【連載】全日本学生選手権直前特集『SENSATION』 第1回 田中優之介×藤井颯大×堀凌輔副将

庭球男子

 連載第1回を飾るのは3年生トリオ。絶対的主力として活躍を続ける田中優之介(スポ3=埼玉・秀明英光)、関東学生新進選手権(新進)で2位に入賞し、チームに欠かせない存在へ成長した藤井颯大(スポ3=京都・同志社国際)、育成層副将としてチームを支える堀凌輔(社3=福岡・柳川)の三人に来る夏のシーズンへ向けた意気込みや、仲の良い同期のエピソードトークまで幅広くお話いただいた。

※この取材は7月28日に行われたものです。

それぞれの立場

春の戦いを振り返る藤井颯

――あまり共通点のない組み合わせですが、お互いの第一印象はいかがでしたか

藤井颯 俺と凌輔は大学だわ。1回試合見たことあるけど喋ったのは大学に入ってから。

 颯大は声がでかかったよな、最初から(笑)。のっけは、優しい。

田中優 つまんねえ(笑)。

 のっけめちゃめちゃ強いっていうイメージだな。そんなに喋ったこともなかったし。最初は緊張したな、年末合宿とか。こんなに仲良くなるとは思わなかったです。

田中優 颯大は知ってはいたんですけど、あまり喋る機会もなかったので、天パっていうイメージしかなかったですね。すごく印象的じゃないですか。

藤井颯 褒めてるやんな?

田中優 頭にトイプードル乗っけてるなっていう印象ですね。堀くんは名前は知っていたんですけど、柳川で。・・・イメージないわ(笑)。

 ひどくない?(笑)

田中優 ただ柳川のキャプテンだったので、真面目なんだろうなっていう印象はありました。ふたを開けたら間違いでした(笑)。

藤井颯 第一印象は、凌輔はほとんど知らなかったんですけど、努力してきたんだろうなと思いました。

 めっちゃ上からやん(笑)。

藤井颯 優之介は悪ガキ(笑)。今は僕から見てなんですけど、この2人は意外と真面目で、部活の頼れる立場にいて。凌輔なんて育成層副将になって。優之介はちょっと落ち込んだらガラスのハートなんですけど、真面目に頑張っているので、それにつられて僕も真面目になりました。

 颯大はテニスに関しては本当真面目だよね。

田中優 僕らの代でテニスに対して真面目じゃない人はいないよね。

――ここまで個人として、春のシーズンを振り返っていかがですか

 2年生ぐらいから学生大会で本戦に上がれるようになって、今年も初めてインカレ(全日本学生選手権)に行くことができて、ぶっちゃけ嬉しいです。今は岐阜に行くっていうことだけを考えてやっています(笑)。学生の人に慣れたっていうのが大きいですね、粘り強さとか体力とかも全然違うので。1年生の時は仕事とかも大変だったんですけど、学年が上がるにつれて自分の時間も増えたのも嬉しいことですね。

藤井颯 1年生の時はインカレだけ勝てて、2年生になって新進とかリーグ(関東学生リーグ)とかにも出させていただいて。リーグに出るということを味わったことで、今の時期の練習がリーグの辛い時に出てくるということが経験できたので、そこからは真面目に練習して、いい結果が出せるようになったので、2年の新進から成績が上がっていると思います。

田中優 僕はすごく勝てた1年目を終え、全然勝てなかった2年目を終え、ついに3年目を迎えた春関でもベスト8という結果だったんですけど、正直あまりいいテニスはできなかったです。でもシングルスに関しては2年目と比べたら調子は良くて、早稲田オープン(三菱電機・早稲田大学インターナショナルオープン)でもいいプレーができていたんですけど、春関では勝てなくて、学生大会ならではの難しさみたいなものを改めて感じましたね。

――ダブルスの方を振り返っていかがですか

田中優 木元(風哉、社3=埼玉・早大本庄)と組んで夏関(関東学生選手権)、インカレインドア(全日本学生室内選手権)と連覇をして、早稲田オープンでもいい感じだったんですけど、春関で勝ちたいっていう気持ちが先行しすぎて、逆に二人で空回りしてしまって、そのまま早慶戦でも負けてしまったので、良くなかったなと思います。なので、練習とか試合でも一度木元くんとペアを組まずに他の人と組んでいるんですけど、今は風哉と組みたいっていう思いが強いので、インカレでは爆発できると思います。愛し合っています。

