全日本大学対抗王座決定試合(王座)は大会4日目を迎えた。準決勝の相手は関西第二代表で第4シードの同大。油断ならない相手であったが、早大勢も実力を存分に発揮する。前日の初戦に引き続き9-0のストレートで勝利し、大会11連覇へ王手をかけた。
ポイントを奪いガッツポーズをする小堀・松崎勇(左)組
他の大会とは違った、独特の緊張感に包まれた中で行われる王座。大勢の観客に見守られ、試合は進んでいく。ダブルス3に登場したのは、小堀良太(スポ3=東京・大成)・松崎勇太郎(スポ3=神奈川・湘南工大付)組。ファーストセットの立ち上がりを不安視していた松崎勇だったが、相手に流れを渡すことなく6-0で折り返した。続くセカンドセットでは「ファーストセットを良いかたちで取れると、セカンドセットで硬くなったり慎重になったりしてしまう」(松崎勇)との言葉通り、ブレークを許し1-4になってしまう。だが、小堀のサービスゲームをキープし、気持ちを入れ直した小堀・松崎勇組。サーブがコースに決まり、ボレーでも相手のミスを誘いポイントを重ねていく。5-5に追いつくとそこから2ゲームを連取し、チームに弾みをつける白星をもたらした。ダブルス2の栗林聡真副将(スポ4=大阪・清風)・坂井勇仁(スポ1=大阪・清風)組、ダブルス1の今井慎太郎主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)・河野優平(スポ2=福岡・柳川)組も臨機応変なプレーで危なげない試合運びを見せ、ダブルスで3勝を挙げた。
フルセットの末、試合をものにした巽
シングルス5に出場した巽はファーストセットを6-2とし、続くセカンドセットへ。だが、長いラリーを展開する中で「自分のうまくいかない部分にとらわれすぎた」と、流れに乗り切ることができない。このセットを落とし、勝負の行方はファイナルセットへと持ち越された。先に主導権を握った相手は、ラリーで巽を引き離しにかかる。だが、これまでの試合で見せた粘り強さを今回も発揮した巽は、1-4から巻き返しタイブレークを迎えた。ここでフルセットを戦い抜いた疲れからか、相手選手の足がつるというアクシデントが発生。体力と集中力を切らすことなく戦い抜いた巽に軍配が上がった。「出だしで少し硬くなってしまう場面もあった」と語る坂井も、力強い応援を味方にシングルス4で白星を挙げる。最終的にはシングルス6試合すべてを制した早大。9-0の完勝であすの決勝進出を決めた。
もう一つのブロックからは慶大が勝ち上がり、決勝は早慶対決になることが決まった。「この日のために一年間やってきた」と今井が語るように、部員たちにとって特別な意味を持つ王座決勝。4年生にとっては最後の大一番であり、3年生以下にとっては4年生を笑顔で送り出す最高の舞台だ。ここまでたどり着いたいま、後はすべての力を出し切るのみ。チームの思いを一つに、最終決戦に挑む。
(記事 佐藤亜利紗、写真 熊木玲佳)
※掲載が遅れ、申し訳ありません。
結果
▽男子
準決勝
○早大9-0同大
ダブルス1
○今井慎太郎・河野優平(6-1、6-0)石島知希・井筒康太
ダブルス2
○栗林聡真・坂井勇仁(6-3、6-3)前川尚輝・中山僚
ダブルス3
○小堀良太・松崎勇太郎(6-0、7-5)増尾怜央摘・飯島啓斗
シングルス1
○今井慎太郎(6-2、6-1)石川知希
シングルス2
○松崎勇太郎(6-3、6-2)増尾怜央摘
シングルス3
○栗林聡真(6-3、6-0)井筒康太
シングルス4
○坂井勇仁(7-5、6-3)飯島啓斗
シングルス5
○巽寛人(6-2、2-6、7-6(1))佐伯僚
シングルス6
○三好健太(7-5、6-1)前川尚輝
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コメント
今井慎太郎主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)
――きょうも9-0と全勝でしたね
チーム全体の雰囲気もいままでリーグ(関東学生リーグ)から王座(全日本大学対抗王座決定試合)にかけて取り組んできた成果が出ていて、全員で勝ちたいという気持ちがひとりひとりにあるかなと思います。そういう気持ちが応援などで伝わってきたので、チーム一丸となって戦っていると肌で感じられています。チームとしてはとてもいい状態だと思います。
――以前の取材で「気持ちがしっかり入れば勝てるのだなと分かった」とおっしゃっていましたが、その点はもうクリアしたということですか
