逃げ切りに成功するも、課題残す

ア式蹴球女子

 関東大学女子リーグ戦(関カレ)第7節は関東学園大との対戦となった。頂点を狙うワセダにとっては絶対に勝っておきたい試合。前半、MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)が待望の先制点を獲得する。その後も幾度となくゴールに迫ったが、決めきることができず、そのままゲームを折り返した。迎えた後半、序盤は相手の猛攻で自陣を脅かされる展開が続いたが、1点を守り切ったワセダが勝利を収め、優勝へ向け一歩前進した。

 試合開始直後、MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)がファーストシュートを放つ。枠をとらえることはできなかったが、勢いに乗ったワセダは高いボールポゼッション率で相手を圧倒する。15分にはMF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)からのパスを中村がフリーで受け取り、ドリブルで持ち込みシュート。ゴールネットを揺らし、先制に成功した。その後もワセダ優位の状態で試合が展開される。「工夫をしていろんな人が動いたりボールを動かしたりしていた」(MF高木ひかり、スポ4=静岡・常葉学園橘)。その言葉通り、ループパスや縦パス、ミドルシュートなど多彩な攻撃パターンで好機を演出する。終始相手を翻弄(ほんろう)したものの、得点に結びつけることができずに前半を終えた。

バリエーション豊富な攻撃展開をした高木

 後半は展開が一変する。立ち上がり、立て続けに相手にCKを許し守備に回される。セカンドボールを拾われカウンターを受ける場面に緊張感が増す。しかしここはGK山田紅葉(スポ3=東京・十文字)のファインセーブ。その後、追加点が欲しいワセダは前線へとボールを送る。だが、単調な攻撃を読まれてしまい、リズムをつかむことができない。山本は「蹴るだけのサッカーになってしまって、テンポを自分たちで崩してしまった」と振り返る。選手交代によって流れを変えようと試みるも、大きなチャンスをつくれないままゲームは終了。全員守備で逃げ切ったワセダが白星を奪取したが、課題の残る一戦となった。

中村の落ち着いたシュートで勝ち切る。この白星で自力優勝圏内に

 勝利を飾るも、そろって反省の言葉を口にした選手たち。その表情からは栄冠への貪欲な姿勢と向上心がうかがわれる。それでもしっかりと勝ち点3をもぎ取り、無失点に抑えたことは次節につながる大きな収穫となったはずだ。「今後も負けられない試合が続く」(中村)と語ったように、現在関カレ2位のワセダにとって最終節まで勝ちは譲れない。首位・日体大との勝ち点差は1。頂点は手の届くところにまでやって来た。きょうの反省を生かし、残りの2戦もチーム一丸となって挑みたい。

(記事 田中佑茉、写真 松本理沙、篠原希沙)

スターティングメンバー

結果
関東大学女子リーグ戦第7節
早大 1-0
0-0
関東学園大
【得点者】(早)15中村
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田紅葉 スポ3 東京・十文字
DF 大島瑞稀 社4 宮城・常盤木学園
DF 松原有沙 スポ2 大阪・大商学園
DF 34 三浦紗津紀 スポ1 浦和レッズレディースユース
DF →78分 堀口佳織 スポ4 千葉・幕張総合
DF 24 渡部那月 社1 兵庫・日ノ本学園
MF 高木ひかり スポ4 静岡・常葉学園橘
MF 8◎ 山本摩也 スポ4 スフィーダ世田谷
MF 10 正野可菜子 社4 兵庫・日ノ本学園
MF →74分 河野朱里 スポ1 静岡・藤枝順心
MF 15 中村みづき スポ2 浦和レッズレディース
FW 11 川原奈央 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF →60分 熊谷汐華 スポ1 東京・十文字
MF 12 中井仁美 スポ2 兵庫・日ノ本学園
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

前半は、結構ボール回しとかワセダのペースで進められてその中で1点とれて、最後の部分でコースだったりゴールの迫力が足りなかったと思うんですけど、前半は評価できる内容だったと思います。ただ、後半は、悪く言うと蹴るだけのサッカーになって、テンポを自分たちで崩してしまって、相手のカウンターなどを受けてしまう感じで、前後半で違った内容になってしまったのは反省しないといけないなと思います。

――きょうはMF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)を欠いた中での試合となりました

いつも言ってるように、誰が出ても同じように良いサッカーができるようにみんな準備していると思うので、誰かが欠けてもそれを補う人がきっちり仕事をすれば問題はないと思っています。そこはチーム力で戦うというのを意識しています。