――千頭選手(昇平、スポ3=愛知・誉)と組んでJOPの大会でも結果を残していましたが

田中優 あの大会は早慶戦の次の週ぐらいで、僕のサーブの状態が良くなくて。1年の春ぶりぐらいに昇平と組んだんですけど、「お前ら弱いよな」ってみんなが凄い馬鹿にしてきました(笑)。僕らの中でも弱いイメージしかなかったんですけど、1年生同士と3年生になってから組むのではお互い成長している部分もあって、うまくいって。1回戦から強敵を倒して、ベスト4で中大の望月(勇希)くんとプロの福田くん(創楽、イカイ)を倒して、決勝でもマッチポイントまで行ったんですけど、千頭くんのスーパーリターンがネットに直撃しました(笑)。まあこれはネタで、相手も強かったんですけど、次の週の大会でもベスト4で当たった時は、相手の手の内もわかっていたんでうまく勝てました。

――堀選手は育成層副将ですが、どういった役割を担っているのでしょうか

 発表されて、みんなに爆笑されたんですけど(笑)。育成層のことは基本任されているんですけど、対校戦の話をまとめたり。

藤井颯 (前任の)松本さん(貫太郎、平31社卒=東京・早実)とかもインカレではいいプレーしてたよね。

 俺あんなにガッツないからなあ(笑)。でも試合で勝って、育成層でもしっかりと勝てるんだぞっていうところを見せたいですね。3年生という立場もあるんですけど、任されたにはしっかりやりたいですね。

田中優 この間僕は副将補佐として対校戦を持ちかけました。1回だけなんですけど(笑)。

――ここまでの取り組みの手応えとしてはいかがですか

 部としての雰囲気としては良いと思います。捉え方もあるかもしれないですけど、仲の良さもピカイチだと思います。新1年生は入ったばかりは怖いと思うんですけど、そういうのもなくなってきたので、やりやすさとかは向上していると思います。このまま上の人たちがどんどん勝って、リーグ、王座(全日本大学対抗王座決定試合)とやっていきたいですね。3年生になってベンチコーチもあって、自分は木元くんのシングルスを任されてるので。

藤井颯 (木元は)全日本も決まったしね。

田中優 これは堀のおかげですね(笑)。

 僕がベンチコーチに任命されてからシングルス非常に良いですからね(笑)。

田中優 僕はこの1ヶ月ぐらいは自分を鍛えていました。インカレという目標に向けて努力してきました。

 かっこいい(笑)。

藤井颯 4月からインカレに向けてピークを持っていこうと取り組んできたので、状態もテニスの内容も良くなってきているので、インカレは頑張れると思います。

――夏休みですが、何かやりたいことなどはありますか

 海行きたいっす!

田中優 僕はいいです。

 おい(笑)。でも行く暇がないよね。8月中に行けたらいいんですけどね。でもリフレッシュも必要ですからね。

藤井颯 行くとしたらインカレ前だよね。

 そう考えたら夏休みないな、テニス部。

田中優 それはもうしょうがなくね(笑)。

 4年の後期に旅行とか行くため勉強とかも頑張っている部分はありますね。

田中優 同期旅行行きたいね。

 海外行きたくね?物価安くて、綺麗なところ。

――テニス部で遊びに行った中で印象的なものはありますか

 1回スノボ行ったっけ。静岡の謙伸(長倉、スポ3=静岡)のところ。

田中優 僕はフューチャーズの期間だったので、試合に出てましたね。

 あと川とか。そう考えると結構遊んでるな。

藤井颯 僕は先輩の車で8人ぐらいで海に行ったことがあるんですけど、その行きの車がすごく楽しくて。ただその行きの車で満足し切って、着いた頃には疲れてました(笑)。

田中優 同期じゃないんですけど、WANIMAのライブに行きました。最初からびしょ濡れで、ニュースでやっていたんですけど、25メートルプール3個分ぐらいの水を使って。WANIMAのライブは1回は行ったほうがいいですよ。超楽しいっす。

