状況を管理して、最高な状況をインカレに持ってこないといけなかったのに。疲れた時に休む勇気が出なくて無理にでも練習を続けたことが反省としてあります。休む勇気も必要で、しっかりと自分の体を管理できるように。そして、もっと体を強くしていくことができるようにしないなと思いました。来年しっかりと戦えるように体づくりからやっていきたいと思います。

石川琴実(社2=東京・白鵬女子 )、神鳥舞(スポ1=東京・早実)

――初戦に向けて、どのような調整をしてきましたか

石川 春関終わってから期間がなく、ペアとしてのはできていなかったのですが、気持ちの部分では春関の反省を生かすというか。強い気持ちを持って三重に来たつもりではいました。

神鳥 春関終わって、悔しい結果で。行けそうで行けない、結果を残せそうで残せない。インカレでもシードに入れて、ドロー的にもチャンスはあったと思うし、二人ともがそのことを感じた上で先を見据えすぎてしまった。勝ちたい、結果を残したい気持ちが先走りました。目の前の試合に集中しないといけない部分があったと思います。

――相手は1回戦から勝ち上がってきた勢いのある相手でしたが

石川 プレースタイル的にも勢いがあるのは分かっていたし。逆にミスが増える時間帯も最初から分かっていたことでした。

神鳥 プレー的に勢いはありますし。がたいもありますし、やりにくい部分はあったので勢いはありました。

――試合の入りを振り返ると

石川 ファーストセットは2-1の自分たちの40-40を取りきれなく。そこから相手に流れを持っていかれました。付いてくことはできても、余裕がない状態でした。その中でミスが重なりました。試合を通して、自分たちのテニスができたかと言われたらそうではないのですが。ファイナル10ポイントということで、ファーストでもう少し頑張らないといけなかったと思います。

神鳥 ファイナル10ポイントということで、できれば2セットで終わることはベストです。そう考えた時にファーストセットは大事でした。相手に勢いがあると思って、自分たちの方が守りに入ってしまいました。自分たちのプレーもできなかったし、簡単なミスも多かったです。

――どの部分でのミスが敗因につながりました

石川 相手のサーブ良かったのですが、リターンを当てているならコートの中に返すこと。リターンミスです。

神鳥 やはりリターンゲーム。リターンできる何かがないといけないなと思います。

――タイブレークを振り返ると

石川 出だしでちょっと離されすぎた。追い上げたけど、1回もリードは奪えなかった。出だしが重要とは分かっていたけど、リードすることができなくプレーッシャーを与えられなかったのは痛かったと思います。

神鳥 2-7までいってしまい。そこから勝つのは難しいと思うし、流れでダブルスは連続でポイントを取られる部分はあるので、そこをどうにかして食い止めるように。固くいきすぎてしまいました。

――その中で、一時は追い付くことができましたが

石川 追い付けても、勝てなかったら意味がないかなと。負けは負けなので、それを認め。今後にしっかりと生かしたいなと思います。

神鳥 同じです。追い付いたとしても負けたってことは変わらないので、そこは受け止めます。

――シングルス開始時は風が強かったですが、その対応にファーストセットは苦しんだのでしょうか

神鳥 風というよりかは、相手のプレースタイルが自分の思っていたのと違い、その部分で戸惑いました。最初の3ゲームは全部ゲームポイントがあったのですが取り切れなくて。少し力んだり、欲しくなった時にどういうプレーをすべきかは反省点です。

――相手は粘り強いプレーが持ち味でしたが、セカンドセットに向けてどのような部分を修正しましたか

神鳥 相手はどちらかというと自分から打ってくるのではなくて、自分が打ったボールをディフェンスする。私が決め切れるかの戦いだったので、セカンドセットはある意味でノンプレッシャーで自分が打つべき時は打って、コートを広く使ってプレーしていました。

――スーパータイブレークを振り返ると

神鳥 7-4でリードして勝ちが見えた時に、ビビったというか。そこまではやらないといけないことをやるだけだったので攻め切れていたのですが、そこで少し欲しくなった時にミスが目立ち。決め切る力が足りなかったと思います。

――シングルスで上を目指していくために、鍛えていきたい部分はありますか

神鳥 まずは攻めるボール。攻めるのが自分の良さだと思うので、そこの決定力や精度を上げていかないと、あのような相手には勝ち切れないと思います。あとはその中で、今日の相手を見習ってディフェンス力を上げる。ディフェンスができた上で攻撃力があれば、もっともっと上の人にも勝てるのではないかと思います。

――来年への意気込みをお願いします

神鳥 初めてのインカレでシングルスもダブルスもちょっとの差で負けはしましたが、負けは負けなので。久しぶりに悔しい思いをして負けたなという2試合だったのですが。でもまだ1年生であることをいいように捉えて、来年は口だけでなく結果を残せるように。単複優勝を一番の目標にしていきたいなと思います。