昨年、内本隆文(スポ2=大阪・上宮)は団体戦の決勝で敗北を喫した。星野慎平(スポ3=奈良・高田商業)は、急病でまさかの出場断念。悪夢を味わった。普段は笑顔の絶えない仲良し関西ペアが、インカレでは、それぞれの思いを胸に牙をむく。
※この取材は7月22日に行われたものです。
「勢いをチームに持ってこれたら」(星野)
主力としてチームを引っ張る星野
――お二人は、船水選手(颯人、スポ3=宮城・東北)や上松選手(俊貴、スポ1=岡山理大)と仲がいいと伺いました。お部屋も近いんですよね
星野 (マンションの部屋が)上松が僕の横です。こいつ(内本)が、僕の横の横です(笑)。
――大学生活を1年過ごしていかがですか
内本 慣れましたし、楽しく過ごせてます。
――テニスから離れてる時はどう過ごしてますか
内本 基本一緒にいるので(笑)。そういうときも楽しくリラックスできてます。カラオケ行くんですよ。
星野 船水と上松とそこらへんで。結構一緒にいますね。
内本 息抜きも一緒や(笑)。
星野 部屋もピンポン押さないで入っていくもんね。
内本 ノックもインターホンもなしにいきなりバッって入ってくるんですよ。
星野 一緒のマンションで一緒の階っていう時点でプライベートないな。
内本 そういうもんやろ。
星野 家ですることは動画見るぐらいですかね。休みの時は外に出ないです。
――今のチームの雰囲気はいかがですか
星野 インカレは上の3ペアしか(団体戦では)出られないんですけど、最近の試合の成績も上位ですし、下のペアも成績を上げてきてるので、いい雰囲気であるかなとは思います。
――このペアはどういう経緯で組まれたんですか
星野 上松が今年一年生で入ってきて、僕は船水と組んでたんですけど、船水・上松がアジア選手権で組んで出たので、ペアどうしようかってなった時に・・・。
内本 僕が上松と組めないんですよ。
星野 僕はどっちでも(内本でも船水でも)いいので。船水もどっちでも(上松でも星野でも)いいということだったので。
――1年生の実力や調子が良く感じますが、1年生の存在は刺激になりますか
内本 うまい前衛は二人入ってきて、個人戦でよく当たっています。仲いいながら負けたくない存在ではあります。
星野 僕は前衛で、上松、内田(理久、社1=三重)という二人がいるので高め合えます。分からないことがあったらお互い聞きますし、良い関係ではあります。
――高倉主将(悠輔、商4=東京・早実)はお二人にとってどういう存在ですか
星野 4年生で(団体戦に)出る人はいないので、やりにくいかなとは思うんですけど、仕切ってくれてるんで、その分僕らが試合で結果を残して勝たせてあげたいですね。
内本 僕も同じですね。
――これまでの試合を振り返ると、序盤に全日本選抜大会で優勝したのが大きかったと思います
内本 今シーズン星野さんと組むことになって初めての大会でした。僕は去年個人戦で全然勝てなかったので、とにかく個人戦でタイトルとりたくて。シーズンの最初に優勝できたのは結構大きかったですね。
――この大会は賞金出ましたよね
内本 (笑い)
――使い道は
星野 まあ、ちゃんと使いました(笑)。
――10万円ですよね。全部使いましたか
内本 ああ、もう、ぱーっと。
星野 ちゃんと、ちゃんとしたことに使いました。
――ここまでのペアとしての間合いやペアリングはいかがですか
星野 高校の時に、上宮と高田商業、大阪と奈良で、先生同士も仲良かったので、練習試合とか結構やってたんですよ。
内本 組むことは少なかったんですけど、お互い分かるというか。
――ずっと一緒なんですね
星野 そうですね。(内本を見て)ずっと一緒やね。
内本 敵としてもな。
――いざペアを組んで、お互いどんな印象ですか
内本 とてもうまいです。やるときはほんまに頼りになります。けど、適当なんで(笑)。インカレはしっかり勝とうって二人で言ってるんです。
