猛暑の大宮で全勝!出場した全員が準決勝へ駒を進める

庭球男子

 39度近い猛暑となった大宮で、関東学生選手権(夏関)本戦4日目の戦いが繰り広げられた。この日は各種目準々決勝が行われ、早大勢は全勝と大活躍。出場した選手全員が翌日の準決勝に駒を進めた。全日本学生選手権(インカレ)からそのまま日を空けずに行われている今大会。選手たちの疲労もピークに達しているだろうが、あと2日、気力を振り絞りタイトル獲得へ突き進むことはできるだろうか。

(記事 松澤勇人)

★小林雅が粘り勝ち!タイブレーク制して準決勝へ・・・男子シングルス

小林雅はタイブレークで抜群の勝負強さを発揮した

 男子シングルスでは、小林雅哉(スポ3=千葉・東京学館浦安)が準々決勝に挑んだ。相手は法大の藤井俊吾(3年)。第3シードの小林雅にとって、普段通りの力を発揮すれば確実に勝利を収められる相手であったが、この日は最高気温38度の猛暑とあり苦戦。第1セットでは「緊張していた」(小林雅)こともあり、相手の広角に繰り出す正確なショットに翻弄(ほんろう)され、4-6で落としてしまう。それでもここで修正するのが小林雅。第2セットでは緊張もほぐれ、6-2で奪取して流れを呼び込む。そして迎えた最終セット。序盤から勢いそのままに連続でゲームを奪い、勝利を手にするのも時間の問題かと思われた。しかし、ここで思わぬ落とし穴が。暑さに体力を奪われ、足が止まってしまったところを突かれてまさかの劣勢に。連続でゲームを落とし、6-6でタイブレークへともつれ込んでしまう。それでも、「最後は気合で乗り越えた」と小林雅。互角の攻防で4-5となってからの相手サーブターンで、執念の2連続得点。最後はラリーを制し、苦しみながらも準決勝進出を決めた。インカレでは3回戦で苦杯をなめた小林雅。そのうっぷんを晴らす舞台はもうすぐそこだ。

(記事 吉岡拓哉、写真 森田和磨)

★両ペア共に圧勝しベスト4進出!・・・男子ダブルス

インカレベスト4の相手を圧倒した木元(左)・田中優組

 男子ダブルス準々決勝には古賀大貴(スポ3=大分舞鶴)・安上昂志(スポ3=福岡・柳川)組、木元風哉(社2=埼玉・早大本庄)・田中優之介(スポ2=埼玉・秀明英光)組が登場。どちらも相手ペアを封じ込み、順当に準決勝へと駒を進めた。

 今大会第3シードの古賀・安上組は、予選から勝ち上がってきた明大の中村彰宏(4年)・市川雄大(3年)の挑戦を受けた。試合は相手の最初のサービスゲームをブレークし、古賀・安上組のペースに。古賀のストロークで崩し、安上のボレーで仕留める得意のかたちで、ファーストセットを難なく先取した。セカンドセットも二人のコンビネーションは健在。相手ペアが二人で前に攻めてきた場面でも冷静に対応し、6-0で奪って快勝した。二人で臨む学生大会の個人戦は実に8大会目。悲願の初タイトル獲得へ盤石の戦いを見せている。

 木元・田中優組は駒大の日野勇人(3年)・田村迅(3年)組と対戦した。相手ペアは先日まで行われていた全日本学生選手権(インカレ)でベスト4に輝いた強敵。接戦が予想されたが、序盤から木元・田中優組が圧倒する。こちらも相手サーブの第1ゲームからブレークに成功すると、木元の長いリーチを生かしたフォアハンドなどで相手を翻弄(ほんろう)。ファーストセットを6-0で取ると、セカンドセットも相手ペアに反撃の余地を与えず、ストレート勝ちを収めた。初めてのペアリングとは思えない息の合ったテニスを見せている木元・田中優組。インカレから好調を維持する二人が、夏関での頂点を目指す。

(記事 吉田優、写真 森田和磨)

