【連載】新体制始動特集『Next Gen』第5回 田中李佳×松本妃那×吉岡希紗

庭球男子

 第5回に迎えるのは、上級生として今まで以上の活躍が期待される田中李佳(スポ3=兵庫・相生学園)と松本妃那(スポ3=福岡・柳川)、ルーキーながら団体戦単複全勝・三菱全日本選手権ベスト4の好成績を収めた吉岡希紗(スポ2=三重・四日市商)。チームの浮沈を左右する3選手にお話を伺った。

※この取材は4月13日に行われたものです。
※新型コロナ感染拡大の影響を受け、本対談はオンライン上(Zoom)で対談を行いました!

「最上級生のサポートをしていく立場に」(田中李)

新進優勝後は思うような結果を残せなかった田中李

――オフシーズンはどのような練習に取り組んでいましたか

田中李 オフシーズンはそこまで練習ができていなかったんですけど、試合がない時期にどういったモチベーションでやるかなどを意識しながら練習しました。あとは自分の(プレーの)ビデオを見たりして、どこが弱点なのかを見ながら苦手な部分を練習したりしていました。

松本 インカレインドア(全日本学生室内選手権)が終わってから田中李と一緒で、自分の(プレーの)ビデオを見たりして分析していました。

吉岡 私はけがなくしっかりできていて、3月に海外に遠征に行ったり、コロナがなかったらもっと他の試合にも出ようとしていました。試合感覚を忘れないように、試合を組んでいました。

――今はコロナの影響で練習ができない状況だと思いますが、3月などはどういった練習に取り組んでいましたか

田中李 私3月は本当に練習していないので(笑)。本当に練習していないという感じです。1月、2月は結構練習していたのですけど、3月はテニスができていないという感じです。

松本 3月は少しずつ自分のできる限りの練習をして調整していました。

吉岡 私は試合がない期間が続いて、次の学生大会が春関(関東学生トーナメント)ということで、試合形式の練習よりかは基礎練習として球出し練習などを多くやっていました。

――試合感覚的には今は維持していくのが難しいという状況ですか

吉岡 テニスができていたとしても、今は本当に少ししかできていないという状況なので……。

――田中選手、松本選手は3年生、吉岡選手は2年生になられましたが、学年が上がったことで意識の変化はありますか

田中李 まだ4月に入って部活に行ってないので、そんなに実感はないんですけど。(今までは)言われたことをやればいいという環境にいたけど、上級生になるからこそ自分が下級生に見られているという意識が強くなると思うので、自分が見本の選手になれたらいいのかなと思います。

松本 上級生になって後輩が1年生、2年生と増えたので、上級生として責任を持った行動をして後輩の面倒を見つつ、最上級生のサポートをしていきたいという感じです。

――やはり2年生と3年生では意識に違いが出るものですか

田中李 2年生の時は最初の方は結構1年生の世話をしないといけないので、そっちの方がメインになってしまいます。3年生になると仕事の面などが減ってきて、練習などで最上級生のサポートをしていく立場になるので、そこが結構変わってくるのかなと思います。

――吉岡選手はいかがですか

吉岡 まだ練習がないので実感はないのですけど後輩ができて、私たちの代は人数が多かったのですが1個下は人数が少ないので、できるだけサポートをしていきます。試合前だったりと、工夫していけたらと思います。

――ちなみに皆さん1年生には会われましたか

田中李 はい!

松本 はい!

――1年生はどういった雰囲気ですか

田中李 12月ぐらいから結構(練習に)来てくれていたので、慣れてきているなという感じです。のびのびやっている印象があります。

――今年の1年生は人数が少ないという話でしたがその部分については

松本 3人?

田中李 うん、3人。1年生は仕事も多いので人数が少ないと大変だなと思います。

「違った戦術でも勝っていけるようにしたい」(吉岡)

吉岡はルーキーながら団体戦では単複全勝と、チームに貢献した!

