女子部からは3人が日本代表に選抜された。来季主将を務める杉脇麻侑子(スポ3=東京・文化学園大杉並)、早大を引っ張る前衛・佐々木聖花(スポ3=東京・文化学園大杉並)のペアと、国内屈指のシングラー平久保安純(社3=和歌山信愛)だ。杉脇・佐々木組はペアでアジアの頂点を見据え、鍛錬を積む。平久保は昨年の世界選手権での悔しさと経験を糧にさらなる飛躍を誓った。
※この取材は10月15日に行われたものです。
「全てが刺激」(杉脇)
女子部からは3人が日本代表に選抜された
――現在はアジア選手権に向けて、どのような練習をしていますか
佐々木 韓国の選手はバックが得意なので合宿ではそれを想定し、レシーブをバックの方に打つふりをしてフォアに強く打ち込んだりするような練習や、レシーブをショートに打ったりしてなるべくバックに打たせない練習をしています。
杉脇 代表合宿ではいろいろとコーチなどから指示された練習をやっています。大学で自主的にやっている練習では、カットで前に出されることが多くあると思うので、前後に揺さぶられても対応できる足をトレーニングで作るようにしています。
平久保 やっぱり韓国の選手はスピードとパワーがすごいので、それに対応するためにスタンスをしっかり広げることや重心を低くすることや、スピードに負けないように構えをしっかりすることなどを意識してやっています。
――合宿では普段と違ってどのような練習をやっていますか
平久保 練習というよりはトレーニングが中心になってきます。それ以外はひたすら試合が多いですね。
杉脇 この間はフットワークのトレーニングのオールディレクションをやりました。7回連続です!ベースラインから何メートルなど決められたラインに沿って走って10分間の乱打をするというようなメニューがオールディレクションなんですけど、その後にすぐ腿上げ系のトレーニングをやったりなど、いかに心拍数が上がった苦しい状況でボールを定めてプレーできるかというような練習をしました。
――刺激を受けた選手はいますか
平久保 自分はきょねんの世界選手権で韓国の後衛たちから刺激を受けました。韓国の選手はバックが特に凄いです。日本人はバックを苦手としている選手が多いのでとにかくバックに狙えばいいという感覚があるのですが、それが全く韓国人選手には通用しません。逆にバックを狙ったらやられると思ってフォアに返したりしていました。日本人のバックのレベルはやっぱり低いので、そこを強化しないといけないなと感じさせられました。シングルスもダブルスもどこからでも打ちに来るので、さすがという感じでした。
杉脇 私たちは初めての代表なので、全てが刺激という感じですね。
――杉脇さんと佐々木さんは初めて日本代表に選抜されましたが、選ばれた時の率直な感想をお願いします
佐々木 本当にびっくりしました。
杉脇 もちろんびっくりしたんですけど、ペアで選ばれたので安心しました。
重圧をバネにして
ワセダの大将、杉脇・佐々木組は初の代表入り
――杉脇さんと佐々木さんはコリアカップで実際に外国人選手を見ていかがですか
佐々木直接当たった訳ではなかったのですが、見てみて感じたのは、スピードとパワーはもちろんなのですが、球の質ですね。すごく韓国の選手たちが押してる感じに見えました。どこが違うのかは具体的には分からないのですが、何かしら日本と違うところがあるんだなと思いました。かなり攻撃的で、先に先にと攻めてくる感じです。
――実際に外国人選手に触れて自分たちの改善点は見つかりましたか
杉脇 預けるボールっていうのが通用しないんだなと感じました。今までの自分たちのプレーを捨てないけど、捨てなきゃいけないところもある。本番で韓国の選手と対戦する時には、やられるのではなくてやってやろうという気持ちで向かっていきたいです。
佐々木 実際韓国の代表選手とは一度も対戦したことはないのですが、初出場でさらに日本開催ということでプレッシャーを感じるとは思います。でも自分たちらしく展開を作るテニスをやってから、攻めていくテニスをやりたいです。それができたら相手につけ込まれないテニスができるかなと思います。
平久保 アジア選手権本番のコートはオムニコートなのですが、コリアカップのコートがハードコートでした。ハードコートはボールがはねるので速いボールでも返しやすいんですけど、逆に一本で決められることも多くありました。本番はオムニコートなので一本で決められるケースが多くなると思います。もっと対応していかないといけないし、やはり打たれる前に自分から先に攻めていかないと韓国には勝てないかなと思いました。
――平久保さんはきょねん国別対抗に出ていて、ことしも出られると思いますが、国別に対しての思いなどありますか
平久保 6人選ばれているので、まだ出るかは分かりません。今回は日本開催なので、みなさんから結構期待されると思います。声援を力に変えていきたいです。
――やはりプレッシャーを感じますか
3人 はい、感じますね。日本開催というのも大きいかなと思います。
――杉脇さんと佐々木さんは初めて日本代表に選抜されたことで普段の学生の大会に対する取り組み方は変わりましたか
佐々木 「負けてはいけない」という気持ちは常にあります。コリアカップでコーチの方に「何をしてでも、どんな手を使ってでも勝たなきゃいけない」と言われました。日本代表以外の選手には絶対に負けてはいけないと感じています。大学の大会では特にその負けてはいけないという気持ちは強いですね。
――ことしペアとして成長したなと感じる部分はありますか
杉脇 自分ではあまり成長した部分はわからないです。現状維持かな(笑)。
