四日市テニスセンターを舞台に、全日本学生選手権(インカレ)本戦が開幕した。例年は真夏の炎天下の中での開催であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた今年は11月に延期。当初は予選も行われる予定であったが、四日市市側からの開催規模縮小の要請を受けて本戦のみの実施となった。大会初日は男女シングルスの1回戦が行われ、早大からは計5選手が出場した。押川千夏(社2=福井・仁愛女子)が初戦敗退したが、その他の4選手は2回戦に駒を進めた。
押川は普段通りの実力を発揮することができなかった
女子シングルスには3選手が出場。ファーストセット序盤、押川は4ゲーム連取するなど勢いに乗った。このままストレート勝利が濃厚かと思われたが、第6ゲームから精彩を欠いた動きを繰り返してしまう。特にフォアハンドストロークが安定せず、ライン際を狙って放たれたショットが次々とアウトに。最後まで立ち直すことができずファーストセットを失うと、続くセカンドセットも相手に押し切られてしまった。石川琴実(社2=東京・白鵬女子)はファーストセット、セカンドセットともに、序盤お互いキープしあう展開が続く。その中で先にブレークすると、その後は相手に1ゲームも与えない見事な試合運びを見せた。「自分にプレーシャーをかけすぎずできたのが逆に良かった」と、固さを見せることもなくゲームを掌握し続けた。「攻め急いでのミスが多かった」と語るように、完成度を高めて次の試合には臨みたいところである。ルーキーの神鳥舞(スポ1=東京・早実)は6-2、6-2の完勝。ミスも目立っていたが、春関(関東学生トーナメント)でのベスト8入りがフロックではないことを全国の舞台で証明して見せた。
男子シングルスに出場したのは、武藤洸希(スポ3=東京・大成)と高畑里玖(社1=兵庫・相生学院)の2選手。「最初にブレイクすることがターニングポイントだと思っていた」と、武藤は第3ゲームをブレイクすると、その後は相手に反撃の糸口を与えなかった。続くセカンドセットは序盤から相手が声を出し始めるなどし、巻き返しを図る。「ボールがあまり飛ばなくなってきた」ことによる効果も相まってか、リードを許してしまった。しかし慌てることなく、バックからの展開を増やしていくことで流れを引き戻す。最後は相手のサービスゲームをブレイクして勝利を決めた。高畑は日大の中村悠人を相手に3ゲームしか許さず。「勝たないといけない試合で6-1、6-2で勝てたことは体力的にも気持ち的にも良かった」と語るように、本人にとっても納得のいく試合運びとなった。
余力を残し、2回戦に進んだ武藤
今日の試合を勝ち上がった選手は2回戦でシード選手と当たることになる。「相手はシード選手なので、しっかり向かっていく気持ちでやっていきたい」(石川)と、4選手はチャレンジャー精神を持って試合に臨む。ファイナルセット10ポイントは運や流れに左右される部分も大きく、まず1セット取ることができれば勝機は大きくなっていくだろう。臆することなく、試合を戦っていきたいところだ。
(記事、写真 大島悠希)
結果
男子シングルス
▽男子シングルス 1回戦
○武藤洸希 [6-2、6-3] 冷水悠人(近大)
○高畑里玖 [6-2、6-1] 中村悠人(日大)
女子シングルス
▽女子シングルス 1回戦
○神鳥舞 [6-2、6-2] 水谷朱里(愛知淑徳大)
○石川琴実 [6-2、6-1] 横山円香(北教大)
●押川千夏 [5-7、3-6] 安部有紗(山学大)
コメント
武藤洸希(スポ3=東京・大成)
――コンディションはどうでしたか
コンディションとしては、不安な部分もあったのですが試合には支障がないレベルのことだったので、かなりいい状態で臨めたと思います。
――ファーストセットは先にブレイクをしましたが
相手はファーストサーブに一撃性がなかったので、どちらかというとブレークしやすいなと思っていました。先にブレイクをすることができたら、リターンでプレッシャーをさらにかけることができるなと思いました。最初にブレイクすることがターニングポイントだと思っていたので、最初のリターンゲームを一番集中してゲームを取りにいきました。
