本戦2日目を迎えた三菱全日本選手権(全日本)。この日は男子シングルス1回戦が行われ、早大からは5名が出場した。小林雅哉(スポ2=千葉・東京学館浦安)は早大OBの岡村一成(平26スポ卒=岡山操山、現ストライプインターナショナル)に敗れ、昨年と同じく初戦敗退。コロシアムで行われた田中優之介(スポ1=埼玉・秀明英光)はフルセットまでもつれるも、ファイナルセットは1-6と力尽きた。三好健太副将(スポ4=埼玉・秀明英光)は41歳の大ベテラン鈴木貴男(Team Rec)に終始圧倒され、ストレート負け。プロの貫禄を見せつけられる結果となった。一方で坂井勇仁(スポ3=大阪・清風)、千頭昇平(スポ1=愛知・誉)がプロ選手を相手に勝利。前日試合が行われた島袋将(スポ2=三重・四日市工)と合わせて3名が2回戦へ駒を進めた。次戦はそれぞれシード選手との対戦となるが、学生の底力を発揮し、ベスト16入りを果たしてほしい。
★千頭が全日本初勝利!
千頭は粘り強く相手のラリーに応戦した
全日本初出場となった千頭はロンギ正幸(福井県体育協会)と対戦。前回対戦時は勝利を収めた相手だが、ハードコートで行われる今大会は苦戦を強いられることが予想されていた。試合開始早々、千頭は第1ゲームをブレークに成功。そのまま勢いに乗るかと思われたが、続く自分のサービスゲームでミスが続き、すぐにブレークバックされてしまう。その後もなかなか主導権を握ることができず、ファーストセットは2-6で落とした。それまでは相手の片手バックハンドから繰り出される鋭いショットに苦しめられていたが、「自分が粘りを見せれば必ずミスが出てくる」とセカンドセットからは粘り強くラリーを続け、徐々に自分のペースに持ち込む。相手のミスを誘発し、ポイントを重ね、このセットを6-1で奪った。迎えたファイナルセットでも千頭が先にブレークに成功。その後は一進一退の攻防が続くが、サービスブレークは許さず。ワンブレークアップのまま逃げ切り、フルセットの接戦を制した。「しっかり切り替えて、自分のできる最善のプレーを尽くそうと考えた」(千頭)。たとえ調子が悪くとも、その中でベストなプレーを披露し、大舞台でまた一歩成長した姿を見せた千頭。2回戦は1学年上の福田創楽(イカイ)との対戦となるが、「自分がどこまで通用するか挑戦したい」(千頭)と意気込んでいる。成長を続けるルーキーは、果たしてどこまで勝ち進むだろうか。
(記事、写真 松澤勇人)
★王座MVPの坂井が全日本でも躍動
勝利を決め、ガッツポーズを見せた坂井
関東大学リーグ(リーグ)からハイパフォーマンスを維持し、全日本大学対抗王座決定試合(王座)ではMVPを獲得した坂井が、全日本に登場。予選から勝ち上がり、1回戦で松尾友貴(橋本総業ホールディングス)と対戦した。鍛え抜かれた肉体から放たれる強烈なサーブが武器の相手に、「丁寧にプレーしながらもしっかりと攻めてポイントを取ろう」と意識して臨んだ坂井。予想通り相手のサービスゲームは我慢の時間が続いたが、ラリー戦になれば緩急をつけたショットで相手を翻弄(ほんろう)し、優位に立った。ファーストセットは先に相手のミスに付け込み、6-4で奪う。続くセカンドセットも変わらずキープキープの展開が続くが、「サービスゲームは集中できていた」(坂井)とブレークは許さず、試合はそのままタイブレークに突入した。タイブレークでは出だしからファーストサーブが決まり、4連続でポイントを奪取。一気に流れをつかみ、そのまま逃げ切った坂井が1回戦を突破した。リーグ、王座に続き全日本でも好調ぶりをアピールした坂井。次戦は第2シードの高橋悠介(三菱電機)に挑む。
(記事、写真 松澤勇人)
結果
▽男子シングルス1回戦
●小林雅(6-4、3-6、4-6)岡村一成(ストライプインターナショナル)
●田中(2-6、6-4、1-6)清水悠太(イカイ)
●三好(1-6、4-6)鈴木貴男(Team Rec)
〇千頭(2-6、6-1、6-3)ロンギ正幸(福井県体育協会)
〇坂井(6-4、7-6(3))松尾友貴(橋本総業ホールディングス)
▽混合ダブルス1回戦
○田中・清水綾乃(Club MASA)(0-6、7-5,10-6)岡村一成・岡村恭香(ともにストライプインターナショナル)
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コメント
坂井勇仁(スポ=大阪・清風)
――今大会シングルスにはどのような目標で臨んでいますか
予選からだったので、本戦にまず上がることと、本選に上がったら相手もみんな強いので、一つ一つ頑張って勝ち上がることができればいいなと思っていました。
