試合終了間際の1点で辛勝

ア式蹴球女子

 強く雨が降る中、関東女子リーグ戦(関東リーグ)第9節、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18(ジェフ千葉レディースU-18)戦が行われた。ワセダは立ち上がりから優位にボールを回すもなかなか得点には結びつかず0―0で前半を終える。後半、さらにアグレッシブに攻めるも得点が奪えない状況が長く続く。しかし、ついに84分、CKからが折り返したところをDF大島瑞稀(社3=宮城・常盤木学園)が押し込み、待望の先制点を決める。その1点を守り切り1-0で勝利、関東リーグ首位を維持した。

試合終了間際に得点し喜ぶ大島瑞ら

 ピッチ状況が悪い中でもなんとか前節を勝ち切ったワセダ。引き分けると2位のチーム次第で首位を明け渡す可能性があるだけに、今節も大事な試合となった。相手は、前期対戦し大勝しているジェフ千葉レディースU-18。「前からプレスをかけて試合の主導権を握る」(DF小野田莉子主将、スポ4=宮城・常盤木学園)という得意のプレースタイルは十分に発揮できていたが、シュートにまで持ち込めない時間が続く。15分には小野田とDF大島茉莉花(スポ4=鹿児島・神村学園)のワンツーから左サイドを、また35分にも右サイドからFW川原奈央(スポ2=兵庫・日ノ本学園)が攻め上がるも得点は奪えず。前半終了間際には一原梓(スポ4=宮城・常盤木学園)がシュートを放つも、ゴールを捉えることはできなかった。

 ピッチの状態が悪い中、後半も前半同様に攻め続けるワセダ。51分には小野田が大胆にオーバーラップしそのままシュートまで持ち込むがゴールを割ることはできず、なかなか得点に結びつけられない状況が続く。58分にMF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)らが投入され、さらに前線で勝負する時間が増える。そして試合修了間際の84分、小野田のCKをMF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)が絶妙な位置へ折り返し、そこへ大島瑞が反応し待望の先制点を挙げる。得点後も守りの体制に入ることなく攻め続け、そのまま試合終了。前期大勝している相手なだけに満足な結果とはいかないが、辛くも勝利を挙げた。

復帰戦で無失点に抑えた三田

 試合を優位に進めながらも1-0というロースコアに終わった今節。それでも勝てているのは、守備陣が抜群の安定感を持ち、無失点に抑えたからであると言えよう。相手のカウンター攻撃に対し、センターバックの奥川千沙(スポ1=静岡・藤枝順心)を中心にうまく対処。小野田も「危ない場面はほぼなかった」と話した。次節はホームでの試合となるが、勝利を挙げるためには攻撃陣が本来の力を発揮できるかがカギとなるだろう。

(記事 菖蒲貴司、写真 松本理沙)

スターティングメンバ―

関東大学リーグ戦第7節
早大 1-0
0-0
ジェフ千葉レディースU-18
【得点者】(早)84大島瑞
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 前所属 学部学年
GK 三田一紗代 京都精華女子 社4
DF 大島茉莉花 鹿児島・神村学園 スポ4
DF ◎4 小野田莉子 宮城・常盤木学園 スポ4
DF 12 大島瑞稀 宮城・常盤木学園 社3
DF 23 奥川千沙 静岡・藤枝順心 スポ1
MF 高木ひかり 静岡・常葉学園橘 スポ3
MF 権野貴子 宮城・常盤木学園 スポ4
MF →58分 正野可菜子 兵庫・日ノ本学園 社3
MF 13 山本摩也 スフィーダ世田谷 スポ3
MF 21 中井仁美 兵庫・日ノ本学園 スポ1
MF →80分 堀川玲奈 ジュブリーレ鹿児島 スポ4
FW 11 川原奈央 兵庫・日ノ本学園 スポ2
FW 14 一原梓 宮城・常盤木学園 スポ4
FW →58 平國瑞希 宮城・常盤木学園 スポ1
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常磐木学園)

