王者の貫録!11年連続で日本一に

庭球男子

 関東学生リーグ(リーグ戦)に始まる約2か月の団体戦シーズンを勝ち抜き、早大庭球部はついに全日本大学対抗王座決定試合(王座)決勝の日を迎えた。学生日本一の称号を懸けて争う相手は宿敵・慶大だ。9試合中7試合がフルセットにもつれこむ熱戦となったが、早大は驚異的な粘り強さを見せる。7勝2敗で激闘を制し、11年連続23回目の頂点に輝いた。

今井主将(左)・河野組は因縁の相手との勝負を迎えた

 ダブルスは3戦とも最終セットまで決着がつかなかった。苦しい展開が続き、重い雰囲気が漂い始める。そんな状況の中、大きな1勝目をもぎとったのは小堀良太(スポ3=東京・大成)・松崎勇太郎(スポ3=神奈川・湘南工大付)組だった。「チャンスがあったら前に行こうと話していた」(小堀)との言葉通り、積極的にボレーを仕掛けていく。同級生ペアが呼吸を合わせ、ダブルス3としての役割を果たした。この流れに乗るようにして2勝目を挙げたのは、栗林聡真副将(スポ4=大阪・清風)・坂井勇仁(スポ1=大阪・清風)組だ。第1セット、最終セットともにタイブレークまで競ったが、気持ちの強さで上回った早大ペアが大接戦をものにする。ダブルス1の今井慎太郎主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)・河野優平(スポ2=福岡・柳川)は高田航輝・上杉海斗組(ともに慶大)と対戦。「思い切ったプレーができなかった」(河野)と固さが抜けず、インカレ(全日本大学選手権)やリーグ戦で火花を散らしてきた相手に黒星を喫した。

チームの優勝を決め、コートに倒れこんだ松崎勇

 ダブルスを2-1とリードした状態で折り返した早大。続くシングルスで最初に勝利を挙げたのは、シングルス4の坂井だった。ここまで大車輪の活躍を見せてきた1年生が今回も自分のプレーを貫き、7-5、6-1で相手を下す。シングルス6の三好健太(スポ2=埼玉・秀明英光)は第1セットを落としてしまうが、第2セットからはエンジン全開。ポイントを取るたびに周囲から大きな歓声が起こり、流れに乗って勝利を収めた。シングルス5では意地を見せた慶大に2敗目を喫したものの、この時点で全体スコアは4-2。早大が優勝に王手をかける。そして迎えたシングルス3の松崎勇の試合は、この日5つ目のフルセットマッチに。互いにサービスゲームを譲らず、シーソーゲームが続く。しかし12ゲーム目、強気にレシーブを当てにいった松崎勇がついにマッチポイントを握った。「リターンを通せば絶対に勝ちを決められると思っていた」(松崎勇)。相手の球がネットにかかった瞬間、雄叫びを上げながら両手を大きく広げて倒れこんだ。試合前に「4年生に最高の花道を」と語っていた次期エース。勝利をつかみベンチに戻ったその目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

仲間の応援に応え戦った今井主将

 最高学年として1年間戦ってきたシングルス1の今井とシングルス2の栗林。チームの優勝は決まったものの、早大庭球部としての最後の試合に懸ける思いは依然強かった。栗林は相手の谷本真人(慶大)にリーグ戦で敗れており、この日も序盤はなかなか流れを引き寄せきれない。しかし隣のコートでは、松崎勇がチームの優勝を決める一勝を挙げていた。「松崎が先に勝ってくれたので、自分もやるしかないと思った」(栗林)。気合を入れ直し、慶大の主将から逆転勝利を奪取。かみしめるようなガッツポーズのあとにコートへ崩れ落ち、単複全勝で王座を終えた。今井の試合は、今季何度も対戦してきた上杉との最終決戦に。こちらも第1セットを取られていたが、第2セットでタイブレークを制してペースをつかみ始める。「最後まで泥臭くやることができた」(今井)。早大に勝利をもたらしつづけてきた大エースが、大勢の人々に見守られながらチーム7つ目の白星を挙げた。

 土橋登志久監督(平元教卒=福岡・柳川)の不在もあり、『自立』を目標に掲げたことしの早大庭球部。自分たちでチームをつくり上げてきた苦しみがあったからこそ、このチームで頂点に立つ喜びも大きかった。前人未到の11連覇を成し遂げたが、「来季のチームの課題は既に見えている」と語る松崎勇をはじめ、残された部員たちは勝利の余韻に浸るつもりはない。伝統というプレッシャーを原動力に変え、貪欲に前へ突き進んでいくだろう。一つの伝説が終わり、新たな伝説が始まろうとしている。

(記事 熊木玲佳、写真 吉原もとこ、佐藤亜利紗)

※掲載が遅れ、申し訳ありません。

結果

▽男子

決勝

○早大7-2慶大

ダブルス1

●今井慎太郎・河野優平(4-6、6-4、3-6)高田航輝・上杉海斗

ダブルス2

○栗林聡真・坂井勇仁(6(5)-7、6-1、7-6(4))逸崎凱人・畠山成冴

ダブルス3

○小堀良太・松崎勇太郎(6-3、5-7、6-4)谷本真人・渡邊将司

シングルス1

○今井慎太郎(1-6、7-5、6-3)上杉海斗

シングルス2

○栗林聡真(4-6、6-1、6-4)谷本真人

シングルス3

○松崎勇太郎(6-1、4-6、6-4)逸崎凱人

シングルス4

○坂井勇仁(7-5、6-1)渡邊将司

シングルス5

●巽寛人(2-6、2-6)高田航輝

シングルス6

○三好健太(4-6、6-1、6-3)韓成民

※最終成績=優勝(11年連続23回目)

