白石がシングルスで決勝進出!男子部に16年連続のインカレタイトルを持ち帰れるか

庭球男子

 全日本学生選手権(インカレ)も、残すところあと2日に。大会のレベルも上がり、各コートではハイレベルな攻防が展開された。早大からは白石光(スポ2=千葉・秀明八千代)が羽澤慎治(慶大)とのシングルス準決勝に。白石・丹下将太(教2=東京・早実)組が、田形諒平・弘光慎太郎組(筑大)とのダブルス準決勝に臨んだ。惜しくもファイナルセットの末にダブルスは決勝進出を逃したが、白石はシングルスで明日の決勝へと進んだ。

 

シングルスで決勝進出を決めた白石

 白石は羽澤相手に対して大学に入ってから3連勝中と好相性。「アップテンポになる方が強いタイプなので最初からゆっくりやって、いくところだけ上げる戦法」(白石)で、序盤から羽澤の動きを封じ込める。速いラリーをしてこようとする相手に対して、白石はやや遅く、深いストロークで返球し、チャンスを与えなかった。第2ゲームで「最初にブレークするぞという気持ちでやれた」(白石)といきなりブレーク。その後は白石のペースで試合は進み、6―1でファーストセットを奪った。セカンドセットも高い集中力を見せ、第1ゲームでいきなりブレークし、その後は4ゲームを連取。そこから2ゲームを返されたが、6―2で勝利した。この試合ではブレークされたゲーム以外のサービスゲームでは2ポイントまでしか取られないなど、好調のサーブが光った。さらに「バランスのいいテニスができた」(白石)と攻めも守りも調子が良かった。羽澤相手にはこれで4連勝。油断のできない相手だが、相性の良さが健在であることを証明した。

 田形・弘光組は、準々決勝で第1シードの今村昌倫・羽澤組を破るなど今大会波に乗っている。「勢いがあり、思い切ったプレーが持ち味だと分かっていた」(丹下)と語るように、相手の勢いをいかに封じることができるかが、勝敗の鍵を握っていた。しかし白石・丹下組はファーストセット序盤から相手の勢いに押される格好に。デュースの末に丹下がサービスエースを決めて第1ゲームをものにしたが、続く第3ゲームに相手にブレークを許してしまうとその後は我慢の展開。「リターンゲームはノーチャンスなところが」と完璧なプレーを披露した田形・弘光組の前に反撃の機会すらなかった。相手は力強いサーブに加え、前に詰めるタイミングも秀逸であったのだ。セカンドセットもファーストセットと同様に田形・弘光組が簡単にキープし、白石・丹下組がどうにかサービスゲームをキープする展開が続く。その中で第6ゲームを、相手に1ポイントしか与えずキープすると、次の第7ゲームでついにブレークに成功。「自分たちからしっかり声を出し。競るくらいの勢いを出して戦いました」(白石)と攻めの姿勢を見せ、状況を好転させることができた。勝敗の行方はファイナルセットに委ねられた。弘光のサービス時に立て続けにポイントを獲得し、5-1と白石・丹下組は大きなリードを奪う。しかし徐々に相手に差を詰められて追い付かれると、最後は相手の素晴らしいショットが炸裂。7-10でファイナルセットを取られ、ベスト4で終戦となった。

 

白石・丹下組は惜しくも決勝進出を逃した

 シングルス決勝の相手である田形は優勝候補筆頭であった今村を破るなど今大会最も勢いに乗っている選手であるが、準々決勝、準決勝のように自分の展開に試合の流れを持ち込むことができれば、自ずと勝つチャンスは増えるだろう。インカレの舞台で男子部は15年連続で単複どちらかのタイトルを取り続けてきた。それはまさしく、全日本大学対抗王座決定試合を連覇してきた時期と重なる。今大会では苦戦を強いられてきた早大勢であったが、次期エースの白石がシングルスで着実に決勝に残るなど、王者の矜恃を依然として保っている。決勝で優勝を掴み、早大の強さを他大に見せつけたいところだ。

(記事 大島悠希、山床啓太 写真 小原央)

結果

男子シングルス
▽男子シングルス 準決勝
○白石光 [6-1、6-2] 羽澤慎治(慶大)
男子ダブルス 準々決勝
▽男子ダブルス 準決勝
●白石光・丹下将太 [4-6、6-4、7-10] 田形諒平・弘光慎太郎(筑大)


コメント

白石光(スポ2=千葉・秀明八千代)

――今日の試合は相手が羽澤(慎治、慶大)選手でしたが、どのように試合に臨みましたか

今まで負けたことがなくて良いイメージで試合に臨めました。(相手は)アップテンポになる方が強いタイプなので最初からゆっくりやって、いくところだけ上げるという戦法がうまくはまってくれて。ファーストもセカンドも離せたので気持ちよくプレーできました。

――ファーストセットは先にブレークして離していくことができましたが振り返って

接戦になると強いというのは分かっているので、やはりどのゲームも無駄にしないで離していきました。最初にブレークしたゲームも1―0だからどっちでもいいという気持ちでいくよりかは、最初にブレークするぞという気持ちでやれたのが良かったなと思います。

――セカンドは相手のサービスゲームからで、デュースの末に取れましたが、そこもそのような意識があったのですか

そうですね。どんなに離していても怖い相手で、あまり落ちないし、まくって勝つタイプなので、全ゲーム集中してセカンドも同様にやりました。

――セカンドセットは4―0になったところから2ゲーム取られた場面がありましたが振り返って

王座(全日本大学対抗王座決定試合)の決勝の時に6―0、4―1ぐらいから4―4までいって、怖いなと思った時がありました。今日もありましたが、やはりあのままいくわけがないし、それは想定内で、離せていたので気楽にやれました。