――後期第2節でしたが、前節勝利した中でどのような気持ちで臨みましたか

まず、関東リーグの順位の中で2位、3位と勝ち点差が1しかなく、落とせないゲームだったので、必ず勝って後期2連勝を挙げようという気持ちで臨みました。

――立ち上がりについては

簡単なプレーをして、前からプレスをかけて試合の主導権を握ろうと考えていましたが、そこまで危ない場面も無かったと思うのでよかったと思います。

――オーバーラップをしてシュートを打つ場面が見られましたが、DFということで守備に関して大きなリスクがあることについては

3-5-2の3バックの布陣でサイドバックをしているので、なかなか上がれる機会はないと思うのですが、チャンスだと思えば積極的に行こうと思っていました。点が取れていない状況だったので、チャンスがあれば攻めようと思っていました。

――後半は前半よりも攻撃参加が多かったですが、ハーフタイムで何か指示があったのでしょうか

特に無いですね。個人個人が点を取りたい気持ちを持って、またチャンスがあれば狙うという姿勢があるので、自然とそうなったのだと思います。ディフェンスが上がると、中盤やサイドハーフの選手が代わりに下がってくれるので、そういう面でディフェンスでも積極的に攻撃参加できるのではないかなと思います。

――決定機が多かった中でなかなか決め切れず、苦しんでいたようでしたが

得点を取れていたら今日の試合の内容もずいぶん違ったものになっていたと思います。結果は1-0ですが、前半に決めていたらより楽な試合展開になっていたと思います。これからの大事な試合では1点の重みが重要になってくると思うので、必ず決め切れるようにしたいと思います。

――得点の場面では、本来のキッカーであるMF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)選手に代わってキックを蹴り、ゴールにつながりました

いつもは摩也が蹴ってくれるんですけど逆サイドにいて時間も無かったので、左利きである自分が巻いたボールを入れればチャンスになると思い、自分が蹴ろうかなと思いました。巻くボールを意識したので、とりあえずゴールラインを割らないことと、できるだけゴールに近い位置でチャンスになるボールを上げたいと思ったので、結果として点が入ったのでよかったです。

――前期大勝した相手に1-0のロースコアゲームでしたが

久しぶりの天然芝で、またこのようなピッチ状態だったので、こういう結果になってしまったと思います。最終的に勝ち切れたのは良かったですが、もっと点を決められた部分があったと思うので、1-0というスコアはまだまだ満足できるものではないかなと思います。

――現在首位をキープしていますが次節へ向けての意気込みをお願いします

次節の相手はムサタンで、勝ち点が1しか離れていません。絶対に負けられない相手だと思うので、必ず勝ちたいです。ホームはやりやすいので、自分たちのサッカーをしっかり表現して勝ち切りたいと思います。

GK三田一紗代副将(社4=京都精華女子)

――復帰戦となりましたが、試合を終えて感想は

全体をt出す意識はしていたのですが、ボールの処理や判断、どういう時にクリアするとかつなぐかといったそういう判断がまだまだ良くなかったので、そこを改善して早慶戦に臨んでいきたいかなと思います。

――入りからワセダのぺースで臨めた中で、前半に先制点を奪うことはできませんでした

とにかく前半はシュートが少なかったので。ファーストシュートをどんだけ早い時間に打つかということが課題にもなっているので、そこは全体を通して意識をしていかないといけないなと思います。ディフェンス面でも裏をやられる場面もあったので、もっとリスクマネージメントをしていかないといけないなとは思います。

――スコアレスで前半を折り返し、ハーフタイムに話したことは

もっと外から攻めろということを言われて、またボールが思ったよりも伸びるので、スルーパスを入れるなりバイタルでのアイディアをもっと持ってということは言われました。

――後半途中から立て続けにピンチを迎える時間帯もありました

自分のキックミスからということもあったのでそこはしっかり意識して改善していかないといけないと思いますし、どのプレーをすべきかということをチームを通して共通意識として持たないといけないなと思います。

――1点で辛くも勝利した今節でしたが、なかなか得点を奪うことができなかった攻撃面について

とにかく自分たちのミスから得点を奪えないというかたちが多かったので、そこを合わせていかないといけないですし、ゴール前にしっかりパワーを持ってシュートをいかないといけないなと思います。

