シード選手相手に敗退

庭球男子

 連日ハイレベルな試合が展開されているアディダス早稲田大学フューチャーズ国際トーナメント2014。本戦3日目、本戦4日目には男子シングルス2回戦、男子ダブルス準々決勝が行われた。相手はいずれもシードで出場する選手たち。プレーの面で台頭する場面も見せたが、要所ではその実力を見せられ敗戦した。しかし土橋登志久監督(平元教卒=福岡・柳川)は「日ごろの練習が開花してきている」と実感。春のシーズンを前に、得たものの多い大会となった。

★接戦をものにできず、準々決勝敗退

古田(右)・今井組はあと一歩及ばなかった

 早大からは唯一勝ち残っている古田陸人(スポ4=愛知・名古屋)・今井慎太郎(スポ3=神奈川・湘南工大付)組が出場。ともに男子シングルスは1回戦で敗退していたため、この一戦に全力を懸けて臨んでいた。対戦相手は第3シードの仁木拓人(柴沼醤油販売)・小ノ澤新(北日本物産)組。第1セットは早々から相手のリターンに苦しめられ、2-6で落としてしまう。しかし古田が「2セット目は気持ちで盛り返した」と語るように、第2セットはファーストサーブからの攻めで流れをつくる。互いにキープが続いたが、第12ゲームでブレークに成功。7-5で、勝負はスーパータイブレークへ持ち込まれた。ここでも変わらずに一進一退の攻防が繰り広げられたが、最後は8-10。「相手に持っていかれてしまった」(今井)と、勝利にはわずかに及ばなかった。今大会の戦いは幕を閉じたものの、プロ選手との戦いで学ぶことも多かっただろう。チームを担う二人であるだけに、この先の活躍にも目が離せない。

(記事 細川香衣、写真 松下優)

★栗林、プロ相手に完敗

栗林は好調だっただけに、悔しい敗戦となった

 カベの高さを思い知らされた。フューチャーズで自身初の2回戦に駒を進めた栗林聡真(スポ3=大阪・清風)が対戦したのは、プロとして国内外の大会に出場する仁木拓人(柴沼醤油販売)。得意のラリー戦に持ち込みたかったが、仁木の圧倒的なサーブに歯が立たない。許したサービスエースは14本。どうにか流れを引き寄せたい栗林であったが、ストロークでも主導権を握ることはできず、1-6、1-6での完敗となった。「自分がやりたいようには全くさせてもらえなかった」と試合を振り返る一方で、ここまで勝ち上がってきたことに対しては「以前より進歩した」と語った栗林。このまま好調を維持し、本格的なシーズンの開幕に備えたいところだ。

(記事 芦沢仁美、写真 松下優)

★格上相手に一時リードも、逆転負け

相手にリードを許した場面でも、積極的に攻めた大城

 グランドスラム出場経験もあるウドムチョク(タイ)に対し、序盤から積極的に攻めていった大城光(スポ4=埼玉・秀明英光)。角度のあるショットを巧みに繰り出し開始から5ゲームを連取する。しかし、世界を渡り歩くプロの力量は伊達ではなかった。緩急を折りまぜたストローク、粘り強くボールを拾う軽快なフットワーク。本領を発揮するウドムチョクを止めることができず、あと1ゲームに手が届かない。瞬く間に7ゲームを奪われ、第1セットを失ってしまった。「死にもの狂いで取りにいかなきゃいけなかった」と自身も反省点として挙げるように、この大逆転で試合は完全に相手ペースに。第2セットでも懸命に食らいついたが、6-3で敗れてしまった。しかし、このような一流選手と試合をすることは大城にとって貴重な経験となっただろう。一回り大きくなった主将が、今季のワセダをけん引する。

(記事 芦沢仁美、写真 松下優)

※記事中の学年は新年度のものです

結果

※本戦3日目終了時

▽男子ダブルス
準々決勝
●古田陸人・今井慎太郎(2-6、7-5、8-10)仁木拓人(柴沼醤油販売)・小ノ澤新(北日本物産)