――試合中にワイド、ワイドという声かけが聞こえたのですがそれはどのような意図がありましたか

結構中で崩すことが多かったので、もう少し外も使って攻撃すれば攻撃のバリエーションも出るし、相手を錯乱できるんじゃないかなということでの声かけだったと思います。

――前半は右サイドからの攻撃がかなり目立っていたように思います

各ポジションに入る選手のスタイルだったり使い方だったりは全然違ってくるのでその選手を生かせるように臨機応変にやっていくのは必要だと思っています。前半は可菜子(MF正野可菜子、社4=兵庫・日ノ本学園)がいたので、ためられたり仕掛けたりするのができる選手などでそれが生かせていたし、後半は左サイドに汐華(MF熊谷汐華、スポ1=東京・十文字)が入って、スピードのある選手だし、縦に速い選手なので、同じポジションでも入る選手ごとにそれを生かせるプレーをしていたかなと思います。まだ課題はかなりありますけど。

――次戦、順大に向けて意気込みをお願いします

残り2節ということで、最終戦の日体大戦に良いかたちで入れるようにというのもなんですが、順大とあまりやってないですし、引いてきたり守ってくる相手だと思うので試合早々からきょう以上のものを出してもっと点差を離して、勢い付けられるような試合をしたいと思います。

DF大島瑞稀(社4=宮城・常盤木学園)

――きょうの試合を振り返って

前半は少しパスの連動性がかけてしまいました。後半はあまりパスがつなげなかったのでそこは反省点かなと思います。

――後半はなぜパスがつなげなかったのでしょうか

前半より相手が前からプレッシャーをかけてきたというのもあるのですが、自分たちのミスも多かったですし、少し動きが足りなかったのかなと思います。

――きょうの試合、大島選手は攻め上がってくるシーンが多かったように感じましたが、何か意識していたことはありますか

チャンスがあったら自分もどんどん上がってセンタリングなどの機会をつくろうと思っていたのですが、自分にボールが入ってからパスを探してしまう場面が多くて、もっと簡単にセンタリングやパスを出していけたら良かったなと思います。

――後半は相手の攻撃を防ぐ時間が多くなってしまいましたが、その時間どのような意識でプレーしていましたか

相手は背の高い選手にボールを当ててそのこぼれ球を拾っていくという攻め方だったので、その選手のところでしっかり競るということを意識していました。相手の選手は大きかったのでなかなか競り勝つことはできなかったのですが、そこでセカンドボールへの意識を強く持ってプレーしていました。その点に関して、意識はできていたので、もう少しかたちにできたら良かったのかなと思います。

――後半に攻められた中で無失点に抑えたことは大きいと思いますが、それに関してはいかがですか

チーム全体で、無失点で終わろうという意識は強く持っていたので、無失点に終われたことは良かったと思います。

――次節への意気込みをお願いします

攻撃面ではもっと簡単にタッチ数の少ないパス回しをして最後にシュートまで持っていきたいです。守備面はいまのかたちを続けて無失点でいきたいと思います。

MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)

――きょうの試合を振り返って

前半自分たちがボールを持つ時間が長くて、チャンスはけっこうあったんですけど、そこを決め切れなかったっていうのは課題ですし、後半になってからはあまりいいかたちがつくれず蹴ってばかりだったので、全体を通して、自分たちでもう少しチャンスを得点できるような流れがつくれればよかったなと思います。

――無失点での勝利となりました

最近あまり点は取られていませんが、点を取られなければ負けないっていうのもありますし、リーグ戦は得失点差も絡んでくるので、その点はすごくよかったと思います。

――ご自身もミドルシュートを放つ場面が何度か見られましたが、調子はいかがですか

調子は普通ぐらいなんですけど、自分の前が空いていたので、そういうところは積極的に打っていこうと思っていました。

――特に前半は攻撃パターンが多彩だったように感じましたが、それについてはいかがですか

前半はけっこう工夫をして、いろんな人が動いたりボールを動かしたりしていたんですけど、後半はそれが続けられなかったので、全体を通して続けられるようにしたいなと思います。

――最後に次戦への意気込みをお願いします

残り2節なので、自分たちが勝っていかないと優勝も見えてこないですし、自分たちの力では優勝がつかめなくなるので、一戦一戦大事に勝っていきたいと思います。

DF松原有沙(スポ2=大阪・大商学園)

――無失点での勝利となりましたが、試合を振り返っていかがですか

前半は結構自分たちのプレーができていてボールを回すことができたのですが、後半は相手のプレスが掛かって来ていた中でボールを回すことができずに、ただ蹴るだけとか単調なプレーになってしまいました。その部分は自分たちのプレーができなかったという反省になるのですが、しっかり勝ち切れたことは良かったかなと思います。

――相手がボールを持つとカウンターで仕掛けられ、迅速な対応が求められていましたが

自分たちが攻めているときは相手の攻撃はカウンターが多いので、前半何本か相手のカウンターでピンチがありました。後半も相手のロングボールのこぼれ球とか、サイドを崩されてしまうシーンがあったのでそこはDFのラインコントロールであったり、マークの受け渡しとかズレをはっきりしていかなくてはならないと思います。

