【連載】インカレ直前特集『CHALLENGER』 第6回 安藤優作×内田理久(8/2)

軟式庭球

 「負けません。勝ち続けます」と力強くインカレの意気込みを語ったのは安藤優作(社3=岐阜・中京)・内田理久(社1=三重)組だ。昨年は主将だった兄と組み、多くの経験を詰んで頼もしく成長した安藤と、ルーキーながらも存在感を示す内田がインカレではどのような化学反応を起こすのか、終始和やかに進んだ対談の中に隠された闘志に迫った。

※この取材は7月22日に行われたものです。

頼られるペアを目指して

早くも良い成績を残す内田

――関東学生春季リーグ戦(春リーグ)で初めてペアを組まれましたが決勝で敗戦しました

安藤 はい、あの時はまだお互い馴染めていなかったのと、内田が痛めていた肩もまだ完治しておらず、練習も不十分でした。シングルスに出た後にダブルスに出て大変だったと思います。決勝の日体大戦では4-0で回ってきてすでに優勝が決定していたので、少し僕の気が抜けてしまっていたというか。また勝負がかかる試合だったら結果も変わっていたのかもしれないと思いますし、まだペアリングも慣れていなかったですね。僕も足が(春リーグ前にナショナルチームの合宿などがあった)疲労であまり良い状態ではなかったので…二人とも怪我人みたいでボロボロではあったんですけど(笑)。まだまだしっくり来てなくて、これからだなと。

――東日本学生大学対抗競技大会(東インカレ)では板についてきた印象がありました

安藤 その時はもう慣れてた?

内田 いや、でもほぼ(安藤が)一人でやっていた感じだったので僕は何も…

安藤 でも決勝とかかなり良い感じで進められていましたよ。こんな風に言いますけど、助けられた場面も多いですし、自分のすべきことをきっちりとできていると思います。ペア組んで試合を重ねるごとにお互いの信頼とかも生まれてきて、試合運びが上手くできるようになってきたなと感じています。

――その後の東日本選手権大会(東一般)では優勝されました、振り返って

内田 初日の2回戦で自分の高校のOBの方とやったんですけど、負けかけていて。そこを勝ち切って2日目につなげられたので、良かったです。でも正直優勝までするとは思っていなかったですけどね。全然意識していなかったです。東インカレ終わってから時間も空いていなくて、あまり練習もできていなかったのですが気が付いたら決勝まで行ってて。まあ、僕は何もしてないんですけど(笑)。上の方まで勝ち上がっても、前衛の僕が普通は決めなきゃいけないのですが後衛がものすごいポイントゲッターなので。そこがね、このペアの強みですよ。

安藤 いやいや!訳分からんこと言うなよ(笑)!僕も2回戦で相手がガンガン向かってきて前衛も動くしすごいやりづらさがありましたね。1本2本の差でどっちに転ぶか本当に分からない試合でしたが、そこを勝てるのが自分たちのね、強みかなと(笑)。そこからは僕も特に意識とかはせずに勝ち上がれた感じです。昨年は兄貴と組んで2位だったんですが、その時もそこまで行けると思っていなくて。でも今回は準決勝まで行ったら少し優勝も見えてきたので、ギアを上げて頑張りました。決勝の相手が昨年負けたOBの高月さん(拓磨、平27スポ卒=現ヨネックス)で、リベンジとして戦いました。このタイトルはうれしかったです。

――内田選手は大学に入って高校と練習環境が大きく変化したと思いますがやってみていかがですか

内田 1番は高校の時に毎日していた練習が大学ではその練習量が減りました。平日は僕は授業の関係で週2日くらいしか練習ができません。最初はこれで大丈夫かなと思っていたのですが、もう慣れました。

――安藤選手はインタビューなどからチームを引っ張る意志のようなものを感じるようになりました

内田 おー。(拍手)

安藤 えっとどうだろう(笑)。あ、でも僕は入学当初から自分は永遠の3番手だと思ってるんで(笑)。

――永遠の3番手ですか

安藤 はい。いや他のスポ科の人たちが強すぎるんで!リーグとかでもずっと5番やるキャラみたいになってるし…(笑)。でも勝負強いというところを評価してもらってるとは思うんですけど、まあもうそういうキャラなんですよねたぶん(笑)。インカレは殲滅(せんめつ)戦じゃないですか、それでいつも思うのが、1年の時には船水・星野(颯人、スポ3=宮城・東北 慎平、スポ3=奈良・高田商)と船水・九島(雄太、平28スポ卒=現NTT西日本 一馬、平28スポ卒=現ミズノ)っていうとんでもなくすごい強いペアが二組もいました。その時は自分たち(当時のペアは兄の安藤圭祐、平29スポ卒=現東邦ガス)が勝てばワセダ勝つから当たって砕けろ!みたいに勢いでやっていましたが、昨年は星野がインカレに出られなくなって、自分たちしか正ペアがいないという事態になり、負けてはいけない立場なんだと強く思いました。昨年のその経験が団体戦で勝負がかかる場面でも戦える自信に今なっていると感じますね。今のレギュラーの他の二組もすごい力を持っているので、良い意味で頼って、同時に頼られる立場になりたいと思います。

