連日熱戦が繰り広げられている三菱電機・早稲田大学フューチャーズ国際トーナメント2015。本戦3日目と4日目にはシングルス2回戦とダブルス準々決勝が行われた。シングルスに出場した今井慎太郎(スポ4=神奈川・湘南工大付)、松崎勇太郎(スポ3=神奈川・湘南工大付)、栗林聡真(スポ4=大阪・清風)のうち、今井が竹内研人(北日本物産)を下しベスト8入りを決める。ダブルスでも今井・河野優平(スポ2=福岡・柳川)組が勝利を収め、準決勝に駒を進めた。
★好調を保つ
ストロークをライン際に打ち込む今井
先週行われた亜細亜大学国際オープン2015に出場後、今大会に向け修正したというサービス。これがカギとなった試合であった。第3シードの実力者である竹内と対戦した今井。第1ゲームをいきなりブレークすると、その後も好調のサーブを軸にポイントを積み重ねていく。ボールに回り込んで得意のフォアハンドを叩き込み、一気に主導権を握った。ジュースにもつれた場面も決め切り、終わってみれば6-2、6-2のストレート勝ち。相手に一度もブレークを許さない安定した試合運びで準々決勝進出を決めた。この勢いのまま勝ち進むことができるかに注目だ。
(記事 山本葵、写真 三田侑実)
★実りある大会に
ゲームを奪いガッツポーズをする松崎
全日本選手権チャンピオンの江原弘泰(日清紡ホールディングス)と対戦した松崎。2-2からブレークし4-2としたが、「勝ちを意識しすぎてしまった」と、その後はミスが続き流れに乗り切ることができない。相手に4ゲーム連取を許し、ファーストセットを落とした。だが、続くセカンドセットでは甘く入ったボールを見逃さず、角度をつけたショットで攻める。ここぞという場面でも粘りを見せ、セットカウントを1-1とした。命運をかけたファイナルセット。勢いに乗りたいところであったが、軽快なフットワークでライン際にウィナーを放つ相手に次第に押され始める。ペースをつかむことができず、2回戦敗退となった。敗れはしたものの、今大会を振り返り「課題もたくさん見つかった」と語った松崎。自身初のATPポイントも取得し、実りある大会となった。
(記事 山本葵、写真 三田侑実)
★次のステージへ
試合中も積極的にコミュニケーションをとった今井(左)・河野組
シングルスで勝利した今井は同日、河野と共にダブルス準々決勝に出場。高身長のイタリア人ペアに挑んだ。相手の高速サーブに苦しめられるが、「今井さんと自分はお互いにサーブを武器としている」(河野)と語る通り、サービスゲームをキープしブレークのチャンスをうかがう。互いにキープが続く展開の中、試合が動いたのは4-4で迎えた9ゲーム目。前衛の足元にボレーを決めブレークし、ファーストセットを奪った。続くセカンドセットもコンビネーションで相手を上回り6-4。準決勝進出を決めた。次戦は第1シードとの対戦となるが、「自分たちのプレーを最大限に出すということを意識して臨みたい」(今井)と意気込みは十分だ。
(記事、写真 山本葵)
★ベスト8入りならず
ストロークで相手を振る栗林
1回戦で小ノ澤新(イカイ)を下した笹井正樹(フリー)と初対戦を果たした栗林。ファーストセットでは徐々に調子を上げ、ラリーで打ち勝ち2-4から6-4と逆転した。しかし、続くセカンドセットでは「相手に上手く分析されてしまった」と、戦略を変え打ち込んできた相手に対応が遅れる。浅く入ったボールをコーナーに決められ、挽回のきっかけをつかむことができない。「配球も読まれてしまって、正直完敗でした」と、2セット連取を許し敗れた。「テニスの調子自体は悪くはない」という栗林が次に挑むのは、筑波大学国際トーナメント。今大会での経験を糧に、さらなるATPポイント獲得を目指す心構えだ。
(記事、写真 山本葵)
※記事中の学年は新年度のものです
結果
※本戦3日目終了時
▽シングルス
2回戦
○今井慎太郎(6-2、6-2)竹内研人(北日本物産)
●松崎勇太郎(4-6、6-4、3-6)江原弘泰(日清紡ホールディングス)
▽ダブルス
準々決勝
○今井慎太郎・河野優平組(6-4、6-4)LICCIARDI Pietro・PANCALDI Luca(共にイタリア)
