安藤圭祐主将(スポ4=岐阜・中京)は低学年の時からワセダの最前線で戦ってきて、ことしは主将として常勝軍団を率いてきた。しかし、ワセダではおなじみとなった安藤優作(社2=岐阜・中京)・安藤圭組の兄弟ペアが見られるのも残りわずかだ。兄弟で互いを思い合う気持ちと、安藤兄弟の集大成となるインカレでの勝利の誓いに迫った。
※この取材は7月24日に行われたものです。
「キャプテンとしての責任感」(安藤圭)
昨年から主将としての自覚を持って大きく成長した安藤圭
――まずは今季の振り返りをお願いします。最初の団体戦の六大学リーグについてはいかがですか
安藤圭 そうですね、3ー4で明治に負ける結果でした。明治に即戦力となる新入生が入ってきていて、簡単にはいかないだろうなと思っていました。案の定、1年生が活躍して結果的にも明治が優勝したんですけど、そのあと4年生が集まってこのままじゃだめだということを話し合いました。そもそもそういう話が出ている時点で形としては良い形ではないもので始まってしまったなと思っています。試合どうこうというよりはむしろ、応援の雰囲気とかチームの雰囲気がこのままではダメだということで、そこでしっかり話し合えたので六大以降は徐々に応援やチームの雰囲気も良くなっていったので一つの分岐点として良かったとは思うのですが、六大リーグだけを見てみると良い出来ではありませんでしたね。
――それをきっかけにチームがまとまったということですか
安藤圭 そうですね、応援もそうですが六大ではミスが続くこともあったので、まずはこういった悪い雰囲気だとか流れを最初に断ち切らなきゃいけないなと4年生と話し合えたので、その後の関東リーグでは少しでもプラスに働いたように思います。
――話し合いは4年生だけで行われたのですか
安藤圭 そうですね、まず4年生を中心にしてチームの雰囲気だとか現状を話し合った上で3年生、2年生とも話し合っていました。まずはチームの最高学年となる4年生が意思をしっかり固めようということで話し合っていましたね。
――具体的にはどのような意見が出ましたか
安藤圭 結構前のことなので完全には覚えていないんですけど(笑)、応援のミスが多かったり選手が試合をしているのに応援する側が一生懸命できていなかったり、あとオーダーに関しても少しもめたのでそこの部分についての意見が多かったですね。
――関東リーグではかなり応援も一丸となった印象があります
安藤圭 そうですね、出る選手が頑張るのはもちろんなんですけど、試合していない選手が応援で勝たせるというか、「勝ってほしい」という思いを全面に出して応援することができたと思います。やはりそれはチームの雰囲気が出るものですし、しっかり六大で話し合えたことが良かったのかと思います。あと、関東リーグは王座にもつながる試合なので、みんなも全員で勝ちたいという思いを持てていたのではないかなと。
安藤優 僕らに伝えられる時に、悪い雰囲気をなんとかしなければという4年生の意思が伝わってきて、僕は2年生ですが、2年生の代でも色々と問題があったのでそこを自分たちで話し合って変えていかなければと思いました。4年生と2年生で話し合った時も2年生は割と厳しく言われた方ですし、それを真摯に受け止めて2年生の中で真剣に話し合って、4年生のためにじゃないですけど、4年生がそれだけしっかり考えているんだから試合に出ている人が多い2年生の代もやっぱりしっかり考えていかなければと強く思いました。
――それでは関東リーグを振り返って
安藤圭 その直前が明大戦で、消化試合ではあったんですけど負けてしまって、自分たち自身でも日体大との決勝戦にあまり良い形で入れないかなという不安もありましたが、そんなこと試合が始まってしまったら関係ないと自分に言い聞かせて臨んでいました。昨年は同じ展開の5番勝負で負けてしまったのでそういった点でも気合が入りましたし、やっぱりキャプテンとしては勝負が掛かる、緊張するどうこうは関係なしに勝たなければいけないとじぶんに言い聞かせていました。4番目が結構リードされた状態で回ってきたんですけど、いつでも自分は出れるという状態で準備していたので、心構えというか試合の入り方で去年とは違った状態で入れました。それが良かったなと思います。
――逆に昨年はそのプレッシャーに耐え切れなかったということですか
安藤圭 そうですね、昨年はできれば回ってきて欲しくないなという弱気の気持ちもあったので、そういった姿勢だと競る展開になった時に焦ってしまいますし、緊張で体が硬くなってしまうんですよね。そういった弱気はダメだと分かってはいるんですけど、いざ試合になるとそういう風に他のペアに頼ってしまう姿勢が昨年はあったと思います。
――優作選手は関東リーグについてどういった振り返りがありますか
