1週間にわたり開催された関東学生トーナメント(春関)本戦もついに最終日。男女共に単複の決勝戦が行われた。ここまで熱戦を勝ち抜いてきた選手たちが頂を目指すべく挑んだ最後の戦い。早大からは、女子シングルスに宮地真知香女子主将(社4=福岡・折尾愛真)、男子ダブルスに今井慎太郎主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)・河野優平(スポ2=福岡・柳川)組が満を持して登場した。宮地は序盤リードしながらも、相手の粘り強さを前に主導権を握れず。ストレート負けを喫し、準優勝に終わった。一方の今井・河野組は、2セット共にタイブレークまでもつれ込む大接戦に。取るか取られるかの緊迫した展開を見事勝ち切り、優勝を決めた。
鋭いショットを打ち込む宮地
まず行われたのは女子シングルス決勝。宮地は慶大の小林夏実と対戦した。第1セットは点差の開かない展開。先に均衡を破ったのは宮地だった。7ゲーム目をブレークし4-3とすると、その後をラブゲームでしっかりとキープ。リードを奪い、5-4で自身のサービスを迎えた。だが、「勝負どころで勝負ができなかった」(宮地)と語るように、セットポイントを握るも小林の安定したプレーに流れをつかみきれず。このゲームをブレークされてしまう。そのままもつれ込んだタイブレークを落とし、相手に先行を許した。第2セットも競った内容となるが、ここぞという場面でポイントを取り切れない。2-5とされ、もう後がない宮地。だが、女子部主将がここから意地の追い上げを見せた。9ゲーム目、互いに譲らず7度ものジュースになるが、力強いストロークで相手のミスを誘いこのゲームをキープ。応援する仲間から大きな歓声が上がった。しかし、反撃はここまで。4-6でこのセットを終え、無念のストレート負け。結果は準優勝となり、最終学年にして2年ぶりの優勝はかなわなかった。
ボレーを決め、雄たけびをあげる今井・河野(左)組
「勝ちに対する気持ちが相手を上回っていた」(今井)。男子ダブルス決勝の勝負の分かれ目は、紙一重だった。第1シードの今井・河野組が対するは、大友優馬・杉本椋亮組(ともに法大)。第1セットから強烈なサーブの応酬が続き、互いにブレークできないまま試合はタイブレークに突入。競りながらも7-5でタイブレークをものにし、セットカウントを1-0とした。続く第2セットは、さらに積極的な攻撃を仕掛ける大友・杉本組に苦戦。3ゲーム目には河野のサービスゲームをブレークされてしまう。だが、ブレークは厳しいかに思えた大友のサービスゲームでポイントを取り返し、試合を振り出しに戻す。そのままこのセットも6-6となり、白熱したタイブレークが始まった。ここでも一進一退の攻防が続き、一向に勝敗がつかない。しかし、早大ペアが気持ちで負けることはなかった。「サービスの確率がよく、セットポイントを握られても取り返せるという自信になった」(河野)。サービスで着実に得点を重ね、焦ることなく好機をうかがう。河野のサーブで11-10とすると、ついにポイントを連取。目指してきた栄光を手にし、ガッツポーズを見せた。どちらが勝ってもおかしくない僅差の試合、だがその接戦を勝ち切ったことが改めて今井・河野組の強さを証明した。
男子ダブルスの優勝で華々しく幕を閉じた今大会。だがシングルスでは男女共に優勝を逃すなど、早大にとっては物足りない結果に終わった。「この結果を受け入れて、今後の練習のモチベーションにつなげていきたい」と語った今井。次に控えるは6月の早慶対抗試合。今大会でも多くのタイトルを獲得した慶大との戦いだ。悔しい思いと得た収穫を糧に、王者としての貫録を見せつけたい。
(記事 吉原もとこ、写真 山本葵)
結果
▽女子シングルス決勝
●宮地真知香(6(4)-7、4-6)小林夏実(慶大)
▽男子ダブルス決勝
○今井慎太郎・河野優平(7-6(5)、7-6(10))大友優馬・杉本椋亮(法大)
チャンピオンスピーチ
今井(※写真右)
まずはじめに、ブリヂストン株式会社さまをはじめ各スポンサーの方々、朝早くから大会を運営してくださいました学連の皆さまなど、たくさんの力があって、毎年素晴らしい大会となっています。ありがとうございます。朝早くから駆けつけてくださったOB・OGの方々、土橋さん(登志久監督、平元教卒=福岡・柳川)、隼さん(渡辺コーチ、平19スポ卒=静岡・庵原)、そして早稲田大学の皆さま、本当にありがとうございました。シングルスは残念な結果になってしまったのですけれども、ダブルスで一試合一試合声を掛けてくれて、感謝しています。決勝で戦った法政の2人は、僕らにはない力を持っていて、とても勉強になることもありました。今回はたまたま僕らが勝ちましたけれど互角の戦いでしたので、また戦う機会があると思うので、その際はよろしくお願いします。春関(関東学生トーナメント)は終わりましたが、これはまだまだはじめなのでこれからインカレ(全日本学生選手権)に向けてまた鍛え直して頑張りたいと思います。ありがとうございました。
