ラストを飾るのは木元風哉前主将(社4=埼玉・早大本庄)、藤井颯大(スポ4=京都・同志社国際)の4年生コンビ。仲のいい2人とあって、対談は終始賑やかな雰囲気で進行した。4年生は早慶対抗試合(早慶戦)で引退ということになったが、2人は学生大会の締めくくりとして、インカレに臨む。最後の晴れ舞台で有終の美を飾ることができるか、2人の戦いに注目だ。
※この取材は11月15日に行われたものです。
「同期が協力して、何かできることはないかという話をしていた」(木元)
主将としてチームを引っ張ってきた木元。大きな成長をした一年となった
――お互いの印象はいかがですか
木元 世話の焼ける同期ですね。
藤井颯 まあそうだろうね。
木元 自覚しています(笑)
藤井颯 (木元は)主将で責任のある役職で、僕は平部員でそうではなかったので。やっぱり注意するところはいっぱい注意され。でもこんな優しいキャプテンで良かったなと思える木元君でした(笑)。
木元 思ってないな(笑)
――主将として頼りになるという感じでしたか
藤井颯 頼りになるというよりも、やっぱりちゃんと優勝に向かって努力してくれているなと思いました。
木元 他人事やん(笑)
――世話の焼けるという話でしたが具体的にはどのような感じなのでしょうか
木元 そうですね、まあ道を踏み外してしまうというか。寝坊してしまったり、練習を休んでしまったり。大馬鹿野郎ですね(笑)
――4月になって自粛期間になってしまいましたが、この期間はどのようなことを行っていましたか
藤井颯 俺は結構テニスやってた。
木元 4、5月に入ってからは、1年生で2、3月に練習に参加していない子では顔合わせすらできていない子もいました。初顔合わせをして早く部活を再開できたら、なるべくスムーズにコミュニケーションを取れるようにということで、ZOOMを使って少人数の班で自己紹介をしたり。コミュニケーションを取る場を設けるということは部としてやっていました。
藤井颯 4月とかは就職活動が続いていて。就職活動で語る内容として、日本一に貢献するために自分はどういうことをしたかということをたくさん喋るので。今年も絶対に日本一を取りたいなという思いが強かったので、練習も怠らずに自主練も思い切りしてました。自分の実力の維持に猛烈な努力を積んでいました(笑)
木元 口だけです(笑)
――テニスはできていた感じだったのですか
藤井颯 使えるコートを探したり、テニスじゃなくても走ったりしてトレーニングはしていました。
木元 僕は全然していないですね。(使える)場所もなくて1回ぐらいしかできていないです。トレーニングはやっていました。みんなでトレーニングをしようとなってZOOMをつないでみんなでやったりしていました。
藤井颯 やったっけ?そんな。
木元 部員はやっていたんだよ。部員じゃない(笑)
――テニス以外ではおうち時間でやっていたことはありますか
木元 おうち時間は…。
藤井颯 荒野行動してなかった?
木元 あ、荒野行動はしてたかな。でも荒野行動恥ずかしいな。
藤井颯 (笑)
木元 ゲームもしていたんですけど。就活まっただ中だったので、部活ができない分就活に注力できました。部活の方もいろいろと同期が協力して、何かできることはないかという話をしていました。
藤井颯 やっぱり就活を一番にやっていました。ZOOM飲みとか流行らなかった?
木元 流行ってたけど、やってた?
藤井颯 やってた。友達に会えないのでめちゃくちゃ電話したり、ZOOM会をしていました。
「最後のインカレは楽しんで終わりたい」(藤井颯)
最後のインカレでは、素晴らしいプレーを期待したい
――このような状況になってしまった中で、4年生でどのような話をされましたか
木元 リーグ(関東大学リーグ)と王座(全日本大学対抗王座決定試合)がなくなった時は呆然という感じだったんですけど、「どうするんだ」となっていた時に早慶戦をどうにか開催できないかという話が出てきました。最初は全体的には難しいんじゃないかという意見が多かったんですけど、いろいろな方が動いてくださって徐々にできる兆しが見えてきて。それを受けて4年生もそれに向けて準備をしていったという感じでした。早慶戦ね、良かったよね。
藤井颯 めっちゃ良かった!