安藤優 決勝に行くまでは全部勝負が僕たちの前で決まっていたので消化試合になってしまっていて、いざ5番勝負になるとテンション的にもあまり盛り上がることができず気持ちが上がらないまま最初はやっていました。けどやっぱり昨年と違うのが応援だなと思っていて、前は応援が自分の中でプレッシャーに感じてしまってさらに緊張してしまったんですけど、ことしは最初負けていたけど応援の後押しがあって自分もだんだんと気持ちが入ることができました。応援の力であの時は勝てたと思います。
――春リーグでは優作選手自身も応援の時に懸命に声を出している姿が印象的でした
安藤優 そうですね、試合に出ている選手からしたら緊張する中でうまくできないことは当たり前ですし、そういった気持ちは自分もすごくわかるんですね。試合に出ていないことと、そういった勝負がかかる緊張間の中での試合を経験したことがあるというのではやっぱり大きく差があると思います。試合に出ていないメンバーから見たら、いつもはもっとできるのになんでだろうと思うだろうし、そういう気持ちが焦りとして応援に出てしまって、やっている方もそれを感じて焦ったりしてしまいます。やっぱり試合に出ているメンバーの気持ちをわかるのは出ているメンバーだと思うので自分がしっかり声を出して励ますことで出ている選手もやりやすいかなと思っています。自分は応援することも嫌いではなく、むしろ好きなので、頑張ろうと思っていつも声出しています。
――では関東リーグ後の王座については主将不在の大会となりましたがいかがですか
安藤優 そんなに悪くはなかったと思います。ただ、オーダーについては主将不在ということで主務の先輩を中心に話し合って、監督の意見も聞いて、大変な部分はあったと思います。オーダーで少し決まらずに、急にインドア練習に入る選手もいましたし。インドア練習をする選手とサポートしてくれる選手で練習は分かれているので全体の雰囲気はあまりわかりませんが、臨時主将を務めた名取さん(敬恩、スポ4=秋田・大館鳳鳴)が「安藤がいないけど、俺たちで勝って報告しよう」という風に言ってくれたのでみんながそういった思いを持って試合に臨めたと思います。4年生がそういった一体となる雰囲気を出してくれたと思います。
――いつもはキャプテンがオーダー決定するのですか
安藤圭 そうですね、いつもは僕と主務で話し合って決めて、それを監督が確認してゴーサインが出たら提出するという感じです。
――優作選手は大学入学後、初めて後輩と組む試合でもあったと思います
安藤優 松本君(倫旺、スポ1=熊本・済々黌)は1年生であると同時に王座がそもそも大学入学後の初の団体戦出場だったんですけど、僕からしたら松本君は全然できるし、任せられる選手だと思っているので、大丈夫だから頑張ろうといった声掛けをしました。多少緊張している部分は感じ取られたんですけど、それでもすごく良く動いてくれましたし、思ってた以上に頑張ってくれて組んでいて1年生なのに頼もしかったですね。
――王座の決勝では加藤選手(顕成、スポ4=広島翔洋)が昨年と同じ展開を見事勝ち切りました
安藤優それまでは、4年生が出る前に勝負が決まってしまって、決勝でようやくの出場となったんですけど、やっぱり加藤さんは昨年のこともあって最後は4年生として決めてやるという意気込みで入ったと思うし、名取さんも直前で負けてしまいましたが同じ4年生として頼むぞという気持ちが強かったと思います。上からの応援も加藤頑張れよ!といった声がすごく聞こえていて4年生が決めてくれとすごく盛り上がっていましたし一体感があるように思いました。
安藤圭 僕もずっと携帯で速報を追っていたんですけど、ちょうど4、5番目の時に忙しくて見れなくて、連絡がきてワセダの勝利を知ったんです。僕自身もその場にいることはできなかったけど試合内容を想像したくてどうだった?って聞いたりして(笑)。僕は僕で速報を追いながら一人で焦っていたりもしたんですけど、僕がいなくても他の4年生が頑張ってくれて、みんなに支えられているんだなということを再認識しました。
――やはり同じ4年生が試合を決めてくれたというのもうれしかったのでしょうか
安藤圭 それは本当にうれしかったですね。昨年は加藤が最後負けてしまったんですけど今年はしっかり勝ち切ってくれて、僕だけでなくてみんなも一緒に成長しているんだということが改めて感じられましたし、悔しい思いを経験したからこそ、こういったうれしい思いが今できるんだなと思いました。
――名取さんと加藤さんの4年生二人が涙する場面もありました
安藤圭 そうですね、名取もずっと王座はシングルスで出場してますし、名取は去年負けてしまって今年も最後は一歩及ばないところがありました。名取自身も自分が勝って勝利を決めたいという思いは大きくあったはずですし、それはできなかったけどペアをずっと組んだ経験もある加藤が勝ってくれて嬉しかったんでしょうね。
