活躍を期待されながらも自らの力を出し切れなかったと昨年のインカレを船水颯人(スポ2=宮城・東北)・星野慎平(スポ2=奈良・高田商)組は振り返った。その分ことしのインカレに懸ける思いはひとしおだ。船水・星野組と鳴り物入りで入学した期待のルーキー内本隆文(スポ1=大阪・上宮)ら下級生ながらプレーでワセダを引っ張る3人にお話を伺った。
※この取材は7月24日に行われたものです。
「自分たちが勝たなければチームは勝てない」(船水)
下級生ながら大将の立場に立つ自覚を持つ船水
――春の六大リーグでは明大に惜敗しチームとして悔しいスタートになりました
船水 そうですね、あれで負けてしまってチームとして話し合う機会とかも生まれたと思います。でも個人的には力の差があって負けたとかではないと思うので、あまり焦りや不安が生まれるということはありませんでした。インカレでも明治が勝ち上がってくれば準決勝くらいで当たると思いますし、僕としてはこのあいだの東インカレも日体大戦よりと明治戦の方がヤマ場だとおもっていたくらいなのでやっぱり意識はしていますね。
星野 颯人も言ったんですけど、あの大会では実力うんぬんというより、オーダーで外されてしまった部分もありました。実力的には負けているわけではなかったと思います。そのあと関東リーグでも当たった時には勝てたので、借りを返せてよかったなと思いました。
――明大には内本選手が昨年度組まれていた丸山選手もいますね
内本 少しはやっぱり意識するんですけど、まだ当たったことがないのでわからない部分が大きいですね。
――六大リーグ後、チームメイトとなにか話し合ったことなどはありますか
船水 4年生から応援の雰囲気に対してなどの話が出たんですけど、やっぱり一番大事なのは試合に出ている人が役目を果たすことだと僕らは思っています。2年生の中でも僕と星野とか、安藤(優作、社2=岐阜・中京)、大津(悠平、スポ2=宮城・東北)とかは出場していたのでそういった2年生がまずは勝つことが僕たちの責任であったし、それ以外の2年生は一応試合には出ていなかったので試合に出ている人が最大限活躍できるサポートだったり雰囲気づくりをしなければいけないなというふうに話し合いました。
――学年が上がったことでなにか自分の役割や立場が変わったと思うことはありますか
船水 僕らは前から試合に出ていたので、僕ら自身に関してはそう変わりはありません。ただ、1年生が新しく入ってきたので、その子たちが伸びるためにはどうするかとか、あと仕事的な面もしっかり伝えていかなければいけませんし、そういった中で試合に出てプレーで自分が示さなければいけないという想いがより一層昨年より強くなったように思います。
星野 1年生の時はやっぱり、仕事とか試合以外の面でサポートしなくてはいけないということで自分に余裕がない部分もあったんですけど、それがなくなって周りを見ることができるようになった気がします。心に余裕ができたことが1番変わったところかなと思います。
――逆に内本選手は仕事ともありながらの初めての団体戦となりました
内本 ワセダとしての初めての団体戦が六大で、その時はまだ仕事も覚えきれていなかったので教えてもらいながら、自分は大会にも出場するという感じでした。仕事は大変なこともあるんですけど、自分としては初めてのワセダの団体戦に出るということに緊張してやばかったです。その試合ではワセダは負けてしまったので、自分の中にワセダは強いというイメージがあったのでそんな学校でも負けることがあるんだなとびっくりしました。
――1年生ながら団体戦に出場することに関して緊張はありますか
内本 ありますね。だんだんと慣れてきたんですけど、最初はゼッケンを付けるだけでも緊張してしまって(笑)。
――昨年は船水選手も同じ立場でしたがいかがでしたか
船水 僕ですか?いや、僕はゼッケンではさすがに緊張はしなかったです(笑)。
一同 (笑)
――続く関東大学選手権(春リーグ)はいかがでしたか
