4時間越えの死闘を制した白石が決勝へ!下地・吉岡組も快勝/準決勝

庭球男子

 男子シングルス準決勝、二度目のタイブレークで迎えたマッチポイント。白石光(スポ1=千葉・秀明八千代)は渾身のサーブを放つと、痛む足を懸命に前へ走らせボレーを決める。4時間を超える田形諒平(筑波大)との死闘に終止符が打たれた瞬間、白石は力いっぱいの雄たけびを上げた。

死闘を制し、雄たけびを上げる白石

 ジュニア時代からの戦友であり、互いの手の内は知り尽くしていた田形との準決勝。ファーストセット、カウント2−1で迎えた第4ゲームでは左右にショットを振り分けラリー戦で優勢に立つと、相手のミスもありラブゲームでブレークに成功。ファーストセット序盤は白石のペースだった。しかし、直後のゲームでブレークバックを許すと、続く2ゲームも互いにブレーク。田形の強烈なサーブと正確なストロークを前に突き放せない白石は徐々にサービスゲームでプレッシャーを掛けられると、カウント5−5から三たびブレークを許し、このセットを5−7で献上した。

 セカンドセットも同じような展開が続いた。序盤はバックハンドのストレートから前に詰めてボレーを決める組み立てなどでゲームを優位に運んだ白石。しかし、カウント4ー1で迎えたリターンゲームで幾度となくブレークポイントを握りながらキープされると、ここから2ブレークを決められるなど追い上げられ、タイブレークへと持ち込まれた。それでも迎えたタイブレークでは「(田形との前の対戦から)タイブレークは取れる自信があった」(白石)と強気なプレーで7−1と圧倒し、セットカウントをイーブンに戻した。

 「お互いの手の内を知っていて、(サーブは)だいたいこの場面でここに打ってくるんだろうなというのもお互いわかっていたので」(白石)。ファイナルセットもやはりブレーク合戦の展開となった。白石は互いに2ブレークを奪いカウント5−5で迎えたリターンゲームで3つ目のブレークに成功。しかし、ファイナルセットの第7ゲームに足を痛めた白石は続くサービング・フォー・ザ・マッチのゲームをキープできず、勝負はこの試合二度目のタイブレークへ委ねられた。

 勝負を決するタイブレークは一進一退の様相を呈した。しかし、足の負傷の影響を強く受けた白石はカウント2−3で迎えたサービスポイントでアンダーサーブを選択。誰もが白石の限界を察した瞬間だった。だが、「最後まで(タイブレークの)いいイメージを信じて。それが一番の心の支えでした」。白石は諦めていなかった。このポイントを奪いカウントをタイに戻すと、気力を振り絞った強烈なリターンやライン際を突くバックハンドのストレートでポイントを重ね、迎えたマッチポイント。白石は渾身のサーブからボレーを決め、4時間を超える死闘に終止符を打った。スコアは5−7、7−6(1)、7−6(8)。二度のタイブレークを制し、逆転で決勝進出を決めた。

★下地・吉岡組はストレートの快勝で決勝へ(女子ダブルス)

完勝で決勝進出を決めた下地・吉岡組

 下地奈緒副将(社3=沖縄尚学)・吉岡希紗(スポ1=三重・四日市商)組は準々決勝で梶谷亜未・日暮春香組(駒大)と対戦。「相手はストロークが上手いということやロブ系で崩してくることも最初からわかっていたので、早い段階で自分たちから攻撃的に行くことを意識していた」(吉岡)とファーストセットから下地のネットプレーや吉岡のストレートのリターンといった積極的なプレーが光り、このセットを6−1で先取した。セカンドセットでは相手も状態を上げ、互いに2ブレークを奪い合う展開となったが、ここから下地のウィナーや吉岡の強烈なパッシングショットで要所を取りきり、カウント3−3から3ゲームを連取してゲームセット。ストレートで準決勝を制し、決勝へと駒を進めた。

 決勝の相手は2回戦で森川・渡邉組をスーパータイブレークの末に破っている朝倉菜月・南文乃組(亜大)。「団体戦を見据えた上で、早大としてここは勝ちたいところ。固く考えすぎず、その中でがむしゃらに、意地や気持ちを出して戦えたら」(下地)。今年ここまでタイトルに恵まれていない女子部に栄冠を持ち帰り、団体戦へ向け弾みをつけたい。

(記事、写真 林大貴)