――1年生のころから船水選手と星野選手と一緒にレギュラーですが、切磋琢磨お互いにし合える関係ですか

安藤 はい、1年の頃からですからね。もう3年生になって引っ張っていく側の立場になりました。

――まだ新しいペアですが、組んでみてお互いの印象は

内田 まあ一言で言わせてもらうと、神、ですね。はい。

――神?!

安藤 ちょっと本当にこいつの言うこと聞かないでくださいね(笑)!

内田 いや本当に神なんですって!テニスはもちろんなんですが、人間性もですね。(安藤は)岐阜出身で中京高校なんですよ。で自分は三重高で、同じ東海地区だったので高校の時から知っていたんです。練習試合とかよくしていたんですけど、その時からもうすでに神だと感じていましたし。自分の親とかもよく安藤さんのことを言っていたんですけど、笑顔の時が本当の内側からの笑顔といいますか。分かります?育ちが素晴らしいというかね。

安藤 こいつは本当に人のこと褒めてるふりして馬鹿にしてるんですよ…(笑)。だめです。

内田 いや本当にそう思ってますよ。そういうテニス以外のところでも神です。

安藤 内田はね、意外とこんな見た目で人を馬鹿にするんですよね(笑)。

内田 いやガチですって!マジマジマジ!!

安藤 テニスでも自分が軽々できるのに、他の人のプレー見て「エグ!!やばい!!」とか言って煽ってきたりするんですよこいつ!

内田 いや出てしまうんですよ!心が止められなくて、思ったことをすぐに言ってしまうんですよね~。よく周りからも馬鹿にしてんのかって言われるんです、でも本当に心からそう思ってるんですけどね。

安藤 試合中とかも関係なく言ってきますよ。「今のコースまっじでエグい。何なんですか?」とか平気で言ってきて(笑)。

内田 いや集中しなきゃとは思ってるんですけど、心の言葉が出ちゃうんですよね~。

安藤 それを聞いてる方も面白くなってくるんで「こいつ何言ってんだ?」とか思いながら楽しく二人でやってますよ。こいつもコートの中では神ですからね(笑)。

内田 いや真似してるじゃん(笑)!

――良い関係ですね(笑)

安藤 いやでも本当に肩が治ったと思えばね、東インカレでは団体優勝して個人でも両方2位で、ワセダにしか負けてないですよ。すごいですよね本当に。バケモノですよ。僕が高3の時に三重高に入学してきて、ゴールデンウイークとかに練習試合した時からすごいなと。その時から体もでかかったし、1年生なのにびっくりしましたね。試合はやってないですけど、見てるだけで……神(笑)?他とは違うものを持ってる選手というのは感じていました。だから入学するっていうのが決まった時から、内田と組んでみたいなっていうのはずっと思っていました。まだ組んで日は浅いですけど、噛み合っていて相性も良いなと思っています。

内田 でも誰と組んでも良くできるんですよ安藤さんは。

安藤 いやでも兄ちゃんと組んでた時は…(笑)。本当にカチコチになってやってましたし、嫌じゃないけど…怖いやん(笑)。「お前しっかりやれよ」って調子悪いと言われますし。内田はダメなときとかも全然何も言ってこないんですよね。

内田だってダメなときないですもんね。

――やはり、神だからですか

内田 そう!!やっとわかってくれましたね!

安藤 後輩と組んでると楽にできるので、それは良いなと思います。全くプレッシャーないのもダメですけどね(笑)。たまには。

――そんな安藤選手はじめワセダには多くの素晴らしい選手がいますが、良い環境ですか

内田 いや本当に他の先輩方も神ばかりですよ。常に刺激をもらえる良い環境です。同期にもいますしね。

――上松俊貴(スポ1=岡山理大付)選手と並んで鳴り物入りで入学してきました

内田 言われてますけどね、ちょっと恥ずかしいな。あれこそ本当に桁違いの前衛ですからね。すごいと思います。

――大学生活は慣れましたか

内田 一人暮らしですね。結構料理しますよ。

――得意料理とかありますか

内田 いや、やっぱり訂正します。盛りました(笑)。後片付けが面倒でなかなかね。

安藤 結構自分たち近くに住んでるんですよ。

内田 まあ、どこに住んでるかは知らないんですけどね(笑)。最寄駅が同じということだけ。

安藤 僕が兄ちゃん卒業してから引っ越してきて、そしたら内田がいたという感じです。ワセダでは女子も2人くらい近くに住んでるんですけど…みんな見たことない(笑)。

――昨年の対談でお兄さんが卒業したら片づけに苦労しそうと言っていましたが現状いかがですか

安藤 いや、あいつあんなこと言ってましたけど、二人の時より整理されてますよ(笑)!引っ越した時に衣装ケースとかの中身だけ抜いて他全部おいていきましたからね!それが邪魔すぎますね。一人暮らし、今の方が快適ですよ(笑)。週一くらいで掃除もしますし。暇さえあれば(笑)。