――初めて2人で出場する国際大会はどんな大会にしたいですか
杉脇 緊張して何もできなくなるのは一番嫌です。けれど、そういうこともあり得るので最初からプレーボールからラケットを振り切っていくのと、応援の方にいい姿を見せられたらいいかなと思います。
佐々木 緊張すると思うんですけど、そういった状況の中でも自分たちらしく元気よく攻めていけたらいいです。たくさんの人に見られるので色々と一本ずつ気になったりすると思うのですが、自分を信じてプレーできたらいいかなと思います。
――平久保さんはきょねんその緊張を味わっているのではないかと思います、緊張を紛らわす方法などありますか
平久保 きょねんは開催地がインドだったので私にとってはアウェー過ぎて逆に緊張感につながらなかったです。日本代表のメンバーもアットホームだったので緊張せず、良いプレーができました。国内開催のことしの方が緊張するかな、とは思っています。
――平久保さんもダブルスに出場しますが、相手の徳川愛実(ヨネックス)選手と練習はできていますか
平久保 いや、できていないです。ぶっつけ本番ですね。私たちは二人ともシングルスを得意としていてダブル後衛でやるのですが、二人ともシングルスをメインでやるので。ダブルスよりもそちらに力を入れて合宿でも練習していました。
ワセダのエースがアジアの舞台へ
国内屈指のシングラー、平久保
――全日本学生シングルス(インカレ)でも優勝しました、シングルスの調子はどうですか
平久保 調子は全然良くないです。インカレの時も相手のミスでラッキーだった部分が大きかったので、あまり勝ち取ったという感じではなかったです。その後にも国体があったのですが、全くダメでした。結構不安な部分が大きいんですけど、逆に今調子悪い分、ここから上げていければいいかなと思っています。
――シングルスで韓国の選手を想定してやっていることはなんですか
平久保 自分のスピードを上げていくこと、スタンスを広げること、自由に打たせないために自分のボールをしっかり長く打っていくことなどを意識しています。相手に攻めさせないボールを打っていかなければならないので、普段からボールを長く打つこととか、高さをつけることを意識して練習しています。
――アジア選手権の前に皇后賜杯全日本ソフトテニス選手権大会(皇后杯)があります
杉脇 皇后杯も重視しています。代表に入っていない選手たちには負けられないです。けれど結果を意識し過ぎてもダメなので、一つ一つ地道に勝ち上がって頑張りたいです。
佐々木 きょねんは奈央さん(小林、平28スポ卒=香川・尽誠学園)とペアで、皇后杯では奈央さんに引っ張ってもらって3位でした。素晴らしい技術を持った後衛に頼ってしまって自分の動きがなかなかできなかったので、ことしはもっと自分でチャレンジして、日本代表であることも意識しながら、自分のプレーをしたいです。
――杉脇さんと佐々木さんはミックスダブルスがありますが、そもそもペアはどのように決めてるのですか
杉脇 スタッフが決めてます。練習はあまりできていないのですが…合宿で一回試合したぐらいですね。
――ミックスダブルスをやってみてどのような印象を受けました
佐々木 本当にスピードが速い(笑)。でも私が組むのは素晴らしい後衛なので。(佐々木のペアは船水颯人、スポ2=宮城・東北)
杉脇 男子はスピードが速いのでついていくのに精いっぱいという感じではありますね。ペアにも会えないし(笑)。(杉脇のペアは岡山理大附高の上松俊貴)
――最後にアジア選手権大会に向けて意気込みをお願いします
佐々木 国別対抗は出られないですけど、チームに貢献できるように精一杯サポートします。ダブルスとミックスダブルスは少しでも多く勝てるように、上位に食い込めるように頑張りたいです。
杉脇 国別対抗では一緒にコートに立っているぐらい一生懸命応援して、たくさん出場する選手たちに声援を送って、みんなで金メダルを持って帰りたいです。ダブルスとミックスダブルスは頑張ってメダルを取りたいと思います!
平久保 シングルスは大会の1日目なので、もちろん優勝することも目標ですけど、最終日の国別対抗に向けての調整をシングルスでできたらいいかなと思っています。試合の入り方とか緊張感とかを最初にしっかりと味わって、最終日に良い形で持っていけたらなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 吉澤奈生、栗林桜子)
国際大会での躍動を誓う!
◆平久保安純(ひらくぼあすみ)(※写真左)
1995年(平7)8月8日生まれ。身長165センチ。和歌山信愛高出身。社会科学部3年。昨年も日本代表として世界選手権に出場した平久保選手。惜しくも国別対抗では2位という結果に終わり悔しさも味わいましたが、その分金メダルへの思いは強いそうです。ワセダの平久保が世界の平久保になる瞬間の目撃者になりましょう!
◆杉脇麻侑子(すぎわきまゆこ)(※写真中央)
1996年(平8)3月16日生まれ。身長155センチ。東京・文化学園大杉並高出身。スポーツ科学部3年。代替わりしてから、女王・早大を率いる頼れる主将です。代表選抜には驚いた様子でしたが、お話からはいつもストイックに努力する姿が感じられます!初の代表での活躍に期待です。
◆佐々木聖花(ささきせいか)(※写真右)
1995年(平7)7月23日生まれ。身長163センチ。東京・文化学園大杉並高出身。スポーツ科学部3年。日本開催ということで重圧も感じると言う佐々木選手。しかし早大の大将を務めてきた精神力でアジアの舞台でも躍動してくれるでしょう!