田中優、千頭は強敵に屈し初戦敗退。ダブルスは木元・田中優組が同士討ちを制する

庭球男子

 連日ハイレベルな熱戦が繰り広げられる三菱電機・早稲田大学インターナショナルオープン(早稲田オープン)。大会は3日目を迎え、この日は男子シングルスとダブルスの1回戦が行われた。男子シングルスに登場した田中優之介(スポ2=埼玉・秀明英光)、千頭昇平(スポ2=愛知・誉)はともに格上の選手を相手に勝利目前まで追い詰めたものの、ファイナルセットの末に惜敗を喫し、1回戦で姿を消した。男子ダブルスでは片山翔(平24スポ卒=現・伊予銀行)・島袋将(スポ3=三重・四日市工)組が登場。島津全日本室内選手権を制し、優勝候補の一角として目される片山・島袋組であったが、世界を股に掛けて戦う期待の若手ペア、福田創楽(イカイ)・ホン・ソンチャン(韓国)組にストレートで敗戦した。同士討ちとなった田中優之・木元風哉(社2=埼玉・早大本庄)と千頭・白石光(スポーツ科学部入学予定=千葉・秀明八千代)との一戦は、学生王者の力を見せつけた木元・田中優組が6−4、6−4のストレート勝ちを収め、2回戦へと駒を進めた。

★田中優、千頭は格上相手にあと一歩及ばず

持ち味を見せた千頭だが、わずかに及ばず

 ワイルドカードで今大会の出場権を得ていた千頭は1回戦でATP世界ランキング490位(2019年3月4日付)のWishaya Trongcharoenchaikul(タイ)と対戦した。ファーストセットは相手の屈強な体格から放たれる強烈なサーブやストロークに苦戦。3−6でこのセットを奪われた千頭だが、セカンドセットになると徐々に対応を見せる。リターンからの崩しやミスを誘うプレーで徐々にペースを呼び込むと、相手のサーブが安定しなくなった第8ゲームにブレークに成功。セカンドセットでゲームを振り出しに戻し、勝負の行方はファイナルセットへと持ち込まれた。ファイナルセットは力で押す相手選手とテクニックでいなす千頭による一進一退のキープ合戦が繰り広げられたが、5−6で迎えた第12ゲームにブレークを許し、万事休す。格上をを追い詰めた千頭だったが、あと一歩及ばなかった。

格上の選手を勝利目前まで追い詰めた田中優

 勝利は目の前だった。田中優はATP世界ランキング365位(2019年3月4日付)のキム・ナウジング(韓国)を相手に、ファーストセット第1ゲームでブレークに成功。直後にブレークバックを許したものの、田中優は第5ゲームにもブレークを決め、幸先よくファーストセットを先取した。試合を優位に進めたい田中優だったが、セカンドセットはショットの精度が安定しない。田中優は第1ゲームから5ゲームを連取され、1−6でこのセットを献上した。迎えた勝負のファイナルセット。互いに1ブレークを奪い4−3で迎えた第7ゲームで田中優がブレークに成功し、勝利に王手をかけた。しかし、ここからトッププロの本領を見せつけられる。直後のゲームでブレークバックを許し、5−5のタイで迎えた第11ゲームにもブレークを決められるなど、5−3から4連続でゲームを奪われ、勝利目前で逆転負けを喫した。「勝ちが見えただけあって、後悔が残る」と悔しさをにじませた田中優だが、一方で「競い合うことができるレベルまで来ている」と、トッププロ相手に互角に渡り合ったことに対しては手応えを感じていた。

(記事 林大貴、写真 小田真史)

★木元・田中優組は千頭・白石組との同士討ちをストレートで制する

学生王者のコンビネーションを見せつけた木元・田中優組

 島袋・片山組は若手のホープ、ホン・福田組と対戦。両者どちらもサーブを起点に攻め合う。しかし、7ゲーム目でブレークされると、島袋のサーブが決まらなくなる。ボレーのミスも続き失セット。セカンドセットに入っても相手の反応良いプレーに苦戦させられる。モメンタムを引き寄せることができず、悔しいストレート負けを喫した。
 田中優・木元組は白石・千頭組との同校対決。お互いにプレースタイルがはっきり分かれた選手たちの対戦となった。「ラッキーなかたちでブレークできた」(田中優)と語るように1ゲーム目は相手のミスからブレークし、リード奪う。その後はキープ合戦の試合展開に。リードをキープしたままファーストセットを獲得した。その後、木元のプレーがさえ渡り、主導権をにぎる。ファーストセットと同じスコアの4-6で試合を決めた。