星野 春リーグはいつも僕は船水とペアなんですけど船水がシングルスで出るので、内本と(笑)。内本にとっては初めてのリーグでしたし、僕は昨年初めての春リーグを経験していたので、内本をサポートしようと考えていました。あと、風がすごく強くて内本が打ちにくい状況だったので自分が頑張らなければというのがありました。
――内本選手とのペアリングはいかがでしたか
星野 高校の時に学校が近いというのもあって、結構練習試合とかはしてたんです。だから組んだことはなかったですけどどういったタイプとかも分かっていたし、組みにくいと感じることは最初からなかったですね。
――内本選手は組んでみてどのように感じましたか
内本 六大リーグの時は1年生同士のペアだったので、1年生らしく元気よく行こうと思っていたんです。でも春リーグは船水さんがシングルスで星野さんと組むことになって、勝たなければいけない立場なんだということをすごく感じました。星野さんと組むことに関してではないんですけど、星野さんと組むことで自分が勝つことがチームの勝利に左右するという位置になってそれがプレッシャーにもなりましたね。
船水 僕と組むより強かったですけどね(笑)。船水・星野組より、内本・星野組の方が安定感がありました。僕らの場合は一気に畳み掛けるというかスピーディーな試合展開を持ち味としてるんですけど、やっぱり後衛のタイプも違うので違った展開になりやすくて。そういった中で星野が動いてポイントしているのを見ると、こういう攻め方もありだなと学びました。大学入ってから星野のプレーを客観的に見ることがそもそも初めてなんで、結構面白くて(笑)。内本・星野は安定感があってよかったですね。
――昨年と同じく決勝は日体大との5番勝負になりました
船水 昨年より安藤さん(圭祐主将、スポ4=岐阜・中京)がしっかりしていたというよりも、優作の方がしっかりしていたなと外から見ていて思いましたね。どちらかというと昨年は優作が緊張しすぎて逆に集中力切れてしまって勝ちきれないという部分があったなと応援していても思ってたんですけど、ことしは優作がしっかり最後まで安定していて、試合に集中できていたのでそれが勝ちにつながっている気はします。
――王座は主将が不在の中での大会となりました
船水 いつもはチームの運営的にはやっぱり4年生が主体なんですけど、そういった中でやっぱり試合に出る下級生が硬くなってしまうこともあって、それが悪いわけではなくて、緊張感を持つことはいいと思います。ただ、王座のときは主将不在ということもあって下級生が主体となってやれた部分もあったので、チーム一つでまとまるというよりは個人個人が自覚を持って動いて優勝できたという結果なのでそれはそれで良かった部分もあると思います。
星野 4年生で出てるのが加藤さん(顕成スポ4=広島翔洋)と名取さん(敬恩、スポ4=秋田・大館鳳鳴)だけで、実質準決勝までは1、2年生が主体となった部分が大きかったです。主将不在ということで僕は内本とペアで絶対に勝たなければいけない番手だということも感じていましたし、そういった自分がプレッシャー掛かる場面で勝てたということは大きいですね。あの時はやっぱり自分たちが勝たなければチームは勝てないというくらいまで思っていました。
内本 自分が勝ったら後ろの人が勝ってくれるという信頼感で、良い意味で精神的に任せてやることができました。
――王座では海外選手との対戦もありましたが振り返っていかがでしたか
船水 台北だとカット主体の戦術になってきます。韓国はガンガン打ってくる感じですかね。でも特に意識することはなく、自分のできることをすれば勝てる相手だと思います。相手のペースに合わせてしまうとダメなんですが、王座ではみんながしっかり対応できていたので、そこが良かったかなと思います。
――4年生の加藤選手がしっかりと最後は締めました
船水 加藤さんは昨年同じ相手とやって負けていて、昨年の結果がよぎったりもしました。でも長尾(景明、社1=岡山理大附)がよく頑張ってくれていたので、そこで後衛が崩れずにやったことが勝利につながったのかなと思います。加藤さんは自分のやることにすごく集中していたので、どちらかといえば皆が長尾に崩れるな、集中しろと声を掛けていた感じですかね。加藤さんの持ち味の盛り上がった時の良いプレーが出て、最後も加藤さんが上を抜いて決めてくれたので、良かったです。