――テニス面の話になるのですが、昨年の大会の結果を統括していただけますか

田中李 昨年は全然駄目でしたね。技術面ではそんなに悪くはなかったのですけど、夏はけがが続いて思うように練習ができないまま、インカレ(全日本学生選手権)などの試合を迎えてしまいました。リーグ(関東大学リーグ)の時も精神的に追い込まれていて、まともな試合ができなかったという感じです。

松本  1年生の時より結果は出ました。そんなにすごい上に行けるということもなかったので、満足はできていないんですけど1年生の時に比べると少しずつ上がってきているかなという感じです。

吉岡 1年間を振り返って、個人戦ではダブルスはいい成績が残せたかなと思うのですが、シングルスでいい結果が全然でなかったりしました。リーグで良くても1年を通してできていなかったので、最初からいい調子で臨めるように今年はしていきたいかなと思います。

――昨年の大会で得られた課題や収穫はありますか

田中李 私は試合前に自分を追い込みすぎるとけがをするので、試合前に慌てるのでなく、普段の練習から少しずつ追い込んで試合を迎えていきたいです。あとは試合で勝ちを意識しすぎるときつくなってくるので、今年は楽しく試合をできたらいいと思います。

松本 早慶戦(早慶対抗試合)や団体戦の時に緊張した場面で足をつってしまったり、インカレでは足を捻挫して思うように実力を発揮できずに試合ができなくなるという状況が続いたので、まずは体調管理とけがをしない体づくりを徹底していかないといけないという課題が見つかりました。

吉岡 課題として高校生と大学生でプレーの仕方が違っていて、高校生の時には通用するけど大学生では通用しないという部分がたくさんありました。私は打つことしかできなくてもっといろんなボールを使わないといけないということをコーチに言われ続けたので、いろんな種類のボールを打てるようになり、打つだけじゃなくて違った戦術でも勝っていけるようにしたいなと思います

――田中選手と松本選手にお聞きしますが、ご自身のチーム内での役割はどのように認識していますか

田中李 私はそんなに喋ったりするのがうまくなくて口で言っても誰も付いてこないので。本当は自分がコート上で頑張るのが理想なのですけど、今はそれも中途半端なので。コートの上で「あの人頑張っているな」と思わせるような、そういう感じの役割になれたらなと思います。

松本 女子部として副将補佐という役割を設けていて、副将補佐として最上級生がいないときの練習でのメニューを考えて後輩たちを引っ張っていくような役割をさせていただいています。

――その副将補佐というのは最上級生がいないときにチームを引っ張っていく立場という認識でよろしいでしょうか

松本 それと、主将や副将のサポートに回るような立場です。

――上も支えつつ下も引っ張っていくと

松本 下の意見も聞きながらという感じです。

――難しいなと感じることはありますか

松本 まだ副将補佐という役割になってからは練習がそこまでないので、まだあまり実感はできていないですが、就活とかで4年生がいなくなると大変になるかなとは思います。

――田中選手と松本選手にお聞きします。今年の2年生が実力を付けていく中でレギュラー争いが激しくなっていくと思われますが、そこの部分についてはどのようにお考えでしょうか

田中李 みんなが強いので誰が出てもおかしくないと思います。私もレギュラー争いできるようなレベルになれるよう、頑張りたいと思っています。

松本 結構強い選手が多いのですけど、3年生として今までリーグ戦や団体戦を戦ってきた経験が後輩よりはあると思うので、そこを生かして引っ張っていけるように頑張りたいです。

――2年生が出てくるのは自分の中で力になる部分はありますか

松本 ありますね。私たちの代は2人しかいないのですけど、一つ下の代は大人数が主力として頑張っているので。3年生として田中と一緒に意地を見せないといけないなと思います。

――松本選手にお聞きします。昨年のリーグではシングルス3での出番が多かったと思いますが、そこの部分については振り返っていかがですか

松本 やはり団体戦はどこも大事なんですけど、(シングルス)3、4、5は取らないといけない。(シングルス)1、2は早稲田も強いんですけど、相手も強いので。(シングルス)3、4、5がしっかり勝ちを取ってこないといけないというプレッシャーもあったんですけど……、どう思う?(笑)

田中李 一番中途半端な位置(笑)。

――上位とも言えないし下位とも言えないという微妙な感じなのでしょうか

田中李 (シングルス)4、5は取らないといけないって気持ちが強いけど、(シングルス)3はなんだろうね。(シングルス)3は分からない。

松本 なんだろう。でも今年のリーグは(シングルス)4、5がなかなか2本取ってくるのが厳しく、そのまま(シングルス)3に回ってくるので自分が負けるとチームが終わるというポジション。自分が負けるとチームが苦しくなるし、自分が勝つといい雰囲気で(シングルス)1、2の最後の試合に運べるという大事なポジションだったとは思います。