(記事 小田真史、写真 林大貴)


結果

男子シングルス

▽1回戦
●田中優 6−4、1−6、5−7 キム・ナウジング(韓国)

●千頭 3−6、6−3、5−7 Wishaya Trongcharoenchaikul(タイ)



男子ダブルス

▽1回戦
◯片山・島袋組 6−4、6−4 福田・ホン組
◯木元・田中優組 6−4、6−4 ●千頭・白石組

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コメント

田中優之介(スポ2=埼玉・秀明英光)

――相手はランキングに入る上位の相手でしたが、ゲームプランは何かありましたか

正直テニスは見たことはなかったので、何とも言えないんですけど、先週準優勝していたり、日本のトッププロにいいスコアで勝ってたりと実力がある相手というのは分かっていたので、僕からしたら向かっていくだけ。自分のプレーをどれだけ通用するかということを考えていました。

――実際に試合をしてみていかがでしたか

一言言えば強かったですね。強かったですけど、勝ちが見えただけあって、悔しいというか。後悔が残るというか…。

――ファイナルセット、5-3までゲームをリードしてからの敗戦でした

5-3のゲームでは正直相手が良かったというのがあったので、僕的には5-5の30-30でダブルフォルトしてしまったとか、仕方なくない落とし方と言いますか。相手もラリーになったらもっと緊張したと思うので、悔しいです。

――点を取られてしまった要因はどこにあると考えていますか

勝ちたくなってファイナルセット5-3から相手も負けたくないから少し球の質を落として(コートに)入れにいくということをしてきたのですが、それに僕が無理に打ちにいってしまいました。同じペースで僕も打っていく余裕を持っていればと思います。

――ただ、あと一歩まで相手を追い詰めたということは自信になると思うのですが、いかがですか

そうですね。ここ最近試合できょうであったり、違う大会でも日本のトッププロと対戦したのですが、競合いできるレベルまで来ています。ですが、競合いできてもトッププロとの違いは勝ち切れるかどうかだと感じているので、学生の中ではこだわれてると思いますがもっとこだわらないとチャンスはないなと思いますね。

千頭昇平(スポ2=愛知・誉)

――惜しくも敗れるかたちとなりましたが、振り返っていかがですか

相手が自分のサービスゲームでめちゃめちゃ集中してきたっていうのもあるんですけど、全日本(選手権)の徳田廉大との試合だったり、全日本学生室内(選手権)の羽澤(慎治、慶大)の試合だったり、この試合も全部ファイナルセットで競って負けているんですよね。本来だったら自分は最後に競った時に強いと思っているんですけど、最近は全部負けているので、そこをどうにかしないと思いますね。今日もチャンスがありながら結局5−7で負けてしまったので。(ATP世界ランキング)490位ぐらいの選手でしたけど、自分はプロでやりたいので、こういう相手に絶対勝っていかないといけないという気持ちで臨んでるんですけど、サーブ力の差であったり、ストロークの破壊力であったり、自分にはないものが相手にはあって。自分がそれを身につけるというのは厳しいので、自分のテニスをもっと磨いていければいいと思いましたね。

――ここ最近競った試合で勝ち切れない要因というのは何か挙げられますか

それが気持ちの弱さなのか、実力の差なのか、結論が出ていないんですけど、勝負弱くなっちゃっているのかなって自分では思っていて。1点、2点取るか取らないかできょうの試合も変わっていたと思うので、気持ちの面で改善していければいいかなと思います。プロの試合は大学生はトライする数が圧倒的に少なくて、そのぶん勝たなきゃいけないと思ってしまうところがあって。去年から遠征にもどんどん行くつもりだったんですけど、ケガもあってなかなか挑戦できなかったので、今年はプロの試合にトライして、自分で必要なものを学んでいって成長できればいいかなと思います。

――プロ相手に善戦した点で収穫と感じる部分ありますか

課題なんですけど、重い球を打ってくる選手に対して何事もなく返せるようになれればいいと思うんですけど、慣れが必要だなと思いました。もっと自分なりに考えて、トライして行く必要があると思います。

――プロを視野に入れているというお話もありましたが、今年の目標や目指すところはありますか

目標は今大会もそうなんですけど、ITFワールドツアーで成績を収めて、その次の4年目は授業も少ないので、どんどん挑戦していけるぐらいランキングを上げていきたいですね。

田中優之介(スポ2=埼玉・秀明英光)・木元風哉(社2=埼玉・早大本庄)