※MVP=栗林聡真

チャンピオンスピーチ

男子部集合写真

今井 まずはじめに、この大会を運営してくださったダンロップスポーツマーケティングさまをはじめとする各社スポンサーの皆さま、そして学連の皆さま、本当にありがとうございました。そして朝早くから夜遅くまで応援してくださいました早稲田大学OB・OGの皆さま、コーチ陣の皆さま、そして父兄の皆さま、本当にありがとうございました。今年度は、昨年度の主力メンバーであった4年生が抜けて、ぽっかりと穴が空いてしまったチームだったのですけれども、自分たちで新しいチームをつくっていこうと切磋琢磨(せっさたくま)してやってきた結果、王座を取ることができて本当にうれしく思います。4年生の僕らは抜けてしまいますが、ワセダの挑戦はこれからも続きます。後輩たちがまた素晴らしいチームをつくり上げて今後も頑張ってくれると思いますので、今後とも応援よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

大会MVPの栗林副将

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コメント

土橋登志久監督(平元教卒=福岡・柳川)

――男女共に王座(全日本大学対抗王座決定試合)優勝を果たしました。いまのお気持ちは

素晴らしいことだと思います。私自身は海外研修で1年間日本に居なくて、2日前に帰国したばかりだったのですが、この1年間はコーチ陣がしっかりと指導をしてくれましたし、何よりも学生が自立したチームをつくった結果だというふうに考えています。部員のことを頼もしく感じましたし、本当にいいチームになったのだなと思い感動しました。

――海外にいらっしゃったこの1年間は、庭球部のみなさんとはどのように接してこられましたか

テレビ電話を使ってミーティングを行ったり、たまにですが彼らのフォーム確認のために動画を送ってもらって、技術的な面のチェックをしていました。あとは試合の結果をメッセージで流してもらって、夜中に起きてそのスコアを追ったりということをしていました。

――女子部はダブルスで2勝しました

前日の試合で林(恵里奈、スポ3=福井・仁愛女)と細沼(千紗、スポ2=東京・富士見丘)のペアがとても良かったので、そこでまず一本取るということを目標に戦ったのですが、それがうまくいきましたね。逆に、梶谷(桜舞、スポ4=東京・富士見丘)と上(唯希、スポ1=兵庫・園田学園)は関学大戦では少し自分たちの力が発揮できていなかったのですが、インカレ(全日本学生選手権)チャンピオンとしてもう一度気持ちを立て直して、よく戦い抜いてくれました。ぎりぎりのところでセカンドセットを取って勝った、あの試合がやはり大きかったと思います。

――シングルスについてはいかがでしょうか

ちょうど男子の試合も見に行っていたのでファーストセットを見ることはできなかったのですが、先手を打ってダブルスで2-0にしたことでシングルスもリラックスして試合に入ることができたのではないかと思います。そのおかげで、ファイナルセットにはもつれましたが最終的には良いかたちで終わることができました。宮地(真知香女子主将、社4=福岡・折尾愛真)も林も経験のある選手なので、この王座という舞台での勝ち方というのをよく知っていて、それをうまく表現できた試合だったと思います。

――一方の男子部も、最後まで勝敗の分からない試合が続きました

そうですね。1年前には課題も多く残っていた選手がしっかりと成長したことによって、競った場面を取り切ることができたというのが大きかったと思います。私自身が一年間部を離れていたので、特に一年生の坂井(勇仁、スポ1=大阪・清風)がどのようなテニスをするかというのはなんとなくしかイメージできていなかったのですが、彼の単複での活躍であったり、あとは最上級生の意地といったものがよく表れた試合でした。

――この1年間チームを率いてきた男女主将には、どのような言葉を送りたいですか

常にそうなのですが、ことしのチームもまだ完全に完成されたチームというわけではないと思います。しかし、最後に王座という素晴らしい舞台で、ライバルの慶大と戦って勝つことができたというのは、やはり彼らが一年間かけてこのチームを引っ張ってきた成果だと思うので、しっかりと褒めてあげたいです。このような瞬間を目にすることができて、私自身も幸せだなと感じています。

――今大会で引退を迎えた4年生のみなさんに向けてのメッセージをお願いします

ワセダは年々勝たなくてはならないというプレッシャーの強くなるチームです。特に今回はアベック10連覇が懸かっていて、男女どちらも負けられないという状況でした。その中でも優勝できたというのは、4年生全員が役割分担をしてチームをつくりあげた結果だというのがよく分かりました。素晴らしい活躍をしてくれたと思っています。

――今後の早大庭球部を担っていく下級生に対し、一言お願いします

いまは王座が終わったばかりなので少しゆっくりしてほしいですが、関東大学リーグ(リーグ戦)、早慶戦(早慶対抗試合)、王座といった戦いでは年々接戦が続いています。そのことを考えると休んでもいられないですし、ここで立ち止まらないで先に進んでもらいたいと思っています。どこよりもいいチームをつくるということを目指して、これからも頑張ってほしいです。