――今日の試合はブレークされたところ以外のサービスゲームはデュースにならずにキープできましたが、振り返って

サーブは良くなってきていて、コースとか速さも良くて。今大会はサービスゲームのキープもしっかりできているので、そこは自信がありました。

――全体的にプレーで悪いところがないように感じましたがいかがでしたか

すごくバランスのいいテニスができたと思います。攻めも守りも、守るだけではなくていくところはいけていたし、リターンエースもありました。コートサーフェスが遅いので自分から打ちにいきやすいし、返しやすいし良かったと思います。

――今回で羽澤選手相手には大学に入ってから4連勝となりましたが、その点についてはどのように感じますか

4連勝していてもまだ怖いし、全然油断できないです。早慶戦、リーグ(関東大学リーグ)、王座と3回やるので、油断することなくやりたいなと思います。

――明日の決勝は相手が田形(諒平、筑波大)選手になりました。決勝に向けて意気込みをお願いします

諒平は同郷でずっと一緒で、国体も僕と諒平でしたし、今年の都市対抗(全日本都市対抗大会)も一緒でした。同郷で決勝ができるというのはすごく楽しみです。羽澤と似ていて、アップテンポの時は今日の今村さんの時(準決勝)みたいに、打たれるときは強いタイプなので、自分からゆっくりやっていくという戦法でいいと思います。(相手は)サーブがいいのでしっかりリターンをして、今年は2回やっていて両方勝っていて、大学に入ってから負けていないので最初から良いイメージです。今すごくノリノリで良い調子で来ると思うので、しっかり頑張りたいと思います。

白石光(スポ2=千葉・秀明八千代 )、丹下将太(教2=東京・早実)

――筑波のペアが相手でしたが、相手のどの部分を警戒していました

丹下 一度対戦したことがあって、その時は焦らずに勝てました。油断はしてなかったのですが、自分たちの実力を出せれば勝てる相手だろうな思っていました。勢いがあり、思い切ったプレーが持ち味だと分かっていたので、乗らせると怖いと思い、その部分は警戒していました。

白石 二人ともリターンが速かったり、サーブが速かったりと勢いのあるペアで受け身になりました。強かったです。前対戦した時は弘光君がミスが多くてそこを狙えばという感じだったのですが、今日はリターンもボレー返せるし、狙える部分がなかったです。

――ファーストセットは先にブレークされましたが、どのように相手サービスをブレークしようと考えていましたか

丹下 流れ的に相手サービスを頑張ってキープしてあっさり落とす展開が続いていたので、まずはラリー。相手に一球でも打たせることを考え。リターンを突くというよりかは、ロブで返してコートにねじ込むことを意識しました。

白石 今日はリターンゲームはノーチャンスなところが。サーブも良かったし、ボレーも、リターンを返しても打たれた。正直自分たちのサービスを落としていたら簡単に負けたと思うし。セカンドで4-3の時に殻を破るというか。声を出して、元気にプレーしたらいけました。惜しかったですね。やることはやりました。

――セカンドセット、ブレークしたゲームを振り返ると

丹下 相手に一球でも多く打たせることを考えて、リターンゲームは戦っていて。相手は勢いがあり押され気味になっていたので、白石も言ったように自分たちからしっかり声を出し。競るくらいの勢いを出して戦いました。結果、ブレークにつながりました。

白石 正直あまり覚えてないです。勢いで戦っていたと思います。考えすぎず、とりあえずコートに返すことを意識しました

――試合を通して、特に田形選手のサービスではチャンスをつくれなかったが

丹下 二人ともサーブがかなり良く、自分たちがリターンの精度があまり良くなく。サーブが良かったので、チャンスはつくれなかったです。

白石 弘光君がボレーを前に詰めていて、もしリターンを返したとしても次に決められるパターンが多かったです。あそこまでいいプレーをされると、しょうがないという気持ちでした。

――ファイナルセットの出だしなどを振り返ると

丹下 ブレークしたゲームで勢いが大事であると分かったので。プレーもですが、二人で声を出していくことを雰囲気をつくることを意識してプレーしました。リードすることはできたのですが、その後は失速した感じです。

白石 しょうがない。7-8であのサーブいれられると。弘光君の7-7のフォアのストレートも入ったし、最後のサーブも決められたので、仕方がないです。

――今後ペアとして強化していきたい部分は

丹下 まずはサーブ力の強化が一つ課題に挙げられると思います。今日の試合でもサーブ力の差が出たと思うので、しっかり威力あるサーブを広確率で入れば安定してキープできると思います。その分リターンゲームも余裕出てくると思うので。まずはサーブの強化を行っていきたいと思います。

白石 ボレーの動きですね。丹下がクロス出している時にパッと出ることや、スマッシュとかの決定力です。基礎的なことを頑張っていきたいと思います。

――今後の目標について

丹下 年内は試合がないと思うので、ここから追い込んで。年明けに動ける体をつくれるようにして。やはり早慶戦、王座優勝がチームの大きな目標なのでそこに照準を合わせる。チームとして自分たちが主軸となっていくと思うので、引っ張っていけるように実力付けていきます。

白石 とりあえず明日シングルスでリベンジします。僕と丹下のダブルスは来年インカレで優勝できるように頑張ります。リーグはD1になると思うので、チームに貢献できるように頑張ります。