そうですね。でもまだまだ(さらに気持ちを入れて)いけるとは思います。あすの早慶戦ではもちろん相手のレベルも高くなるので、きょうの試合と気持ちの差をつけるというわけではないですが、もっともっと気持ちを上げて臨んでくれるのではないかと期待しています。
――ご自身のダブルスの試合を振り返っていただけますか
相手がそれほどダブルスプレイヤーという感じではなくて。サービスゲームでツーバックとかもしてきて逆にやりにくい部分もあったのですが、そこでも落ち着いてプレーすることができてよかったです。相手のレベルはどうであれ、自分たちのプレーはしっかり突き通せたかなと思います。
――シングルスはいかがでしょう
自分の中ではしっくりこなかった部分も少しあったのですが、テニス全体の調子としては悪くないので、何がいけなかったのかこの一夜で考えてあすに全てぶつけたいなと思います。
――あすはいよいよ決勝戦になります。意気込みをお願いします
もう本当に一年間この時のためにやってきました。慶大は昨年と同様に120%くらいの力で臨んでくると思いますが、自分たちもプレーはもちろん気迫でも、チーム全体で(慶大を)押し返せるような雰囲気をつくって勝利をもぎとりたいと思います。
栗林聡真副将(スポ4=大阪・清風)
――きょうのダブルスの試合を振り返っていかがでしたか
ダブルスらしいダブルスをしてくる相手だったので、サーブアンドボレーをしてからツーアップというのが多かったです。ファーストセットも出だしから4-1にして、しっかり取り切ることができました。セカンドセットの出だしは相手のナイスショットが決まって0-2になってしまったのですが、坂井(勇仁、スポ1=大阪・清風)と話し合って落ち着いてプレーできたと思います。ストレートで勝利できたので良かったです。
――シングルスはいかがでしたか
相手がすごくしつこくて粘り強いテニスをしてきたのですけど、シングルスもダブルスと同様、落ち着いて試合ができたと思います。
――シングルスに関しては徐々に調子を上げていったようにも見られましたが
そうですね。最初はどんどん攻めようと思っていたのですが、相手が粘り強かったので、頭を使って緩急をつけて攻めていこうと思いました。そのおかげでうまくポイントを取ることができました。
――王座でも坂井選手とペアを組んでいますが、お二人の調子はいかがですか
坂井とは早慶戦(早慶対抗試合)から組んできていて、清風高の後輩というのもあって組みやすいですし、調子もいいです。仲も良いのであと一戦頑張りたいです。
――ご自身はここまで単複4戦全勝という戦いぶりですが
そうですね。最後の大会なので、全勝したいと思っています。
――あすの決勝戦に向けて、意気込みをお願いします
すべて出し切ります!
巽寛人(スポ3=福岡・柳川)
――きょうのシングルスは、長時間に及ぶ戦いとなりました
ことし全体を振り返っても長い試合が多くて、長時間試合をやることは慣れていました。内容はあまり良くなかったのですが、長期戦になっても勝てたので良かったです。
――ファーストセットは6-2で先取されましたね
ファーストセットは相手の調子も上がっていなかったので、相手のミスにも助けられて6-2にできたという感じです。特に自分が何かをしたというわけではないですね。
――セカンドセット、そしてファイナルセットは苦しい展開となったと思いますが
相手がしっかりコートに(ボールを)入れてきて、それに対して自分が少し焦ってしまいました。打ち合いになったときに、自分のうまくいかない部分にとらわれすぎてプレーにも影響が出てしまって。その部分が悔やまれます。
――あすの決勝戦ではどのような戦い方をしていきたいでしょうか
自分の調子が悪い部分にもとらわれることなく、シンプルに目の前のポイントに向かっていきたいです。全力でプレーをしていきたいと思います。
松崎勇太郎(スポ3=神奈川・湘南工大付)
――きょうのダブルスの試合を振り返っていかがでしたか
ファーストセットは6-0、セカンドセットは7-5で、セカンドセットは2-5まで離された場面もありました。このペアで戦う上で一番厄介だと思っていたファーストセットの立ち上がりに関しては良くて、強気にプレーして良いかたちで取れたと思います。でも、僕たちのペアの特徴としてファーストセットで良いかたちで取れると、セカンドセットで固くなったり慎重になりすぎたりしてしまうというのがあるのですが、今回もそれが出てしまいました。途中までとても良いプレーができていたので、2-5までいって自分たちで流れを止めてしまうかたちになったのはとてももったいなかったです。ただ、今回はファイナルセットまでいかず、2-5からカムバックして7-5で(セカンドセットを)取れたので、その点は評価できると思います。余計な体力を使わないようにするという意味もありますけど、カムバックできたという自信もついたので、大きな意味がありました。他の2試合も先に終わっていたので、ダブルスで3-0をつけるためにもしっかり勝たなければいけなかったというのもありますし、ああいった状況の中で勝ち切れたのは良かったです。