※本戦4日目終了時

▽男子シングルス
2回戦
●栗林聡真(1-6、1-6)仁木拓人(柴沼醤油販売)
●大城光(5-7、3-6)ダナイ・ウドムチョク(タイ)

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コメント

※本戦3日目終了時

古田陸人(スポ4=愛知・名古屋)

――相手は第3シードのペアでしたが、どのような気持ちで臨みましたか

おととしのこの試合でワイルドカードとして出させていただいたときに負けた相手だったんですけど、そのときは結構あっさりと負けてしまって。そういうこともあったので、今回はリベンジという気持ちで臨みました。

――実際に戦ってみていかがでしたか

1セット目は全然ダメで、2セット目は気持ちで盛り返して。スーパータイブレークも気持ちは持っていたんですけど、相手が落ち着いてプレーしてきました。そういうときにもっと押し切れるようにしたいです。

――課題となったことはありますか

普段プロのサーブを受けることはないので、そういったサーブも返せるようなリターン練習、またスピードや回転も学生とは違うので、その点も対応できるように追求していきたいです。今井(慎太郎、スポ3=神奈川・湘南工大付)は亜細亜フューチャーズ(亜細亜大学フューチャーズ国際オープン2014)で準優勝していて自信をつけていると思います。そのためダブルスとしては、今井の良いところを生かしつつ、先輩らしいプレーをできるように頑張ります。

――次は関東学生トーナメント(春関)となると思いますがそれに向けて抱負をお願いします

その前に対抗戦があって、関西などに行くと思います。そのときに課題も出ると思うので克服して、春関で優勝できるように頑張ります。

今井慎太郎(スポ3=神奈川・湘南工大付)

――きょうの試合を振り返って

シングルスは今回早く負けてしまい、ダブルスは先週も(亜細亜フューチャーズで)良い結果が残せていたので、思い切っていこうと思っていました。内容は良かった点も悪かった点もあったんですけれど、学生らしく気持ち入れて声を出してということはできていたと思います。でもスーパータイブレークなんてどちらに転ぶか分かりません。ましてや8-10だったので、僕らが勝ってもおかしくないですし、向こうが勝ってもおかしくなくて、きょうはたまたま向こうに持っていかれたという感じです。そういったところをものにするのは、なかなか難しいことであって。狙ってできることではなく、運などが付きものだと思います。とりあえずきょうはダブルス一つだけに気持ちを絞ってやってきました。

――ご自身の調子はいかがでしたか

途中で相手のサーブに苦しんだところもあったんですけれど、ネットでもしっかり動くことができました。亜細亜フューチャーズで鈴木貴男さん(イカイ)と組んだ経験がすごく生かされているなと。今大会は2試合しかしていないですけれど、そのことを感じました。

――次の大会に向けての目標をお願いします

早稲田フューチャーズ(アディダス早稲田大学フューチャーズ国際トーナメント2014)はATPポイントを取ることができなかったのですけれど、学生は授業などもあって両立することができないので、こういった機会を生かすためにも1つでも多く勝ちたいです。ただ結果にとらわれるのではなくて、どれだけ自分のベストのプレーができるかという点に目標を置いて甲府フューチャーズ(甲府国際オープン2014)に臨んでいきたいと思います。

※本戦4日目終了時

土橋登志久監督(平元教卒=福岡・柳川)

――今大会はハイレベルな戦いが繰り広げられていますが、大会全体をどのようにご覧になっていますか

今回は運営側なので、選手が一生懸命に、自分の持っているものを出してもらいたいという思いでいます。選手の頑張りで良い試合が多く出ていることについては、ただただ選手に感謝するばかりです。

――その中で早大の選手の成績についてはどのようにお考えですか

ある一定の結果は出せていますが、昨年の遠藤(豪、平26スポ卒=三重・四日市工)の決勝進出などを考えると、今回はこれで全員敗れてしまったということで物足りなさを感じています。ただ毎年勝てるわけではないですし、一歩ずつ近付けているかなということは実感しています。これを刺激に、春のシーズンで頑張ってほしいなと思います。