今井慎太郎主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)

――王座優勝おめでとうございます!いまのお気持ちは

きょうの試合を振り返っても、本当にどちらに転ぶか分からないような試合ばかりでした。でも、1年間土橋さん(登志久監督、平元教卒=福岡・柳川)のいない中ではありましたがこうして優勝できたということは、自分たちのやってきたことに間違いはなかったのだと思います。ほぼすべての試合でファイナルセットにもつれこんで、7勝した中でストレート勝ちしたのは1試合だけという状況でしたが、フルセットになるということはそれだけ慶大とのレベルが均衡していると分かると同時に、競った場面でもしっかり勝ち切ることができるというワセダの強さといったものも強く感じました。繰り返しになってしまいますが、本当にいままでやってきたことに間違いはなかったなというふうに思います。

――きょうの慶大戦の前に、チームのみなさんにはどのような言葉を掛けられましたか

慶大は120パーセントの力を出してくるのでそれを迎え撃つ準備をしようということと、いままでやってきたことを自信にして、思いっきり試合に臨んでこいといったことを伝えました。

――きょうのご自身の試合を振り返っていかがですか

ダブルスに関しては出だしがあまり良くなくて。河野(優平、スポ2=福岡・柳川)も王座は初出場ですし、どうしても固くなってしまう部分がありました。それが終始拭えなかったというのは彼も感じているとは思いますが、そこはもっと僕がフォローしてあげるべきだったなと思います。ダブルスは二人で一つなので、やはりその部分ができなかったというのが悔しいです。シングルスに関しては、最初の方は本当に動きがカチカチになってしまって、自分のテニスがどこかにいってしまっていました(笑)。緊張もありましたが、やはり自分が勝たなくてはいけない、といったことをいろいろと考えすぎてしまって。なかなか自分のプレーができなかったのですが、ボールを最後まで諦めずに追いかけた結果、途中からは自分のペースをつかむことができました。いいテニスはできませんでしたが最後まで泥臭くやることはできて、それが勝ちにつながったのかなと思います。

――これで早大庭球部としては引退となりますが、庭球部で過ごした4年間は今井選手にとってどのようなものでしたか

本当に濃い日々だったと思います。もちろんテニスの面でもすごく成長して、技術面でのレベルアップというのはあったのですが、精神面での成長も大きいです。僕は高校生の時の最後の大会でもあまりいい結果を残すことができなかったのですが、それは最後だということに左右されてしまったメンタルの弱さが原因で。競った試合でも勝ち切ることができなかったりといったことがジュニア時代は多かったのですけど、大学の中でもまれることで気持ちの面で強くなったかなと思います。きょうの試合もそうですが、ファイナルセットに入っても最後までしっかりとやり通すことができて、そこから逆転勝利することができたというのはメンタルの成長が見えた部分かなと思います。あとは、大学ではOB、OGの方との接触が多いので、人としての在り方というのも成長できたかなと思います。テニスだけではなく、本当にいろいろなことを学ばせていただいた場所でした。

――ことし1年間、共にチームを引っ張ってきた同期のみなさんへの思いはどのようなものでしょうか

僕の代は5人しかいなくて、下級生の頃は仕事も多いので本当に大変で。僕と栗林(聡真副将、スポ4=大阪・清風)は1年生の頃から選手としても活動していたので、なかなか大変な部分がありました。でも、人数が少ないからこそ一つにまとまりやすい同期だったと思います。本気で悩みを打ち明けたりだとか、ぶつかりあったりしたこともありましたけど、そういったこともこの5人でなければ成り立たない関係だったと思うので、本当に感謝しています。

――土橋監督にはどのような思いがありますか

1年間土橋さんが不在であったことで、その存在がどういったものなのかということをより一層感じることができて。土橋さんがいなかったことで自分がしっかりしなくてはならないというのは僕にとっては成長につながったかなと思います。(土橋監督が戻ってこられて)たった2日しか経っていないので、僕がどのように変わったのかというのは詳しくは分からないとは思うのですが、土橋さんが不在ということで僕は本当に成長させられたので、ぜひその部分を見ていただきたいです。もう引退してしまうのでこう言うのも何ですが、そのように思っています。

――今後ワセダの庭球部を担っていく後輩のみなさんにメッセージをお願いします

今回の王座を経験して、なかなか簡単には勝たせてもらえないというのは分かったと思います。特に慶大はいくら自分たちが突き放しても追ってくるようなチームですし、リーグで対戦するのは法大であったり明大であったり、強い選手がそろっている大学ばかりなので、そのことを常にイメージして練習に臨んでほしいなと思います。あとは、テニスは個人競技なので一人で突っ走りやすいというのは正直分かりますが、やはりチームワークというのはとても大事で。僕自身もチームに助けられたことが何度もありますし、心の底から信頼し合える仲間をつくるというのは本当に重要なことだと伝えたいです。また新しくチームを一からつくり直して、これからも王座優勝を目指して頑張っていってほしいと思います。

――今井選手はプロに進まれるということですが、今後への意気込みをお願いします

この4年間で培ってきたものをプロになっても発揮したいと思いますし、いまの状態を維持するのではなくもっともっと成長していきたいと思います。僕はいままでは主将だったのでチームのことを考えながら技術も磨いて、というかたちでしたが、これからは自分のことに集中して、常にチャレンジャーの気持ちで頑張っていきたいなと思います。