――では東インカレを振り返っていかがですか
安藤圭 そうですね、僕が実習あけということもあって実は自分自身でも不安に思うことはたくさんあったんです。でも試合に出る以上はそういった弱音を吐いている場合ではないですし、相手が強いこともあっていつ3番に回ってきても良い準備はしていました。逆に実践から離れたぶん力もいい意味で抜けていて気負いすぎずにできたので、予想以上に自分が動けてそこは良かった点かなと思います。やっぱりせっかく出させてもらうんだし、王座は自分がいない中でみんなが頑張ってくれたんだからその分今回は自分が頑張らなくてはと思って、練習不足はありましたけど気持ちでカバーしていました。
――やはり教育実習との両立は難しかったですか
安藤圭 そうですね、日中にまず練習ができなかったですしそもそも練習量もあまり取れなくて。やっぱり暑さとかが辛くて、東インカレ当日も自分でももしかしたら足をつったりするかもな〜くらいには思っていたんですけどまさか本当につるとはという感じでした(笑)。つった時は残り数ゲームだし、ここでやめるなんてみっともないことできなかったですし、本当に気持ちだけで動いていて。気持ちで持ちこたえるというか、気持ちで打ち勝つということの大事さを学びましたね。
――教育実習はいかがでしたか
安藤圭 3週間くらい実習で岐阜に帰って、よくソフトテニス部の練習に参加させてもらっていました(笑)。雨の時期といったこともあってなかなか思うような練習はできませんでしたが、生徒に教えることで逆に自分でも気づいたり学ぶことがあってそういった点でも有意義でしたね。教育実習自体は生徒がすごく親しくしてくれたのもあって、終わってしまってからは寂しいなと思うこともあるんですけど、やっている最中は研究授業とか色々大変で追い込まれることも多くて早く帰りたいと思うこともありました(笑)。研究授業終わってからは生徒に「先生もういなくなっちゃうの」とかも言われて寂しいなあと思いましたし、またいつか行こうと思えましたね(笑)。大変でしたが充実した実習生活でした。
――優作選手は東インカレを振り返っていかがですか
安藤優 東インカレは最初殲滅(せんめつ)戦だったんですけど、天候で形式が点取りに変わって、自分が3番だったんで、あまり回ってくるとは思ってなかったんです。上2つがすごく強いので。でも試合になるとやっぱりそう簡単にはいかなくて、準決勝で明大と当たって、明大には六大リーグで負けていますし負けられないという思いもありました。相手も僕の高校の同期の子だったのでお互いにライバル意識はありますし、絶対に勝ちたいと思いながら試合をやっていました。決勝では兄貴が足つった時に、やっぱりきつい中でやって足をつってしまったんだなと思ってやるしかないというか自分が頑張るしかないという気持ちになって、そこから若干スイッチが切り替わった感じはしました。東インカレの団体の時は自分では納得できていないプレーがあって自分でも気にしながらやっていたんですけど、そういった調子の中でも勝たなければと思いましたし、勝ちたいという気持ちの大きさは大事だなと思いました。
――日体大戦では船水・星野組が負けて回ってくるという展開でした
安藤優 相手もすごく強い相手ですし、試合展開を見ていてももしかしたらと思う部分もあったし、星野自体も「厳しいわ」みたいなことを試合前に言っていたので準備しなきゃと自分でも心構えをしていたのが良かったかもしれません。
――昨年の春リーグや東日本インカレでは勝負がかかる場面で波があるような印象を受けましたが、ことしはそういった場面で強さを発揮されていると思います、ご自身としてはいかがですか
安藤圭 僕はあんまり団体戦でよかった思い出がなくて。いつも出させてもらっていたのですが、全然頼りになるような選手じゃなかったと思うので…。そういうのもあってことしは団体戦やみんなが応援してくれている試合でしっかり勝ちたいなという思いはあって、自分自身団体戦はすごく勝ちたいので少しでも勝利に貢献したいなというのもありました。やっぱりもう4年生ですし一つ一つの大会が最後で、4年生で出ているメンバーも少ないので、他の4年の思いもしっかり受け止めて「簡単に負けたらいかんのや」という気持ちで試合に臨めていることが結果に繋がっているのかなと思います。団体戦で何でだめなんだろうというのは昨年からずっと考えていました。昨年のインカレもあんまりよくなかった中で後ろが頑張ってくれて勝ったので、どうすればいいのかをずっと考えていました。個人戦だと自由に出来るんですけど、団体戦だと気負ってしまうことが多かったので、そういうのをあまり考えないようにして、緊張したり皆のために頑張るのは当然なんですけれど、試合は試合で目の前に集中するようにしたら少しずつ良くなってきたのかなとは思っています。