河野(※写真左)
まずはじめに、この大会を運営してくださった学連の方々、各スポンサーの方々、ありがとうございました。また、朝早くから応援、サポートをしてくださったOB・OGの方々、ありがとうございました。今回の春関は、チームとしてワセダがこの表彰式で並んだのは思った以上に少ない大会となりました。これからの試合に向けチーム全員で励んで、リーグ戦(関東大学リーグ)優勝や王座(全日本大学対抗王座決定試合)に向けしっかり練習していきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。ありがとうございました。
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コメント
今井慎太郎主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)
――ファーストセットはキープが続く展開でしたか、振り返っていかがでしたか
サービスキープの取得率が高いというのは僕らの良さであって、リターンも自信を持ってやっていて。キープがあるからこそリターンで余裕を持つことができて、ブレークして勝つというパターンを一番目指しています。でも今回はそのリターンがあまり良くなくて、向こうの大友(優馬、法大)は特にサーブがいいのでやりにくかったり、2人ともボレーがうまいのでうまくリターンを返してもやられてしまった部分はあります。でも、それにしてもリターンの精度が良くなかったので、そこが今回の課題かなと思います。
――セカンドセットでは先にブレークされる展開でした
そうですね。先にブレークされてしまったのもやはりこちらが引いてしまったというのがあって。セットを取った後のゲームというのはとても大事で、そこで引いてしまったことがこの展開を作り出してしまった良くなかったところかなと思います。どんな場面でも積極性は大事だなと改めて感じたので、今後に生かしていきたいなというふうに思いました。
――最後に勝敗を分けたものは何だと思いますか
やはり気合いでしょうか。特に僕はこの立場ですし、シングルスももう本当に調子が上がらないままこの大会に乗り込んでしまった結果、ああいった成績に終わってしまったので。ダブルスだけでもタイトルを取らないと、今後の個人戦もそうですが団体戦でワセダを勢いに乗せることができないと思っていました。勝ちに対する気持ちというのが相手を上回っていて、それがプレーに出たのではないかと思います。
――河野選手(スポ2=福岡・柳川)とは全日本学生室内選手権(インカレインドア)からペアを組まれていますが、成長を感じる点は
もちろん、プレーの質は良くなってはいますし、彼自身成長しています。ただ、やはりインカレインドアで優勝したりフューチャーズ(早稲田大学フューチャーズ国際トーナメント2015)で準優勝したことによって追われる立場になるので、そこのプレッシャーをどう跳ね返すかというのが課題になりますね。きょうの試合もそうですが、河野がバックサイドである以上、明らかにポイント差が開かない限りはタイブレークやマッチポイントを僕は河野に渡すことしかできないわけで。こうした接戦になるとバックサイド側がカギになりますがそうなると緊張した場面になりますし、セカンドセットでは確か3回くらいマッチポイントを渡せたと思いますが、(河野選手が)引いてしまってミスしてしまったというのがあったので。でも、3本目で思い切って取りにいったというのは気持ちの面で彼が成長している証拠だと思いますし、こういった経験を積み重ねることでメンタルの強さを上げていければいいのではないかなと思います。
――今回の関東学生トーナメント(春関)の総括をお願いします
まず、僕個人としてこうしたかたちで終わってしまって本当にチームに迷惑をかけたなという気持ちしかないので、今後の試合ではこうしたことがないようしっかり自分も調整していかなければならないです。全体としては、レベルアップしているのが目に見えるかたちで表れた選手もいるので、その点に関しては収穫です。ただ、ワセダで僕らのペアしか表彰台に上がれないというのは正直あってはならないことだと思いますし、とても悔しい結果だという気持ちしかないです。本番はここではないので、この結果を受け入れて早慶戦(早慶対抗試合)、インカレ(全日本学生選手権)、リーグ(関東大学リーグ)、王座(全日本大学対抗王決定試合)へと続く今後の練習のモチベーションにつなげていきたいと思います。