――同じ1年生が勝利を決めたのを見ていかがでしたか
内本 加藤さんが王座に懸けているというのは分かっていたので、あのペアが勝負を決めてくれた時は嬉しかったです。一昨年優勝決めて、昨年は0で負けて、ことしは3度目の…という思いがあったようで、出たいとずっとおっしゃっていたので。
――東インカレでは船水星野にペアが戻りました、振り返っていかがでしたか
星野 準決は明大とで、内本が負けてて…(笑)。自分たちが負けたらワセダが負けという時に、相手も明大の強い丸岡・丸山組というペアではあったのですが集中してやりきれたので、自分の仕事はできたかなと思います。
内本すみません(笑)。
船水 負けという結果でも最後まで相手のペースでそのまま負けてしまった感じだったので。だから自分たちもちょっとやばいぞとは思っていて、思い切ってやっていこうとしたら、良い結果につながったと思います。
――次の日体大戦では上手く切り替えていました
内本 はい、松本(倫旺、スポ1=熊本・済々黌)と組むのは初めてだったのですが、組みやすかったですね。
船水 試合の本当に5分前くらいに決まったんですよ、このペアが。オーダーはその時安藤さんと下田さん(純平、商4=東京・早実)、それとそこに僕も入れてもらって決めていました。
星野 日体大戦では相手の後衛が自分の高校の時ペアを組んでいた相手だったので…無理でした(笑)。
船水 無理じゃねえよ(笑)!
星野 元組んでいた相手でやりづらさはありますね。元ペアということ自体を意識しているわけではないのですが、やはり上手いので。
船水 あの時は本当にタイミングを外されてしまっていました。普段は星野に合わせて僕も動いたりしているのでそれがバラバラになってしまったりしていました。普段なら(前衛が)抜かれた時も走るのですが、それもできていなかったですね。あとはボールの配球も甘かったりしたので、後衛が上手いということは確かなのですが、そこでどれだけ隙を作らないように前衛を狙って攻めたりとか、僕自身のレベルをもっと上げなくてはと思わされました。
――安藤優作(社2=岐阜・中京)選手が勝利をあげていましたが、それに関してはいかがですか
星野 同期の優作が勝負を決めてくれたのはうれしかったし、自分たちが負けた分その勝ちが有り難かったので、今度は自分たちが返したいなと思いました。
「向かってくる相手を跳ね返すプレー」(星野)
さらなる飛躍を誓う星野
――ライバル校というのは日体大や明大になってきますか
船水 本当に実力があるのはその2校だと思います。まあ中大とかもなんですけど。その辺りと後は同志社とかの関西の学校だと結構雰囲気がイケイケなので、そうやって向かってこられた時に受け身にならないように心がけたいです。明大は1年生の若い力とかも大きいので、思い切ってやってきますね。団体戦になると力を発揮したりするような選手もいるので。
――昨年タイトルを多く獲得してきて気負う部分あるとおっしゃっていたこともありました
船水 まあ自分たちの気持ちの問題なんですけどね。相手も「もうどうせ勝てないから思いっきり力で打って行こう」とかいう感じで向かってきたりします。でもそういった相手にもしっかりと勝ち切ることができるのが本当の意味での強さだと思うので、テニスの引き出しを増やしてどんな相手にも対応できるようにしていく必要があるのではないかと思います。
星野 昨年は1年だったので、失うものはないと思い切ってやったりしたのが上手くいったりしていて良い成績を残してきました。それに対して昨年2位だった春リーグの個人ではことしはベスト16で、順位を落としたんですけど、この間の東インカレでは優勝できました。昨年に比べてタイトルの数で見たら少ないかもしれないのですが、向かってくる相手に対してそれをも跳ね返すプレーをした結果だと思います。
――現在のチームについてお伺いしたいと思います。インカレ前の今のチームの雰囲気はいかがですか
