8日間にわたり開催されてきた全日本学生選手権(インカレ)も、ついに決勝の日を迎えた。早大からは男子シングルスに今井慎太郎主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)が出場。明大の諱五貴をストレートで下し、悲願の初優勝を果たした。その後、シングルスに続き男子ダブルス決勝でのタイトル獲得も目指した今井・河野優平(スポ2=福岡・柳川)組だったが、慶大ペアに苦戦を強いられ優勝はならなかった。
4年生の意地を見せた今井主将
「本当にずっと獲りたかった」(今井)――。手の届く範囲にありながらつかむことのできなかったタイトルを、ようやく手にするときがきた。決勝の大舞台で迎えた相手は、前日にダブルスでも対戦した諱五貴(明大)。序盤からブレークされ0-3とリードを許すが、今井も負けじと4ゲームを連取し逆転、相手を波に乗らせない。長引くジュースも必死にボールを追いかけて粘り勝ち、このセットを6-4で奪った。セカンドセットではファーストセットで確率の悪かったサーブも決まり始め、強烈なフォアハンドが相手コートに突き刺さる。闘志を前面に出した今井が4年生の意地を見せ、圧巻の攻めで諱をねじふせた。そして訪れた歓喜のとき。相手のショットがアウトになったのを確認し、ラケットを手放して大きなガッツポーズを見せた今井。最後の年は絶対に獲りたい、そう語ったタイトルを手に入れた瞬間だった。
相手にブレークされ、肩を落とす今井(左)と河野
悔しい敗北を喫したのはダブルスだ。対戦相手は、6月の早慶対抗試合(早慶戦)でもぶつかった高田航輝・上杉海斗組(ともに慶大)。ファーストセットでは互いにキープを続けたが、「前でプレッシャーをかけてきたので、それに押されてされてしまった部分があった」(河野)と7ゲーム目にブレークを許す。早大ペアはその差を縮めることができずに、このセットを4-6で落としてしまった。続くセカンドセットも相手のサーブやレシーブに苦しめられ、なかなか反撃の糸口をつかむことができない。その後も積極的に前に出てくる慶大ペアの攻撃は止まらず。「勢いで確実に負けていた」(今井)と押し切られるかたちになり、今井・河野組は準優勝となった。
それぞれの結果を胸に、約一週間後には関東学生リーグ(リーグ)に臨む早大庭球部。「まずはリーグで全勝することが王座(全日本大学対抗王座決定試合)への切符」と語る主将の今井を筆頭に、部員の目はすでに前を見据えている。前人未到の王座11連覇を懸けた団体戦。その開幕は、もうすぐそこに迫っている。
(記事 熊木玲佳、写真 山本葵)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
▽男子シングルス
決勝
○今井慎太郎(6-4、6-2)諱五貴(明大)
▽男子ダブルス
決勝
●今井慎太郎・河野優平(4-6、2-6)高田航輝・上杉海斗(慶大)
男子シングルスで優勝した今井
チャンピオンスピーチ
今井
まず初めに、この大会を運営してくださったブリヂストンスポーツ様をはじめとするスポンサー各社のみなさま、朝早くから夜遅くまでサポートをしてくださった学連のみなさま、審判員のみなさま、そして早稲田大学の部員、OB・OGのみなさま、隼さん(渡辺コーチ、平19スポ卒=静岡・庵原)、本当にありがとうございました。たくさんの方々のサポートがあってこその優勝だったと思います。そして、決勝で戦った諱(五貴、明大)くん、ありがとうございました。彼はまだまだ3年生で、学生テニス界をけん引する存在となると思うので、今後も彼のプレーを見ていってください。僕はダブルスは昨年優勝しましたが、このシングルスのタイトルを獲るのは初めてで。昨年はベスト4で負けていて、それから一年間、この大会での優勝を目標にずっと練習をしてきました。結果がついてきて良かったと思っています。まだまだ団体戦であるリーグ(関東大学リーグ)、そして王座(全日本大学対抗王座決定試合)もあるので、今後もどうぞ応援よろしくお願いします。ありがとうございました。
コメント
今井慎太郎主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)
――シングルス優勝おめでとうございます。インカレ(全日本学生選手権)では初のシングルスタイトルですが、いまの率直なお気持ちは
このタイトルを、本当にずっと獲りたくて。昨年も狙って臨みましたがベスト4で負けてしまって、ずっともやもやしていました。最後の年は絶対獲りたい、という気持ちを常に持ってこの1年間やってきたので、それが結果に出て本当によかったな、と率直に思います。嬉しい気持ちはあるのですが、安堵感も強いかなという感じです。
――相手はきのうダブルスでも対戦した諱選手(五貴、明大)でした
(諱選手は)攻めることもできて防御もすごくうまくてフットワークもよくて、と全てが揃っている選手です。最初は自分も硬くなってしまってリードを奪われてしまいましたが、終始諦めずにしっかり集中して臨むことができたので逆転もできました。そこから2セット目への入りも良かったですし、そういった気持ちの持ちようは成長しているかなと思います。