※本戦4日目終了時
▽シングルス
2回戦
●栗林聡真(6-4、4-6、1-6)笹井正樹(フリー)
コメント
※本戦3日目終了時
今井慎太郎(スポ4=神奈川・湘南工大付)
――きょうのシングルスではサービスゲームをすべてキープされました。サーブの調子はいかがですか
亜細亜(亜細亜大学国際オープン)の方ではサーブの調子があまり良くなくて、修正をして今回の早稲田フューチャーズに臨んだのですが、いまのところそれが上手くいっていると思います。ですが、まだまだ確率も上げていかなければならないですし、(対戦相手の)レベルも勝ち進むにつれて上がっていくので、もっといいサーブを求めて調整していきたいと思います。
――ジュースとなり競ったゲームも取り切っていましたね
サービスゲームでは、大事なところでサービスをしっかり入れることができたということがやはり大きかったですね。リターンゲームの方はとにかくしっかりサービスを返そうという意識と粘り強さが大事になってくるので、そういった気持ちの持ちようを維持できるようにということを意識して集中した結果だと思います。
――ダブルスは互いにキープが続く展開となりましたが、振り返っていかがでしたか
外国の選手の方はサービスがいいので。セカンドセットの途中で僕がサービスゲームを落としてしまって、この時はたまたますぐにブレークできて良かったですが、足元をすくわれる場面もあって。サービスは本当に重要になってくるなと感じました。サービスキープはその一回以外はできていたので良かったとは思いますが、ジュースになったら40-40で一本勝負になるので、そこまで持ち込まないようやっていかなければならないと思いました。
――次戦に向け一言お願いします
シングルスはきょうのダブルスでも対戦した左利きの選手が相手です。きょうの感覚をしっかり思い出しながら戦って、勝ちに行きたいなと思います。ダブルスの方も河野と息を合わせて勝ちにこだわりたいとは思っています。ただ、勝利だけに意識を集中するのではなくて、自分たちのプレーを最大限に出すということを意識して臨みたいです。
松崎勇太郎(スポ3=神奈川・湘南工大付)
――江原選手(弘泰、日清紡ホールディングス)に対しどういった戦略をたてていましたか
きのう(江原選手の)試合を少し見たのですが、状態はあまりよくないなという印象で。でも基本的にタイプは似ているので、ラリーの長い長期戦になるというのは予想されていいました。あちらが粘るタイプなのでこちらから積極的に攻めてボレーに挑んで、チャレンジャーという立場で攻めていこうという思いがありました。
――江原選手はボールのカバー率が高く、決め切るのが難しかったと思われますが
そうですね。彼の持ち味というのはフットワークの良さで、どこに打ってもしっかり返してきて、最終的にこちらが外に出されるというプレースタイルで。それに対して僕自身外に逃げてしまう部分もありましたし、(コートの中に)返ってくるのが嫌で早く決めてしまいたいなという気持ちになってしまった自分がいました。この点に関してはまだまだ自分の心の持ちようが子どもで、もっと中で勝負していくべきだったのかなと感じています。
――ファーストセットは2-2からブレークし4-2となった部分が大きなポイントでした
そこで自分が少し勝ちを意識しすぎてしまったというか、セットを取れる場面が見えてしまって挑戦するという意識が少し薄れてしまいました。ここで自分からもうひとチャレンジ頑張ろうと思えていれば、そのままファーストセットを取れていたかもしれないです。相手が江原選手でも勝てるかもしれないという無駄な雑念が入ったのも事実で、そこがファーストセットのキーポイントだったと思います。
――セカンドセットはリードする展開でしたね
ファーストセットをチャンスがありながらも落として、もう後がないという状況で先にリードすることができて。いくらリードしているといっても相手は最後まで食らいついてくる選手なので、やることは変えないよう意識しました。セカンドセットに関しては自分が積極的にいったら相手が引いてくれたというか、相手にプレッシャーを与えることができたと思います。
