アジア選手権もついに4日目を迎えた。最後を飾る競技は団体戦の国別対抗。ワセダからは男子では船水颯人(スポ2=宮城・東北)、女子では平久保安純(社3=和歌山信愛)が出場し、それぞれがメダルに大きく貢献した。
順当に4強に名を連ねた日本代表男子。準決勝の相手は昨年の世界選手権国別対抗では決勝で顔を合わせた中華台北だ。船水は1番に長江光一(平22年卒=現NTT西日本広島)とペアを組んで登場し、カットサーブを駆使するダブル前衛のペアと対戦。ことしはダブルスに力を入れてきたと語る船水の努力、そしてダブル前衛への苦手意識の克服はすでに天皇杯優勝で証明されている。中ロブとダブル前衛の足元に落ちるシュートボールで相手を翻弄(ほんろう)。国内屈指のシングラーである長江とカバーリングを持ち味とする船水の二人は、陣形を自在に変えながら得点を重ねていく。見事、強敵・中華台北に貴重な先勝をあげた。続くシングルスでは増田健人(和歌山県庁)が勝利し、決勝に駒を進めた日本。迎えた決勝の相手はもちろん韓国だ。決勝ではオーダーを組み変え、1番はベテランの篠原秀典(ミズノ)・小林幸司(日体桜友会)組だ。得点を重ねるごとに大きく気迫のガッツポーズ。パワーでねじ伏せようとする相手ペアにテクニックで勝負し、見事白星をつけた。続くシングルスでは、今大会好調な増田が韓国のエース、キムドンフンと対戦。鋭いボールの応酬はまさにソフトテニスの最高峰の戦いだ。両者一歩も譲らず勝負の行方はファイナルジュースへ。何度も何度もマッチポイントを握られるも、攻めの姿勢を失うことはなかった。見事死闘を制し12-10で日本に金メダルをもたらした。3番に長江とのペアで控えていた船水は決勝での出番はなかったものの、今大会3つ目の金メダルを手にした。
3冠を果たした船水
一方の女子部は決勝で韓国と対戦。ダブルスで金メダルを獲得した中川瑞貴(ナガセケンコー)・森原可奈(東芝姫路)組が先陣を切る。韓国の女子エース、キムジオン組と顔を合わせる。両ペアの後衛が女子の球とは思えないようなパワフルなシュートボールを打ち込み合い、力強いラリーを展開。必死に食らいつくも、一本が決めきれずにファイナルの末惜しくも敗退した。もう後がなくなった日本。平久保が窮地から日本を救えるか。得意のツイストを効果的に使い、1ゲーム目をテンポ良く奪取する。しかし相手も黙ってはいない。バックから繰り出すコースを厳しく突いた球に苦戦を強いられてしまう。普段はクールな平久保だが、まるでコートにひとりで立つ自身を鼓舞するかのように、「来い!」と大きく声を上げて懸命に食らいつく。しかしあと一本が取り切れず惜敗した。韓国勢の喜びがコートに爆発する中、平久保は一度動きを止めた後小さく項垂れ、ぎゅっと唇を噛んだ。ことしも女王・韓国の牙城を崩すことはできずに悔しい2位という結果になった。
シングルスで奮闘した平久保
国別対抗を終え、早大生が獲得したメダルは計8個。日本開催の国際大会ということでコートに集まった多くの観客たち。早大生たちの1プレー1プレーに熱狂し、大きな拍手と歓声で彼らを讃えた。振り返れば、男子シングルスでは内本隆文(スポ1=大阪・上宮)が快挙を成し遂げ、続く男子ダブルスは決勝で世代交代を象徴するような早大生同士の熱戦が繰り広げられた。ミックスダブルスでも船水・佐々木聖花(スポ3=東京・文化学園大杉並)組が強敵の韓国ペアを撃破し、金メダル。これからのソフトテニス界を率いていくのはこの早大生たち5人であることは間違いない。アジアという大舞台での経験は大きな糧となりさらに5人を成長させるだろう。これから一回り大きくなった早大戦士たちはどんな景色を見せてくれるのか。期待せずにはいられない。
アジアの舞台で大きな活躍を見せた日本代表の早大生たち
(記事 吉澤奈生 写真 吉澤奈生、三佐川唯)