船水 まだインカレの直前を1度しか経験していないのですが、昨年のほうが締まっていたようには思います。4年生が昨年は上の番手にいて、プレーで引っ張ってくれていたのに対して、ことしのチームの主体は1、2年の僕たちなので。チームのために頑張ることももちろん必要だと思うのですが、昨年負けているというのもあり、自分自身がしっかりしてチームを勝たせるということにこだわりがあります。個人的には安藤さんを勝たせてあげたいという気持ちはとても強いです。このチームでメンバーの中で4年生は一人でずっとやってきて、いろいろ大変だったこともあると思うので。プレッシャーが安藤さんに比べたら少ない僕たち下級生が力を発揮するのが責任だと思いますね。
星野 ことしは主体が下級生なので、自分たちが頑張って4年生を勝たせてあげられたらいいかなと思います。昨年負けているので、その借りを返せたらなとも思っています。
船水 緊張感や自覚を個人個人持つことが何より必要だと思います。僕は1年間自分が大将だと思ってやってきたので、負けちゃいけないという気持ちは強いですし、4年生も苦労しているとは思うので楽にさせてあげたいと思います。
内本 きのうも4年生と2年生に雰囲気が良くないと言われてしまったのですが、1年生も仕事や環境に慣れてきてだらけている部分が少なからずあるのかなと思うので、もう一度しっかりと練習中の声出しなどから1年生で底上げをしていくことが大事だと思います。
――安藤圭主将の印象はいかがですか
内本 やるときはやる主将です。厳しさというよりは優しい人だと思います。
星野 プライベートでは完全にオフですね(笑)。本当に今内本が言ったようにやるときはやるという人です。テニスに関してはお互い前衛なので、技術の面でも教えあったりいつもしています。
船水 優しい人ですね。でも試合に出ている4年生が一人という部分でかなり苦労しているのではないかと感じます。背負うものも大きいと思うし、だからこそ安藤さんを勝たせてあげたいという気持ちは強いです。
――船水選手は1年生の教育係ということですが1年生の印象はいかがですか
船水 昨年はインカレの重みとかが自分であまりわかっていない部分があって。それでも試合に出るという部分で無我夢中でやってはいったのですが、昨年のインカレでは負けてしまい悔しい結果になってしまったので、1年生にはそういう思いをしてきたからこそ厳しく指導していきたいとは思っています。でもあまりにあれこれ指示を出してやらせるのも違うとは思うので、まず自分たちのちょっとした声掛けで気づいてもらえたらと思います。
内本 人数多くて仕事に慣れてきた今、てきぱき動けていない部分があると思うので、自分自身も試合以前にやるべきことをやらなくてはと思います。今船水さんも言っていたのですが、まだ大会の重みとかを実感していないので、試合に出るということを自覚して思い切ってやりたいという気持ちは強いです。
――星野選手は1年生とどのように接していますか
星野 普通に後輩としてかわいがってますね(笑)。仲良いですよ。
――船水星野ペアの互いのコート外での印象は改めていかがですか
星野 仲良いっすよ(笑)。
船水 うっとうしいです(笑)。でも僕は夜に一人で星野の家にふらっと行ったりします。別になんもしないんですけどね。
星野 迷惑やわ(笑)。コート外でも真面目なんですよね、船水は。授業にもちゃんと行ってるしね。
船水 そう、真面目なんだよ。逆に星野はうるさいです(笑)。でも僕学校とかでも基本1人でいるんですよ。あんまり人といるの苦手で…気遣っちゃうから(笑)。星野は同期と基本一緒なんですけど、僕はそこと会った時に、おお!ってなって一緒になる感じで。
――逆にコート内での印象はいかがですか
船水 (星野は)コート内でもうるさいですね(笑)。練習のときとか試合中にもたまにちょっかい出してくるんで全っ部無視します(笑)。でもなんだかんだ考えてテニスしてるので、そこの気持ちはいつも伝わってきています。テニスの面では本当に頼りにしているので、自分は星野の背中を見るとやる気が出ます。さっきも練習中に星野に言いましたけどね。「やる気のある背中を見るとやる気出るし、やる気のない背中を見るとやる気失せる」って(笑)。