――第1セットでは、0-3でリードされてから4ゲームを連取したり、長引くジュースは必ずものにしたりと、ラストイヤーの意地を見たなという印象です
もう意地しかないですよね(笑)。ジュースが続いたところはここを取れれば(流れを)持っていけるというところでもありましたし、勝ちたいという気持ちがそういうプレーに出てきたのではないかな、とは自分で振り返っても思いますね。
――第2セットに入ってからはサーブの調子も上がっているように見えました
第1セットは(サービスが入る)確率もあまりよくなくて、自分の良さであるサービスからのポイント取得率の高さを生かすことができませんでした。第2セットの出だしは大事で、(相手を)一気に突き放そうと思った時に、何がいけなかったのかということをもう一度考えながら調整してサーブを打つことができたので、確率を上げることができたかなと思っています。
――ダブルスの試合は振り返ってみていかがですか
相手がリターンもサーブも勢いよくガツガツとやってくる選手だったのに対して、こちらは少し引いてしまったかなと。勢いで確実に負けていたと思うので、本当に技術云々ではなくて雰囲気づくりであったり相手の勢いであったりにのまれてしまったというのが率直な感想です。
――今大会のチーム全体の成績をどう考えますか
もう少しベスト4に入っていきたいというのはありますね。リードしているのに負けてしまった選手も多かったので。例えば小堀(良太、スポ3=東京・大成)と坂井(勇仁、スポ1=大阪・清風)のダブルスも、大友・杉本組(優馬・椋亮、ともに法大)に5-2でリードしていたところから負けてしまって、能力は持っているけど結果が出なかったという試合がありました。シングルスでもそれは言えることで、大事なところで決めきるというところまで集中力を持続させれば絶対にもっといい結果は出たと思います。結果が出た人は自信にしてもらいたいですし、出なかった人は何がいけなかったのかをしっかり反省してほしいですね。僕もダブルスで負けてしまったので、見つめ直してリーグ(関東学生リーグ)に臨みたいなと思います。
――これから始まるリーグ戦では総合力が重要になってきます。下級生のみなさんの実力はいかがですか
僕がベスト8で当たった坂井などの下級生もそうですが、下級生だけでなく全体的に非常にレベルアップはしていると思います。ただ、自分も含めてまだまだ甘い部分はありますし、短い期間ではありますがそういった所をもう一回見つめ直し、気持ちをつくってリーグに臨むようにチーム全体に呼びかけていきたいです。
――最後に、改めてリーグ戦に向けて意気込みを聞かせてください
ここからはもう団体戦なので、チーム全員でしっかり勝てるようにしていきたいです。まずはリーグで全勝することが王座(全日本大学対抗王座決定試合)への切符であって、いままでリーグはずっと優勝しているので、それを維持できるようにしたいです。王座にいい方向につなげられるように頑張っていきたいなと思います。
河野優平(スポ2=福岡・柳川)
――ダブルスは準優勝となりました。いまのお気持ちは
(今井選手とのダブルスは)個人戦ではまだ負けたことがなかったので、決勝でも勝てるという自信はありました。その分非常に悔しいですが、今井さんとのダブルスはこれで終わったわけではなくて、リーグや王座では鉄壁のダブルスを張らなくてはいけないので、頑張っていきたいと思います。
――悔しいという気持ちよりは、もっと頑張ろうという前向きの気持ちの方が大きいということですね
そうですね。悔しい気持ちはあるのですが、それがプラスになる要素というのは多分ないので、切り替えて次にいくということが大事だと思います。
――高田航輝・上杉海斗組(ともに慶大)とは早慶対抗試合でも対戦されていました。ペアとしての印象はどのようなものでしょうか
(高田・上杉組は)すごくアグレッシブで、それが少ないチャンスをものにするところにつながっていて。そういうあたりはすごく強いペアだなと感じています。
――サービスゲームをブレークされてしまう場面もありましたが、その要因は
ファーストサーブの確率と、ファーストサーブが返ってきてストロークになったときの僕の対応かなと思います。相手が前でプレッシャーをかけてくるのでそれに押されてされてしまった部分があったのですが、そこはロブなどをもっとしっかり使う必要があったなと感じています。
――今大会の結果を振り返って、ご自身ではどのように考えていますか
シングルスはベスト16という予想以上の結果で、すごく満足しているとは言えませんが、ランクアップできたなというのはあります。ダブルスに関しては(優勝を)逃したな、と。個人戦のラストだったので、そこはちょっと悔しいです。
――今大会を通して得た収穫や課題はありますか
ラケットをもっとスイングして、思い切りプレーをしなくてはいけないなと思います。決勝や準決勝のシングルスの選手を見ていると、みんなすごく思い切ったプレーをしていて、あまり大事なところで守りに入っていなくて。それが強さだと思うので、自分も意識していきたいなと感じました。
――もうすぐ始まるリーグ戦に向けて一言お願いします
リーグは連覇もかかっているので1位になりたいですし、1位になることで王座に持っていけると思います。1位を目指して、チーム一丸となってひとつひとつ戦っていきたいです。