2日間をかけ本戦2回戦が行われた三菱電機・早稲田大学フューチャーズ国際トーナメント。シングルスでは、古田伊蕗(スポ2=静岡・浜松市立)がプロを退け3回戦進出を決めた。ダブルスでは小林雅哉(スポ1=千葉・東京学館浦安)・島袋将(スポ1=三重・湘南工大付)組が三菱全日本選手権(全日本選手権)優勝ペアに敗退。河野優平(スポ3=福岡・柳川)・坂井勇仁(スポ2=大阪・清風)組も接戦の末準決勝進出を逃した。
★古田が学生で唯一のベスト8入り
粘り強くラリーを続ける古田
昨年10月以来の対戦は見応えのあるラリー戦となった。菊池玄吾(日本)は全日本選手権2回戦で破っている相手だが、「チャレンジャーとして挑もうと思っていた」という古田。ファーストセットは着実にラリーをする古田に対して菊池のミスが目立ち、6-0で先取した。しかし、セカンドセットでプロに修正力を見せつけられる。「(菊池選手がファーストセットで)攻め急ぎ過ぎていたと感じたのだと思う。僕にやらせるプレーをしてきてやりづらかった」と、スライスや鋭いフォアハンドに苦しみこのセットを落とす。勝負のファイナルセットはキープキープが続く展開に。強力なサービスに阻まれブレークできずにいたが、ついに第8ゲームでチャンスが訪れる。「浅めのスライスを打たれないようしっかり攻めた」と積極的に打ってゆき、絶妙なドロップなど好プレーを披露してこのゲームを奪った古田。ワンブレークを守り抜き、学生で唯一のベスト8入りを果たした。
(記事 熊木玲佳、写真 田中佑茉)
★全日本王者に敗北
男子ダブルスでは小林雅・島袋組が2回戦に登場。三菱全日本選手権で優勝している強豪ペア、奥大賢・長尾克己組(日本)との対戦となった。「食らい付いてしっかりとプレーできるように」(小林雅)と臨んだ早大ペアは立ち上がりから積極的な攻めを見せる。2度のノーアドのジュースを勝ち切り、3-0とリードを奪う展開となった。しかし、ここから相手ペアが意地を見せ、すぐに追い付かれてしまう。互いにサービスキープをし合い、4-4で迎えた第9ゲーム、先にミスが出た小林雅・島袋組がブレークを許し、そのまま第1セットを落とした。第2セットは悪い流れを断ち切るため、より積極的にストレートアタックやポーチボレーを試みる。しかし、攻め急ぐあまりミスを重ね、次第に相手のペースに飲み込まれてしまった。終わってみれば4-6、1-6のストレート負け。プロの実力を見せ付けられ、悔しい敗戦となった。目標としていたATPポイント獲得はならなかったが、初戦で敗退した昨年と比べダブルスとして成長を感じた大会となった。シングルスだけでなくダブルスでも、新2年生の二人に注目だ。
(記事 松澤勇人)
★河野・坂井組は惜敗、ポイント獲得ならず
チャンスをものにできなかった河野(左)・坂井組
ファーストセットが悔やまれる試合となった。河野優平(スポ3=福岡・柳川)・坂井勇仁(スポ2=大阪・清風)組は岡村一成(日本)・Nam Hoang LY(ベトナム)組と対戦。1-5までリードを奪われるが、相手のミスや積極的なボレーで5ゲーム連取し逆転。河野のサービスゲームを迎え、このままキープしてセットを奪うかに思われた。しかし「まさか6-5にできると思っていなかった分気持ちの浮つきが出た」(河野)とブレークを許してタイブレークに突入。相手のサービスに苦しみ、5-7で落としてしまう。セカンドセットは「出だしから手堅くいくことができた」(坂井)とワンブレークアップで奪うが、続くファイナルセットでは序盤の坂井のサービスを2本落としてしまう。0-6までリードを許し、「相手に余裕を与えてしまった」(坂井)と流れを取り戻すことはできず。準々決勝敗退となり、ATPポイント獲得はならなかった。
(記事 熊木玲佳、写真 川浪康太郎)
学生の活躍が期待されたダブルスでは、勝負どころでの踏ん張りがきかない展開が目立った。古田が唯一シングルスで勝ち残りを見せているだけに、プロ選手の中で学生の力を証明してほしい。
結果
▽シングルス2回戦
○古田(6-0、3-6、6-3)菊池(日本)
▽ダブルス準々決勝
●河野・坂井(6(5)-7、6-3、4-10)岡村(日本)・LY(ベトナム)
●小林雅・島袋(4-6、1-7)奥・長尾(日本)
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コメント
河野優平(スポ3=福岡・柳川)
――ファーストセットは1-5から6-5まで追い上げながらタイブレークにもつれてしまいました
まさか1-5から6-5にできると思っていなかった分気持ちの浮つきが出ちゃったのかなというのはあって。3本あった中で1本もファーストが入らないというのは本当にあり得ない。プレー自体は悪くなかったのですが、どこでいいプレーをするかというところに問題があったかなと思います。
――セカンドを振り返って
リターンが結構通ったので、セカンドは取れるだろうなと思いながらプレーはしていました。そこでもっとファイナルにつながるセカンドにしたかったなというのはあって、ファイナルで相手がギアを一気に上げてくるのに対して準備ができていなかったかなと。
――ファイナルはいかがでしたか
試合を通してなのですが、出だしがよくなくて。どうやって06までいったかが分からないくらいスピードであっという間にいってしまったので、そういうところはなくさないといけないなと。何か機転を利かせてることも必要だなと思いました。
――具体的な敗因としては
もちろん敗因としてはファーストセットにあると思います。ファイナルにいったというそとに問題があって、ファーストが僕のサーブであそこの3本でどこか一本取れていればというところです。