――シングルスの試合は、序盤は拮抗(きっこう)する展開となりました
インカレ(全日本学生選手権)で一度対戦して勝っている相手ということもあり、きょうは僕がシングルス2で出場しました。彼はすごくタフな選手で、昔からいいものを持っています。これまではケガもあってインカレに出場できていなかったり、あまり勝ち上がれていなかったりというのはありますが、ポテンシャルがとても高い選手で。すごく警戒して試合に臨んだというのが本音です。やはりファーストセットの序盤も3-3くらいまではどっちに転ぶか分かりませんでした。互いにプレーがうまくいかない時間帯で、どちらが長く我慢できるのかというのが勝敗を分けるキーポイントだったのかなと思います。あそこで僕が勝ったことで、隣で試合をしていた巽(寛人、スポ3=福岡・柳川)もプレーしやすくなったと思いますし、その後の今井さん(慎太郎主将、スポ4=神奈川・湘南工大付)にもいいかたちで試合に入ってもらうことができたので、良かったです。
――チームとしてはここまでストレートでの勝利ですが
初戦も準決勝も9-0、9-0できていて、かたちとしては良いと思います。でも、泣いても笑ってもあと1試合しかないですし、このチームでもあと1回しか試合ができないので、ここまで来ると9-0で勝ち上がったことはあまり関係ないのかな、と。チームの勢いや雰囲気としては9-0で勝ち上がることにはとても意味があると思いますし、みんないけるという気持ちになることができていています。ただ、決勝の相手が慶大になるというのはずっと前から分かっていたことで、やるしかないという局面が来ただけなので、とりあえずは5本を取りに行って王座優勝を決めたいと思います。
――あすの決勝はどのような戦い方をしていきたいですか
ダブルスはおそらくリーグ戦(関東大学リーグ)と同じ組み合わせでの対戦になると思います。ダブルスが完全に勝敗を決めると思っていて、3-0もしくは2-1で折り返すことができれば、という部分はありますが、仮にその状況でなかったとしても、揺らぐことはありません。僕の出場するダブルス3は絶対に取りに行って、チームを勢いづけたいと思います。シングルスはまだどのポジションで出るか分からないです。でも、今井さん、栗林さん(聡真副将、スポ4=大阪・清風)、松崎という主軸3人で戦うのも最後なので。下で決めてくれればいいんですけど、例えそうでなかったとしても、僕ら3人でチームを勝利に導きたいと思います。3人で並んで試合をすることを楽しみながら、勝ちにつなげることができればよいかなと思います。
坂井勇仁(スポ1=大阪・清風)
――2日連続の王座出場ですが、プレーをしていて緊張などはありましたか
きのうの初戦は相手との実力差があると分かっていたので、絶対に勝てるという雰囲気はありました。それに比べてきょうは少しレベルも違って相手もすごく向かってきたので、出だしで少し動きが硬くなってしまいました。相手の流れになってしまう部分もあったのですが、そこでしっかりチームの力を借りることができて、自分のプレーで試合をものにできてよかったなと思います。
――ここまで単複共に全勝ですね。調子はいかがですか
インカレ(全日本学生選手権)から連戦なのですが、そこまで悪くはないと思います。あすも自分のできることを頭の中でしっかり整理して、出だしから元気出してやっていきたいと思います。
――きょうのダブルスの試合はいかがでしたか
相手が120%の力で向かってくるのに対してうまくかわしきれたのかなと全体としては思うのですが、途中で少し気持ち的に落ちてしまう場面もありました。栗林さん(聡真、スポ4=大阪・清風)が僕を引っ張っていってくれたので、勝ちにつながったのだと思います。
――シングルスはいかがでしょう
さきほども言ったのですが、出だしで少し硬くなってしまう場面もありました。そのなかでもベンチコーチや応援の力を借りて、しっかり勝ち切れたことは大きかったと思います。
――あすはいよいよ決勝です。意気込みをお願いします
4年生と戦う本当に最後の試合なので、出だしから絶対に元気出してファイトして、相手をつぶす勢いで単複2勝を持ち帰ってきたいと思います。