栗林聡真副将(スポ4=大阪・清風)

――王座優勝おめでとうございます!いまのお気持ちは

ありがとうございます。盛り上がるだけ盛り上がってしまったので最後に怒られてしまったのですが、本当にうれしいです。

――ダブルスは競った試合開になりましたね

ファイナルセットでは4-0にできるようなポイントもあったので、正直もっとスッとポイントを取っておけばタイブレークにもつれこむようなこともなかったと思います。お互いに負けられない状況で、リードすればそのことを意識して硬くなったり、リードされれば「思い切っていくしかない」と開き直ったり、試合中に気持ちがいったりきたりするような内容で。相手も緊張していたと思いますが、最終的にはその(負けられないという)強い気持ちがスコアに出たのかなと。

――シングルスは栗林選手の試合中にチームの優勝が決まりました。気持ちに変化はありましたか

松崎(勇太郎、スポ3=神奈川・湘南工大付)が先に勝ちを決めてくれたことで、自分もやるしかないと。僕にとっては本当に最後の試合だったので、絶対に勝って終わりたいなと思ってやっていました。

――最後は大きなガッツポーズをされていましたね

そうですね。現役部員だけではなくてOBの方もずっと横で応援してくださっていたので、本当に心強くて。この勝利は自分ひとりの力じゃないなと改めて感じました。

――大会МVPに選ばれましたが、そのことについてはいかがですか

自分よりいいプレーをしていた選手がたくさんいるなかでМVPをいただくことができたのも、先ほども言いましたが自分ひとりの力ではできなかったことで、みんなでとったМVPだと思います。みんなで一緒に戦うことができて本当によかったです。

――ことしのチームはどのようなチームでしたか

チームの雰囲気は、最後の表彰式でも分かると思うのですがとても賑やかで。特にことし入った1年生やいまの2年生といった下級生がすごく元気がよくて、たまに叱ることもあるくらいでした(笑)。きょうも最後に叱られてしまったのですが、それくらい下級生が元気よくやってくれて。下から盛り上げてくれるのに対して自分たちがしっかり正しい方向にもっていく、というのを意識してつくり上げたチームだったなと思います。

――4年生はこの大会で引退となりましたが、庭球部で過ごした4年間は栗林選手にとってどのようなものでしたか

いやあ、もうなんだか…。ちょっと話すくらいでは語りきれないほど、濃い4年間だったと思います。

――先日帰国された土橋監督にはどのような思いを抱いていらっしゃいますか

高校生の頃から土橋監督は関西の方まで試合を見に来てくださって、この有明のコートでも高校生の時から試合を見てくださってアドバイスもいただいていました。時にはすごく怒られたり厳しい指導もあったりしたのですが、本当に常に選手のことばかり考えてくださっていて。テニスに関することももちろんですが、普段の生活や言動についてはよく怒られました。挨拶ができていないといったことなど、テニスよりも大切なことを3年間ずっと言われ続けてきました。自分がしっかりしなくてはいけないなということを大学の間に気づかせてくださって、感謝の一言しかないです。

――同期のみなさんとは4年間ずっと一緒に過ごしてきましたね

同期が5人しかいないので下級生の頃は雑用とかも大変で。それが原因でけんかをすることもあったのですが、逆に5人だったからこそ協力できて、いい同期だったなと思います。僕らの特徴としては本当にテニスが好きな5人がそろっていて、部活がどんなにつらくてもやっぱりテニスが好きという思いが一番で。4年間やり切ることができました。

――これからのチームを担う後輩のみなさんにメッセージをお願いします

本当にたくさんの人々が応援してくれているということを忘れないでほしいなと思います。僕も1年生の頃は王座がこんなに大きな意味を持つものだと分かっていなかったと思います。学年が上がるにつれて本当にたくさんの人が試合を見てくれているというのを感じて。自分たちだけで戦っているのではないというのは後輩たちにも気づいてほしいです。ずっと勝ち続けることは簡単なことではないとは思いますが、自分たちのためだけではなくて、OBの方々の思いも胸に来季以降も戦ってほしいです。

森岡昭次主務(商4=高知・土佐塾)

――王座優勝おめでとうございます!いまのお気持ちは

素直にうれしい気持ちでいっぱいです。僕自身は3、4年の時から裏方にまわっていたので、あまりテニスも満足にすることができなくて。部の運営などをやってきた中でつらい思いをたくさんしてきたのですが、それがやっと報われたという思いです。

――どのような心境で試合をご覧になっていましたか

きょうはいろいろな人たちの試合を見る中で、僕が庭球部にいた4年間の思い出がよぎって、思わず涙がこぼれてしまうような場面もあって。試合を応援しながら、この部活に入って本当によかったなと思っていました。

――主務として過ごした1年はどのようなものでしたか

本当に大変だったのですが、それは主務としてというよりは同期が5人しかいなかったということも関係していたと思います。1人がやらなくてはいけない部の運営の仕事の量であったり、それに加えてもともと多い主務の仕事であったりが自分を追い込む要因になって、体調を崩すこともあって大変でした。ただ、やはり同期が5人しかいないからこそ自分が頑張らないと周りにも迷惑や負担をかけてしまうので、そういったことをなるべくしないように心を強く持ってやれたかなと思います。