★こちらも粘り勝ち!森川が準決勝へ・・・女子シングルス

勝利の瞬間、応援の部員にガッツポーズを見せる森川

 女子シングルス準々決勝には森川菜花(社3=山口・野田学園)が登場。ベスト4入りを懸け、日大の板谷里音(2年)と対戦した。試合は立ち上がりからブレーク合戦に。フォアハンドを得意とする両者のラリー戦が続いたが、序盤は相手のエースが決まる場面が多く、2-5とリードを奪われた。しかし、迎えたリターンゲーム最初のポイントで森川が相手のサーブに対してスピンをかけて深く返球すると、相手のショットは大きくベースラインを超えるアウトに。「あそこで自分の中でこうすればポイントが取れるというのが分かって、心に余裕ができた」と振り返るように、ここからは森川がスライスショットも織り交ぜて相手の嫌がるボールを打ち続け、粘り勝つポイントが増えていった。なんと2-5から一気に5ゲーム連取でファーストセットを奪取。ここから一気に勢いに乗った森川はセカンドセットでも同じプレーを貫く。「同じことをやり続けるしかないと思っていたので、それができてよかった」(森川)。このセットでも先にブレークを許すが、すぐにブレークバックして流れは渡さず、最後まで集中力を保った森川が粘り勝ち。準決勝進出を決めた。

女子シングルスで唯一勝ち残っている森川は、自己最高成績を更新するベスト4まで勝ち上がった。次戦の相手は昨年度チャンピオンの小松莉奈(東学大4年)。格上との対戦となるが、「試合中に色々考えて、うまく自分のペースに持っていきたい」と意気込んでいる。優勝候補をなぎ倒し、快進撃を続けることはできるか。チームの期待も背負って準決勝の舞台に臨む。

(記事、写真 松澤勇人)

★剱持・森川組は逆転勝利で4強入り・・・女子ダブルス

後半は剱持(右)のボレーが火を噴いた

 一度流れに乗ると止められない、そんな勢いを感じさせる試合だった。剱持梓(社3=東京・早実)・森川組の試合は相手のサービスゲームをブレークして始まったものの、両者ともプレーに迷いが感じられた部分があり、そこから相手に6ゲーム連続で取られてファーストセットをあっさりと落としてしまう。「大きく変えなければ無理だという話をした」(森川)。その効果が現れたのかセカンドセットは森川のボレーなどで流れを手繰り寄せる。圧巻の粘りを見せたのが第4ゲーム、相手のサービスゲームだったが5連続でデュースに持ち込み、最後はまたしても森川のボレーで決め切りブレークに成功する。その勢いのままセカンドセットを6-1で奪い、スーパータイブレークに持ち込んだ。ここで尻上がりに調子を上げてきた剱持が躍動する。5−4で緊張感の高まる中、剱持が3ポイント連続でボレーを決め切る。そこでリードを広げた早大ペアはその後は相手にポイントを許さず、10-4で勝利を決めた。「とにかくダブルスで優勝したい」(森川)、「ベスト4の壁を壊したい」(剱持)と気合十分の二人のプレーから、目が離せない。

(記事 森田和磨、写真 松澤勇人)

結果

▽男子シングルス準々決勝

〇小林雅哉4-6、6-2、7-6(5)藤井俊吾(法大)


▽男子ダブルス準々決勝

〇古賀大貴・安上昂志6-2、6-0中村彰宏・市川雄大(明大)

〇木元風哉・田中優之介6-0、6-2日野勇人・田村迅(駒大)


▽女子シングルス準々決勝

〇森川菜花7-5、6-3板谷里音(日大)


▽女子ダブルス準々決勝

〇剱持梓・森川菜花1-6、6-1、10-4西里夏子・安部有紗(山学大)


コメント

小林雅哉(スポ3=千葉・東京学館浦安)

――インカレは3回戦敗退でしたが、今大会はどんな気持ちで臨まれましたか

インカレは少し悔しい結果で終わってしまったんですけど、今回はあまり勝たなければならないという思いもなくて、普通に勝ちたいけど自分のペースでできればいいなというくらいの気持ちでやっています。