宮地真知香女子主将(社4=福岡・折尾愛真)
――ファーストセットはゲーム差の開かない展開でしたが、振り返っていかがでしたか
きょうの試合だけではないのですが、今大会を通じて勝負ができなかったという気持ちが強くて。きょうの試合でも勝負どころで勝負ができなくて、それがこうした展開につながってしまったのだと思います。
――セカンドセットでは長いジュースをキープされましたが、この時の心境は
結局最後まで勝負していこうという気持ちで戦っていくことができなくて、もうラケットを振るしかないと思ってプレーしていて。このゲームをキープはしましたが、そのことで強気になれたという感じではありませんでした。
――小林選手(夏実、慶大)とはいままでどのくらい対戦されましたか
確か、3回くらい戦ったことがあったと思います。そのうち1回は負けています。
――小林選手の印象は
すごく安定している選手で。きょうもかなりいいプレーをしてきていました。
――昨日のダブルスはスーパータイブレークにもつれ込みましたが、振り返っていかがですか
そうですね、スーパータイブレークになりましたが、その前にチャンスがあったのでそこで決めておかなければならなかったです。組んでいるのは後輩なので、自分がしっかりしなければならなかったのですが、そこでも私が勝負していくことができなくて。それが敗因でした。
――今回の春関の総括をお願いします
自分自身では試合内容も満足できる試合が一つもなかったですし、チーム全体の成績としてもあまりよくない春関だったなと思います。
――今後は早慶戦、インカレと続いていきますが、それに向け意気込みをお願いします
次はしっかり自分から勝負していけるよう、練習を頑張りたいと思います。
河野優平(スポ2=福岡・柳川)
――試合を終えてのお気持ちは
この接戦を勝ち切ることができたのは素直にうれしかったですし、このような競った場面を勝ち切る能力があるということは自信につながりました。
――対戦した法大ペアの印象は
お2人とも能力がすごく高いので、僕としてはやはり気持ちで上回るしかないと思っていました。一つ一つのショットに隙がないというかどのショットも上手くて、非常にやりにくい相手でした。
――第1セットはキープが続く展開でタイブレークまでもつれこみました
いつもああいう試合の展開では僕のサーブでブレークされるというのが多いのですが、きのうの試合でブレークされたことが反省点にあったので、きょうはサーブをとにかく思い切りやるということでタイブレークまでしっかり持っていくことができたと思います。さらにタイブレークでもしっかりサービスを打つことで取り切ることができました。
――第2セットは逆に先にブレークされてしまいましたが
大友さんのサービスゲームは(ブレークするのは)ちょっと厳しいかなと思っていたのですが、30-0までいったのでここしかないという気持ちでがむしゃらにいきました。それが上手くいって取り切れてよかったなと思います。
――タイブレークは大接戦となりましたが勝因は何だとお考えですか
やはりサービスの確率が今井さん(慎太郎主将、スポ4=神奈川・湘南工大付)も僕もよかったことかなと思います。相手にセットポイントを握られても取り返すことができるという自信になったので、よかったです。
――全日本学生室内選手権の時は今井選手に頼ってばかりの勝利とおっしゃっていましたが、それからご自身で成長した点は感じていますか
いえ、まだ全然今井さんに頼ってばかりです。ただ気持ちの面で強くなったかなと思います。今井さんのおかげでインカレインドアや早稲田フューチャーズの決勝の舞台も戦わせてもらってその経験を積んでいるので、次こそは決勝の舞台でビビらずに自分が引っ張るんだという気持ちでいければなと思います。
――今井選手に伝えたい言葉は
今井さんもすごい苦しい春関だったと思うので、シングルであれだけ悔しい思いをしていたら、ダブルスに打ち込むというのは気持ち的にも難しいことだと思うのですが、そこをダブルスに専念してくれるということに本当に感謝しています。早慶戦ではシングルスでも1ポイントお願いします、と伝えています。
――今後は早慶対抗試合、全日本学生選手権が控えていますが意気込みをお願いします
どちらも今井さんと僕のダブルスではどんなにもつれても、絶対に勝って優勝するのみです。