プロチーム相手に激闘を繰り広げるも、PKの末に敗れ5位決定戦へ

ア式蹴球女子

 関東女子選手権兼皇后杯全日本選手権関東予選準々決勝で対するのは、チャレンジリーグに所属するオルカ鴨川FC。OGであるGK河邊花観(平28スポ卒)を擁するプロチームを相手に、昨シーズン本大会のタイトルを勝ち取った早大がどれだけの戦いを見せられるかに注目が集まった。雨風が強く、ピッチのコンディションも決して良いとはいえない中、早大は立ち上がりから押し込まれてしまう。なんとか前半は無失点に抑えたものの、67分にFKから失点。しかしその3分後、FW大井美波(社2=大阪・大商学園)の得点でスコアをタイに戻すと、試合は延長戦へ。決着がつかないまま勝敗の行方は初戦同様PK戦へと託されたが、PK戦を制することはできず今大会のタイトルは来年へお預けになった。早大は、皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)出場が懸かる5位決定戦へまわることになった。

CKのこぼれ球にすぐさま反応した大井が点を取り返した

 立ち上がりから、試合の主導権を相手に握られてしまう。競り合いで身体を張ってボールを奪い取ってくる相手に対し、早大はいつものようにパスをつなぐことができない。続けて与えてしまうCKからのシュートや、鋭いミドルでゴールへ迫られる。しかしGK木付優衣(スポ2=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)やDF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)の対処が光るなど、そう簡単にゴールを許さない早大は攻撃姿勢を徐々に強めていく。FW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)からMF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)へのコンビネーションでゴールへ迫るなど、負けじと攻撃を仕掛ける。熱戦が繰り広げられる中、スコアは動かないまま前半を折り返した。

プロチームを相手に、大雨の中全力で戦い抜いた

 迎えた後半も劣勢の時間が続いたが、早大は少ないチャンスを精一杯生かそうとする。しかし精度の高い相手のアーリークロスやCKから危ない場面が続くと、ついに67分、PA付近のFKから失点を喫してしまう。「切り替えよう!」とピッチの外から響く山田紅葉主将(スポ4=東京・十文字)の声に後押しされるかのように、失点からさらに火が付いた早大。「FKが自分の足に当たってしまって失点してしまったので、絶対点を取り返したいという思いでみんなもプレーをしていたと思います」と中村が語ったように、全員が相手陣へと果敢に攻め込む。そして失点のわずか3分後の70分、CKの混戦のこぼれ球を大井が押し込みスコアをタイに戻すことに成功。終盤にはFW熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)からクロスを受けた河野がヘディングで押し込もうとするも、これは左に逸れてしまう。追加点を挙げられないまま試合は延長戦へ。

 延長戦はこう着状態となり、勝敗の行方はPK戦に託された。互いに逃さずに迎えた3巡目、大井のボールはゴールポストに直撃。失敗に肩を落とすものの、5巡目に先攻となった相手のボールがバーに跳ね返される。振り出しに戻され、選手たちの顔には再び笑顔が戻った。「PKをワセダが外してしまったときから終始ドキドキしていて、みんな信じることしかできませんでした」(中村)。あとは勝利を信じるのみ。互いにノーミスのまま8巡目まで進み、迎えた9巡目。相手が順当に成功すると、後攻の木付が大きくゴール上へ外してしまう。まさかの失敗にうずくまる木付のもとに、駆け寄ってくる仲間たち。あまりにも悔しい敗戦となったが、エンジイレブンは激闘を全力で戦い抜いた。

PKを外し、敗戦が決まった瞬間うずくまる木付

 「失点した直後に点を決めれてPKまでもっていくことができたのは、難しい試合の中でも良くできたのかなと思います」と中村が言うように、プロチームを相手に奮闘し、互角の戦いを見せた早大。しかし一方で、セカンドボールへの対処など、強豪チームとの対戦で得た課題も多くある。一つ一つを丁寧に修正し、今後へ活かしていきたいところだ。まずは24日に行われる5位決定戦で、今試合の悔しさを晴らし皇后杯出場を確実に決めたい。

(記事 新庄佳恵、写真 桝田大暉)

スターティングメンバー

皇后杯関東予選準々決勝
早大 0-0
1-1
0-0
0-0
(PK7-8)
オルカ鴨川FC
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 木付優衣 スポ2 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 渡部那月 社2 兵庫・日ノ本学園
DF 三浦紗津紀 スポ2 浦和レッズレディースユース
DF 松原有紗 スポ3 大阪・大商学園
DF 32 中田有紀 スポ1 兵庫・日ノ本学園
MF 中井仁美 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF ◎10 中村みづき スポ3 浦和レッズレディース
MF 23 阿部由希子 スポ2 宮城・聖和学園
FW →HT 熊谷汐華 スポ2 東京・十文字
FW 平國瑞希 スポ3 宮城・常盤木学園
MF →72分 八神友梨弥 スポ2 宮城・常盤木学園
FW 26 大井美波 社2 大阪・大商学園
FW 河野朱里 スポ2 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒)
コメント

MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース))

――非常に悔しい試合となった準々決勝を振り返っていかがですか

こういうピッチだったので、自分たちがやりたいつなげるサッカーができませんでした。相手にもサッカーを良く知っている方がいますし、そういう中でプレーをするのはなかなか難しかったです。ですが、失点した直後に点を決められてPKまでもっていくことができたのは、難しい中でも良くできたのかなと思います。

――試合全体として相手に押し込まれる展開となりました

この試合ではワセダ側に決定的なチャンスがくることがあまりなかったのですが、相手は精度の高いアーリークロスなどを入れてきて、危険な部分もありました。攻撃に人数をあまりかけられなかったのが単純な原因なのですが、相手がうまかったというのも含めて課題だらけかなと思います。

――具体的な課題は何でしょうか

特に中盤でセカンドを拾うことができなかったことです。相手は競り合いが強くて、その中でセカンドが拾えず、どんどん押し込まれてしまい自陣でサッカーをしてしまう感じになってしまいました。セカンドを拾って、そこから展開してクロスを上げ切るといったワセダのサッカーができたらいいなと思います。

――失点からわずか3分後に得点を奪い返しましたね

個人的に、FKが自分の足に当たってしまって失点してしまったので、絶対点を取り返したいという思いでみんなもプレーをしていたと思います。その中で点を取れたというのは、美波(FW大井美波、社2=大阪・大商学園)をはじめ、そういう強さは今後も伸ばしていかないといけないと思います。

――試合を振り返っていかがでしょうか

PKをワセダが外してしまったときから終始ドキドキしていて、みんな信じることしかできませんでした。結果負けてしまったのですが、まずはPKまでもっていけたことを評価したいです。PKは勝たなければいけなかったのですが、そこまでいけたので良かったと思います。

――5位決定戦では皇后杯出場を決めたいですね

そうですね。本戦に出れるか、出れないかの差は大きいと思います。本当はきょう出場を決めたかったのですが、決められなかったので次は本戦出場を決めたいです。

――プロチームを相手に大切になってくることは何でしょうか

きょうの相手もいままでなでしこリーグでプレーをされていた方が多くて、身体の使い方や判断全てがうまかったです。そのような方たちと今後対戦していくことになるので、そういうチームと対戦して、判断のスピードを上げることや、パスをずらさないといった基本的なことを一つ一つ上げていくしかないと思います。

――5位決定戦に向けて意気込みをお願いします

まずは本戦出場を決めなければいけないと思うので、チーム一丸となって勝利だけを目指していきたいと思います。