――守備面では、裏を取られてカウンター攻撃を浴びる場面が多くありました

きょうは特に雨が降っていて天然芝に慣れていないということで地面も滑りましたし、そういった部分でカバーを深く取ったり、中盤をもっと速く戻さないといけないので、そこはしっかり後ろから声を掛けていかないといけないなと思いました。

――次節は武蔵丘女子短大戦となります。意気込みをお願いします

相手も力をつけていますし怖い相手ではあるので、改善できる部分はしっかり1週間を通して改善して、いい準備をしてしっかり勝ちにいきたいと思います。

MF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)

――今日の試合を振り返って

天候が悪い中で、先週に引き続き難しいピッチでの試合でしたが、天然芝だったので崩れることもあまりなく、結果勝てたのでよかったです。

――天候が悪い試合が続いています。プレースキックの役を務められていますが、悪天候時にはどのようなことに気をつけていますか

ミスも多かったですが、CKは余程荒れていない限り晴れているときと同じように蹴っています。天候に関わらず、キックの精度を上げていかないと得点が多く取れないと感じています。

――前半、チャンスが何回かありましたが

決め切るという部分では個の問題だと思うので、自分も含めてトレーニングで技術を高めるしかないと思います。(ボランチという立場から)チャンスをもう少し作って、シューターがあとは流し込むだけという状況にできたら良かったかなと感じています。

――前半と後半で攻め方が変わっていましたが、ハーフタイムで何か指示がありましたか

前半は縦に急ぎ過ぎていて、またピッチも滑るので、反省するべき点を見直して、後半はそこを修正していけるように努めました。

――得点につながるCKを蹴ったのはいつもの山本選手ではなく、DF小野田莉子(スポ4=宮城・常盤木学園)選手でした。何か決め事などありましたか

たまたまです。その前の反対側のコーナーを私が蹴って遠かったこともありましたし、莉子も蹴れるので託しました。キック力があるので、自分がファーに残って抜けたボールを折り返せたらいいなと考えていて、その通りになったので、偶然ですけど良かったです。

――久しぶりにホームで迎える次戦に向けて

ずっとアウェーで弱いと言われてきた中で、苦しみながらも勝ててきているので、久しぶりのホームということで勝つことはもちろんですし、ここから夏であったり関カレ(関東大学リーグ戦)であったりが始まるので、もっともっとチームとしてサッカーを突き詰めていけるように、そしてホームではもう負けないという気持ちでやろうと思います。

DF大島瑞稀(社3=宮城・常盤木学園)

――試合を終えてみていかがですか

前半何回かチャンスがあってそこで決め切れていたら、もう少し楽な試合になったのかなと思います。

――決め切ることができなかった要因とは

ラストパスはもう少しダイレクトパスとかを使えたと思いますし、シュートの精度もしっかり落ち着いて狙っていけたら良かったと思います。

――s前半をスコアレスで折り返し、ハーフタイムに話したことは

バイタルでしっかりワンツーとかダイレクトでつないでいこうっていう話をしました。

――逆に60分頃から立て続けに攻め込まれるシーンもありました

相手の選手に速い人が多くて、自分たちが攻撃をしていてその直後にカウンターを浴びるシーンが多かったです。人数を掛けて攻めた時に、フィニッシュで終われなかったり土中で奪われてしまったことがそのまま守備につながってしまったと思います。人数が少ない時に無理にボールにいかず、もっと時間を掛けられたら良かったのかなと思います。
――なかなか得点を奪えずに苦しい時間帯の中で、大島瑞選手が待望の得点を奪いました

莉子(DF小野田莉子、スポ4=宮城・常盤木学園)がCKを蹴った時にゴールを越してしまったんですけど、摩也(MF山本摩也、スポ3=スフィーダ世田谷)が残っていて、絶対に中に入れてくれると思ったので信じて中で待っていました。うれしかったです。

――前期4-0で下したジェフ千葉レディースU-18との再戦でしたが

アウェーで勝てたことはとても良いことだと思いますが、決定力やカウンターをもっと対応しっかりしていけば、もっと点数は取れたのかなと思います。

――最後にホームでの武蔵丘女子短大戦に向け

武蔵丘女子短大もしっかりつないでくるのでしっかり対応して、自分たちのサッカーをして勝ちたいと思います。