「どの役職にも満点をあげたい」、早稲田オープンは大成功で閉幕!

庭球男子

 1週間にわたり激戦が繰り広げられた早稲田大学インターナショナルオープン(早稲田オープン)も17日に最終日を迎えた。大会を締めくくるシングルス決勝では第7シードのホン・ソンチャン(韓国、3月4日付ATP世界ランキング535位)が第3シードの関口周一(Team Rec)をストレートで下し優勝。試合に先がけて行われた庭球部員によるキッズイベントも盛況を博し、大会は大成功で幕を閉じた。

キッズイベントで子どもたちに指導する部員たち

 16日に行われたダブルス決勝では準決勝で木元風哉(社2=埼玉・早大本庄)・田中優之介(スポ2=埼玉・秀明英光)組を破った今井慎太郎(平成28年スポ卒=現イカイ)・仁木拓人(三菱電機)組が第1シードのナム・ジソン/ソン・ミンギュ(韓国)組と対戦した。試合はファーストセット、セカンドセットをそれぞれ取り合い、迎えたファイナルセットでナム・ソン組がスーパータイブレークを10−7で制し優勝を果たした。昨年の今大会で優勝していた今井・仁木組は2連覇を逃すかたちとなった。最終日のシングルス決勝では2回戦で島袋将(スポ3=三重・四日市工)をストレートで下していたホン・ソンチャンと第3シードの関口周一が激突。ソンはこの試合でも軽快なフットワークや正確なストロークを軸にした守りのテニスを展開し、7−6(4)、6−4のストレートで優勝を果たした。優勝したホンについて、トーナメントディレクターを務める石井弥起ヘッドコーチも「ひたむきに頑張っている姿勢だとか、どんな状況でもぶれずに自分のやることをやるところとか、どの試合も印象的でした」と目を細めた。

男子シングルス優勝を果たしたホン・ソンチャン

 今大会は早大勢の奮闘も光った。シングルスでは島袋将(スポ3=三重・四日市工)が羽澤慎治(慶大)との激戦を制し1回戦を突破。予選WC大会から勝ち上がった小林雅哉(スポ3=も予選決勝まで勝ち進むなど健闘を見せた。一方で、1回戦での田中優、千頭昇平(スポ2=愛知・誉)を始め、格上選手を勝利目前まで追い詰めながらも、あと一歩勝ちきれない試合が目立った。「相手も強い選手だったので、勝つチャンスがありながら競り負けてしまう悔しい面と、いいレベルにいる手応えの両方があります」と石井ヘッドコーチ。世界を見据える早大庭球部とって、今大会は明確な課題と収穫を得た大会となった。ダブルスでは木元・田中優組が躍進。準々決勝で第3シードを破る番狂わせを演じ、ベスト4入りを果たした。

ベスト4入賞を果たした木元・田中組

 表彰式では藤井颯大(スポ2=京都・同志社国際)が流ちょうな英語を交えながらスムーズに司会進行を務めた。大会実行委員長を務めた嶋崎監督代行の閉会宣言を以て今大会全日程が終了。1週間に渡って数々のドラマが繰り広げられた早稲田オープンは大成功で閉幕を迎えた。
 今大会の成功は紛れもなく、準備段階から大会期間中の1週間まで、ときには練習時間を削ってまで運営を務めた部員たちの功績によるものだ。「どの役職にも満点をあげたい」(加藤)。全体を指揮した統括を始め、毎日趣向を凝らしながら更新を続けたブログや、大好評を博したイベントなど、各役職が大会を盛り上げるために奔走した。今大会が終わるとチームは関東学生トーナメント(春関)に向けて本格的に始動する。早稲田オープンの運営を通じてひと回り成長した庭球部。「伝統とか、早稲田のいいところは引き継ぎながら、常に進化していく気持ち忘れずに」(石井ヘッドコーチ)。いよいよベールを脱ぐ新生ワセダはどんな戦いを見せてくれるだろうか。

表彰式後の集合写真

(記事、写真 林大貴)


☆嶋崎徹夫大会実行委員長 挨拶

 改めまして、ホン選手は優勝、関口選手は準優勝おめでとうございます。数々のドラマ、本当にありがとうございました。また、特別協賛をいただきました三菱電機様、日頃から用品を提供していただいている協賛各社の皆様、ITF(国際テニス連盟)、JTA(日本テニス協会)、テニス関係者の皆様、最後まで会場でご観戦いただきました皆さん、そして大会運営を支えてくれた大学生、高校生、本当にありがとうございました。
 今年もこの大会も12回目を迎えることになりました。日本のテニスのさらなる発展と大学テニスの底上げを大きな目的として、今大会を開催してまいりました。錦織圭選手、大坂なおみ選手(ともに日清食品)に続く、若手の活躍をさらに目指すとともに、大学生については互角の試合をしながらも惜しくも敗れてしまうということが多かったので、またこの1年頑張って、ぜひ優勝争いに絡めるように頑張って欲しいなと思います。1週間という短い時間でございましたけれども、本日無事に決勝戦を終えることができましたのも皆様のおかげと感謝しております。来年もこの大会で皆様とお会いできることを切に願いまして、わたくしの締めの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

結果

男子シングルス

▽決勝
◯ホン・ソンチャン(韓国) 7−6(4)、6−4 関口周一(Team Rec)

最終結果(※早大選手のみ)

男子シングルス
▽2回戦
島袋将

▽1回戦 
千頭昇平
田中優之介

▽予選決勝
小林雅哉
白石光(スポーツ科学部入学予定=千葉・秀明八千代)
木元風哉

▽予選1回戦
藤井颯大
丹下将太(教育学部入学予定=東京・早実)


