第7回に登場するのは、加藤翼(社4=和歌山・慶風)、樋口廣太郎副将(スポ4=福岡・柳川)、堀凌輔(社4=福岡・柳川)。最上級生となりレギュラー層・育成層の中で重要な立ち位置である3選手に、これまでの早大での競技生活からラストイヤーへの想いなど多くの話を伺った。
※この取材は3月26日に行われたものです。
「真面目なオーラを出さなくても助かっている」(加藤)
初対談の加藤選手だったが、場を盛り上げてくださった!
――新体制が発足してから約5カ月経ちましたが、部の雰囲気はどうですか
樋口 部の雰囲気はいいんちゃう(笑)
加藤 いいんちゃう?
堀 新1年生にハッパを掛けられた感じがあります。育成から選手を見ると、さらに緊張感が高まったというか。新1年生が強いので、強いからこそ現役も頑張る流れになっているように感じます。
樋口 練習人数的にも今まで少なかったので、活気があるというか。にぎやかな雰囲気なので、皆が競い合ってできてるのかなと。いい雰囲気ですね。
加藤 1年生が入ったのと。僕たちの代はふざけた代だと思っていたのですが、意外と4年生になってから真面目で。自分が真面目なオーラを出さなくても助かっているので、そこら辺はやりやすく自分を出せていると思います。
樋口 真面目なオーラって何?
加藤 俺が(チームを)締めなくても。
堀 締めれねえよ(笑)
一同 (笑)
――入学予定の1年生が強いという話がありましたが、1年生の印象はどうですか
堀 育成層の話で言うと、全国でずっと勝った選手よりも高校から始めた子であったりと、成績のない子でも入ってくれていい雰囲気になってるのかな。強くないと入れないってよりかは、誰でもウェルカムだよってのはいい傾向かなと思います。2人くらいそういう子が入ってくれているので、そこはいい傾向かなと思います。谷垣(絢也、スポ4=東京・足立学園)君がつくってくれたんですけど。
加藤 パイオニアね。
堀 谷垣君分かりますか?是非今後会ってみてください!
樋口 谷垣特集!
加藤 何をネタにするの?(笑)
堀 この流れのパイオニアだからね!
加藤 で、質問何だっけ?
堀 1年生がどうなのか。
加藤 僕たちはまだ育成層と選手層で練習が分かれていて、選手層の1年生と関わる機会は少ないです。育成層だと初心者ではないですが全国に出れてない子も入ってきていて、新しい雰囲気を感じる部分もあり、フレッシュな部分を感じます。あと自分は紺碧寮なのですが、1年生の藤岡(凌大、文構1=東京・早実)っていう早実の子が入ったので、そいつの面倒をこれから見ようかなと思います。多分、磨けば光る逸材なので!
――どこの部分が光るのですか
加藤 彼は持っています。
一同 (笑)
堀 テニス?ギャグ?
加藤 ギャグだね。
樋口 選手層は社交的というかいい子が多くて、意外と早くなじめているなと見ていて思います。チームをつくるためにはある程度上下関係は大事だと思うのですが、コミュニケーションの量が問われると思うので、自分からも積極的に声を掛けてます。新チームは主に1年生が輝けるチームをつくっていきたいです。
――最上級生となりましたが3人の部内での役割は
堀 育成層副将。育成層を基本的にまとめる。具体的には対校戦だったりのスケジュール管理とか。あと何かあった?
加藤、樋口 ワセクラ委員。
堀 ワセクラ委員長などなどっすね。
樋口 自分は選手層の副将を務めていて、役割としては練習の雰囲気づくりと。主将の目が届かないところにも目を向けて、一人一人とコミュニケーションを取るとか、どんなことを考えてるか汲み取って、うまくモチベーションを上げる役割をしています。あとは寮看をしています。
加藤 そうなの?(笑)
樋口 トップをしています。堀も同じ寮なのですが、ご飯に誘うといつも来てくれない(笑)。
堀 行ってんじゃん。高確率だよ。
樋口 最近はちょっと寂しい思いをしている。そんな感じです(笑)。
堀 これは被害妄想です。
加藤 自分は分析委員長をしています。内容としては、他大学のオーダーや選手の力を分析する役割です。自分たちの選手の状態を確認したりなどを王座やリーグ前にはします。あとはムードメーカーとしてチームを支える役割を任されています。これは嶋﨑徹夫監督(平元商卒=神奈川・桐蔭横浜)に年賀状で「部のムードメーカーとして頼んだ」と書かれていたのでやっています。
――堀さんは育成層副将を2年連続で務めてますが、去年の取り組みを継承したりしているのですか
堀 最近は育成層からレギュラーに上がる選手とかもいるので、育成層からも頑張る選手がいるので、上で練習させる機会を増やしていけるかが大事になってくると思います。育成層と選手層で、最近は練習試合をやったりしています。2年目になったので、どんどん新しいことをやっていけたらいいなと考えています。
――育成層の中で成長が著しい選手はいますか
加藤 誰すか?
