白熱の早稲田杯!強者が集まる

相撲

 相撲部員ではない一般の早大生を対象にした相撲に興味を持っ

てもらうための行事、第6回早稲田杯が開催された。まわしを締め、四股を踏み、体を当てる

。実際に相撲を肌で感じることでその魅力を伝えるのが狙いだ。毎年参加者は増え続け、こと

しは過去最多の18名の早大生が東伏見の土俵に上がった。前川晋作主将(社4=東京・早実)

が「素人とは思えない」と舌を巻く白熱した取り組みを繰り広げ、いままでにない盛り上がり

を見せた。

与)を審判長に迎え、全員で校歌を斉唱。それから軽い練習と所作の確認の後、試合に入った。

全部で4つのグループに分け総当たり戦を行い各グループの1、2位が決勝トーナメントへと

進むことができる。「特に今回熱戦が多かった」とデーモン閣下が振り返るように、予選から

激しい取り組みが続いた。順位が並びサドンデスに入るなど白熱した展開に、会場も大いに盛

り上がる。各々相撲に違いがあり、人によって攻め方が変わっていくのが非常に興味深かった

決勝戦でぶつかる吉田(左)と北村(右)

 各グループを勝ち抜いた8人が決勝トーナメントへと進んだ。トーナメン

ト方式のため負けたら終わりの真剣勝負。参加者らも気合を入れ直して臨む。会場は熱気に満

ち、デーモン閣下も予定より早く呼び出しを行うことに。そして激戦に次ぐ激戦はここでも変

わらず、誰が優勝してもおかしくない状況の中で最後に勝利を勝ち取ったのは北村祐哉だ。決

勝の相手の吉田は北村よりも一回り大きい体の持主。一度、北村の足が先に出たかと思われた

が、これに物言いがつき審判団の協議の結果取り直しとなった。「吹っ切れて思いっきり掛け

て勝てた」(北村)と柔道の経験を生かし積極的に足技を狙い見事勝利を収める。一方負けた

吉田も「もう一回できてよかった」とやり切った笑顔を見せた。

試合後に学生らをたたえるデーモン閣下

 取り組みの後は、参加者全員に相撲部特製ちゃんこが振る舞われ、同じ机

を囲みお互いを称えあった。早稲田杯を通して会場の全員が相撲を心から楽しめたに違いない

。来年いよいよ100周年を迎える相撲部の熱気にも拍車がかかる。ことしの早大は一味違う

。「ワセダの相撲部注目だぞ」(デーモン閣下)早稲田杯の成功により相撲部のこれからの活

躍を期する。

(記事 高橋団、写真 曽祢真衣)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

前川晋作主将(社4=東京・早実)

――早稲田杯の開催理由を教えてください

相撲部は今11人いるんですけど、私が1年生の時は4人でした。部員の確保のために始めたもの

であって、こうやって継続していくことで一般学生にも相撲に興味を持ってもらって、同好会に入ってゆ

くゆくは部に入って相撲を続けてもらえれば嬉しいです。

――今回で第6回ということで、以前と比べて変わっているところはありますか

参加者が年々増えていることは本当に喜ばしいことで、こうやって継続していくことで大学をあげて

の大きなイベントになってくれたら、相撲部としてもありがたいです。

――取り組みは物言いが多かった印象でした。例年このくらいあるのですか

そうですね。例年結構あるんですけど、今年は特に人数も多くて白熱した素人とは思えないような

取り組みでした。レベルの高い試合になりました。

――100周年に向けて、目指していくものはありますか

部員が少なかった4,5年前から強化していて、部員を増やすために早稲田杯を開催したり

やってきたので、それがこうして形となって今おかげさまで部員も増えて、喜ばしいことだと

思います。

来年の100周年に向かって部員一丸となって頑張っていきたいと思います。

――新入生が2名入られましたが、期待することなどありますか

2人とも高校時代の実績もあって実力も十分にありますので、今度の宇和島大会、宇佐大会で1年

生もデビューしますので、そこから活躍を期待したいです。

――今後の試合について意気込みをお願いします

チームとして選抜大会に出られるということは約20年ぶりということなので、いい試合に出られる機

会を無駄にすることなく、レベルの高い試合の中で勝負できる実力もついてきているのでそれをしっか

りと試せるように頑張りたいです。

北村祐哉(法3)

――きょうは優勝おめでとうございます。この大会は何をきっかけに知りましたか

大学から来たメールで知って友人を誘って参加しました。

――普段から相撲に興味があるのですか

そうですね。でも見る程度で実際にやってみるのはきょうが初めてです。

――スポーツ経験はありますか

高校は柔道で今は合気道をサークルでやっています。

――普段からサークルの他にも体を鍛えるトレーニングをされていますか

そうですね、ジムに通って走る程度なんですけど。ちゃんと運動するのは合気道サークルの方です

ね。

――きょうの取組の感想を聞かせてください

普段テレビで見ているよりもずっと駆け引きとか力の掛け方とか難しかったんですけど実際やって

みるとすごく楽しかったです。

――初めてまわしを締めたということでしょうか

はい。やり方もきょう初めて教えてもらってすごく新鮮でした。

――印象に残っている取組はありますか

最後の決勝のところで一回負けてしまったかなと思ったんですけど、判定でもう1回やることになっ

たので、吹っ切れて思いっきり掛けて勝てたので良かったです。

――足技を使っていましたが意識していましたか

柔道をやっていた経験があって、体が自然にその形がしっくりきた感じです。

――柔道の動きと似ている部分もあるということでしょうか

そうですね。けっこう似ている部分も足技とかはあると思いました。

――柔道の技名でいうとどの技が似ているのでしょうか

自分が使ったのだと内股は似ているかなと思いました。

――これを機に相撲に興味は湧きましたか

もし機会があればまた参加したいと思います。

――優勝の喜びはありますか

優勝できると思っていなかったので、参加だけのつもりだったので、うれしいです。

吉田喬彦(国教2)