――後半、相手に攻め入られた要因とは何だとお考えですか

相手が前から掛けてくる中で、自分たちがしっかりつなげられなかったことと、ただ蹴ってしまうというシーンで相手に読まれて跳ね返され、セカンドボールを拾えずに展開されてしまったことだと思います。そこはセカンドの意識やバックの中でもトップに当たる部分を誰が行くのか、というのを共有できたらよかったと思います。

――松原選手は攻められている中で、広く守備にわたっていましたが自身のプレーを振り返っていかがですか

足元を使いながら大きい展開ができたらいいなと思っていました。前半は何本かできたのですがチャンスにつなげられるロングはなかったので、一発でチャンスにつながるボールを出せたらなと思います。

――先日には皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)のトーナメントが発表されましたね

なでしこリーグ2部と当たれますし、勝ち進めば1部とも当たれるということで私自身皇后杯自体が初めてですが良い経験になると思います。またチームで団結して頑張っていきたいと思います。

――最後に、順大との試合になりますが意気込みの方をお願いします

きょうと同じように負けられない試合なので、きょうの反省をしっかり改善して勝って、日体大戦にいいかたちで臨めるようにしたいです。

MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)

――まず、きょうのゴールシーンを振り返ってみていかがですか

パスがあそこに来るなと思っていて、練習とかでもああいった抜け方を狙っていたので、3人目の動きを狙ってそれが上手くできて、それでタッチもその後上手くいってよかったと思います。

――中村さんはゴールを決めた後も果敢にゴールへ向かう姿勢が見られましたが、ゴールへの意識は具体的にどのようなものでしたか

前節ぜんぜんシュートが打てなかったので、この試合ではまずシュートを狙っていこうと思って、それで1点決めれたので、それで終わらないでもっと2点3点と狙っていこうと思ったのですが点が入らなかったので次頑張ります。

――きょうの試合はワセダがボールを保持し、攻撃的なプレーがたくさん見られましたが、きょうの試合全体を振り返っていかがですか

前半は細かいパス回しができてサイドチェンジとかもできていたのですが、最後の崩しの部分で綺麗に崩そうとしすぎてチーム全体のシュート意識というのが少なかったことは反省しなくてはなりません。それで逆に後半はシュートへの意識が強すぎて、大きいサッカーをしようとしすぎて裏へのボールだとかロングボールが多くなってしまいました。それでその後のサポートも少なくなってしまって。前半、後半全く違うサッカーになってしまって、どちらがいいとかではないので、どちらももう少し極められればいいと思います。

――では最後に次の試合にむけての意気込みをお願いします

日体大戦も含めて負けられない試合がまだ続くと思うので、まずはちゃんと勝ち点3をとることと、今後はインカレ(全日本大学女子選手権)、皇后杯と続くのでチーム力を高められるように内容も質を高めていければいいと思います。

DF渡部那月(スポ1=兵庫・日ノ本学園)

――きょうの試合を振り返って

立ち上がりはあまり悪くなかったので、早いうちに点を取りたいなと思っていました。そのときにみづきさん(MF中村みづき、スポ2=浦和レッズレディース)が1点を確実に決めてくれたので守備もやりやすかったです。

――カウンター攻撃から息を飲む展開もありましたが

相手があまりプレッシャーをかけてこなかったので、どうしても全体が上がり目になってしまいカウンターを食らいやすいかたちになってしまいました。しっかり中で話してカウンターには気を付けようという意識でやっていました。

――攻守の切り替えについて

攻守の切り替えが遅く、セカンドボールを拾われてしまうことが多かったと思います。攻撃した後に疲れるのではなく守備でしっかり奪い切らないと簡単につながれてしまうので、切り替えの大切さに気付かされました。

――足元のミスが目立ちましたが

難しいことをするのではなく、もっとシンプルにプレーをするべきだったかなと思います。サイドではクロスを上げきるであるとか、少しボールを持ちすぎてしまったのかなというのはあるので、シンプルにシュートを打つことやクロスを上げて合わせるということを意識したいです。

――DFラインのコミュニケーションについて

相手に身長が高い選手がいたのでセンターバックの1枚は必ずいるようにしてあとはカバーをしようと話していました。オフサイドは取りにいっていたのですが、後半は取れなかったので切り替えて守るようにしました。

――高身長の選手ということでやりにくさというのはありましたか

相手の長所ということで、そこにボールを当ててきていました。逆にそこにしか当ててこないというのも分かったので、そこだけつぶせばいいかなと思っていました。

――次節への意気込み

次節は順大で、関東大学女子リーグ戦も残り2試合しかないので負けられないですし、全員で勝ちにいきたいと思います。