星野 船水はテニスのことになると本当にストイックだと思います。自分一人で黙々といつもやってますね。一番真剣だと思います。
船水 でもトレーニングとかするのが結構好きなんですよね。練習が1日終わった後の疲れている感じが、充実感あってすごい好きです。意識的に練習量を落としてどこまでやれるかやってみようと思ってやってみたことがあったのですが、やっぱうまくいかないところもあって。今はインカレ直前なので、意識してギアをあげてやっていかないといけないなと思います。
――内本選手から見た二人の印象はいかがですか
内本 コート内では上下関係がしっかりあるのですが、コートの外ではよくご飯とか連れて行ってくれますね。船水さんはコート内では自分に対してとても厳しいです。言葉では僕たちに何も言わないのですが、ストイックな姿勢で示している感じですね。刺激を受けるし、ちゃんとやらなきゃと思わされますね。
――それは意図的なのですか
船水 まあ、そうでもありますね。そういう姿から何か感じ取ってもらえればいいかなと。一人が感じたら周りも気づいてくると思うので。
――そのスタイルには東北高校の方針などは影響しているのでしょうか
船水 方針というか…僕はテニスを教わったことがなくて。練習も先生がいないところでやってきて甘い環境だとも言えると思うのですが、本当にやる気がある人が伸びるというのを過去の先輩たちが証明してきています。中学では県大会1回戦負けだった人が日本一になったり。そういうのが多い高校でした。僕の兄(船水雄太、平28スポ卒=現NTT西日本広島)とか九島さん(一馬、平28スポ卒=現ミズノ)も中学ではそれほど活躍していませんでしたが、日本の高校生の中で頂点取ったので。最初はそんなの嘘だと思ったのですが、高校3年間終えてみてそういう環境だからこそ個人のスキルが上がったので、その環境は良かったと思います。
――では、星野慎平選手の印象は
内本 うーん。練習ちゃんとやらないんですよ(笑)。たまにちゃんとやってる時を見て、「おー」って思います。でもそれが星野さんにとってはいいんですよね。ちゃんとやりすぎると調子悪くなったりするじゃないですか。
――この印象聞いていかがですか
星野 ・・・はい(笑)。そうです(笑)。
――コート外ではどんな方ですか
内本 僕、星野さんとマンションの部屋が隣同士なんですよ。
――他にもそういうことありましたよね
星野 小栗さん(元貴、平26スポ卒=現東邦ガス)(笑)。小栗さんの住んでいた部屋に今住んでいます。
――代々受け継がれている部屋があるんですね
内本 はい。それで、お金が無くなった時とかは、部屋に来てもらって、ゲームしたりしてるんですよ。
――東京に来て、生活面で変わったことは多いのではですか
内本 一人暮らしになったので、いつもお母さんにやってもらっていた洗濯とかが忙しいですね(笑)。テニス面では、先ほど東北高校の話もありましたが、上宮は結構厳しいところで、ずっと練習に行って先生に言われたことをひたすらやるような環境でした。しかし、今は縛られている環境ではないので、自主的にしっかりやらないといけないなと思います。
――そのような環境が、マイナスにはたらいたり、プラスにはたらいたりこともあると思いますが、そのことについては、どう考えていますか
内本 正直、さぼろうと思えばさぼれる環境だと思います。でも、逆に、自主練というのは、自分のやりたい練習ができて、いくらでも練習できるということにつながるので、やろうという意思があれば、すごくプラスにはたらくと思います。自分の技術をなくしてヘタになったらいやですし、うまくなりたいので、しっかりやろうという意思を持ってやっています。
「チームに貢献できるように」(内本)
1年生からチームの中核を担う内本
――意思を持って練習に励むということにおいて言えば、今、現状として意識して取り組んでいることは何ですか
船水 今から1週間で技術を大きく高めることは無理で、気持ちで調子をあげていくしかないと思います。あと、テニスの練習ももちろんですが、トレーニングも今の時期、結構やっています。また、限られた時間のなかでどれだけ練習の質を上げられるかという点で、直前よりも今の時期が一番大事だと思っています。