――ダブルスはポイントまであと1勝でしたが、シングルスも含めて今大会の振り返りをお願いします
もう少しダブルスがいいかたちになれば成長を感じられる大会になったのですが、結局いつも通りということで、まだまだだったなと感じます。いいプレーがあっても続けられないというのが今大会だったので、調子が良くてプレーの質が上がっているだけではなく、いいプレーを続けられる能力を身につけていきたいです。
――副将として、1年の目標をお聞かせください
引っ張るのは得意ではないのですが、距離が近い中での引っ張り方だとか、人それぞれやり方があると思うので、自分なりにやっていければいいかなと思っています。
――個人としては
個人的にはラストそこまで欲は出したくないなというのはあるのですが、やはりテニスをやるのはラストの年なので、親にも恩返しがしたいですし、そうなると結果が必要になってきます。本当に見てくれる人が喜べる結果になればそれでいいかなと思っています。
――次の学生大会は関東学生トーナメントになります
結果でどこまでというのは特にないのですが、本当に悔しい負け方だけはしたくないので、納得できるプレーができればもし1回戦で負けてもいいかなと思います。
坂井勇仁(スポ2=大阪・清風)
――ファーストセットを振り返って
1-5まですぐいってしまったのが二人の問題かなと。実力としてはあまり差はなかったのですが、競った場面で取り切れなかったのはやはり日頃の甘さが出たのかなと思いました。
――セカンドはいかがでしたか
出だしからしっかり手堅くいくことができて、なおかついいプレーもあってブレークにもつながったので良かったと思います。
――ファイナルセットはいかがですか
出だしで僕のサービスを2本落としてしまって相手にリードや余裕を与えてしまったのが良くなかったと思います。
――今大会を振り返って
シングルスは予選で負けて、ダブルスもきょう勝ったらポイントが取れたのですが負けてしまって、少し悔いが残る大会になってしまいました。あさってからまた甲府フューチャーズ(甲府国際オープン)が始まるので、それに向けて今からしっかり練習して準備していきたいと思います。
――その後は学生大会もありますね
近いのは春関(関東学生トーナメント)、早慶戦(早慶対抗戦)になってきます。早大は下からも強い選手がいっぱい入ってくるので、その選手たちに負けないように自分自身も頑張っていきたいと思います。
古田伊蕗(スポ2=静岡・浜松市立)
――三菱全日本選手権(全日本)以来の対戦となりましたが、以前勝利している分意識してしまった部分はありましたか
いや、それは全くないです。向こうの方が順位は上ですし、そこはしっかり割り切って向こうの方が上だと思っていたので。前はたまたまではないですけど、運が良かった部分はあったので、今回はしっかりチャレンジャーとして臨もうとは思っていました。
――前回の対戦を踏まえて、どのようなプレーをしていこうと考えていましたか
基本的に長いラリーになった時のポイント取得率は僕の方が高かったので、向こうはサービスがいいのでしっかりリターンを返した後に自分がラリーをしっかりして向こうにミスをさせることをやっていきたかったです。
――ファーストセットを振り返って
さっき言っていた、ミスせずにやるというプレーがしっかりできていたのもありますし、向こうは少し攻め急いできたのもあってミスも多くなって、その結果6ー0というかたちになったのだと思います。
――セカンドセットはいかがでしたか
向こうもファーストで少し急ぎ過ぎていたなと感じたんだと思うのですが、僕の苦手な浅めなスライスを混ぜてくるなど僕にやらせるようなプレーをしてきたので、それはすごくやりづらかったです。
――ファイナルセットに入る時緊張はしましたか
できることをやろうという感じで、しっかりキープだけして、リターンゲームもサービスを返してラリーになれば何とかなるのかなと思っていたので、とりあえずキープを目標に。そんなに緊張はしていませんでした。
――ファイナルセットに入ってからは攻めるポイントが多かったように見えました
セカンドセットで僕のクロスラリーに対して浅くスライスを打たれていてそれが少し嫌だったので、しっかり攻めて浅めなスライスを打たれないように意識してはいました。
――きょうの試合で良かった点は
自分の得意なプレー、ラリーを相手が嫌がるまでしっかりできたのは良かったと思っています。悪かったのは、前に浅く打たれた時の対処が置きにいくプレーが多かったので、そこでしっかり振って入れるようなプレーをもっとしていけたらなと。
――ミスター16と呼ばれているというお話もありましたが、ベスト8に入ってポイントもより多く獲得していますね
純粋にホームコートで越えることができてとてもうれしいです。が、これで全然終わりではないので、次もしっかり勝てるように準備はしていきたいと思います。
――やはりホームコートのプレーは違いますか
そうですね。運営のみんなは応援してはいけないのですがしっかり見ていてくれたり、OBの方々も周りですごく応援してくれたり、やりながら心強かったですね。ホームはすごくやり慣れているのもありますが、良かったです。
――次に向けて
先週の亜細亜(亜細亜大学国際オープン)でも優勝している高橋悠介くん(日本)との対戦なので、強い相手ではありますが自分のできるプレーをしっかりしてその中でチャンスがあればどんどん攻めていきたいなと思います。
――以前に対戦はありますか
昔2回ほど。すごく前なのであまり参考にはならないです。