――皆さん適当と言いますけど、そういう柔らかさがこのペアの強さでもありますよね
内本 はい、そうです。
星野 気使ってないからな。
――全日本シングル選手権は、負けてしまいましたがいかがでしたか
内本 いや、勝とうと思ってましたよ。
――アジアチャンピオンになってやりにくかったとかそういうことはなかったですか
内本 注目はされるだろうなとは思ってたんですけど、まさか一回戦で負けるとは自分でも思ってなかったですね。
――関東学生春季リーグ戦では全勝されましたね
内本 そんな調子良くなかったんですけど、とにかく負けないでおこうという気持ちは持ってました。
星野 船水と組んで、1敗したんですけど、あれは相手(中大、掛川・小田桐組)が強すぎました。やれることはやった感じですね。
――全日本大学王座決定戦はいかがでしたか
内本 その時も調子良くなかったんですけど。
星野 いいときないやん(笑)。
内本 全部悪いな。全部星野さん任せで、僕が全然ダメで後衛につなげる感じでした。それか相手前衛にバーンって決められて終わっちゃったんで。
星野 調子悪かったんで、こいつが。やろうとは思ったんですけど、相手の後衛に先を読まれたっていうのがあって負けちゃいました。
――東日本学生大学対抗競技大会(東インカレ)も調子悪かったですか
内本 東インカレ負けましたっけ?あ、負けたわ。海斗(明大、丸山)や。決勝ですね。
星野 悪かったっけ?
内本 そんなに(悪くない)。
――元ペアの丸山選手(明大)と対戦してきて、何か感じることはありますか
内本 そんな意識することはないですね。あんなに(プレーが)堅かったんだなと思って(笑)。それぐらいしかないですね。元ペアだからって何かあるということではないです。
――ここまでを踏まえて、これからに向けて話し合っていることはありますか
星野 インカレ個人は頑張ろうということですね。めっちゃ個人的な話になるんですけど、僕は小学生の時からずっと優勝してきてて、大学だけ取れてないので、それだけは頑張ってくれって言ってます。
内本 プレッシャーはあるんですけど、僕自身も優勝したいですし。な?
――昨年は1年生として思い切りの良さがある印象でしたが、今年はいかがですか
内本 そんなに変わらないんですね。後衛は船水、安藤(優作、社3=岐阜・中京)という強いのがいるので、僕は思い切りやるしかないという感じですね。
――思い切りの良さというのは大事にしてますか
内本 そうですね。一番で出させてもらっているので。
「絶対に勝ちたいという気持ちがあれば勝つ」(内本)
思い切りの良いプレーをする内本
――昨年のインカレのお話に移ります。団体戦決勝で、内本・加藤(顕成、平29スポ卒=広島翔洋)組が負けて優勝しました
内本 改めて早稲田ってすごいなと思いました。今まで僕が勝たないと勝てないというチームだったんで。
星野 すごいやん。
内本 自分(星野)もやん。なんか、初めて感じた気持ちでしたね。自分が負けて優勝っていうのは変な感じでした。
――星野さんは出場できないと分かったとき、どんな気持ちでしたか
星野 個人的なんですけど、船水が違う人と組むことになって、そのペアでの優勝だけはやめてくれとは思いました(笑)。でも優勝しちゃったんで、ペア誰でもいいんやんみたいな・・・。
――インカレに出られなくて、チームメイトに掛けられた声などは
星野 特にないですね。そのときは、ただしんどかったですね。
――終わったあとに気持ちの整理をするには大変でしたか
星野 出れたら(個人で)優勝できたなとは思いましたけど、しょうがないですね。
――その後に天皇杯(天皇賜杯全日本選手権)を取れました
星野 自分的には負けるんちゃうかなと思ったんですけど、去年3位で。そこまで上がれないと思ったら、まさか優勝してしまいました。
――もし、今年、違うペアと組んで天皇杯を連覇したら1949年の第四回大会ぶり史上二人目になります
内本 何それ?