堀 加藤選手!!
一同 (笑)
樋口 著しいか?
堀 著しいですね。四日市(全日本学生選手権の会場)を目指してね。有終の美を!
加藤 インカレ(全日本学生選手権)に出たことがないので、(今年は)自分の実力で。昨年は分析委員としての参加だったのですけど、今年は選手として行くために育成層の中で一番頑張っていると思います。
堀 らしいです(笑)
一同 (笑)
堀 次3年の新井(湧己、教3=東京・早実)とかは、テニスが好きなので頑張っています。
加藤 あと新1年生の清水君(拓弓、スポ1=滋賀・光泉)。全国に出た中で一人だけ育成層のポジションになったので、そこをうまくモチベーションを下げさせないようにしていきたいです。
「チャレンジの選択」(堀)
育成層副将として2年目を迎える堀
――新4年生はどのような雰囲気ですか
樋口 雰囲気としては感じとってもらった雰囲気。楽しいというか和気あいあいとした雰囲気ではないですかね。その中でもちゃんとしてる人はちゃんとしていて、ふざけている人はふざけているので。そのバランスをうまく取れているのが4年生ではないかなと思います。さっき藤井(颯大、スポ4=京都・同志社国際)と千頭(昇平、スポ4=愛知・誉)にインタビューをされたと思うのですが、あいつらは特に。特に要注意の人物です(笑)。
――逆にしっかりしている方は
樋口 そうっすね。
一同 (笑)
樋口 主将、副将。主務や委員長はしっかりしています。でないと、(役職を)務められないので(笑)。
堀 意外と自覚が出てきたよね。責任が出てきたりと。
樋口 就活生で何もできないので何かをしないと。
堀 1年生の時は季節ごとにいろいろ遊びに行っていたのですが、最近全然できなくなりました。
樋口 おっさんになったな(笑)。
――3人が早大に入った経緯は
加藤 就活~(笑)
樋口 最初は、早稲田は雲の上の存在で自分の進路に入れていなくて、(進路としては)地方の大学でした。テニスをやるかも分からなかったです。その中で最後の年に戦績が出て、自分の可能性を信じて早大に飛び込みました。
堀 僕は逆に3年生の時に成績を残せなかったのですが、日本一を達成できなかったからこそ、(大学日本一の)その環境で戦いたいというのはありました。チャレンジの選択でした。
加藤 僕も高3は全然駄目で高1の戦績で入ったのですが。本当に高3の最後はテニスを辞めようかなと思ったのですが、今までテニスをさせてくれたのは親のおかげなので、恩返しの意味でも一番テニスが強いところを目指しました。そこでテニスも勉強も頑張るのが恩返しだと思ったので早稲田に決めました。
――入った時の目標はありましたか
加藤 最初は目をキラキラさせて。大学テニスのレベルもよく分かっていなかったので、全国の上位を目指していました。今はこのような結果になってしまって、少し悲しいです。大学テニスはレベルが高いです。
堀 1年生の頃は全く勝てなくて失望しました。目標はレギュラーでやりたかったですね、入った当初は。ただやばいと思ったので、とりあえず関東学生トーナメント(春関)と現実味を帯びたレベルに。次はインカレと徐々に段階を踏んでいきました。
樋口 目標とかは全然なくて、周りが強くて付いていくのがやっとだったので、周りと比べることなく自分のベストを尽くそうとだけ考えていました。
加藤 これも就活ですか(笑)
堀 ぷんぷんする。くさいセリフが。
樋口 結果にとらわれていると自分を出せないので、僕はそのプロセスを大事にしました。
一同 (笑)
樋口 結果よりもプロセスが大事だと思うので!
堀 面接官じゃないよ。
樋口 周りが期待してくれるのですよ、すごく。それはありがたいのですが、それほどの身分ではない。周りが思ってるほど自分は強くないと思っているので、地道に。高校時代に学んだ努力者精神で頑張ろうと思っています。
――これまでの3年間を振り返ると
堀 1年目はわぁ~って感じで、2年はうぉって感じで、3年目はお~って感じでしたね。
樋口 意味分かんねえ(笑)
堀 それで書いておいてください!