――ことしのチームはどのようなチームでしたか

すごく仲が良いチームで、4年の持っている雰囲気自体もすごく話しかけやすいものだと思っています。土橋さんもことしは1年間留守にしていらっしゃって、その分自分たちでしっかりやらなくてはいけないと思っていたからこそ、真剣にチームのことを考えて本音で話し合うことができたかなと感じています。

――これからのチームを担っていく後輩の皆さんへメッセージをお願いします

連覇ということがすごくプレッシャーになると思うのですが、そのプレッシャーもワセダでしか味わえないもので、逆にその伝統というものが僕たちを突き動かす原動力になっていると思います。他の大学がこれくらいやっているからこれくらいでいいや、というわけではなくて、日本一にならなくてはいけないということを常に意識しながら練習に取り組めるので、毎日の練習の質の高さであったり妥協しない強さであったりというものが培われていくと思います。これから残された後輩たちには、伝統の重みやプレッシャーというものを感じながら成長していってほしいです。

小堀良太(スポ3=東京・大成)

――王座優勝おめでとうございます。今のお気持ちは

自分の試合も勝てましたし、チームとしても勝って11連覇できたので率直にうれしい気持ちでいっぱいです。

――いよいよ大一番ということで、慶大戦にはどのように臨まれましたか

早慶戦という伝統のある戦いにダブルス3で出場させていただいて。大きなプレッシャーを感じる部分もありましたが、一年前もダブルス3で出させていただいて負けてしまったので、リベンジという気持ちが強かったです。そのようなチャレンジャー精神を持ちつつ、松崎としっかりダブルス3としてチームに貢献したいといういろいろな思いがあったので、勝ちたいという強い気持ちが自分のプレーを高めさせて、よいかたちで勝てたのかな、と思っています。

――試合内容を振り返っていかがでしたか

ファーストセットは6-3でしっかりよいかたちで取ることができました。セカンドセットはぐちゃぐちゃになりながらも、結局は僕のサービスゲームを5-7で落として。ファイナルセットはずっとお互いサービスキープを続けるという展開でした。相手もそうですけど、僕たちもリターンのミスが目立っていて、逆に言えばサービスで仕留めようという気持ちが4人とも表れていて。良い意味でも悪い意味でもキープキープが続いたのですが、最後のここで上げるしかない、というところで僕と松崎でしっかり気持ちを上げることができて、勝ち切ることができました。練習の成果がやっと出たな、と思います。

――互いに積極的に前に出る姿勢が目立ちましたね

そうですね。引いても結局決められるだけだと二人でも話し合っていました。僕は基本的に前で仕掛けるタイプなのですが、松崎のストロークでもチャンスがあったら前に行って、二人でボレーをして積極的にいこう、と決めたので、実際に考えとプレーが一致してよかったです。

――このシーズンを振り返っていかがでしたか

3年生として上級生の仲間入りをして、また違った角度で早大庭球部に携わることになりました。前までは先輩の胸を借りるようなかたちで部活動に励んできて、試合も(上級生に)頼っているようなかたちで臨んできましたが、ことしからは同期と組むということもあって日頃の部活動でも責任感を求められるようになりました。そういった部分から人間として成長したことが、この王座の舞台でダブルスで3連勝できたことにもつながったのではないかと感じています。

――今後は最高学年としてチームを引っ張る立場となりますが、意気込みをお願いします

まだ具体的な役職は決まっていないのですが、最上級生としてチームに求められるのはリーダーシップであったり、存在感でチームの雰囲気を変えることであったり、言動であったり行動であったりと様々で。本当に一つ一つの言動を注目される立場になります。僕自身もよい意味で見られる立場になって、チーム全体によい影響を与えられればいいなと思います。4年生というのがどういった立場かというのが明白な部分もそうではない部分もありますが、それは自分たちでしっかりつくり上げて、またこの王座という舞台に戻って優勝したいです。

巽寛人(スポ3=福岡・柳川)

――11連覇おめでとうございます。いまの率直なお気持ちは

チームの目標として掲げていたことを達成できて、よかったです。自分としては決勝戦は負けましたけれど、リーグや前日までの準決勝は勝ってチームに貢献できたのでそこは素直に受け止めたいです。ただ、やはり最後の決勝でも勝ちたかったというのが正直な感想です。

――きょうの試合を振り返って

常に劣勢だったなと思います。相手に先に攻められてしまっていて。自分から攻めることができていたポイントはやはり取ることができていたので、そのような機会をもっと増やしていって、ストロークが強い相手でもしっかり勝てるようにしたいです。

――ことしが王座初出場でしたが、3試合に出場されてみていかがでしたか

やはりリーグよりもプレッシャーを感じました。リーグとは違ってトーナメント形式で、負けたらそこで終わりという状況の中で連覇が懸っているというのは本当にプレッシャーを感じましたし、初戦、準決勝を通しても自分の思うようなプレーはできていないです。ことし出場させていただいて、本当にいい経験になったと思います。

――ことし1年間を振り返ってどのような1年でしたか

1年間のすべての試合を通して、長い試合が多かったなというイメージです。

――これで引退となる4年生への思いはどのようなものでしょうか

選手として関わっていた今井さんと栗林さんにはよく自主練習をしていただきました。アドバイスもよくしてもらっていたので、これでチームとして一緒にプレーすることがなくなるというのは寂しく感じますが、それは仕方がないことなのでしっかりと受け止めたいです。本当に、とても感謝しています。