――ファーストセットは狙い通りの展開でプレーできた感じですか
はい。
――セカンドセット序盤は相手が声を出したりとリズムを取り戻しつつありましたが、武藤さんとしてはどのように感じていたのですか
セカンドセットはボールが使い込まれたことでパサパサとなり、あまり飛ばなくなってきていました。相手はラリー系のタイプなので、自分が最初の頃打ってきて決まっていたボールを返されるようになり、それで相手のペースとなっていました。1-3になった時に、打たずに展開で挑む。展開力でゲームを取るようにしたら、ゲームを取ることができました。最後5-3でニューボールになったので。ニューボールだと一撃性で自分の方が有利なので、きっちりとブレイクをできました。途中の対応力が今回は良かったと思います。
――焦りとかはなかった感じですか
1-3から1-4になったら焦ったと思います。ここ取られたらまずいとなっていたと思います。セカンドセットのターニングゲームでした。1-3のゲームでは考えて考えて、プレーに辿りつきました。
――2回戦に向けて余力を残すことができた感じですか
体力的にそこまで使ってなく。全ショットを確かめることができたので、逆に1回戦があって良かったと思います。
――最後に次戦への意気込みをお願いします
2回戦の相手はプロの選手に勝ったり、関西で優勝したりと勢いに乗っている選手なのでチャレンジャー精神でいきつつ。自信を持って戦いたいと思います。
高畑里玖(社1=兵庫・相生学院)
――初戦突破したことに関して
正直ほっとしています。とりあえず2個勝つことはドローが出た瞬間からありました。勝たないといけない試合で、6-1、6-2で勝てたことは、体力的にも気持ち的にも良かったと思います。
――試合の入りは意識しましたか
そうですね。春関(関東学生トーナメント)を通してもそうだったのですが、ファーストの入りで広げるのが、自分が調子のいい時の良さだと思います。今の試合も出だしでいきなりブレイクできたのは気持ち的にも余裕ができますし、相手も少し焦ると思うので出だしは良かったと思います。
――セカンドセットは圧倒していましたが、振り返ると
ファーストセットはあまりラケットを振れなかったのですが、セカンドセットの2-0辺りからラケットを振れるようになり。自分のプレーを、余裕持ってできたと思います。
――今後見据えて改善していきたい部分は
集中力が春関に比べて足りないと思うので、しっかりと1ポイント1ポイントを我慢して集中していきたいと思います。
――明日以降への意気込みを最後にお願いします
明日の相手は昔から知っている人なので。今年に入ってから、練習試合でも一回戦いましたし、お互いの強みや弱点は分かっていると思うので。気持ちの面で負けないように。ノーシードなので、しっかりとチャレンジャーの気持ちを持って戦いたいと思います。いけるところまでいきたいです。
石川琴実(社2=東京・白鵬女子)
――ファーストセット、流れが変わったポイントについて
2-2のゲームで相手のサーブをしっかりブレイクできたところです。それまでずっとキープ、キープで。自分にブレイクチャンスがありながら自分のミスで相手にキープされてしまう。離せそうで離せない感じだったので、そこでしっかりブレイクできたことが大きかったです。
――ファーストセット、セカンドセットと、ブレイクした後は相手にゲームを許しませんでしたが
サービスゲームをしっかりキープして、リターンゲームでチャンスあればくらいで考えていました。一回ブレイクすることができればいいかな程度で考えていたので(笑)。自分にプレーシャーをかけすぎずできたのが逆に良かったです。
――今日はフォアを振り切ることはできていましたか
振り切ることはできていたと思うのですが、ちょっとミスが多すぎて。満足のいく試合ではなかったです。初戦の緊張する中で、しっかりと勝ち切れたことは良かったです。
――次の試合に向けて改善したい部分は
攻め急いでのミスが多かったので、しっかりラリーするところはラリーしたり、攻守のメリハリを意識していきたいと思います。相手はシード選手なので、しっかり向かっていく気持ちでやっていきたいと思います。
――最後に意気込みをお願いします
単複ともに強気なプレーが第一かなと思います。