内本 僕も技術面というより、インカレに望めるようなメンタルを整えています。
星野 あとは、昨年決勝で自分が負けた悔しさを、どれだけインカレでぶつけられるかだと思います。
――今年は、5連覇のかかったインカレですが、プレッシャーを感じていますか
船水 もちろん、自分たちがやるだけやって、結果として優勝できれば5連覇になりますし、記録にも残るとは思いますが、僕は、あまり強く意識はしていないです。昨年は、決勝で1回負けただけなのですが、あの時こうしておけばよかったというような後悔があって、今年はそういう年にはしたくないです。だから、プレッシャーを感じるというよりは、今の段階から準備し、目の前のことを1つずつこなし、最後まで自分を追い込むことが大切で、あとは試合するだけだと思っています。そこまでやって、もし、負けてしまっても、それがたまたま5連覇のかかる年だったというだけで、特別に意識はしていないです。
――5連覇を意識しすぎるよりも、自分のプレーを発揮することに重きを置いているということですか
船水 そうですね。昨年のように、調子を崩してしまうと、思い通りにプレーできなくなってしまうので…。昨年と同じ思いは本当にしたくないので、勝ち負けよりは、インカレでどれだけ自分の力を発揮できるかということを考えて、楽しみながら望みたいです。
星野 僕も、5連覇ということはあまり意識していないです。それよりは、自分の力を発揮するということに重きを置いています。普通にやれば勝てると思いますし、自分の力が出せれば5連覇につながると思っています。
内本 僕は、もう1番手と2番手がしっかりしすぎているので、任せっきりになっている部分があって…。(両隣にいる船水選手・星野選手の視線を感じて)……ウソです(笑)。ワセダのテニスは何が起こるかわからなくて、もしかしたら1番手と2番手が両方負けるかもしれませんし…。いや、ないな(笑)。でも、任せっきりにならず、チームに貢献できるようにやっていきたいと思います。
――高校と大学で、試合の雰囲気が違うなと感じることはありますか
内本 はい。ありますね。大学は、応援が自由じゃないですか。それに、相手が早稲田大学だということもあるとは思いますが、全ての球を強く打ってきたり、たくさん前衛に当ててくるような無茶なテニスをしてくる相手もいて、思い切り向かってくる相手にはやりづらい部分もあります。
――船水・星野組というのは、昨年までの船水・九島組に代わる大将という立場になると思いますが、そのことについてはどのように考えられていますか
船水 気持ちの面では変わっていますね。昨年までは、無我夢中にひたすら打つという感じでした。また、それこそ内本も言ったように、大学では無茶に向かってくるテニスをする選手の球が、たまたまずっと入り続けて勝つ試合も見てきました。どちらかといえば、今回はそういう状況に直面しても、自分たちは安定したテニスをして、見ているみんなが安心できるようなプレーをしたいと思います。
星野 昨年まで船水・九島組は本当に頼れる存在で、今年は自分たちがやるということになるとは思いますが、できるだけ船水・九島組のような頼れる存在に近づけるようになりたいです。プレーで応援を乗せたりだとかしたいですね。
――船水選手は1年生の時、先輩や同級生が活躍して自分が負けてしまうと、悔しいという気持ちがあったけれど、今は、素直にうれしいという気持ちになれるとお話しされていましたが、それはチームという視点で結果を考えられるようになったということですか
船水 昨年は、1番で出させてもらうなど、当たって砕けろじゃないですけど、思い切ってやらせてもらっていました。気持ちの持ちようがガキで、仕方ないと切り替えられなかったということもあり、他の人が勝つとイラッとすることもありました(笑)。特に優作(安藤優作、社2=岐阜・中京)とかが勝つとうれしくないときもありましたね(笑)。他の人が勝つことに対して悔しい気持ちはまだなくはないのですが、ことしは大将として、安藤圭・安藤優組が勝って救ってもらったという気持ちしかないので、感謝していますね。