――ついに最高学年となりますが、今後への意気込みをお願いします

ことしよりもいい結果が出せればいいなと思います。そのためにはもっと自分のレベルアップが必要なのですが、個人の強さが上がることによってまたチーム力も上がってくると思います。これから冬にかけて試合は少なくなってくるので、そこで個として強くなって、チームとしてまとまった時に貢献できるようにしたいです。

松崎勇太郎(スポ3=神奈川・湘南工大付)

――王座優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは

いまはそんなに素直には喜べないかなと。土橋さんがいなかった1年間が終わって土橋さんが帰ってきて、人間性の面で何か言われるだろうなとは思っていましたが、やはりすごく厳しく注意を受けました。特に1、2年生はそういった面で劣っているというか、大人になりきれていない部分があります。王座(全日本大学対抗王座決定試合)で優勝したことはとてもいいことですが、残される1、2、3年生はまた1年間戦いがあるので、人間性も含め成長しなくてはいけないというのがらいねんのチームの既に見えている課題です。素直に優勝を喜べる状況ではないかなと思っています。

――ダブルスでは大事な1勝目をもぎとりましたね

どちらに転ぶか最後までわからなかった試合です。セカンドセットを落としてトイレットブレークをとった時に周りもちょうどファイナルセットに入るくらいだったので、これはもしかしたら(ダブルスで)0-3もありえるかもしれないと想定しましたし、その中でダブルス3は絶対に勝たなくてはいけないなと感じました。トイレットブレークの時に周りの状況を見ることができて、プレッシャーがかかった部分もありましたが、逆に落ち着くことができたというのもあります。ダブルスで勝ったことで悪い雰囲気からチームを脱出させることができたというのはとてもよかったですし、相手はリーグでも勝っていたペアで王座で負けたら意味がないので、そこを勝ち切れたことは大きいかなと思います。

――シングルスは結果的にチームの優勝を決めたかたちになりました

終わってみると、ファーストセットの流れから考えてもっと大差で勝ってチームを早く勝利に導いて、上の二人(今井選手と栗林選手)にもっと楽に試合をさせなければいけなかったかな、と感じます。結果的にチームの優勝を決められたのはとてもうれしいことですし、いままでやってきてよかったなと思った瞬間でもありました。でも、やはりもっともっとしっかり勝たなければいけない状況でしたし、僕が勝てばチームは勝つだろうというのもなんとなく分かっていたので、自分にプレッシャーをかけすぎた部分があったのは反省点です。今後は試合をすることもかなり増えてくると思いますし、上の二人が抜けて僕がエースとして責任を果たさなければいけない時期が来たので、もっと責任ある行動であったり判断であったりをして、テニスの質もチームの人間性も、全体的に見て成長させていかなければいけないなと思いました。また厳しい1年が始まるなというのはありますが、きょう勝ちを決められたのはよかったですしうれしかったです。1年後も同じような瞬間を味わうために、あしたからまたしっかり頑張りたいと思います。

――シングルスの最後のポイントは覚えていらっしゃいますか

なんとなくは…。0-40までいって、この1回で決めないと決まらないだろうなというのは感じていて。あそこで(ポイントを)取れなかったらまたキープされて5-5になっていた可能性もありましたが、相手が1年生でこういった舞台での経験も浅くて焦っていた部分もあったので、リターンを通せば絶対に勝ちを決めることができると思っていました。土橋さんや隼さん(渡辺コーチ。平19スポ卒=静岡・庵原)が試合を見ていてくださっていて、リターンにだけ集中して厚く当てていけ、というアドバイスだけを信じて強気に当てにいきました。結果的に逸崎(凱人、慶大)の方がミスをして終わりました。

――きょうは4年生との最後の試合でしたね。松崎選手は特に4年生への思いが強いと思います

僕は1浪しているのでいまの4年生とずっと一緒にやってきていて、特に今井や栗林に関してはジュニアの頃からずっと切磋琢磨(せっさたくま)してきました。栗林は全国の決勝で対戦した仲でもありますし、今井とは高校も含めてもうすぐ10年くらいの付き合いになります。ライバルでもありいい友でもある二人とこういった歴史的な瞬間に、シングルスやダブルス1、2、3で共に戦うことができたということには深い思いがあります。ライバルでもありながらこのチームを引っ張ってきた3人だと自分では思っているのですが、最終的に3人とも勝って終われたのはすごくうれしかったです。彼らが抜けた後も残る身として、彼らの花道を作るということをずっと取材でも言っていたので、連覇して引退させてあげることができて役目を果たせました。あいつらへの感謝を表現する方法はこれしかなかったので、よくやれたかなと。二人だけではなく他にも4年生はいて、僕がいることでやりづらい部分ももちろんあったと思います。でも、自分が最後かのように感動も大きかったですし、ダブルスが終わった時もシングルスが終わった時も涙ぐんでしまいましたし…。いまの4年生に対してすごく思い入れが強かったのだろうなと、自然と涙が出た時に感じました。彼らがつないでくれた連覇や歴史といったものはこれから僕たちが引き継ぎます。また連覇できるチームをつくっていくと同時に、僕もエースとしてもっといいテニスをして、もっといいエースになるということを目標に頑張っていきたいなと思います。