内田 あの、一人暮らしあるある言っていいですか。友達と遊んだ後、一人になった時めっちゃ寂しい。え、ないですか皆さん?

安藤 いや、お前にあんま共感したくない(笑)。

――結構寂しがりですかね

内田 一人も好きなんですけどね、ふと寂しくなるんです。共感してもらえたようで良かった(笑)。

 

――寂しい時とかはどうしていますか、ちなみに上松選手は実家の犬と電話で会話しているそうですが

内田 ああ~あいつ犬好きだもんな。自分もめっちゃそれに癒されますよ。写真とかお母さんから送られてくるんです。ミニチュアシュナウザーのココちゃん。かわいい。

安藤 うちも実家にプードルいますよ。

二人 ワンちゃん癒しですね。

 

――試合とか連続する時などの息抜きはどうしますか

安藤 ひたすらに寝てますね。音楽聞いてYouTube見て、ゴロゴロして、また寝て(笑)。

内田 休みの日は本当に家から一歩も出ないですね。自分もひたすらに寝てます。

「4年生たちの人間性に、勝たせてあげたいと思わされます」(安藤)

プレー以外でもチームを支える安藤

 

――インカレに向けての話に移ります、自分たちの今の感触はどうですか

内田 初めてなんで、正直インカレの空気があまりどういうものか分かっていないですね。リーグ戦とか重ねてきて大学の試合がどういうものかはわかってきたんですけど、インカレは一味違うというじゃないですか、どうなんでしょう。

――皆さん独特の雰囲気があるとはおっしゃいますよね

安藤 みんな結構そう言いますけどね。あまり自分はそれを感じることは無いですね。

内田 そういうところが素晴らしいんですよ。そういう風に感じられるのは一握りの選手だけではないでしょうかね。

安藤 やめて(笑)。自分の調子としては、東一般で勝つとあまり乗れない前例があって。一年の時東一般で2回戦とかで負けたんですけどインカレではめちゃくちゃ調子良くて個人戦でも優勝できました。そういうのも心のどこかにはあって。やはりインカレは厳しい戦いにはなると思いますが、東の結果を自信に変えて一生懸命に頑張っていきたいです。インカレで力を出し切れるようにしていけたらと思います。

――インカレは4年生の集大成となる大会です、4年生に対して思うことはありますか

安藤 4年生は団体戦で試合に出たりとかはあまりなかったですが、練習の手を抜いたりサボったりすることが全くなかったと思います。そういうところがすごく真面目な学年だと感じています。自分たちが1年生だった時、レギュラーの中に自分含めて3人が入っていて(安藤、船水、星野)、1年生の仕事があまり満足にできていなかったんです。上手く手が回らなくて。そういう時に今の4年生がすごく助けてくれました。僕たちから何も言わなくても、こうすべきだと察して行動してくれたんですね。普通できないことだと思います。2年生になったら1年間やってきた辛い仕事からやっと解放されて1年生に任せられる、よっしゃあ!と少しは思うじゃないですか(笑)。なのに色々仕事を手伝ってくれて本当にお世話になりましたね。僕たちより真面目で誠実な方たちが多いので、インカレに対しては自分たちの代で連覇を絶やしたくないなどの思いを4年生は背負うと思います。テニスの技術どうこうではなく、4年生たちの人間性に、勝たせてあげたいと思わされます。一番長く関わってきた先輩ですし、本当に感謝もしていますから。

――やはり1年生の仕事は大変なことも多いんですね

安藤 仕事量は多いですね。

――内田選手も以前そうおっしゃっていましたね

内田 はい、朝4時に起きて白子では場所取りしなきゃいけないんですけど、それをかけたじゃんけんがすごい盛り上がりますよ。あんなに死ぬ気でやるじゃんけんはないです(笑)。それで1回も東インカレの時は負けてないです!