――田中選手にお聞きします。昨年は関東新進選手権(新進)で優勝した後、レベルの高い大会でなかなかいい結果が残せませんでしたが、結果を残すために足りない部分などはどこですか

田中李 私はすごくネガティブになっちゃうというか、この人には勝てないんだろうなって思ってしまうんですよ。新進の時は結構それをプラスに考えられてこの大会は絶対優勝するという気持ちで挑めていたんですけど、それ以降の試合は中途半端な気持ちで臨んでしまい、それがプレーに影響してしまったのかなと思います。

――吉岡選手にお聞きします。昨年は下地(奈緒副将、社4=沖縄尚学)選手とのペアで夏関(関東学生選手権)優勝や、三菱全日本選手権でベスト4を取るなどいい結果を残していますが、振り返っていかがですか

吉岡 元々、ダブルスが全然できなく。奈緒さんがすごくダブルスがうまくて、試合や練習の中でいろいろアドバイスしてくれました。何回もペアを組むことでペアリングもよくなってきた部分もあるし、奈緒さんが前衛で私が後衛をやるという絶対に取るポイントの形がしっかりできていたので良かったのかなと思います。

――ダブルスは苦手という話でしたが、下地選手と組むことによって意識的に変わっていった部分はありますか

吉岡 ダブルスは前の動きがすごく重要になってくると思うのですが、(前の)動き方が全然分かっていなく。高校では全くダブルスの練習をしたことがなくて大学に入ってからダブルスの練習とかを取り入れてもらって、たくさんアドバイスをもらって前の動きが分かるようになってきたかなと思います。

――吉岡選手は一般の大会に出られる予定だったということですが、今後も一般の大会に出る予定はありますか

吉岡 2月にも島津のITF(島津全日本室内選手権)とかに出ていて、国際大会などに多く出るようにコーチから言われていました。メキシコに行った時もITFの試合を回っていて、これからも出れる試合は出ていこうという話はコーチとしています。今はコロナで7月くらいまでは試合がないので、まだこれからの予定はあまり決まっていないという感じです。

――それは自身のレベルアップのためという感じですか

吉岡 はい、そうですね。

――それはコーチに勧められて出てみようといった感じなのでしょうか

吉岡 高校の時から、ITFの試合もちょいちょい回ったりはしていました。

「今の4年生の頑張っている姿を一番身近で見ながら教わってきた」(松本)

昨年は団体戦でシングルス3としてプレーした松本。勝負の懸かった場面でのプレーに今後も注目していきたい!

――今はコロナで練習ができないと思いますが、今年の部の雰囲気はいかがでしょうか

田中李 今年の主将の映里(清水、スポ4=埼玉・山村学園)さんが、みんなのことを引っ張ってくれていて、雰囲気とかはすごく良くなっていると思っています。

松本 田中と同じなのですけど、主将の清水さんが一人一人の意見をしっかり聞いてくれる方で、テニスの面でも姿勢でも引っ張っていくようなお手本になる先輩なので、チームとしてはいい雰囲気だと思います。

吉岡 4年生みんなが、練習が始まる前に練習の中で意識するところとかを詳しく説明して、意味のある練習を組んでくれていていい雰囲気で(練習が)できているなと思います。

――昨年は王座(全日本大学対抗王座決定試合)に出られなくて悔しい思いをしたかと思われますが、今年は『王座奪還』に向けて挑戦者としての立場になると思います。そこの部分については

田中李 今までは13連覇とかしていて、早稲田が優勝するのが当たり前という環境で試合をしていました。優勝しないといけないというモチベーションで試合をしていたから強かったのかもしれないけど、逆に今年は吹っ切れることができるので、挑戦者としての気持ちでやる方が強いんじゃないかなと思っています。

松本 昨年のリーグとかは田中が言ったように勝たないといけないというプレッシャーがあったと思うんですけど、プレッシャーで自分の実力が発揮できずに負けてしまった部分もあると思います。今年はリベンジする側なので、伸び伸びと思い切ってプレーできるはずです。

吉岡 1年生として入って。今までのことも知らなかったんですけど、勝たないといけないという雰囲気はすごく伝わってきていて、プレッシャーの中で戦うという雰囲気でした。一回負けたというのを悪い方向に捉えず、負けを経験したことをいい経験として、それぞれ課題も見つかったと思います。今年は負けがあるからこそもっと強くなった早稲田が出せるんじゃないかなと思います。