――星野選手は、チームが勝つところを見て気持ちの変化はありましたか
星野 チームが勝ってくれるのはうれしいですし、自分が負けてもチームメートが勝つことによって優勝ができたらありがとう素直に思います。特に変化はないですね。
――昨年のインカレは調子がよくなかったということでしたが、今年のコンディションは、東日本インカレ後、いかがですか
船水 いや、今ちょっと危ない感じがあって、またうまくいかなくなりそうな感じがします(笑)。なので、なるべくそうならないようにするにはどうすればいいか考えているところです。結論は、追い込んで、練習するしかないなと思いますけど。
星野 僕は、調子悪い感じはないので、このまま気持ちを上げていければいいなと思っています。
――東日本インカレは、殲滅戦ではなくなって、今年はまだ殲滅戦は経験していないと思いますが、そのことについてはどう考えていますか
船水 内本もしっかりしているので、普通にやれば負けないと思います。オーダーはどうなるかわかりませんが、もし僕らに回ってきたら、意地でも勝って、できれば自分らが勝って優勝決めたいですね。優勝を決めた経験がないので、どう喜んだらいいか分からないんですけど(笑)。
――内本選手は、殲滅戦初めてですか
内本 はい。できるだけ先輩を疲れさせないようにしないといけないですよね。
――明治大学や日本体育大学がライバルになると思いますが、個人的に意識しているペアはありますか
船水 もう全部ですよね。あっ、でも日体大の村田さんですよね。負け続けているので、意識はしていないですけど、その時に自分の持ち味を出せなかったというのが敗因だと思います。だから、どのペアがどうとかではなくて、自分たちのプレーができれば、勝てる自信はあるので、それがどれだけできるかだと思います。
内本 僕も村田さんですね。
――勝ち進めば対戦することになると思いますが
船水 日体大と当たるとしたら決勝なんですよね。
内本 日体大には負けたくないという気持ちが強いですね。
――そういった気持ちは、部の共通認識としてあるんですか
船水 そうですね。今の日体の4年生は、ここ最近で一番強い選手がそろっているみたいで。ことしに懸けるというような雰囲気があるらしいです。もちろん今後が弱くなるということではないですが、良い選手が一番集まっている代なので、その中で勝てれば、勝てればより価値が高い勝ちだと思います。
――確かに昨年のインカレの戦力が残っていますね
船水 はい。もう3年前ぐらいからずっと残っていますね。1年生の時から出ている選手が多いので。
――個人戦だと、同校対決になったりすることも多いと思いますが、ワセダの中で、意識している選手はいますか。
船水 安藤圭・安藤優組ですかね。
――安藤圭・安藤優組も意識するのは船水・星野組だと言っていました(笑)。どんなところを意識しますか
船水 優作は結構途中で諦めてくれるんですよ。でも、どっかでチャンスがあるとそこを突いてくるんですよ。それがちょっといやなんですよねー。例えば、星野が4本連続で決めたりすると、そこから適当に打ってきて…。またそれが結構エグいところに打ってくるんですよ(笑)。そこからまた「きたきた!」という雰囲気になるという繰り返しなんです。それに対して自分が反応してしまい、少し集中力が切れたり、惑わされたりします。
星野 優作の集中力が切れてくれればいいんですけれど、集中力が持ったら…という感じですね。
船水 集中力が持ったら勝てないです。
――ワセダのテニスの強さは、みなさんそれぞれどこにあるとお考えですか
船水 監督が来ない中、自分たちでチームを作っているということだと思います。他の学校だと、寮に入ったりして、チームとしてずっと行動しています。もちろん、それで団結力が高まったりはするとは思いますが、それに対してワセダは、自分たち一人ひとりが考えたうえで作られたチームの中でやっています。そのような厳しい自己責任で生活して、勝っていく人が、本当に強い人だと思います。