河野優平(スポ2=福岡・柳川)

――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは

正直僕が一勝して勝ちたかったというのがありますが、周りの選手やサポートの人たちの支えによってチームが勝つことができてうれしいです。

――アベック10連覇という快挙に関してはどのように考えていますか

個人的には連覇というのはあまり意識していることではないです。大会が終わってから残るものではあるのですが、周りからするとすごい記録ということで形にも残るので、らいねん、さらいねんと僕がいる間は続けていきたいですし、その先も歴史を塗り替えていきたいなと思います。

――きょうのご自身の試合を振り返って

悪くはなかったと思いますが、最終的に引いてしまった部分がありました。もっと思いっきりプレーできる立場なのですが、きょうは思いっきりプレーができなくて悔いが残っています。そこは切り替えて、ひたすら応援に専念していました。チームは勝てたので、そこは気にせず、新チームで新たな戦力として加われたらなと思います。

――今井選手と組むのはこれで最後だったと思いますが

最初は全日本室内選手権(インカレインドア)で優勝して、ワセダフューチャーズで2位になって順調なかたちでいけていました。関東学生トーナメント(春関)まではうまくいったのですが、うまくいかないことも多くありました。インカレでは決勝で負けて、関東大学リーグは不安が残る状態でした。MVPを今井さんに取らせてあげることができなかったというのは凄く残念です。今井さんと組ませていただいたおかげで、いい思いをしましたし、貴重な経験をさせていただきました。いろいろなタイトルを取ることができて、本当に感謝しています。

――ほかの4年生方にとっても引退試合となったと思いますが、4年生に向けてメッセージをお願いします

ことし一年、本当に人数が少ない中で大変なこともいろいろありました。土橋さんが不在の期間、今井さんや栗林さん(聡真副将、スポ4=大阪・清風)の責任感は大きかったと思います。きょうの試合を見ていても最後に意地を見せてもらって、4年生のラストはすごくかっこいいなと思いました。お疲れ様でしたというより、ここから社会人としてまた厳しい世界に入っていくと思うので、これからも頑張ってくださいという感じですね。

――今シーズンの戦いを振り返っていかがでしたか

ダブルス1として出ることは一年前の今頃は全く想像していなかったので、(ダブルス1として出場できて)そこは良かったと思います。その他にはもっとできることもありましたが、シングルスも結局インカレで少し勝っただけでした。結果も特に、というかたちでした。ダブルスは今シーズンが良かったので、これより下にはならないですし、シングルスも上を目指せる選手になりたいと思います。

――今大会で見えてきた課題はありますか

1年間通して変わらずに、思いっきりいくというのと技術的にはしっかりしたストロークを打てるようになる、という点です。

――らいねんはどのような戦い方をしていきたいですか

らいねんのチームというのが、僕の中でも想像がついていません。主将が誰かというのも決まってないですし、その中でも僕は試合に出たことのある数少ないメンバーの一人なので、チームに影響を与えられるような存在になりたいです。また選手としてこの舞台に立ちたいなと思います。

――今後に向けての意気込みをお願いします

来季のスタートは大きな大会だと、インカレインドアになると思います。シングルスは本戦出場、ダブルスは2連覇できればなと思っています。

三好健太(スポ2=埼玉・秀明英光)

――王座優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは

王座で優勝することを目標に1年間新チームでやってきたので、それを達成することができて本当によかったと思っています。試合も自分だけの力で勝ったというよりは、応援であったりコーチ陣の方々であったり、支えてくれた人たちのおかげで自分も良いプレーをすることができたと感じています。多くの人が自分を支えてくれることに感謝して、また練習していきたいと思っています。

――大一番を前に、プレッシャーを感じていましたか

僕はリーグ戦も王座もずっと出場することができたので、試合に入る前は全然緊張はしなかったのですが、実際にプレーしている時の周りの観客の多さや雰囲気がまるで違ったので、緊張した場面はありました。ですが、最後まで自分のプレーができたのでよかったと思っています。

――特に三好選手のプレーするコートにはたくさんの観客が押し寄せました

ダブルスを2-1で取って、ワセダが優勢で。シングルス5が隣でやっていたのですが、負けた瞬間は僕にも分かりました。その時点で僕はファーストセットを落としていたのですが、隼さんもこちらに来ていて。僕が勝たないとダメだというのが伝わってきたのでそこで自分でもう一回声を出していって、少し緊張もほぐれて自分のプレーをすることができました。そこは観客の多さというよりは、自分の味方をしっかり見てプレーすることができたので、チームで戦えた部分かなと思います。

――フルセットの熱戦でした。試合内容を振り返っていただけますか

僕自身何回か対戦している相手で、あちらも分析もしてきていたので僕の弱い部分をファーストセットから突いてきました。でも相性的には良いので声を出してしっかり打っていったら勝てると思っていて、実際にそのようなプレーが王座という大きな舞台でできたことは自分にとってプラスにしていいのかなと思います。