――最近ではリーグ内で各大学の実力が均衡していると思いますが、そのことについてはいかがでしょうか

田中李 本当にどの大学が勝ってもおかしくない状況です。前までは早稲田とやるってなると、他大学は諦めの気持ちが多少あったかもしれないけど、最近は個人戦とかでも早稲田の選手が他大の選手にやられている場面が多いです。他大の選手も早稲田が相手でもチャンスがあると思って思い切りやってくる部分もあるので、本当にどこの大学と当たっても全然レベルは変わらないし、毎試合どっちが勝ってもおかしくないくらい今はどこの大学もレベルが上がってきているなと感じています。

松本 今までは強い選手が早稲田の方にいっぱい入ってきていたのですけど、今年の新1年生とかも強い子たちがいろんな大学に行っていて。どこも強いのですけど、早稲田としての今までの競った場面でも勝ってきたというのをみんなで共有して頑張っていきたいなと思います。

吉岡 妃那(松本)さんが言ったように新しく入ってくる子たちもいろんな大学にばらけたというのもあるし、対校戦とかをやっても勝ち負けがぎりぎりでどっちが勝つか分からないという状況があるので、やはり大事な場面で勝てるというのは経験豊富な早稲田が強いんじゃないかなと思います。

――先ほど主将の話もありましたが、今年が4年生と過ごす最後の年になりますが、どのように4年生との最後を終えたいですか

田中李 4年生の方には私たちが1年生の頃からお世話になっていて、その先輩たちを笑って終わらせてあげたいなという気持ちが強いです。

松本 今の4年生の一つ下として今の4年生の頑張っている姿を一番身近で見ながら教わってきたので、絶対に王座で優勝して素敵な景色を見せてあげたいなと思います。

――恩返しの部分が大きいわけですね

松本 そうですね。恩返しとしてもあります。頑張ってみんなで優勝したいなという気持ちです。

吉岡 私も一緒です。ペアが奈緒さんというのもあるのですが、一緒に頑張ってきたので最後はみんなで優勝して終わりたいなと思います。

――最後に今年の目標をお願いします

田中李 今年は昨年の成績を越えたいというのはもちろんなんですけど、昨年は試合自体を楽しんでできていない部分が大きかったので、今年は楽しんで自分のプレーができたらいいかなと思います。

松本 今年は団体戦がコロナでどうなるかわからないんですけど、団体戦で今年もメンバーとしてプレーできるように頑張るのと、個人戦ではもっともっと昨年以上に結果を出せるように頑張りたいと思います。

吉岡 コロナの影響で試合があるかどうかも分からない状況でモチベーションの維持も大変だと思うんですけど、日々の練習とかトレーニングで目標を持ってやりたいです。試合ではダブルスは奈緒さんとインカレを取りたいなと思っていて、シングルスも1年の時はなかなか結果を出せなかったので目の前の一試合一試合を見つつ、上を目指したいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 山床啓太)

◆田中季佳(たなか・りか)

1999(平11)年12月26日生まれのA型。兵庫・相生学園高出身。スポーツ科学部3年。大学での主な実績は、関東学生トーナメントシングルスベスト16(2年時)、ダブルスベスト32(1年時)。全日本学生選手権シングルスベスト64(2年時)。関東学生選手権シングルスベスト8、ダブルス初戦敗退(2年時)。全日本学生室内選手権シングルス初戦敗退(2年時)。関東学生新進選手権シングルス優勝、ダブルスベスト16(1年時)。

◆松本妃那(まつもと・ひな)

2000(平12)年2月19日生まれのO型。福岡・柳川高出身。スポーツ科学部3年。大学での主な実績は、関東学生トーナメントシングルスベスト8、ダブルスベスト32(2年時)。全日本学生選手権シングルスベスト32(2年時)。関東学生選手権シングルス初戦敗退(2年時)。全日本学生室内選手権シングルスベスト16(2年時)。関東学生新進選手権シングルスベスト32(1年時)。

◆吉岡希紗(よしおか・きさ)

2000(平12)年9月2日生まれのB型。三重・四日市商高出身。スポーツ科学部2年。大学での主な実績は、関東学生トーナメントシングルスベスト16、ダブルスベスト8。全日本学生選手権シングルスベスト32、ダブルス初戦敗退。関東学生選手権シングルス初戦敗退、ダブルス優勝。三菱全日本選手権ダブルスベスト4。全日本学生室内選手権シングルス初戦敗退、ダブルスベスト8。