――何か意識が変わったターニングポイントとなった試合などはありますか
安藤圭 昨年のインカレでまず僕自身が結構酷かったんですけど、そういった中でペアとして勝ち星を挙げることが出来たのは大きかったです。今までは酷かったらズルズルとそのまま引きずってしまっていたので、ペアに助けられた部分は大きいですけれど、折れずに持ちこたえられたことがきっかけかなと思います。
――ことしの東日本インカレで足をつってしまったの時もおっしゃっていましたが、メンタル面で強くなったということでしょうか
安藤圭 そうですね。先輩方からも言われたことがあるんですけれど、いざとなった時に気持ちがあまり強くない方だったので、最後は4年生のキャプテンとしてという責任感がプレーに繋がったのかなと思います。
――安藤優選手は去年と比べてことしのプレーはいかがですか
安藤優 去年は春リーグでも王座でも5番勝負で負けたのを経験して、そこでは「勝たなきゃ」と自分自身を追いこんでしまうところがあってそれが自分の弱点でした。次の東日本インカレでは対中大戦では負けたんですけどそれまでは勝っていて、見ている人からも褒められて頑張ろうという気持ちになりました。そこからのインカレでは良くて勝利に貢献出来たので、そこで試合にどういう気持ちで臨んだらいいのかとか経験的な部分が分かりました。去年の最初に負けたのはすごく悔しかったんですけれど、それがなかったら今はないと思うので良かったなと思います。
――やはりライバルとしては明大や日体大になるのでしょうか
安藤圭 そうですね、周りや前評判ではそうよく言われますけれど、あまりそういうことは考えないように僕はしています。ことしは1回戦から目の前のボールに集中するようにずっとやってきたので、あまり「こいつ強いな」とかは思わないようにしています。
兄から弟へ、弟から兄へ
安藤兄弟のワセダでのペアリングも残りわずかだ
――続いて今のチームの現状について質問させていただきます。きょうも1日練習と伺っていますが、やはりインカレ前なので追い込みで練習されていたりするのですか
安藤圭 自分はきのう合同練習に久しぶりに戻ってきました。きのうはOBさんもいらして、あとは僕自身もそう感じたところもあったので練習後に皆に「緊張感が足りていないんじゃないか」という話をしました。僕自身も、前と比べて見られる立場になったこともあって色んな人がよく見てくださっていて、きのう来られていたOBさんの中で僕自身のことも少し言われたので、「これじゃだめだ」というのは自分自身の反省点として重く受け止めています。チームの状態としてインカレ前の覇気が足りないんじゃないかと思うので、そこはキャプテンの僕がまずは行動で示さなければチームも良くならないと思っています。皆に対して言葉にして言ったのは、言うことで自分に責任感や自覚が芽生えると思って、自分にプレッシャーかけるわけじゃないですけれど僕自身を奮い立たせるためという部分がありました。
安藤優 僕もきのう合同練習は久しぶりに参加して、兄貴も言いましたけど、昨年の方がこの時期は全体として緊張感がありました。何故なのかは分からないですけれど、東日本インカレ辺りから感じているのは、あまり雰囲気がピリピリしなくても春リーグと王座と東日本インカレと、六大学リーグ以外は全て勝っているので、やはりどこか「どうせ勝てるんじゃないか」という雰囲気があるような気がしています。でもそう簡単にはいかないと思うので、僕自身試合に出ているメンバーとしてもっと緊張感を持ってやっていかないといけないと思います。
――チームとして取り組んでいる課題としては、全体の雰囲気ということでしょうか
安藤圭 僕らの代になってからは揉めるというかすれ違うことが多くて、その度に4年で話し合ったりしてきましたが、なかなか1年間上手くいかなかったなと思います。5連覇とよく言われますが5連覇というのは数字で後から付いてくるものであって、僕らのこの代は一回しか優勝を手にすることは出来ないので、やっぱり今のチームで勝ちたい思いは強いです。そのためには個人個人が意識することも勿論ですが、チーム全体として1つの目標に向かうための雰囲気作りは4年生を中心にやっていかなければならない課題だと思います。もうあと10日もないので「最後にインカレの福岡の地で皆でやるぞ」という気持ちに持っていくために、出発までの練習に臨みたいです。
――こういった先輩の姿勢は下級生から見ていかがですか
安藤優 チームとして代が変わってからは色々揉めている感じはしていましたが、ここまで話し合って考えてやってきていると思っています。あと時間は少ないですが、2年生としては、1年生がミスなく仕事しない限りは雰囲気の土台が出来ないと思うし、その仕事を重点的にやっていくべきなので、1、2年生でそういう雰囲気が出来たらいいと思います。