――試合を振り返っていただけますか

田中優 やっぱり相手がボレー上手いということをよく知ってて、いつも通りのプレーができれば勝機はあると思ってプレーしました。最初が全然だめで、相手のミスでゲームブレークできてそのままいっただけだったので、相手に助けられたっていうが大きかったです。

木元 僕は同士打ちとか意識してなくて。相手の印象が大きかったので、きのうできなかったプレーを意識してやって結果、自分のペースで思っていたよりもいいプレーができたかなと思います。

――自身のサーブを振り返ってみていかがですか

田中優 僕の場合はきょうシングルスの時にファーストサーブの確率が低すぎたので、ダブルスではそこで切り替えて行くしかないなと思って試合に入りました。ダブルスではファーストサーブが入れば結構な確率で点が入るので。ゆっくりでも入れていければと思ってました。

木元 サーブ良かったです。サーブは大事だなって改めて思いました。

――どちらもサービスゲームでブレークされなかったのは自信になると思いますが、いかがですか

田中優 僕はサーブ日替わりなので(笑)。きょう良かったとしても天狗にならずにいければと思います。

木元 サーブが重要だと意識してやっていきたいです。

田中優 明日の相手のサーブはバカ早いので。サーブのコースとかもすごいです。

――サーブ以外に良かった点は何かありますか

田中優 ミスが先行した時に切り替えていけたというか。正直いいことかは分かりませんが、それのおかげで次のサービスゲームも楽にいけたかなと思います。

木元 リターンとかストロークの突き球とかが目立っていたかなと思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

田中優 もう相手は第3シードなので、僕らからしたら向かっていくなので、学生チャンプの意地を見せていきたいなと思ってます。

木元 先も言いましたが、サーブをしっかりと集中してリターンも頑張って地道にポイントを稼いでやっていきたいと思います。

千頭昇平・白石光(スポーツ科学部入学予定=千葉・秀明八千代)組

――今回、お二人のペアは初めてでしたか

白石 初めてでした。

千頭 最初、片山さんと島袋さんのペアとで田中と木元ペアがワイルドカードって決まっていたんですけど、片山・島袋組が自分たちのランキングで出場を決めて、代わりに僕たちがワイルドカードで出場しました。

――出場が決まったのはいつ頃ぐらいですか

千頭 前日の夕方ぐらいですね。組むって決まったのもそのくらいです。

――ではほとんどペアで練習する時間はなかったと

白石 ほとんど試合してないです。きょうの4ゲームぐらいでした。

――急造のペアでしたが、お互いの相性としてはいかがでしたか

白石 お互いテクニックで攻めるタイプではあるので、サーブアンドボレーで手堅く行ければいいかなと思っていたんですけど。ストロークがすごく良かったので、練習不足ですよね。

千頭 まあ、できる限りのことをして頑張りました。今後もこのペアで組むかどうかはわからないですけど、ダブルスではサーブアンドボレーは絶対必要なものなので、ダブルスの時は誰と組むにしろ、そこをうまくしないといけないなと思いました。

――相手は学生大会で結果を残している木元・田中優組でしたが、試合を振り返っていかがですか

千頭 そうですね、チャンピオンの風格が漂っているんですけど、今もあっち(田中優・木元組)のインタビューでも(笑)。新1年生に聞いてみましょう。

白石 やっぱり組み慣れているなっていうのは感じました。チェンジの仕方だったり、息の合い方だったり、コミュニケーションの部分でも慣れているなというのは対戦してみて感じました。

――ダブルスの経験の差が勝敗を分けた部分でしょうか

白石 昔から喋ったことはあったので、コミュニケーションだったり、ペアリングの部分では問題はなかったんですけど、やっぱりダブルスとしての熟練度の差は感じました。

――今大会のダブルスでの戦いを振り返っていかがですか

千頭 相手が木元、田中優ということで、前に全然来ないんですよね。後ろでバンバン打ち込んできてバンバン勝ってしまうのは珍しいなとは思いますね。僕らはストロークが大して強いわけではないので、ダブルスは前でやるしかないと思っているんですけど、もっとダブルスとしての実力を身につけていく必要があると思いました。

白石 対戦した感じ、僕らはそこまで悪くはなかったんですけど、自分の課題としてはまずサービスゲームで展開していくことだと思いました。セカンドサーブだとリターンから攻め込まれてしまうので、ダブルスではサーブをしっかり決めて、ファーストボレーから相手をしっかり崩していけるように。キープもしやすくなるので、リターンゲームでも余裕を持ってプレーできると思うので、そこが自分の課題だと思います。

千頭 あとひとついいですか。新一年生の白石くんには期待しています!