安藤 俺らの代はじゃんけんじゃなくて交代だったよ。平等にね。かわいそうじゃん何回もなっちゃったら。

内田 いや、じゃんけんですねこれからも自分たちの代は(笑)。

――他のレギュラー2組に対しては何を感じますか

二人 強い。

安藤 ほかの大学からしたら、どっちかのペアがいるだけで試合前に諦めたくなるような人たちじゃないですか、本当に。

内田 たまったもんじゃないですよね。相手も多分安藤内田には勝つぞ!って感じで来るんじゃないですか(笑)。

安藤 いやそうですよ!僕だって1年生の時からそうですからね(笑)!他二つ(船水雄・九島組、船水・星野組)が強すぎて、安藤兄弟には勝つぞ!って言われてましたもん。でもことしは、船水上松は日本ではなく、世界でトップの2人なんですけど、颯人がことしはヒザや肩などケガ続きでした。本人もそこは不安だとは思うのですが、僕たちが練習して頑張ります。

――練習時間は確保できていますか

安藤 いや、僕たち社学なのであまりですね。

内田 スポ科の人たちよりは練習できませんね。早稲田で3限の授業受けて、そこからここ(所沢キャンパステニスコート)に来ると、もう4時半とかになります。そこから5時までなので30分くらい全体練習して、あと自主練をする感じですね。

安藤 本キャン(早稲田キャンパス)にもコートはあるんですが、使えるのが朝だけなんです。その分時間割とかも考えてやってはいるのですが、スポ科に比べると時間は少ないので、足引っ張らないように頑張らなくてはと思いますね。

――選手層の厚さもワセダの強みですが、期待する選手などはいますか

安藤 自分が後衛なので、後衛の話になってしまうのですが、1年生の人見(亮太、基理1=埼玉・松山)と福井(達輝、先理1=香川・丸亀)は頑張っていると思います。リーグの個人戦で成績しっかり残していますし、上手ですね。後藤(佳佑、社1=東京・早実)とかも頑張っていると思います。後衛は実力も競っていると感じています。やはり後輩には頑張って欲しいです。インカレともなると、出られるのは3ペアだけですし、そのレギュラーとモチベーションのようなものに差ができてしまう部分もあると思います。レギュラーに自分は入れないし、などと思ってしまう人も多いと思うのですが、みんなワセダにいる人はもともと力がある選手ばかりなので、今の2年生では長尾(景陽、社2=岡山理大付)とか因(京将、スポ2=石川・能登)とかには期待してますし、もっと上目指して頑張って欲しいと思います。

――後衛の話がありましたが内田選手は前衛で尊敬する先輩などはいらっしゃいますか

内田 僕は星野さんですね。部のホームページにもしっかり尊敬する人は星野慎平って書いてますもん。

安藤 慎平みたいにやろうとしても無理やもんな。センスっていうか。

――ワセダは連覇を重ねているし、向かわれる立場になることが多いと思います

安藤 どこの大学も上の方まで行くほど簡単に勝ちを譲ってくれる訳では無いし、インカレは7ゲームなので本当に何が起こるか分かりません。そういう立場に毎年なることはやはり分かってはいるのですが、実際に対戦すると難しいので、守りに入らずチャレンジャーとして1戦ずつ大事に戦っていけたらと思います。

 

――他校でもワセダ内でも個人で負けたくない相手はいますか

内田 僕は強いて言うなら、三重高の同期ですね。

安藤 僕も特にそう思うことはないんですけど、高校の同期とかはちょっと意識するんじゃないですかね、やっぱり。きょねんもインカレ個人では高校の同期に負けましたしね。そういうのずっと覚えてますもん。

――最後にインカレへの意気込みを教えてください

内田 団体優勝です!

安藤 僕も団体優勝です。6連覇がかかっていて、ワセダは勝って当たり前という視線で見られるかと思うのですが、早スポさんに優勝の記事を書いてもらえるように頑張りたいです。殲滅(せんめつ)戦ではありますが、絶対に安藤内田は負けません!!

二人 全勝します!!!

 

――ありがとうございました!

(取材・編集 吉澤奈生、栗林桜子)

日は浅いが相性抜群な二人

◆安藤優作(あんどう・ゆうさく)(※写真右)

1996年(平8)9月17日生まれ。身長175センチ。岐阜・中京高出身。社会科学部3年。後衛。上級生らしく対談中は内田選手をしっかりリードしていました!後衛ですが、ボレーも得意とする安藤選手。普段家で虫が出たときには、紙を丸めてバックボレーで退治しているそうです。力余って障子を壊してしまうこともあったとか(笑)。あの強力なボレーの秘訣はそんな日常に隠れていたんですね!

◆内田理久(うちだ・りく)(※写真右)

1998年(平10)5月25日生まれ。身長180センチ。三重高出身。社会科学部1年。前衛。常に楽しそうに話してくださる姿が印象的でした。コート外でも常に笑顔を絶やさない内田選手。心から褒めている言葉を言っても、なかなか周りからは真剣に受け止めてもらえないとつぶやいていました。口癖は「えっぐ」だそうです(笑)。