――プレーの面で、プロの選手に台頭する場面も見せていると思いますが

そうですね。年々そうなんですけれども、練習がハードになったりフィジカルトレーニングをきっちりやったりというのはあると思うので、そういうのは生きていると思います。また、練習も以前よりは細部まで行き届いた練習を心掛けていて、そういうことが学生の中で徐々に開花してきているのかなという印象はあります。

――これから始まるシーズンに向けて、一言お願いします

昨年同様厳しいシーズンになります。それは大きな目で見ると学生テニス界全体のレベルアップだと思っているので、その中で日本一を取れるように全力を尽くしたいと思います。学生たちも含めて、隙のないように、一日一日、一球一球を大切にしていきたいと思います。

大城光(スポ4=埼玉・秀明英光)

――きょうの対戦相手は、戦ってみていかがでしたか

自己最高で世界ランキング77位までいっているような選手で、自分もどんどん向かっていこうと思って入りました。最初はすごく良いペースでできていたんですけれど、5-0から相手が本領を発揮し始めて。それについていけなかったというのは、やっぱりまだ差があったのだなと感じました。

――第1セットは5-0から巻き返されてしまいましたが

勝つにはファーストセットを取らなきゃいけなかったと思います。もし取れていれば気持ちも十分乗っていけたと思いますし、相手ももしかしたらペースをつかみきれずにセカンドセットも(取れていた)、という展開もあったかもしれないので。ファーストセットはあそこまでいったのなら、死にもの狂いで取りにいかなきゃいけなかったというのが反省として挙げられると思います。

――続く第2セットを振り返って

セカンドセットは相手も安定して良いプレーをしてきて、その中で自分も食らいついてやっていたんですけれど、ちょっとの差というか大事な場面で自分の方が力んでしまいました。結果的には抑えられてしまったなと感じます。

――今シーズンに向けての意気込みをお願いします

昨年はインカレインドア(全日本学生室内選手権)で優勝して、自分は全国タイトルを取るということが夢だったので、そこで一つ夢をかなえて。でもそれに甘んじずに冬もしっかりとやってきました。春からは一人の選手としてもキャプテンとしても、春関(関東学生トーナメント)からインカレ(全日本学生選手権)、リーグ戦(関東大学リーグ)、王座(全日本大学対抗王座決定試合)と続いていくんですけれど、一戦一戦大切に戦っていきたいと思います。

栗林聡真(スポ3=大阪・清風)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

完敗です。

――プロ相手の試合でしたが、学生とは戦い方が違いましたか

ラリー戦に持ち込みたかったのですが、サーブが攻略できず、そこからどんどん点を取られてしまって、ストロークもストレートに展開されてしまって。自分がやりたいようには全くさせてもらえませんでした。

――相手のサーブに苦戦していらっしゃいましたが

サーブで完全に流れを持っていかれてしまいました。全然相手のサービスゲームのときにポイントが取れませんでしたし。自分のサービスゲームのときにも相手に思い切ってやられてしまいました。

――多くのプロ選手と善戦していましたが、手応えは得られましたか

初めてATPポイントを取ることができて、まだまだではあるんですけど、以前よりは進歩はしてきたかなと思います。

――大会全体を通じて明らかになった課題はありますか

まずサーブ。それから、ストロークでもフットワークに課題が残るな、と。いまの大城さん(光、スポ4=埼玉・秀明英光)の試合を見ていても、プロであるウドムチョク選手のフットワークは素晴らしいと思いますし。

――本格的なシーズンも始まりますが、意気込みをお願いします

先週の亜細亜フューチャーズから出場していて、以前だったら勝てなかったような選手に勝てたりしていて。悪い流れではないと思うので、ここで気を抜かずに頑張りたいと思います。