――早稲田杯参加のきっかけはなんですか

友達が誘ってくれました。

――何かスポーツはしていましたか

高校はハンドボールをやってました。中学校はバスケで小学校はサッカーです。

――相撲はよく見ていますか

おじいちゃんが見ているのを時々一緒に見てたりしたくらいです。

――勝てる自信はありましたか

まあ、ありました(笑)。正直、いけるかなとは思ってました。

――決勝戦では取り直しになりましたが、どのような心境でしたか

逆に、取り直ししてよかったと思いました。若干自分の方が負けたかと思ったので、結

果負けましたけどもう一回できてよかったです。

――早稲田杯に向けてトレーニングなどはされましたか

いや、まったくしてないです。いつも通りです。

――来年の早稲田杯への参加は考えますか

視野に入れておきます。またトレーニングをやっていきたいと思います。

デーモン閣下(社卒・早大相撲部特別参与)

――きょうは審判長を務められていかがでしたか

この早稲田杯は今回で6回目だけども、わが輩は第2回からずっと同じ役割できていて5回目にな

るのだけども、毎回熱戦が繰り広げられるが、特に今回熱戦が多かったかなと、非常に面白く見ること

ができた。

――特に印象に残っている面白い取組はありますか

やはり一番印象に残るのは、最終的な決勝戦が取り直しになったというところだ。これは印象に残

るけれども、それ以外に実は1位2位3位になった選手たちよりも、決勝トーナメントに残れなかったけ

れどもとか、決勝に進んだけれども最初の方で敗れてしまったとか、印象に残る選手は1位2位3位に

入らなかったという、面白い現象が起きた。

――閣下は第2回から審判長を務められてきて、回ごとの変化など感じていらっしゃいま

すか

各回ごとにそれぞれ特徴があって、前々回だったかな、第4回だったと思うけれども、1年生なんだ

けれども40代後半の白髪まじりの人が、1年生なんだよ(笑)、優勝したりとかね。そういうそれぞれ印

象に残ったケースは多いんだけど、今そこにいる中田くん(敦志、社4=埼玉・大宮)という体重の軽い

選手は、彼は確か第3回にこの早稲田杯に1年生で出場したことをきっかけに、相撲部に「軽量級の選

手がいないからやらない?」という話で、まずは相撲愛好会のメンバーになり、今や部員になり軽量級

で全国のベスト8に入るまでになっている。そういういろんな経緯があってね。とてもドラマがある大会

だ。

――大相撲と学生相撲の違いはどのような部分でしょうか

大きく違うよね。たとえば大相撲の場合は番付というものが常に存在するので、番付が下がりたくな

いからという理由でケガをしても無理して出場して、ますますケガがひどくなるというパターンもあったり

するけれども、学生相撲は、例えばケガをしたときにはしっかり治して体を大きく壊さないようにしていく

とか、そういうところがプロとアマチュアで微妙に違うけれど、相撲の本質自体は一緒なのでね。あと、

学生相撲の最大の魅力は団体戦だ。個人的なスキルアップはチームのスキルアップに直結する。責

任感とか仲間意識の鍛錬と向上が醍醐味だね、バンド活動にも通ずるものがある。学生は学生で面白

いと思う。今回はアマチュアの個人戦だけどね。相撲部員でもアマチュアだけどアマチュア中のアマチ

ュア、初心者が集って相撲を取るということで、最初の挨拶でも言ったけれども相撲の経験がほぼない

という人も出てきて取るわけで、おそらくまわしを締めて本物の土俵で相撲を取るという経験はなかな

かできないから、彼らにとってはすごくいい経験になったと思う。相撲を取ることによって力士って大変

なんだなっていうことが分かったりとかね。相撲は全身を使っての運動なので、どこか体の一部分だけ

の力が秀でていたり、一部分の力だけで取ろうと思ってもなかなか勝てないとか、自信があったのに勝

てなかったという人もいると思うんだ。そういういろんな相撲の奥深さをみんなおそらく感じて帰ることと

思うんだけども、非常にいい経験になったんじゃないかなと思っている。

――早大相撲部特別参与として、メッセージをお願い致します

特に早稲田大学の相撲部はここ2、3年ようやく復興してきて、という言い方もおかしいんだけども、

わが輩が稲角会(早大相撲部のOBと現役の会)の特別参与になった当時は部員が2人しかいないと

いうような状況だった。もう部を成立させていくのがやっと、大会に出ようと思っても他のクラブから部員

を借りてきてやらないと出場できないような状態だった。それが現在は11人まで部員が増えて、100

周年に向けて非常にいい感じで大会でも徐々に徐々に良い成績を挙げ始めている。これを読んでいる

大学の中の人たちにもぜひ注目してもらって、ワセダの相撲部注目だぞ、ひょっとしたら本当に良い成

績をもっと挙げていくかもしれないぞと、そういう目で見てもらえるといいかなと思っている。