星野 違うペアで二連覇だって。二人目らしいよ。そんなんいらんわ(笑)。
「日体大には負けたくない」(内本)
――インカレへ向けて今の調子はいかがですか
内本 いや、良くないんですけど。とにかく試合は集中して、最終的には気持ちだと思うんで。絶対に勝ちたいという気持ちがあれば勝つと思うんで。
――調子が悪いときはどうするんですか
内本 ほんまにダメな時は、星野さんに聞きます。任せます。どうしたらいいですかって。少し調子悪いぐらいだったら自分で調整してやるんですけど。
星野 団体は最近負けてるんですけど、個人は東インカレで優勝もして、ちょっとずつ上がってきてると思うんで、頑張りたいですね。
――個人に照準を合わせている感じですか
星野 個人的になんで。あくまで早稲田の目標は団体戦優勝です。
――団体戦では、どんな役割を果たしたいですか
星野 多分僕ら一番で出るので、勢いも必要だと思います。勢いをこっちに持っていきながら勝てたらいいですね。
――連覇を試合中に意識することはありますか
星野 僕はあまりないですね。決勝までいったら意識することもあるかもしれないですけれど、そこまで意識はしてないですね。
――インカレで対戦を楽しみにする選手やライバル視する選手はいますか
内本 日体大です。あそこは最強なんで。団体で何回もやってるんですけど、あれには負けたくないですね。
星野 やっぱり船水・上松ですね。それしかない。ぶつかってくるので、やっぱり勝たないと。
――個人で優勝するとしたらそこに勝たないといけないですからね
星野 そうですね。ちょっと別格ですね(笑)。
――四年生が団体戦に出られないなかで最後のインカレを迎えますが、四年生への思いは
星野 四年生が出てないチームで、練習もやりにくいとは思うんで、その分僕らが試合に勝って、恩返しとかそういうのができたら、四年生も喜ぶんじゃないかなと思います。
内本 優勝をプレゼントして、みんなでわいわいできたらいいなと思います。
――最後にインカレへの意気込みと読者へのメッセージをお願いします
内本 団体とダブルスで二冠取れるように頑張ります。
――シングルスはいかがですか
星野 ちゃんと取ります。
内本 三冠取ります。
――今年の初め(東京インドア全日本大会)で、インカレ三冠目指しますというコメントがありました
内本 あー。インカレ三冠目指します(笑)。
――あと、今年は天皇杯も取りたいということで
内本 はい。天皇杯は、高校の顧問にずっと言われてるので。高校の時に三位だったんですけど、天皇杯取るぞって言われていて。天皇杯優勝が顧問の目標でした。それが僕にもつながってきて。
――星野さんの記録もありますからね
内本 史上二人目。(ソフトテニス)マガジンに載せてくれへんかな(笑)。
星野 僕は団体戦、ダブルス負けなしで優勝したいです。インカレ2回目なので。
――ありがとうございました!
(取材・編集 吉岡篤史)
笑顔の絶えない二人がインカレで躍動します!
◆内本隆文(うちもと・たかふみ)(※写真左)
1998年(平10)2月19日生まれ。身長171センチ。大阪・上宮高出身。スポーツ科学部2年。取材後、上松選手が「自分のためが、早稲田のために」と書いた色紙を見て「くっさ(笑)。写メ撮ってもいいですか。」とからかった内本選手。学年を越えた仲の良さが垣間見えた一面です。コートを離れると、試合中の相手を睨むような表情から一変して柔らかい雰囲気をまとう内本選手はいつも印象的です!
◆星野慎平(ほしの・しんぺい)(※写真右)
1996年(平8)9月21日生まれ。身長184センチ。奈良・高田商高出身。スポーツ科学部3年。対談中、内本選手と関西弁で会話をする姿が印象に残りました。内田選手は、星野選手が書いた色紙の「がんばろ」という言葉を見て、「こういうところが好きなんですよ。普通こんなこと書かないじゃないですか。」と慕っていました。家族のような仲の良さも、ワセダの強さの秘訣かもしれません!