準決勝で惜敗の島袋。自己最高のベスト4も「悔しい気持ちが大きい」/男子シングルス準決勝

庭球男子

 大会も大詰めを迎えた三菱全日本選手権本戦第8日目。この日行われた男子シングルス準決勝に早大からは島袋将(スポ4=三重・四日市工)が出場。前日の準々決勝で田沼諒太(ワールド航空サービス)をフルセットの末に下した島袋。準々決勝の試合後には「学生でもプロの世界で通用するということを自分が証明したい」と意気込みを語った島袋は決勝進出を懸けて第3シードの清水悠太(三菱電機)と対戦した。

準決勝を戦う島袋

 試合開始序盤は互角なラリー戦が続いたが、2−2で迎えた第5ゲームに島袋がブレークに成功する。「フィジカル勝負では負けないという気持ちと、ラリー戦になった時に清水選手のテンポに飲まれない」という島袋のプラン通り、得意のサーブやフォアハンドで攻め立て、ここから立て続けに5ゲームを連取。ここまで3種目で勝ち残り、疲労の色が見えていた清水にラリー戦で攻め勝ち、6−2でファーストセットを先取した。

 セカンドセットも第1ゲームに島袋がブレークに成功。依然、試合の流れは島袋にあるように思えた。しかし、「(清水選手が)無理をしなくなって、ミスも減った。それに対して自分自身が焦りの気持ちが出てしまった」とミスが増え始めた島袋とは対照的に、正確なラリーを展開する清水が徐々にペースをつかむ。第4ゲームにブレークバックを許すと、ここから立て続けにゲームを奪われるなどセカンドセットを3−6で献上。セットカウントをイーブンに戻された。

 迎えた勝負のファイナルセット。第4ゲームに先にブレークを奪われた島袋は続くゲームで長いデュースを取りきり執念のブレークバックに成功。しかし「自分にプレッシャーをかけてしまった。考えすぎてしまった」(島袋)と攻め急いだか。直後のサービスゲームでミスも響き再びブレークを許すと、その後のリターンゲームは清水に手堅くキープされ万事休す。フルセットの激闘の末に敗れ、準決勝敗退となった。

試合後握手を交わす島袋(右)と清水

 かねてより『優勝』という目標を掲げてきた島袋の表情には悔しさがにじんだ。「学生のうちに全日本で優勝したいという気持ちは強かった。チャンスがある中での敗戦だったので、悔しい気持ちが大きい」と話したが、今大会で自己最高を大幅に更新するベスト4という成績を残した島袋。「タフな試合も多かったんですけど、しっかりと勝ってこれる実力は付いてきているのかなと思います」と手ごたえものぞかせた。早大卒業後はプロの世界へと身を投じる島袋。今大会で得た経験と自信、そして早大で培った無類の勝負強さは島袋のこれからの飛躍の糧になることだろう。

(記事、写真 林大貴)


結果

男子シングルス
▽準決勝
●島袋将 [6−2、3−6、4−6] 清水悠太(三菱電機)

最終結果

男子シングルス
▽ベスト4
島袋将

▽ベスト32
田中優之介副将(スポ3=埼玉・秀明英光)

▽1回戦
木元風哉主将(社3=埼玉・早大本庄)
千頭昇平(スポ3=愛知・誉)
白石光(スポ1=千葉・秀明八千代)


女子シングルス
▽ベスト8
清水映里主将(スポ3=埼玉・山村学園)


男子ダブルス
▽ベスト16
島袋将・望月勇希(中大)

▽1回戦
古賀大貴(スポ4=大分舞鶴)・安上昂志(スポ4=福岡・柳川)
木元風哉・田中優之介
白石光・松田龍樹(近大)


女子ダブルス
▽ベスト4
下地奈緒副将(社3=沖縄尚学)・吉岡希紗(スポ1=三重・四日市商)

▽ベスト8
清水映里・梶谷桜舞(平28スポ卒=現ロブテニスアカデミー)


混合ダブルス
▽ベスト4
田中優之介・清水映里

コメント

島袋将(スポ4=三重・四日市工)※記者会見より抜粋

――先ほどの試合を振り返って

ファーストセットは清水選手は動きも硬くてミスも多かった印象で。僕自身はプレッシャーをあまり感じることもなく、とにかく攻めの姿勢だけは崩さないようにプレーはできました。セカンドセットの入りも良かったんですけど、2−2からブレークをされてしまってから清水選手の動きが戻ってきて、無理をしなくなって、ミスも減って。それに対して自分自身が焦りの気持ちが出てしまいました。あまり打たなくてもいいボールも打ってしまってミスをしてしまったり。絶対にファーストセットのまま終わる選手じゃないとわかっていて、心の準備もできていたんですけど、それにうまく対応できなかったのは課題かなと思います。

――清水選手の印象としては

清水選手はなんでもできる印象で。サーブもいいですし、ラリーの高いボール使ったり、低いボールを使ったり、スライスもロブもできて。弱点という弱点がないですね。3種目で勝ち進んでいて、体力的には僕の方が優っていると思っていたので、フィジカル勝負では負けないという気持ちとラリー戦になった時に清水選手のテンポに飲まれないことを意識しました。僕のバックに集めてくると思っていて、実際そうだったので、無理をせずに行けるとことだけ行こうと思っていました。一番思ったのはフィジカル勝負ですね。

――ファイナルセット引き離された要因は

自分のサーブですね。サービスゲームでファーストの確率もあまり高くなくて、うまくリズムをつかめませんでした。リターンからしっかりとプレッシャーをかけてきた清水選手も良かったんですけど。サーブから崩して行けるようなポイントが欲しかったですね。セカンドサーブになってしまうと向こうのペースで始まってしまうので、避けたかったんですけど修正ができなくて。そこがセカンドセット以降流れをつかめなかった一番の要因ですね。

――このまま終わることがないというのも効いたのでしょうか

その点に対して異常に敏感になってしまいました。そんなに深く考えなくてもいいと思うんですけど、なぜか自分にプレッシャーをかけてしまった。考えすぎてしまった。ファーストセットうまくいきすぎたというのもあります。

――ベスト4という結果についてはどう捉えていますか

正直な気持ちはすごく悔しいという気持ちはすごく大きくて。学生のうちに全日本で優勝したいという気持ちは強かったので。チャンスがある中での敗戦だったので、悔しいですね。

――今大会を通じて収穫になった点は

初戦から山尾選手(玲貴、関大)だったり、タフな試合も多かったんですけど、しっかりと勝ってこれる実力は付いてきているのかなと思います。ミスは減っていきていますし、プレーは安定してきているのかなと。サーブの確率も課題ではあるんですけど、上がってきているかなと思います。

――島袋選手にとって早大の4年間はどういったものでしょうか

今までのテニス人生の中で一番成長できた4年間だと思います。日々の練習をサポートしてくださったコーチ陣であったり、一緒に戦った同期とか、先輩、後輩。そういう人たちの存在が大きかったです。色々な経験をさせてもらいましたし、それがなければここまで来れなかったなと。海外の試合に出たりすることも後押ししてくださった監督、コーチ陣。OBの方々も強化費とかを出してくれていたので、そういった人たちの感謝の気持ちはすごくありますね。

――高校から直接プロになるという選択もあった。早大に進学して正解だったと感じますか

全国大会やインターハイの結果次第でプロに行きたいとは思っていたんですけど、結果が出なかったので、もう一回大学で鍛え直すしかないと思っていたところで早稲田大学の方からお声があって。本当に今思うと正解だったなと思います。後悔はないですね。