 1年の時は颯大と先輩2人とかと海に行ったり、2年はスノボに行ったり、いろいろしていますね。みんなで集まることもありますし、4人とかで遊びに行ったりすることもあります。遊びだけじゃなくて、この辺で話して盛り上がっているのも楽しいです。人狼とかしてるしね。

田中優 みんなで上に集まってずっと人狼してます。

 8人とか10人ぐらい集まってます。

――人狼は誰が強いのですか

藤井颯 俺俺俺!

田中優 いや、謙伸。

 謙伸ですね。

田中優 人狼って大抵暴れて崩す奴がいるじゃないですか、俺なんですけど(笑)。勝手に推理して狙ったやつを吊りにいくとか。前回やられてたら「お前さ・・・」みたいな感じで。

 純粋な恨みね。陰湿じゃない(笑)。僕は映画が好きで、よく見るんですけど、みんなで集まって怖い系をよく見ますね。

――3年生はリーダーが不在という話を去年していましたが、3年生におけるリーダーは今いらっしゃいますか

 不在ですね。

田中優 あと3ヶ月ほどで決めなきゃ行けないんですけど。僕はスポーツ組織論というゼミに入っていて、しっかり学んだんですけど、いい組織というのはすごいリーダーとできるマネージャーがいるんですよ。テニス部でいうと主将と主務がいなきゃいけないんですけど、僕らの代にはもうできるマネージャーが一人いるので、僕らがいい組織になるにはすごいリーダーを立てなきゃいけないというところですね。以上です。

藤井颯 結局何が言いたいの(笑)。

田中優 同期で頑張ります。すごいリーダーを見つけ出します。

――1年生の印象はいかがですか

 かわいいですね。2つ下は。

田中優 個性豊かで。

 仲良いよね、男女の仲も良いし、先輩とも仲が良いですね。

田中優 この間1年生の尾形くん(健悟、スポ1=香川・大手前高松)と授業を受けていてすごいだる絡みをしていたんですよ。1回目、2回目は笑ってくれていたんですけど、それ以降はシカトされ始めたんですよ。それで寮までの帰り道で「俺も2年前に似たようなことがあったな」と。坂井さんと授業を受けていて、めっちゃだる絡みしてきて「マジで面倒くさい」と思ってずっとシカトしていたんですよ。同じことやってて(笑)、結局はそういう人間だったんだなと。きっとあの時の坂井さんはこう見えていたんだなとか、僕が坂井さんを思っていたように尾形くんも僕を思っているんだろうなと思うと。

藤井颯 同じ寮に白石くん(光、スポ1=千葉・秀明八千代)がいるんですけど、2個下で人懐っこくてかわいいなと思っちゃう時があります(笑)。ちょっとビビらせると「本当にやめてー」とか、「じゃあ一緒に勉強しよう」って言うとパッと付いてきてくれたりするのがかわいいですね。

――オススメのチームメートはいらっしゃいますか

藤井颯 池田(康隆)っていう1年生がいるんですけど、3年ぐらい留学に行っていたらしくて、ちょくちょく会話とかでも英語を混ぜてくるので面白いですね。英語を喋るのも好きみたいで。

 謙伸が夏関に上がったんですよ。推しメンです、今ブーム。1年生の時から自主練とかずっと謙伸とやってきたので嬉しかったですね、ファイナルで勝ってくれて。

田中優 僕は2年連続で同じ人をいうんですけど、名越大地(社2=兵庫・相生学院)です。愛しています。彼と同部屋になって2年目なんですけど、愛おしいです。何が良いかはわからないんですけど・・・。