加藤 (堀に対して)結果は後日お伝えしたいと思います。
一同 (笑)
樋口 3年間か。やっぱり早かったですね。悔いがあるかと言えばあるのですが、それは自分の人生なので。今を楽しもうと、僕は思っているので。結果を問われるチームであって、戦績が問われる部分もあって、すごい悔しい思いをしたのですが、それでも周りの仲間や友達が支えてくれた。自分一人では生きられない。ありがたみを学んだ3年間でしたね。と、就活で言います。
一同 (笑)
加藤 後悔の方が大きいですが、もう少しテニスを頑張れたかなと思っています。終わりが見えてきたからかもしれないですが、今の方がテニスに真剣です。テニスの動画を見たり、テニスにつながるボクシングの『はじめの一歩』を読んだり。(今は)テニスのために行えてるので、3年間には後悔が大きいです。もう少しテニス頑張れば良かったです。
――この3年間、早稲田は王座(全日本大学対抗王座決定試合)を連覇し続けてますが、どのように感じますか
堀 すごい(笑)。僕とかは出てなくてチームの一員ではあるのですが選手として出ている人を見ていると、すごいなと思います。自分とかは対校戦でさえも緊張して自分のプレーを出せない時が多いのに、日本一を懸けた舞台であのパフォーマンスができるのはすごいです。
――その中で同期が一年生から活躍されていますが
樋口 すごいなと思っています。堀が言ったようにあれだけのプレッシャーがある中で結果を残して、特に藤井君と千頭君はほとんど負けた試合を見たことがない。二人を含め、ずっと試合に出てきた選手をもっとみんなで祝福をしてもいいくらい、すごいです!
加藤 同期があれだけ頑張っているのは応援のしがいがあるというか。好きな先輩よりも同期を応援する方が皆で盛り上がったりして。(シングルス)4~6で王座で出たりしたし。
一同 (全員で誰がどの試合に出たかを討論する時間が続く)
加藤 まあ自分も頑張ろと思わせてくれるのでうれしいというか。少し悔しいというか。そんな感じです。
「チームとしても個人としても楽しく終わりたい」(樋口)
新進では、シングルスでベスト4と結果を残した樋口
――新進(関東学生新進選手権)の戦いを振り返えると
加藤 新進の戦いか。
――確か二次予選敗退でしたか…?
加藤 そうですね。単複とも負けてしまったのですが、ダブルスは二次予選の第2シードだったので初戦で負けてしまったのは悔しく。一個下の新井と丸一年組んできて、去年の新進で初めて組んだ時にはなぜか本戦までいくことができた。その時はすごく良かったのですが、組み慣れているのもあり、最近はあまり感触的にも良くない部分もあるのですが…。
樋口 解散の予感(笑)
加藤 解散の危機が訪れているのですが、なんだかんだ一番組みやすい。この前の練習の時に「僕加藤さんと組んで最後の春関でいい結果を残す夢を見ました」と言われたのでー。
樋口 ほう…(笑)
一同 (笑)
加藤 これはもう振りにくいなと思って、最後の春関も組むと思いますよ。自分のためにも、そう言ってくれた新井のためにも、四日市には行きたいです。なので新進は良くなかったですが、春関では切り替えて頑張ります。
堀 自分は、シングルスは本戦からいけて、ダブルスは一次予選からでした。1年の小久保(蓮、スポ2=愛知・名古屋)と組んだのですが、これまで1回も上がったことがなくて上がりたかったのですが二次予選のファイナルで負け、悔しかったです。シングルスは2個勝ちを目標にやっていて、武藤(洸希、スポ3=東京・大成)と戦って…。ドローを見た瞬間は最悪でしたね。なんで…みたいな。強いし、洸希とはこれまで育成でやっていたので…。複雑な思いがあって。1ゲームしか取れず悔しかったですけど、後悔はないです。春関では気負わずに1つでも勝てるように頑張りたいと思います。
樋口 ベスト4なのですが、あまり…。おととしは二次予選で負けているので、自分の成長は素直にうれしかったですが。ただ上の評価が良くなくて、もう一個勝って欲しかったみたいなので…。辛口だなと思いつつ、自分への激励と思い。春関はもう少しアピールをしたいと思いました。
――3人の春関での目標は
堀 (シングルスは)2個勝ち、ダブルスはインカレ出場。
加藤 僕は四日市には、(シングルスとダブルスの)どちらでもいいので出場したいです。
樋口 ダブルスは三重に行くことを目標にして、シングルスはベスト8。頑張ります!
――今年一年の目標はありますか
堀 もう王座優勝!