――きょうはプロ選手との対戦となりましたが、どのような意気込みで臨みましたか
松尾さん(友貴、橋本総業ホールディングス)は国内でも結構活躍されている方で、とにかくやれることをやろうと思っていました。初対戦だったんですけど、相手のいいプレーも自分のいいプレーもあってキープキープになって、最後の最後ギリギリのところで勝てたかなと思います。最終的に僅差で勝てたのはよかったです。
――パワーのある相手でしたが、どのような対策をしましたか
サーブはパワーで押し切ってくるんで、ラリー戦になったときが大事で。緩急を使うなどしていかに相手を動かせるかどうかにかかっていたと思います。途中相手にうまくやられてしまった場面もあったんですけど、リターンゲームは特に我慢の時間が多かったですね。
――キープキープの展開の中で意識していたことはありますか
僕の方がブレークできそうな場面は多かったんですけど、そういう場面でも自分からミスをしてしまったり、相手のスーパーサーブにやられてしまったりすることが多かったです。松尾さんはSRIXONのブースで『「ブン」から「ビュン」になる』って紹介されてるくらいですし(笑)。その中でまずは自分のサービスゲームでファーストサーブの確率を上げて、丁寧にプレーしながらもしっかり攻めてポイントを取ろうとは考えていました。サービスゲームは集中できていたと思います。
――次戦は第2シードの高橋悠介選手(三菱電機)との対戦です。意気込みをお願いします
高橋くんは日本のテニス界の未来を担うスーパースターなので、そのスーパースターに一人の学生がどう立ち向かっていくかを見てもらえればいいなと思います。
小林雅哉(スポ2=千葉・東京学館浦安)
――今大会には単複共にどのような目標で臨みましたか
ダブルスは髙村(スポ2=千葉・東京学館浦安)と組むのは高校以来だったので、とにかく楽しくやろうと思っていました。結果としては簡単に負けてしまったんですけど、相手も強かったですし、課題が見えたかなと思っています。シングルスでは目標とかはなくて、一つ一つ勝とうと考えていました。きょねんと同じく初戦で負けてしまったんですが、今回は勝つチャンスがあった中であと一本が取れなかったなと思います。今の自分の実力を認めて、また来年に向けて頑張りたいです。
――今大会を通して得た収穫は
課題が見つかったことですかね。ダブルスだったらサーブとリターン
シングルスではすぐにポジションを下げて守りに入ってしまうことが多くて、インカレ(全日本学生選手権)からだんだん良くなっていると思ったのですが、また元に戻っている気がするので、そこは練習あるのみだなと思います。
――今後に向けた意気込みをお願いします
学生の大会がまた始まるので、そこで勝つのも大事なんですけど、もっと思い切ったプレーをするのが大事なので、勝ち負け関係なくトライしていきたいです。
千頭昇平(スポ1=愛知・誉)
――三菱全日本選手権は初めてだと思いますが、大会の雰囲気はいかがですか
特になにも感じないですね(笑)。学生大会をいつもやってる会場なので、特になにか変わったことはないんですけど、まあ日本で一番大きい大会なので、その分レベルも高いなと感じています。
――きょうの試合はプロ選手相手でしたが、どのような意気込みで臨みましたか
結構前に対戦したときは勝ったんですが、そのときはオムニコートだったので、ハードコートの方が強いなと思っていて、案の定とても苦しめられました。自分に不利な展開が多かったです。
――ストロークが強い相手でしたが、自分の中で対策などはありましたか
自分の調子がそんなに良くなかったのですが、相手は自分が粘りを見せれば必ずミスが出てくる選手だとは分かっていたので、結果しっかり粘り続けることができたのが勝ちにつながったのかなと思います。
――ファーストセットは流れに乗れないまま落としてしまいましたが、振り返っていかがですか
最初いいかたちでブレークできて、きょうはいい感じだなと思ったのですが、その後すぐにダブルフォルトを連発してブレークされてしまって、そこできょうはうまくいかない日だなと思いました(笑)。そこからはきょう自分のできることをやろうと思ってしっかり臨めたと思います。
――セカンドセットからはうまく気持ちを切り替えることができたということですか
そうですね。しっかり切り替えて、自分のできる最善のプレーを尽くそうと考えていました。
――次戦の相手は同年代の福田創楽選手(イカイ)です。意気込みをお願いします。
昔から知っていて、何度も試合したことのある選手で、久しぶりに試合ができるので楽しみですね。相手はプロですし、今年ランキングをぐっと上げてきている選手なので、そこに自分がどこまで通用するか挑戦したいです。