――団結を深める工夫としては、例えば学年の垣根を越えて交流するなど、どのようなことをされていますか
安藤圭 何が正解なのかは分からないですけれど、僕自身昨年までも下とも上とも結構壁なく付き合っていたので、主将だから話しかけづらいというよりは出来るだけコミュニケーションを取ろうと思っていました。でも1年生とかからは話しかけづらいとは思うので、僕から話しかけたりするようにしています。他の4年生がどうしているかはよく分からないんですけれど、下の面倒をよく見てくれる人もいます。僕自身が結構今まで先輩に面倒見てもらったので、下をかわいがってやりたいという気持ちはそういった先輩から教えてもらったのかなと。これはこれからも良い方向に受け継がれていってほしいなと思います。
――確かに昨年の4年生のコメントには安藤圭選手の名前がたくさん出てきました
安藤圭 そうなんですか!(笑)昨年の4年生とは仲が良くて、ずっと一緒にいたので思い入れが強かったです。逆に一昨年とかはあまり下を可愛がるような人は少なかったので、下にどう思われているかは分からないですけれど、そういうのは僕の経験から見て学んだりとかして自分のやり方としては「それはそれでいいかな」と思ってやっています。
――実際に下級生からはいかがですか
安藤優 そうですね、兄貴のことをどう思っているかは弟の俺には言ってこないと思うんですけれど…(笑)。
一同 (笑)
安藤優 まあ主将になってからどうとかは聞かないですし、雰囲気的にも4年生の先輩は下と仲良く接してくれる人が多いかなと思います。
――主将として、という言葉をよく使われていますが、安藤圭主将が考える主将としての役割とは
安藤圭 ちょっと待ってくださいね…就活の面接でも同じことを聞かれたんですよ(笑)。それを思い出してしまって(笑)!
一同 (笑)
安藤圭 色々なキャプテンがいると思うんです。僕が入学してから今までは全然タイプの違う人が主将になっていて、その人だからこういうキャプテンなんだろうなというのは感じていました。口で言う人もいれば自分で黙々とやって背中で見せる人もいたり。自分がキャプテンになったらどうなりたいのかをイメージした時に、その時は口うるさく言うことがあんまり得意じゃないので行動で示していけたらと思っていたんですが、結構自分自身ちゃらんぽらんなところがあって、行動で示しきれないところがあって、色々チームには迷惑をかけたところもありました。「キャプテンっぽくない」とよく言われますが、それはそれでいいんじゃないかなと。僕は僕なりに自分らしさを出していければと思います。
――その「自分らしさ」とは何でしょうか
安藤圭 うーん、主将っぽくはないですけれど、聞き役ですかね。今まで人の話を聞いていることが多かったので、色んな話を皆から聞いてそれを取捨選択して最終決定は僕がすればいいと思っていました。それがあまり良くない形で進んでしまったので、1年間経験したうえでもう一回やりたいなと思います。絶対にもう一回やりたいです…(笑)。でももう終わったことは仕方がないので、インカレまで今まで以上に自分の姿を見て少しでも刺激を受けてくれる人がいてくれればと思って頑張ります。
――そんな主将の姿をおそらく1番近くで見られてきたのは安藤優選手だと思います。兄として、主将として、先輩として、ペアとして、近くで見てきていかがですか
安藤優 昔から見ているので何とも言えないですけれど、高校の時とは全然違いますね。高校の時の方が「我」って感じで我が強くてキャプテンらしかったなと思います。大学に入ってからは、自分でも言ってましたけどちゃらんぽらんになって遊んでる感じはあるので(笑)。確かにキャプテンっぽくはないかもしれませんし、コートでもそんなに主将って感じはしないですけれど、でも上級生の中で1番試合に出ていますし。やっぱり皆の意見を聞いたりしてまとめたりして、キャプテンの一言はチームにとって重いと思うので、たまに言うとチームが動きますね。言うことが多すぎるようなキャプテンだったら下もあまり聞かないと思いますし、ああだこうだ自分勝手にというのではなく4年生の意見をまとめて一言でたまに言ったりすると、「あっ」とチーム全体が気付かされることもあるので、下からは信頼されていると思います。
――逆に兄から見た安藤優選手はいかがですか
安藤圭 テニスに関しては…まあうざいですね(笑)
一同 ええ!(笑)