男子ダブルス
▽ベスト4
木元・田中優組

▽1回戦
片山翔(平24スポ卒=現・伊予銀行)・島袋組
千頭・白石組

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コメント

トーナメントディレクター/石井弥起ヘッドコーチ

――大会が全日程終了しました。今の率直なお気持ちとしてはいかがですか

本当に大きな事故や問題もなく終えることができてホッとしています。

――トーナメントディレクターとして今大会を総括していかがですか

まだディレクターになって2年目で、少しずつ見えてきたものがありましたけど、やっぱり学生がやっている大会で、僕はディレクターという立場ですけど、見守るだけでした。僕が特に大きく動かなくてもいいように学生が頑張ってくれたので、学生にとってはいい経験になったかなと、毎度のことながら思っています。

――早大選手の活躍ぶりを振り返っていかがですか

シングルスに関していえば島袋が一回勝ったということは大きかったと思うし、負けた試合はどの試合も勝つチャンスがあったと思うんですよね。勝つチャンスがありながら競り負けてしまうのは悔しいんですけれども、相手も強い選手だったので、負けて悔しい面といいレベルにいる手応えの両方がありますね。あとはそこで勝ちきれるように取り組んでいくだけですね、早稲田としては。

――印象に残った試合はありましたか

1試合でいうと難しいんですけど、優勝したホン選手の試合はどの試合もタフな試合だったなと思いますね。ひたむきに頑張ってる姿勢だとか、どんな状況でもブレずに自分のやることをやるところとか、どの試合も印象的でしたね。

――改めて、学生の働きぶりはどう映りましたか

素晴らしかったと思います。もちろんいろいろな反省点とかは出ますけど、全体を通して見ればよく頑張ってくれたと思いますし、大きな問題もなくできたので、素晴らしかったと思います。

――まもなく学生大会が始まって、新しいチームが始動しますが、今年度の庭球部はそういったチームにしていきたいとお考えですか

春感まで1ヶ月ぐらい、本戦までは1ヶ月半ぐらいというところになったので、いよいよだなというところですけど。メンバーも年々変わって、毎年新しいチャレンジが始まるなという気持ちで。それが他の大学にも言えるところなんですけど、伝統とか、早稲田のいいところは引き継ぎながら、さらに今年は何が必要なのかを見極めて、常に進化していく気持ち忘れずにやっていくことかなと思います。

統括/加藤翼(社3=和歌山・慶風)・長倉謙伸(スポ3=静岡)

――無事大会を終えて、今の率直なお気持ちはいかがですか

加藤 まずはホッとしています。

長倉 やっと終わったなという感じです(笑)。全体の仕事を見たり、想定していなかった仕事も多かったので大変でした。僕はちょくちょくサボっていましたけど。

加藤 でも設営とかもやってくれて、うまく仕切ってくれたので、役割分担がちゃんとできていました。

――統括として全体の動きを振り返っていかがですか

長倉 全体の動きとしては、どの役職の人モチーフを中心にやってくれたなと思います。特にブログなんかは樋口(廣太郎、スポ2=福岡・柳川)が夜遅くまで頑張って更新してくれていたので、そういう効果もあって、お客さんもたくさん来てくれたと思います。

加藤 どの役職にも満点をあげたいなと思います。

――イベントの方も盛況でしたね

加藤 そうですね、3日間やって、どれも定員ギリギリで。

長倉 イベントのチーフの米原(さくら、スポ2=秀明英光)はすごいやってくれました。決勝のアナウンスもしてくれたので。

――「歴史に残る大会にしたい」とおっしゃっていましたが、大会を総括してどうですか

長倉 特に変わったことはできなかったんですけど、僕たちの心には刻まれました(笑)。

加藤 やってみてのミスとかはいくつかあったので、そこはしっかり来年までに改善できるように。昨年のミスも引き継がれていない部分があったので、今年やったミスは来年しないように、しっかりと引き継ぎたいです。

――統括を経験して、何か得られたと思うことはありますか

長倉 まとめる力だったり、視野の広さだったり。僕は普段ただ人について行って、ただふざけているだけだったので(笑)。ちゃんとやるときはやろうと思って。普段とは違う立場だったので、すごいためになりましたね。あらゆる場面で気を使わないといけないですし、やっぱり上に立つ人は大変だなと思いますね。

加藤 僕もやっぱり指示をする大変さというのは改めて分かって、自分の考えを伝えても、違う解釈が出て来てしまったり、することもあって、自分の意見を大切にしようと思っていたんですけど、いろいろな意見を聞くことも大切だなと思いました。色々な企業の方と関わりを持って、企業のお偉いさんとかはすごい自分に自信を持っているというか、雰囲気があって。自分に自信を持てるような人間になっていきたいですね。

イベント担当/米原さくら(スポ2=埼玉・秀明英光)

――3日間行われたイベントはどれも盛況でしたが、振り返っていかがですか

はい、全体的な予想よりも人数が上回ったのと、当日参加してくれた皆さんが楽しんでくれたのでよかったです。

――イベント担当として、イベントの進行はうまくいきましたか

もっとスラスラいくものだと思っていたんですけど、ちょっとドタバタしてしまった部分があって、でもなんとかうまくできました。

――イベントに参加した人たちは何か得るものがあったと思いますか

学生と触れ合う機会っていうのはこういうところでしかなくて。学生ヒッティングイベントでも、弥起さんのクリニックでも質問とかしていたりしていたので、得るものはあったんじゃないかなと思います。

――参加していた子どもたちに期待したいことはありますか

きょうの試合を見てもっとテニスが強くなりたいと思ってくれたり、イベントに参加してもっとテニスが大好きになってもらいたいです。