――早慶戦については振り返っていかがですか
木元 この状況で早稲田がどんな感じになるのかと思ったんですけど、まず勝てたのがほっとしました。主務の藤井(竣介、商4=愛知・昭和)とも話したんですけど、颯大の方の藤井がけがとか練習もあまりできていなくて、出るのが難しい感じでした。4年生でメンバーとして出られる可能性があったのが4、5人くらいで、やっぱり最後は4年生全員で勝って、チームの勝利にしたいなというのもあったし、今までも修羅場というか大事な試合で勝ってきてくれていたので、その藤井君がいないというのは結構心配はありました。
――早慶戦で印象に残った試合はありましたか
藤井颯 僕も配信で見ていたんですけど、、
木元 本当に?
藤井颯 本当。女子の方をいっぱい見ていたんですけど、奈緒(下地、社4=沖縄尚学)ちゃんとかもっちー(倉持美穂、商4=東京・早実)の活躍が。
木元 女子やんけ(笑)
藤井颯 奈緒ちゃんともっちーは結局負けてしまったんですけど、めちゃくちゃ良いプレーをして。4年生の意地を最後に出し切って終わるという感じの根性を見れました。
木元 自分が試合をしていた時は、他の試合を見れていないんですけど。1年生が初の団体戦で2人とも勝ってくれたというのが今後のチームのためにも良かったし、よく頑張ってくれたなと思いました。2年生で出た2人も単複は初だったと思うんですけど、それをしっかりやり遂げてくれた良かったです。もう全部良かったです。4年生も最後ということで良い試合をしてくれました。来年にもつながるし、今年としても良い試合をしたと思います。
――春関については振り返っていかがですか
藤井颯 3回戦で負けてしまったんですけど、教育実習が3週間あって。ほとんど練習ができていない中で出ました。インカレ(全日本学生選手権)を決めてその後は負けてしまったんですけど、同じ相手にインカレでまた当たるのでインカレで勝てたら春関で負けてもどうでもいいやと言えるぐらいの気持ちで。最後のインカレは楽しんで終わりたいと思います。
木元 春関は、結果的に自身初のシングルスで賞状というところは感激しました。最後の最後で夢だったシングルスの賞状をもらえてうれしかったです。
――インカレに向けても収穫になりましたか
木元 そうですね。最後の負けた試合は田形(諒平、筑大)選手がすごく強くて。実力の差を見せつけられたので、インカレまで短いですけどできることをやりたいです。
――インカレが最後の学生大会になりますがそのことについてはどのように感じますか
木元 やっぱりコロナでごたごたしていたので、「うわ、最後だ」というガンとくる感じがなく。「最後なんだ」という感じではいるんですけど、あまり実感がないです。大会がずれ込んだりしていたので。不思議な感じです。
藤井颯 言葉にならない(笑)。最後だからこそ楽しんで一日でも長く大会に残っていたいと思います。
――ここまでを振り返ってどのような4年間でしたか
木元 きつい時期もあったけど、やっぱり楽しかったんじゃないかと思います。代が変わって部活に毎日参加するわけではなくなり。毎日練習することが楽しいというより、当たり前にここに来たらチームのみんなと楽しくおしゃべりとか練習も楽しくできる時はできるというのが、なんだかんだ楽しかったと思います。
藤井颯 1年生の時はしんどかったり、2年生の時は勝ってうれしかったり、アップダウンを感じた4年間でした。何か一つに注力して頑張った分、努力が報われた瞬間がうれしいというのが。やっぱり今後も何か努力して報われたときに大きな収穫があるんじゃないかなと。努力する力を身に付けたのかなと。
――インカレの目標とそこに向けての意気込みをお願いします
木元 ベスト8決めで今乗りに乗っている後輩の白石(光、スポ2=千葉・秀明八千代)と当たるので、とりあえずそこまで行くことが目標です。そこでは楽しく、ナイスプレーありの良い試合ができれば悔いはないです。
藤井颯 インカレでベスト16が最高なので、ベスト8に入る。最後に4年間磨き上げてきたテニスの実力を、テニスコートでも表現できたらいいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 山床啓太)
◆木元風哉(きもと・ふうや)
1998(平10)年10月16日生まれ。東京・早大本庄高出身。社会科学部4年。
◆藤井颯大(ふじい・そうた)
1998(平10)年5月10日生まれ。京都・同志社国際高出身。スポーツ科学部4年