安藤圭 僕は結構高校の部活では一生懸命練習していたんですけれど、大学入ってからは上手くいかないことが多くて。あまりテニス自体が器用じゃないので、出来ないことがたくさんあるんですが、弟は器用に出来てしまうので、兄弟で同じ道を来たはずなのにクッソーと思いますね(笑)。まあ僕は兄だからかもしれないですけれど、高校の時から弟が活躍するのがすごく嬉しいんです。実際に試合したら負けたくないのは当然ですけれど、自分が大学に入ってからも弟の結果は気になったりとか応援しに行ったりとかはしていました。大学では僕とペアを組むことになって、強いので僕自身はラッキーなんですが、テニスのセンスで言ったら弟の方があるとは思っています。だから僕を踏み台にじゃないですけれど、あとまだ2年間あるのでこの2年間を使ってさらに飛躍してくれたらいいなと思います。僕は社会人になったらそろそろボロが出てくると思うので…(笑)。安藤家のテニスは弟に任せて僕は見守ろうかなと思っているんですけれど、こうやって兄貴が思っていることを多分知らないので、なかなか練習を真剣にやってくれないところとかすぐ調子乗ったりするところがあるので、早く気付いてほしいです(笑)。
――お兄さんからこう言われていますが…
安藤優 兄貴の言う通りなんですけど、そうは言っても高校の時から結果を多く残しているのは兄貴の方なので、そういう気持ちの違いというか努力だったりが結果に結びついていると思います。自分は今は頑張ろうと思ってやっているんですけれど、そういう気がなくなるかもしれないので…そういうところなんですけれど、何かが変わって次にいけたら、兄貴が僕の活躍を楽しみにしているなら頑張りたいです。今は大学でもう少ししかペアを組めないので頑張ります。
――今まではコートの中の印象についてお聞きしてきましたが、コートの外ではお互いどんな印象ですか
安藤圭 家のことをもう少しやって欲しいです。
一同 (笑)
安藤圭 自炊はあまりしていないんですけれど、僕は本当にゴミとかが散らかるのが嫌で、弟が来てからどんどん家が荒れています(笑)!何でか知らないですけど僕が全部片づけているので。兄と弟の違いですかね…。
――やっぱりお兄ちゃんということでしっかりものですか
安藤圭 いや、それは分からないですけど…せめて自分の身の回りのことくらいはやっておこうというだけですね(笑)。ゆっくりできる空間が良い。
安藤優 本当に言う通りですね(笑)。僕は高校の時家を出るまでは実家に身の回りのことをやってくれる人がいて、こっちに来てからもお兄ちゃんがいて…言い訳じゃないですよ(笑)?!兄ちゃんは一人でやってきた期間が長いじゃないですか。まあ、来年から僕は痛い目に合うと思うんですけど…(笑)。そのとき苦労して身に着けます。
安藤圭 教育実習行っていた時に家がどうなってるかと思ったのですが、案外変わっていなくて。でもそれも試合があったからで、そもそも家にいなかったっていう(笑)。でもトイレとかお風呂とかの水回りとかって絶対掃除しないんですよ。ていうかそもそもたぶん気づかない。僕は気になるんで嫌ですね。
安藤優 いやお風呂はやってないけど!洗面所とかはしたんですよちゃんと!
一同 (笑)
安藤圭 でも僕も実習行く前に掃除したんできれいな状態であるはずだったんですけど…なんか新しいシェービングクリームが増えてました(笑)。それだけです。
安藤優 それは欲しいなと思ってたから自分で買っただけだよ(笑)。
安藤圭 ちょうど僕も無いから買おうと思ってたのをずっと忘れてたんで「あ、増えてる」ってなりました(笑)。でもインカレ行く前に長いんで1回部屋掃除しておきたいですね。気持ちもすっきりしていきたいですし。年末にも大掃除してゴミを捨てまくったらゴミ袋がめちゃくちゃたくさんになってすごいきれいになるじゃん!と思ってたら、半年経った今はもう…って感じですね(笑)。
――話は変わりますが、優作選手は先輩になって心境に変化はありましたか
安藤優 やっぱり下がいると、自分たちが後輩に影響を与えているというのは実感します。自分たちが適当にやっていれば後輩も「それでいいのかな」と思うだろうし、オンとオフの切り替えをちゃんとしなくちゃいけないというのは今まで以上に感じます。これから下が増えるにつれてそういったことが大事になってくると思いますね。
――4年生の立場からは下級生をどのように見られていますか
安藤圭 『教師の鏡が生徒』というのと同じで、4年生の鏡が後輩たちだと思うので、結局は下ができていないことは自分たちの改善点だととらえるようにしています。4年生が「下がこういうことができていない」とか言ってくることもあるのですが、それは自分たちの悪いところを映してるんじゃないのかということはいつも言っています。4年生は一番上だから最も見られている立場となるので、まずは自分たちの行動を見直していくことが必要ですかね。行動に気をつけないといけないというのは改めて感じます。
――1年生の活躍も多く見られた今季でした
安藤圭 僕は高校も被っていない子たちなんですが、それでも名前は知っているようなすごい選手たちが入ってきたと思います。なかなか大学1年生から活躍するのは難しいと言われてはいますが、そのようなことをものともせず頑張ってくれているので、この先カベはあると思いますがめげずに自分で解決できる力をつけてくれたら1番かなと思います。