――きょうの試合、第1セットは相手のつなぐテニスにのまれて落としてしまいましたが、いかがでしたか

正直すごくやりにくくて、どっちに来るんだろうという球が多くて戸惑ってしまったのと、自分も少し緊張していたのかなというのもあって、自分からミスをしてしまった感じがします。

――第2セットは落ち着いて6-2で取れましたね

第2セットは少し緊張もほぐれてきて、自分のプレーとまではいかないですけど、しっかりとラリーをつなぐことができて相手がミスをしてくれたので、ゲームを取れたかなと思います。

――最終セットは序盤にリードしながら途中追いつかれる展開となりましたが、どんな気持ちでプレーしていましたか

やはりこの暑さの中でやっていて、もう少し自分の体調管理が大事だなと思いました。やはりリードしていても最後を締めきれなかったのが悪かったです。4-0までいって、自分のサービスゲームをしっかり取っていれば相手も5-0で諦めてくれた可能性もあったんですけど、やはりそこで簡単に落としてしまって、熱中症っぽくなって足も止まってしまって、相手がまだチャンスがあると開き直って良いコースに打ってきたので、やはりもう少し締めるところはしっかり締めていかないといけないと思いました。今後はこういうことがないようにできればいいなと思います。

――それでも最後のタイブレークは緊迫感のある中で力を出し切れましたね

しっかり3-3でチェンジコートを折り返せたのは良かったと思います。その後の4-4で自分のサーブに相手の良いリターンが返ってきたのは仕方なくて、そこをしっかり5-4で折り返せれば良かったかなと思うんですけど、最後はなんとか気合で乗り越えられたかなと思います。

――最後に明日以降に向けての意気込みをお願いします

ここまで来たんで、頑張って決勝を目指せるように、まず明日勝てるように頑張ろうと思います。

剱持梓(社3=東京・早実)・森川菜花(社3=山口・野田学園)

――第1セットはすごく苦戦していたと思いますが、振り返っていかがですか

剱持私が間違いなく足を引っ張ってしまって、相手がおもいっきり打ってきた球を絶対アウトなのに中途半端にラケット出してしまうとか、全てが中途半端でした。出だしはよかったのに1-2になってからどんどん受けのプレーが増えてしまって、いいプレーが出ない雰囲気というか負のスパイラルになってしまって、あっさり落としてしまいました。

森川私もすごく中途半端で、インカレの時の似たような感じでちょっとやばいやつだと思いました(笑)。

――第2セットはすごくよい内容になったと思いますが、どこが変わりましたか

森川私は全然ストレートを打っていなかったのでまずそれをやって、あと前に上がってボレーをとにかくやってみようとしました。休憩時間に大きく変えなければ無理だという話もしてたので、それが上手くハマってラッキーでした。

剱持見ての通り森川がバコってこっち(剱持)がロブっていう2人の関係が緩急になっていて、それが1セット目でできなかったから、相手がおもいっきり打ってきたので相手の打ちづらい球を狙い出したらミスも増え出して自分も乗ってきてボレーも思い切って打てたのが2セット目はよかったかなと思います。

――相手のストレートボールには苦戦しましたか

剱持森川は結構キャッチが得意なんですよ。私はそれに助けられた分、小細工はできないので当てて返すのだけはすると徹底してやりました。

――試合終盤に剱持選手が連続ボレーなど決めていましたがどこでスイッチが入りましたか

剱持ここ(夏関) で本当に優勝したくて、ボレーで決めれば勝てるとわかっていたので、ファイナルは10ポイントしかないのである意味開き直ってボレー出た者勝ちだし、ここ(夏関)でやってきてタイブレークも勝っていた自身も後ろへの信頼もあってファイナルはスイッチが入りました。

――明日への意気込みをお願いします

森川とにかくダブルスで優勝したいので、剱持がもうちょっと余裕を持ってプレーできるように力強いストロークを打って剱持を楽にさせてあげられる存在になろうと思います。

剱持自分を自分で追い込んでしまいがちなのですけど、試合中にそうなると森川は視野が広いので気づいてくれて楽にやれと言ってくれるので、そんな感じでいつも通りできれば最初からきょうの2セット目みたいないい流れでできると思うので、ベスト4の壁をとりあえず壊して明日こそぶちかまします(笑)。