 それガチで好きなやつやん(笑)。

田中優 多分来年も同部屋になりたいって言ってくれると思います。来年も多分大地っていうと思います。なんて言うんですかね。なんも言えないです。

 ガチやん(笑)。

夏の戦いへ向けて

笑顔で話す田中優(左)と堀。同期の仲の良さをうかがわせる

――インカレが目前ですが、今の心境としては

 初出場なんですけど、あまり結果とかにはこだわらずに、自分のプレーができればいいかなと思います。

田中優 心境としては優勝を目指していい結果が残せた試しがないので、あまり気張らずにやろうかなと思います。リラックスして。

藤井颯 4年生になると就活とかもあって練習時間が取れないとかもあって、3年生が一番万全で臨めると思うので、今年頑張っていい成績を出したいと思います。

――インカレが終わると団体戦がありますが団体戦へ向けての意気込みは

田中優 インカレからリーグまでで急激に変わるっていうことはないと思うので、インカレで結果を出した人がリーグに勢いを持って臨めるイメージがあるので、自分がそうなれるように取り組んでいきたいです。

藤井颯 問題なく終われたらいいなと思います。

 問題とは(笑)。

藤井颯 自分も負けたくないし、チームとしても負けたくないので。団体戦は僕たちの代が終わるまではしっかりと勝っていきたいなと思います。

 3年目なので、色々と勝手がわかっているじゃないですか。そういう部分でも後輩たちに伝えられる部分があるので、全力でサポートできればなと思います。

――プレーの面で注目してほしいポイントはありますか

 サーブからのフォア(笑)。

藤井颯 暑い中でも頑張って生き残って走り回っている姿を見せたいです。

田中優 ここ最近見せられていなかった「あれが田中優之介だ」っていうプレーを見せたいです。「帰ってきた!」って思わせられるように

――インカレに向けて重点的に取り組んでいることはありますか

田中優 僕は企業秘密で、ライバルたちにバレてしまうのでやめておきます。

 走り回るプレーです。体力強化ですね。

藤井颯 やっぱりインカレで自分の思うようなプレーができるように調整しています。コートが遅いので、サーブは相当威力がないと決められないと思うので、そこを強化しています。

田中優 企業秘密ですけど(笑)、一つとしてはダブルフォルトをしないように練習しています。

――ライバルや、意識する選手はいらっしゃいますか

 ライバルというよりも、他大には負けねー、ってやつですね。

藤井颯 ライバルはいないけど、誰にも負けたくないですね。

田中優 ライバルは・・・

 自分とか言うなよ?

田中優 そうですね。やっぱり自分に勝てれば周りに勝てると思うので、ライバルと言うよりは超えなきゃいけないカベ。倒さないといけない相手が自分です。

藤井颯 言いやがった(笑)。

――最後にインカレへ向けての意気込みを一言お願いします

 最後まで走りまくって、勝てたらいいのかなと思うので、悔いだけは残さないようにしたいですね。

田中優 ここにいる同期とここにはいない同期、3年生みんなで勝ちたいと思います。

藤井颯 インカレは一年の大会で一番大事な個人戦だと思うので、無難な試合がないように、死ぬ気で頑張れればいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 林大貴)

仲良くポーズを取っていただきました!

◆田中優之介(たなか・ゆうのすけ)(※写真右)

1999(平10)年3月3日生まれ。178センチ、69キロ。埼玉・秀明英光高出身。スポーツ科学部3年。全日本学生ランキング男子シングルス4位、男子ダブルス2位(2018年6月付)。今期の主な成績は関東学生トーナメントシングルスベスト8、ダブルスベスト8。早稲田オープンの取材の時と同じく「ライバルは自分」と語ってくださった田中優選手。最大のライバルを超えて学生ナンバーワンの座を目指します!

◆藤井颯大(ふじい・そうた)(※写真左)

182センチ、72キロ。京都・同志社国際高出身。スポーツ科学部3年。全日本学生ランキング男子シングルス20位(2019年6月付)。今季の主な戦績は、関東学生新進選手権2位。色紙には『ど根性!!』にちなみ、ど根性ガエルを描いてくださった藤井颯選手。意外な絵の才能も垣間見えました。

◆堀凌輔(ほり・りょうすけ)(※写真中央)

172センチ、63キロ。福岡・柳川高出身。社会科学部3年。初めての対談となった堀選手ですが、副将らしい堂々とした受け答えが印象的でした。初挑戦となるインカレでガッツのあふれるプレーを期待しています!