――丁寧につなぎ、ミスを誘うテニスで試合を優位に進めました

高校からやってきた団体戦ということで、簡単なミスで落とした一点から流れが変わったりすることが多いのは分かっていて。なるべく簡単なミスをしないように気を付けました。つなげるだけではなくて左右に散らして丁寧にいこう、というのは自分の中で決めていたのですが、ファーストセットは丁寧にプレーをしすぎて、ひたすらチャンス待ちといった感じで流れに乗り切れなかったです。ですがセカンドセット、ファイナルセットではチャンスを待ってそのチャンスでしっかり攻めるということができました。それでゲームの流れが変わったので、その部分が今回の勝因だと感じています。

――三好選手にとって飛躍の1年であったと思いますが、今シーズンを振り返っていかがですか

土橋監督が不在ということで、部員ひとりひとりが自覚を持って行動しなければいけない1年でしたね。やはり土橋さんがいた時は指摘されていたこともあったし、いなくなったことによって雰囲気が緩くなってしまった部分もあって、そういった直していかなければならないところはしっかり1年生に伝えていかなければならないと感じました。僕がさらに上級生になったら、テニスだけではなく生活態度も含めたいろいろな面でしっかりするということを下級生に伝えていければテニスも自然と上達すると思います。テニスの面に関しては、一日一日が辛かったですね。リーグ戦には出場できたのですが王座に出場できるかはまだ確定していなくて、誰が出られるのかもわからない状況だったのですが、そこでチームとして切磋琢磨(せっさたくま)して練習できたことで、個人としても成長できたのではないかなと思います。

――引退を迎えた4年生のみなさんへの思いはどういったものでしょうか

4年生の方々には本当に感謝しています。自分の足りない部分を色々と教えていただいたので、感謝の気持ちを伝えたいですし、僕自身、4年生の方々が本当に好きでした。でも、これからはそういった方たちが抜けて自分が上級生になるということで、上の立場になるという自覚を持ちたいと思います。下級生がまた新しく入ってくると思うので、テニスだけでなく人間性であったり私生活の部分も教えていけたらいいなと思います。

坂井勇仁(スポ1=大阪・清風)

――優勝おめでとうございます!いまのお気持ちは

4年生を最高のかたちで送り出すことができて、ほっとした気持ちと本当によかったという気持ちでいっぱいです。

――王座までの期間はどのようなことを意識して練習に取り組んでおられましたか

僕はシングルス4だったのですが、当たるであろう相手が固定されていたというか、だいたい決まっていました。対戦相手を意識しながら練習ができていましたし、しっかり対策なども立てられていたので、よい準備をして臨めた大会だったと思っています。

――ダブルス、シングルスともに勝利というかたちで終えましたが、振り返ってみていかがですか

ダブルスは崖っぷちからの勝利だったので、あまり勝ったという実感はなかったのですが、栗林さんと組む最後のダブルスだったので、勝ち切ることができて本当によかったと思います。シングルスに関してはリーグではストレートで倒した相手だったのですけど、序盤は相手にリードを許してしまって。この大会ではしつこくやってくるなと感じていたので、そこに注意しつつなんとかファーストセットは逃げ切りました。セカンドセットからは自分のプレーを全面に押し出して勝利を持って帰ることができたので、本当によかったです。

――実際に3日間王座に出場されてみて、王座とはどのような場所だと感じましたか

1年間の集大成であって、4年生にとっては最後の大会で、ワセダにとっても本当に大事な一戦です。やはり緊張感も他の大会とはまるで違いますし、プレーをしていて感じるものというのが他の大会とは一味違うなと思いました。

――ペアを組んでいた栗林選手をはじめ、引退される4年生のみなさんにメッセージをお願いします

4年生は5人なので少ないのですが、少ないからこそ一人一人との思い出も深くあります。今井さんは主将として僕の調子が悪い時もしっかり見てくださって、いろいろと声掛けをしてくださったりもして、本当に助けてもらったという印象が強いです。森岡さん(昭次主務、商4=高知・土佐塾)は小論文指導の時からずっと僕を見てくださって、僕は昭次さんの指導がなければワセダに入れていなかったと思うので、本当に感謝しています。利樹さん(松崎、スポ4=埼玉・本庄東)には1年間ダブルスのベンチコーチとして支えていただきました。栗林さんとペアを組ませていただいてるのですが、三人でいつも戦っているという意識で僕はやっていたので、思い出がいっぱいあります。きょうも最後にメダルを貰って、利樹さんに掛けてあげました。ありがとうございましたと伝えたいです。梶さん(修登、政経4=東京・早実)もシングルスのベンチコーチだったのですが、初めは梶さんが栗林さんと組まれていて。梶さんが就職活動などで練習時間が減っていく中で僕が代わりとしてチームを代表する立場になったということで、プレッシャーはありました。でも、試合に出場する限りは勝って梶さんの分も頑張らないと、と思う気持ちはすごく強くて、それを分かってくださっていたのか、梶さんはダブルスの練習中もすごくよく見てくださって、本当に優しかったです。部員一人一人のことを一生懸命考えてくださる方なので、梶さんが大好きでした。栗林さんは高校時代からよく知っていて、大学に入ってからダブルスを組ませていただいたのですが、寮でも部室でもいつも優しくしてくださって、かわいがっていただきました。僕は4年生大好きですけど、中でも栗林さんは一番大好きです。

――最後に、今後に向けての意気込みをお願いします

4年生も抜けて、来季はいままでとは違った新しいチームで臨むことになります。その中でも僕は次は2年生になるので、しっかりとチームに貢献して、中心となって引っ張っていけるような存在になりたいと思います。