――ファイナルセットは振り返っていかがでしたか
サービスをキープし合って取ったり取り返したりとお互い消極的なテニスでしたが、そこは全日本(全日本選手権)チャンピオンのうまさというか、一瞬でも隙を見せたらすかさず突いてきて、さすがだなと感じました。そういった点は自分にはまだまだ足りないので、見習いたいです。
――今回得られた課題や収穫はありますか
今回は本戦から出場させていただいて、1試合勝ってATPポイントを取れたというのは自分にとって収穫ではありますが、課題もたくさん見つかりました。テニスの技術を上げることはもちろん、自分のテニスを貫くにはフィジカルの強さや精神力が必要なので、そういった部分もっと磨かなければならないなと感じました。
河野優平(スポ2=福岡・柳川)
――今大会は本戦からの出場となりましたが、どのようなお気持ちで臨みましたか
今大会に出場させていただいてるのは自分の力というわけではなくて、三菱電機さんと早稲田大学が主催してくださっている大会にたまたま出していただけたという立場なので、そういったことに感謝して、このチャンスを無駄にしないよう一生懸命取り組んでいます。
――今井選手とは組んで練習されているとのことでしたが、現在のコンビネーションは
今井さんと自分はお互いにサーブを武器としているので、その点としてはダブルスを優位に進めることができているなと感じています。
――キープが続く展開となりましたが、振り返ってみていかがでしたか
向こうのプレーに対しこちらがうまくリズムに乗せさせてもらえなかったというのがあって。外国人の選手でサーブもすごく良かったのでとりあえずキープして、ブレークチャンスがあったらそこで一回ブレークしようと思っていました。サービスゲームは基本的に全部キープしようという考えでいきました。
――相手は外国人選手ということで身長も高かったですが、やりにくさはありましたか
いえ、今回の選手にはあまり感じなかったです。
――ボレーがよく決まっているという印象でしたが
そうですね。でも、まだベストな状態とはいえないので、これから準決勝、決勝と勝ち進むためにもっと磨き上げていきたいです。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
とにかく一生懸命、思い切ってチャレンジしたいと思います。
※本戦4日目終了時
栗林聡真(スポ4=大阪・清風)
――きょうの試合を終えた感想をお願いします
ファーストセットを良いかたちで取ることが出来たので巻いていきたいと思っていたんですけど、そこからは相手に上手く分析されてしまいました。配球も読まれてしまって、正直完敗でした。
――笹井選手(正樹、フリー)との対戦経験はあったのでしょうか
いえ、今回が初対戦でした。
――では、実際にプレーされてどのような印象を抱きましたか
セカンドセットの途中から僕のボールが浅くなったというのもありますが、前に入ってタイミングを上げて打つのがうまい選手だと思いました。
――ファーストセットは2-4から6-4と盛り返しましたが、取り切れた要因は
向こうがリードしている状態でしたがワンブレークだったので、僕自身のプレーも結構良くて向こうの方が少し引いてくれて、そこを何とかつけこめたのが良かったかなと思います。
――ファイナルセットを振り返っていかがでしたか
僕のボールが浅くなったのに対し相手がどんどんポジションを上げていって、(相手の)フォアハンドがクロスにもストレートにもコーナーに入ってきてしまったので。一気にリードされて、そこからは相手がのびのびとプレーできる状態になってしまいました。
――今大会を通して得られた課題や収穫はありますか
テニスの調子自体は悪くはなくて、きょうの試合などはいい部分もありました。でも、特に後半からは相手に攻略されてしまって自分の弱点が見えたので、返って良かったなと思っています。
――筑波大学国際トーナメントへの意気込みをお願いします
今回ATPポイントを1ポイント取得することができたので、予選には出場できると思います。とにかく予選を突破して、さらにポイントを取れるよう頑張りたいと思います。