安藤優 中でも特に後衛陣の実力は高いと思います。自分も気を抜いていたりしたら外されてしまうと思うので、下には負けないように、刺激し合いながら頑張りたいとはいつも思います。松本くんとかは1年浪人していて同い年ではあるので、コミュニケーション上手く取りながらやれています。同い年だからというのもあって、特に活躍してくれたら嬉しいですね。一緒に頑張ろうという気持ちになります。
――特に期待する選手はいますか
安藤圭 川村虎大(スポ1=茨城・土浦第一)ですね。センター利用で入ってきたやつなんですけど。すごく頑張り屋なんですよね。よく僕の練習相手とかにもなってくれて。いつも真面目で熱心なので、見ていて自分も刺激を受けますね。最初は結構ヘタクソだったんですけど、3ヶ月ぐらいですっごく上手くなって。それが自分にとってもすごく嬉しくて、応援したくなる選手だと思います。
――早慶戦にも出場していましたね
安藤圭 高知合宿に行った3月は本当にミスばかりで心配していたんですが(笑)。でもやはりテニスが何より好きなのが伝わってきますし、ひたむきにいつも頑張っているので、そういうやつは見ていてこれからが楽しみですね。
「自分が頑張ろうと思えるのは兄貴と組んでいるからこそ」(安藤優)
兄とのラストイヤーに懸ける強い思いを持つ安藤優
――ここからはインカレの話題へ移りたいと思います。昨年と比べ現在の調子はいかがですか
安藤圭 いや、昨年が本当に最悪で。東日本一般ではボロボロに負けて気持ち的にもヤケになっていたところはあって。事前合宿でも全然勝てなくて昨年のこの時期は本当にやばいんじゃないかなと思っていました。でもことしは東インカレでも感触は悪くなくて、一般でも結果としては良かったので、逆に怖いと感じます。順調に行くと自分の気持ちも大丈夫かな、という油断の方に向いてしまうので、ここら辺で1度調子を落としておきたいとも思います。それでインカレに最高点で臨めたらとは思っています。でもそれも気持ちの問題だと思うので、調子などは気にすることなくとにかくやりきりたいという気持ちがあります。
安藤優 僕も同じで、昨年の7月は特に僕自身が本当に酷かったと思っています。いろいろ試行錯誤してみてもあまり上手く行かなくて。たまたま昨年は運が良かっただけかもしれないのですが、安定して結果を出せるのがやはり本物だと思うので、ことしはそういう中で結果を残して証明したいと思います。
――昨年は個人戦では優勝されてますよね
安藤圭 団体戦では調子は良くなかったのですが、チームの応援やペアに支えられてなんとか終えたので、ふっと肩から荷が降りて楽になれて。個人戦では負けても自分の責任で終わるので、チームに迷惑はかからない分のびのびできたのかなと思います。
――それだけ団体戦のプレッシャーは大きいということですか
安藤圭 そうですね。インカレだと特にそうです。最も重要視されている大会なので。でも勝たなきゃ!という気持ちが悪い方向に強くなり過ぎることがあまり良くない結果にも繋がると思うので、ことしは自分たちの代で勝つという目標を達成できるように、気持ちの作り方を間違えないようやっていきたいと思います。
――インカレという大会は独特の雰囲気があるのですか
安藤優 やはりそこを目標にしているだけあって、そこに懸ける想いはみんなが強いです。緊張感が他の大会よりあると思います。
――このチームで初の殲滅(せんめつ)戦方式となります
安藤圭 1度このチームで殲滅戦をやっておきたかったというのはあるのですが、それは他も同じなので仕方ないですね。その分オーダーなどで考えることも増えるとは思いますけど。選手はコートでやるべきことをやって、応援はしっかりチームを支えて、『一人一点』ということを積み重ね、それが良い結果につながると良いと思います。戦う形式は違えど、試合でやるべきことは同じだと思うので、深く考え過ぎずにやっていけたらと思います。
――インカレ出場予定のメンバーの印象を教えてください
安藤圭 船水星野は校内戦だと勝つこともあるんですけど、本番だと何度やっても勝てない相手です。常に上にはあいつらがいるから、普段の練習でも意識高く持ってやれていると思います。昨年もインカレの3ペアは刺激し合ってやれていたと思うので、船水星野とはそのように切磋琢磨できる関係でありたいと思ってこの1年間やってきました。でもやっぱり追いつけないところにいるので、これからも頑張っていきたいです。船水星野は大将と呼ばれる立場にいるのですが、2年生でその立場を背負うことは大変なこともあると思うので、僕らのペアがいるからその存在が少しでも安心できるものであるように、お互い良い意味で任せあってやっていけたらなと思います。ワセダの二本柱としてチームを引っ張っていきたいです。