結果

男子シングルス
▽準決勝
◯白石光 [5−7、7−6(1)、7−6(8)]  田形諒平(筑波大)


女子ダブルス
▽準決勝
◯下地奈緒・吉岡希紗 [6−1、6−3]  梶谷亜未・日暮春香(駒大)


コメント

白石光(スポ1=千葉・秀明八千代)

――決勝進出を決めて、率直な心境としては

ドローを見たときに、1回戦から負けたことのある相手で、一戦一戦勝つことに集中していたので、あっという間にここまできたなという感覚です。

――試合を振り返って

ちょっとここまでスコアが競りすぎているなと思います。きょうのファーストセットは自分が先にブレークした中で落としてしまって、もったいないと思いますし、セカンドも4−1から追いつかれてしまって。ちょっとキープができていなかったなと思います。ファイナルセットはお互いにサーブがきつくて、サービスゲームの方が不利だったとは思うんですけど、もう少し有利に立ち回れたかなと思います。

――田形選手は白石選手が突き放したいところでは手堅くキープしてきた印象です

そうですね。どちらかというと僕の方は絶対にキープしたいときにできなくて。諒平も集中力があるのであげてきたので、そこですね。僕のサービスゲームのときは諒平も良かったと思います。

――逆にブレークは多く奪っていましたが

ブレークはできましたね、結構。でも、諒平とずっと一緒にやってきて、全日本ジュニアでもダブルスも組んでいて。お互いの手の内を知っていたので、だいたいこの場面でここに打ってくるんだろうなというのもお互いわかっていたので、試合でブレークが多かったのはそこもありますね。

――プレー面で良かった点はありましたか

ボレーは良かったと思います。後半はもうラリーができなくて、「いっちゃえ」っていう感じでしたけど(笑)。でもファーストセカンドもバックでストレートを打ってボレーでフィニッシュという組み立てはできていたと思います。きのうボレーが課題だったので、きょうの試合では増やして、うまくできていたかなと思います。

――足をつりながらファイナルセットのタイブレークを戦いましたが、そのときはどういった意識で臨んでいましたか

前に諒平と試合をして、7−5、6−7、7ー6の試合があったんですよ。それが3セットやった最近の試合で。タイブレークは取れる自信があったんですよ。それですね。最後までそのイメージを信じて。それが一番の心の支えでした。セカンドのタイブレークを7ー1で取ったのも大きかったですね。足つってファイナルのタイブレークだめだと思いましたけどね(笑)。でも相手が足つっていると逆に相手はやりづらいんですよ。それもあったかもしれません。

――最後に、あすの決勝へ向けて一言お願いします

高見澤くんは2回やっているので、だいたいプレーはわかっていますし、結構競っているんですけどどっちも勝っているので、優勝はあると思っています。タイプ的には悪くないイメージです。攻撃力はあるんですけど、貫通されるほどではないと思うので。あとは体ですね(笑)。きのうきょうとタフなので。でも頑張ります、優勝はできると思っているので。高見澤くんはリーグで当たる可能性もあると思うので勝ちたいですね。

下地奈緒副将(社3=沖縄尚学)・吉岡希紗(スポ1=三重・四日市商)

――決勝進出おめでとうございます

下地・吉岡 ありがとうございます。

――きょうの試合を振り返って

吉岡 相手はストロークが上手いということやロブ系で崩してくることも最初からわかっていたので、そこにあまり付き合わないように早い段階で自分たちから攻撃的に行くことは意識していました。

下地 二人で相手のタイプとかを試合前に話して、慌てないで試合に臨むことができたかなと思います。

――ペアとしてや個人としてのプレーを振り返っていかがですか

吉岡 強気でストレートいこうって決めたときは一歩前に入って思い切りいけましたね。

下地 個人的にはきのうよりも良かったかなと思うんですけど、サーブは(笑)。吉岡が思い切り行くというのを見てないけど前で信頼していましたし、なのでキャッチとかも怖くなくて、コミュニケーションを取ってできたかなと思います。

――あしたの決勝へ向けて

吉岡 きょうの試合よりかはポーチとかも出てきてダブルスのかたちになると思うんですけど、そこで視野を広く、相手の動きをよく見て、自分たちから強気にプレーできたらいいかなと思います。

下地 団体戦を見据えた上で、あまり考えすぎるのも良くないんですけど、早大としてここは勝ちたいところではあると思うので。固く考えすぎず、その中でがむしゃらに意地や気持ちを出して戦えたらいいかなと思います。