樋口、加藤 もちろん。
加藤 個人戦でも最後で、春関が全国懸かっている最後で、社会人になると一生懸命何かに取り組むという機会は少なくなると思います。16年間続けたテニスで最後、個人戦でも勝って、最後は王座優勝で締めくくれば最高ですね。
――王座まであと半年ですが、部内で今年一年間やりたいことはありますか
堀 育成層からも上げていき、選手層もそれに乗っかっていけるような勢いを出せる、育成層からのチームにしたいです。上だけではなく、出られない選手たちも頑張っていけるようにもっと上げていきたいです。
樋口 『リーダーたるもの行動で示す』という言葉があるのですが、僕はそうでないと思っていて。やはり背中で見せるのではなく、一人一人と真剣にコミュニケーションだったり面倒を見て、卒業や引退の時にもっと話しとけば良かったなど人脈的な面で後悔のないようにしていきたいです。
加藤 後輩たちにはテニスを一番に頑張ってもらいたいので、自分が最後4年生になってからでもインカレに初めて行ったりすることで、まだまだテニスが強くなれるということを感じ取ってもらえるように。パイオニアになれるように。自分が今できることはテニスを頑張ることだと思うので、頑張っていきます。そういった面で影響を与えたいです。
――シーズンが始まりますが、不安はありますか
堀 コロナですか?(笑)
一同 (笑)
樋口 就活でしょ(笑)
堀 フォアハンドがいかないようにすることです(笑)
樋口 就活でテニスに時間をフルに使えない中でどうレベルアップしていくかが不安です。先の見えない就活ですが…。
堀 見えてんじゃん(笑)
樋口 あまり調子に乗ったことは言えないですが、就活との両立が不安です。
加藤 一番の敵は暑さだと、体力だと思っています。北海道出身ということで、東京の暑さにはあまり慣れてないので、きついです。そういった面でできる対策をしたいです。気持ち的にも弱い部分があるので、そこははじめの一歩を読み。こないだの対校戦ではその面は克服できて、強い気持ちでひたすら相手のジャブを打って、ボディーボディーで攻めていけたので、そういった面は良かったと思います。
一同 意味が分からん(笑)
加藤 体力も結局精神論だと思うので、相手よりも長くリングの上に立っていられるように頑張りたいと思います。
樋口 それが言いたかっただけか(笑)
――逆に自分自身、期待している部分は
堀 フォアですね。いってないところを見てください(笑)
樋口 フォアハンドですかね。
一同 (笑)
樋口 自分はフォアがあまりいかないタイプなので、何本エースを取れるか見といてください。
加藤 僕のテニススタイルはアウトボクシング。相手と打ち合うのではなく、相手の球を利用したり、時折カウンターを打ったりするのが自分の持ち味だと思ってます。そこに一番自信のあるビックサーブ、時折見せるネットプレーなど、そういった面で注目して欲しいです
堀 宮田一郎(はじめの一歩の登場人物)ですか?
加藤 僕の目標は宮田一郎ですね。
――最後にラストイヤーの抱負をお願いします
堀 とにかく最後笑って終われるように。個人としても楽しくテニスをできたらいいなと。もちろん後輩にいい影響を与えられるようにと思います。個人戦は楽しくやって、あとはチームにささげたらと思います。
樋口 楽しく。チームとしても個人としても楽しく終わりたいと思っているので、どんな結果であれ。もちろん王座は優勝するつもりですが、個人戦は二の次でチームのために行動したいと思います。
加藤 僕は最後に愛媛の地で胴上げされる姿をイメージできているので、団体戦は優勝して最後に笑って皆でバスで帰れるように。個人戦は新幹線で四日市に行くことを目標に、最後なので一番集中して気合いを入れて、4年間の集大成を見せたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 大島悠希、写真 関飛人)
チームを支える部員の活躍からも目が離せないです!
◆加藤翼(かとう・つばさ)(※写真右)
1998(平10)年5月29日生まれ。和歌山・慶風高出身。社会科学部4年。大学での主な実績は、関東学生新進選手権ダブルス初戦敗退(2年時)。
◆樋口廣太郎(ひぐち・こうたろう)(※写真左)
1999(平11)年1月28日生まれ。福岡・柳川高出身。スポーツ科学部4年。大学での主な実績は、関東学生トーナメントシングルスベスト64(1、3年時)、ダブルスベスト32(2年時)。関東学生トーナメントシングルス全日本学生選手権シングルスベスト64(3年時)。関東学生選手権シングルス初戦敗退(1、2、3年時)、ダブルスベスト8(1年時)。関東学生新進選手権シングルスベスト4(1年時)、ダブルスベスト8(3年時)。
◆堀凌輔(ほり・りょうすけ)(※写真右)
1998(平10)年6月17日生まれ。福岡・柳川高出身。社会科学部4年。大学での主な実績は、関東学生トーナメントシングルス初戦敗退(2、3年時)。関東学生選手権シングルスベスト32(3年時)。関東学生新進選手権初戦敗退(2、3年時)。