安藤優 あの2人はどんな相手でもボコボコにするイメージがありますね(笑)。たまに競るようなことがあっても色々な試合を経験しているので簡単には負けないですしね。今兄ちゃんも言ったみたいに、船水星野とは良い意味で任せ合っていって、あのペアが少しでも楽にできるようにと思います。昨年は船水九島と船水星野が僕らの後に控えていて、僕らが勝ってしまえば相手の心を折れると思っていました。ことしも僕らが頑張って後に繋げて、信頼し合えるような関係であればいいなと思います。
――東インカレの時、船水選手が今までは自分が負けて優作選手が勝負を決めると悔しく思うこともあったけれど、ことしは素直に喜べるとおっしゃっていました
安藤優 あの時日体大戦で颯人が負けてしまって、颯人でも負けることがあるんやなと思いました。その時に「よくも颯人をやってくれたな」みたいな(笑)。東インカレは違ったのですが、もしも殲滅戦だったら船水星野を倒したペアを僕らが倒さなければいけないし、その分の借りを返さないといけないので。颯人がそう感じてくれているというのは、自分でも頑張ろうという気持ちになりますし、嬉しいですね。
――内本選手に関してはいかがですか
安藤圭 高校の前から何年間も組んでいたペアと大学で離れて、今は自分で頑張らなきゃともがいているような感じがします。環境が変わって色々大変なことが多いとは思うのですが。星野とかと組んでいる時はペアを信頼してテニスをしていると感じるのですが、他と組むとやはり自分でやってやろうという気持ちが空回りしているところがあると思います。そういうことはレギュラーのメンバーこそ言い合えると思うので、1年生らしく気負わずに気持ちよくプレーしてくれたらそれはチームの勢いに繋がると思います。
安藤優 自分よりも実力は上だと思うので、見ていてすごいなと思うことが多いです。信頼しています。でも今兄貴が言ったように、個人戦とかでもあまり良い結果が出ないということに関して自分でも色々思うところがあると思います。でも昨年の僕も同じような感じだったので、注目されている分プレッシャーもあるかもしれませんが、気負わずに楽しくプレーして欲しいですね。団体戦では負けても終わりじゃないし、みんながいるので、思い切ってやってもらえたら1番だと思います。
――ラストイヤーで弟の優作選手と組んでいることにはやはり思い入れがありますか
安藤圭 内本とか因(京将、スポ1=石川・能登)などの大型ルーキーが入学してきて、周りからはそっちとは組まないの?とか聞かれたりもしたんですけど、そもそも僕の中ではペアを変えるという発送が無くて。選手単体で見たら彼らの方が実力はあるかもしれないのですが、ペアを変えるのは違うなと直感で思いました。もしかしたらそっちと組んでたら良い結果も残せていたかもしれないのですが、まあそんなことは分からないですけど、その時の判断は間違っていなかったと思います。
安藤優 僕は兄貴と組んでいるうちが1番結果を出せるのではないかと思っている部分も正直あります。自分が頑張ろうと思えるのは兄貴と組んでいるからこそなんだって思います。ペアが兄貴やから頑張らんとなって感じますし。兄弟で組んできて色々なことが分かってきて今に至ると思うので、その集大成として良い結果が残せたらと思います。僕も兄貴の最後の年を無駄にはしたくないので、頑張りたいです。
――最後にインカレへの意気込みを教えてください
安藤圭 僕らのチームは、僕ららしく、僕らの色を出して、自分たちの良さを最大限に発揮できたらその結果としてついてくるものはあると思うので、残り少ない時間ですけどしっかり準備をして、福岡の地で『早稲田の栄光』を歌えるように必死にやっていきたいです。
安藤優 やり切って終わったというのも良いとは思うのですがやはり負けたら悔しいと思うので、勝ちにこだわって団結して向かっていきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 吉田安祐香、三佐川唯、吉澤奈生)
安藤兄弟でのワセダでのラストイヤーを勝利で締めくくると誓いを立てた
◆安藤圭祐(あんどう・けいすけ)(※写真右)
1994年(平6)8月24日生まれ。身長173センチ。岐阜・中京高出身。スポーツ科学部4年。多くの試練を乗り越えて常勝軍団・ワセダを率いてきた頼れる主将。今回の対談では兄として、キャプテンとして、チームの主力としてなどの様々な表情を見せてくれました!几帳面な性格も伺える掃除トークは必見です(笑)!
◆安藤優作(あんどう・ゆうさく)(※写真左)
1996年(平8)9月17日生まれ。身長174センチ。岐阜・中京高出身。社会科学部2年。終始兄の圭祐選手とのペアへの思い入れが伝わってきました。チームの中核を担う選手としてしっかりと自覚を持ってプレーする姿が印象的ですが、掃除が苦手な一面もあるようです(笑)。