星野 みんながそれぞれ考えた結果、主将と主務の考えについていく人が多く、それによってまとまっているところもあると思います。
内本 4年生がまとめてくれるということもあるとは思いますが、一人ひとりの意識が高いということが一番の強みなんじゃないいかと思います。
――刺激を受ける先輩は誰ですか
内本 (船水選手を指さして)めちゃくちゃリスペクトしてます(笑)。
――ソフトテニスマガジンにもそう書いてありましたよね
内本 はい。ホントにめっちゃリスペクトしています。
船水 これホントやめてほしいです(笑)。
――安藤圭祐主将が最後のインカレを迎えますが、そのことに関しては、どんな思いがありますか
船水 先ほども言ったんですが、苦労しているなと思うことが多いので、その苦労から解放してあげたいです。個人戦に関しては敵なので、そこはシビアにいかないといけないと思います。
内本 苦労している分、結果を出してプレゼントしてあげたいという気持ちがあります。
星野 昨年から一緒にやってきているので、恩返しと言ったらあれですが、勝たせてあげたいです。それで結果的に優勝できたら一番いいですね。
――最後に、インカレへ向けて、意気込みをお聞かせください
内本 団体戦は、5連覇がかかっているので、1・2番手は強いんですけど、任せきりにならないようにしたいです。個人戦は、最近勝てていないので、団体戦メインでやりながらも、ベスト4決めで、多分、安藤圭・安藤優組と当たるんですが、そこまではいけたらいいなと思っています。
星野 団体戦は、昨年負けているので、もちろん全勝を目標にします。個人戦は、昨年3位とあまりいい成績ではなかったので、優勝したいです。
船水 僕も同じで、団体戦は昨年負けているので、ことしは勝ちきるといったら殲滅戦なので優勝になってしまうのですが、まずは結果よりも自分のプレーをしっかりすることです。あと、大学に入ってからシングルスにも自信がついてきていて、昨年も本当だったら優勝できたと思うんですけれど、今年は、関東学生選手権大会と東日本インカレ両方勝てているので、今年こそはインカレでシングルスも優勝して、卒業するまでに3連覇したいです。ことし優勝できれば3連覇できるチャンスが出てくるので、これまで誰もできなかった記録を作りたいなと思います。ダブルスに関しては、僕はタイトルを全然持っていないので、星野に助けてもらって(笑)。星野は小中高でダブルスのタイトルを取っているので、大学では、助けてもらって頑張ります(笑)。ダブルスは、4年間で一回取れればいいと思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 三佐川唯、吉澤奈生、吉岡篤史)
チームの主力を担う3人は勝利を誓った
◆船水颯人(ふねみず・はやと)(※写真右)
1997年(平9)1月24日生まれ。身長170センチ。宮城・東北高出身。スポーツ科学部2年。昨年度、大型ルーキーとして鮮烈デビューを果たした船水選手。今年は精神面、技術面さらなる成長を遂げ、早大の中核を担います。誰よりも自分に厳しくテニスに打ち込む姿に後輩からの人気も高いそうです!
◆内本隆文(うちもと・たかふみ)(※写真中央)
1998年(平10)2月19日生まれ。身長171センチ。大阪・上宮高出身。スポーツ科学部1年。高校総体二冠を背負って、早大に鳴り物入りを果たした内本選手。1年生ながら東京六大学リーグから全ての団体戦に出場し、早くもその実力を大学ソフトテニス界に知らしめています!インカレでは1年生ならではのエンジン全開なプレーを期待したいですね!
◆星野慎平(ほしの・しんぺい)(※写真左)
1996年(平8)9月21日生まれ。身長184センチ。奈良・高田商高出身。スポーツ科学部2年。ペアの船水選手がストイックな性格に対して、星野選手は明るくマイペースなんだそう。学校や授業でも軟式庭球部員と一緒に時間を過ごすことが多いそうです。星野選手のマイペースさに船水選手が注意することも時にはあるんだとか!内本選手を挟んでの二人の和気あいあいとした掛け合いが印象的でした!